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三大栄養素と血糖値。血糖に直接影響を与えるのは糖質のみ。蛋白質は?
こんにちは。

「血糖に直接影響を与えるのは糖質のみ。」

というADA(米国糖尿病学会)の記載に関連する事柄を、1)~8)まで整理してまとめてみました。

1)「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみである」

2)「1型糖尿病で内因性インスリンが枯渇している場合や2型糖尿病でも内因性インスリンが枯渇に近いときは、
  グルカゴン分泌を介してタンパク質が間接的に血糖値を上昇させる」

3)「上記の2)を除く大多数の内因性インスリンが残っている糖尿病患者においては、摂取後血糖値を上昇させ
  るのは糖質のみである。」

4)「1)2)3)より、大多数の内因性インスリンが残っている糖尿病患者においては、糖質制限食が極めて有効である」

5)「脂質はインスリンもグルカゴンも分泌させない。」

6)「タンパク質はインスリンとグルカゴンを両方分泌させるので2)のケースを除いては効果は相殺されて、血糖値に
  影響を与えない。」

7)「2)のようなケースでも、糖質制限食を導入することで、インスリンの量を大幅に減らすことができる。」

8)「2)のようなケースでは糖質制限に加えてタンパク質のカウントもするとコントロールはさらに良くなる。」


手元に、以下の本(英文の原書)があります。

American Diabetes Association
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
-4th Edition-,2009

57ページに
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」
という文章が記載してあります。

-3th Edition-2004年版から、継続してこの記載があります。

直訳すると

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物のみが、血糖値に直接影響を及ぼす。」

つまりADAによれば、タンパク質と脂肪は血糖値に直接影響を及ぼすことはないのです。

直接という言葉が意味深で、上記2)のようなケースがあっても矛盾しない表現にしたのでしょうね。

ADA(米国糖尿病学会)、流石です。


江部康二
コメント
糖尿病の診断基準の考え方
先日、人類にとって糖質摂取の適正量はスーパー糖質制限だろうと投稿しましたが、その食事で血糖値が正常に保たれていれば、本来は糖尿病ではないのではないでしょうか。食べなくても良いもの、あるいは食べてはいけないものを食べなければ正常値が保てるわけですから病気ではないはずです。百歩譲ってもこのレベルなら糖尿病予備軍と言っても問題ないように思えます。
しかし、タンパク質は必ず摂取しなければ健康が保てません。そのタンパク質だけを食べても本来変動しないはずの血糖値が異常値を示すようになれば、それが本来の糖尿病なのではないのでしょうか。
タンパク質摂取で血糖値が変動しないと言う事はインスリンがそれなりに分泌されており、グルカンとのバランスが保たれている事を示している訳ですから正常に機能しているはずです。糖質過剰摂取の時のみ血糖値が異常値になる状態なら糖尿病ではないと考える方が自然なように思えます。またアルコールに例えますが、健康や生命維持に必要がないアルコールがたくさん飲めない人を病気だと思う人はいないでしょう。糖質も同じだと考えます。糖質が必要な栄養素と考えるか不要なものと考えるかで判断基準も変わってくるのではないでしょうか。
私は5年前に糖尿病と診断されていますが、スーパー糖質制限を続けている限りは、全く病気である事を意識する事はないですし、以前よりも健康だと感じることの方が多いです。どちらかと言えば糖尿病と診断されている事が実態を示していないと感じています。
2022/11/08(Tue) 09:33 | URL | 西村 典彦 | 【編集
江部康二先生、質問です。
以前は早朝高血糖で町の健康診断で引っ掛かりお世話になりました。どうも食生活の乱れとイレギュラーだったようです。

江部先生の血液データー、拝見させていただきました。何一つ非の打ち所が無いデーターですね。

少し自分にとって気になる点があります。
総ケトン体:2000.0μM/L(26.0~122)
βヒドロキシ酪酸:1790.0μM/L(76以下) 糖質制限食中は生理的で正常値 
アセト酢酸:208.0μM/L(13.0~69.0)
これらはプチ絶食時のデーターでしょうか?それとも日常生活の中でのデーターでしょうか? 御教示願います。 <m(__)m>
2022/11/08(Tue) 11:10 | URL | 甘いミカン | 【編集
Re: 糖尿病の診断基準の考え方
西村 典彦 さん


糖尿病の定義が、日本糖尿病学会により、規定されています
 これも一つの見解です。


人類にとって糖質摂取の適正量はスーパー糖質制限だろうと投稿しましたが、
その食事で血糖値が正常に保たれていれば、本来は糖尿病ではないのではないでしょうか。
タンパク質だけを食べても本来変動しないはずの血糖値が異常値を示すようになれば、
それが本来の糖尿病なのではないのでしょうか。


この立場もあって良いと思います。


必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありませんので、
西村さんの、考えに賛成です。
2022/11/08(Tue) 12:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 江部康二先生、質問です。
甘いミカン さん

江部康二の2022年9月の検査データの報告と解説。
2022年09月11日 (日)

総ケトン体:2000.0μM/L(26.0~122)
βヒドロキシ酪酸:1790.0μM/L(76以下) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:208.0μM/L(13.0~69.0)


このデータは、スーパー糖質制限食を食べていてのデータです。
通常は
①朝食:<ブラックコーヒー+生クリーム10ml>
②昼食:高雄病院のスーパー糖質制限給食
③夕食:家でスーパー糖質制限食

です。

いつもは朝食は<ブラックコーヒー+生クリーム10ml>ですが、
この日は、それなしで、水だけでの採血です。
前夜の夕食から、約12時間絶食での朝の採血です。

本格的な三食抜きの絶食療法中ではありません。
2022/11/08(Tue) 12:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました。
了解です。 <m(__)m>
2022/11/08(Tue) 12:40 | URL | 甘いミカン | 【編集
トラ
江部先生

お世話になります
以前肉食 獣のトラかライオン糖尿病の記事読みました
トラ ライオン 基本 肉 しか食べないのかと思います
でも糖尿病との記事あったと思います。でも衰えとともにインシュリンが
出なくなりの結果だと思います。
僕は約6年くらい糖質制限していますがいつかこのような事が
迎える日が来ると思っています。(いつか分からない)でも人類の英知で
インシュリンとの技があり延命できるのかなと思っています。
今の医学では上記のような事は推測不能で定期的な検査
しかないと思っています。
ぼくは今52歳ですが先生より一回以上したですがいつか先生も
上記のような事態迎えると思っているでしょうか
2022/11/08(Tue) 16:07 | URL | 糖尿人 | 【編集
Re: トラ
糖尿人 さん

犬は1型糖尿病が多いそうです。

以下のピューマも、1型糖尿病の可能性があります。
1型糖尿病は、食事は関係なくて、自己免疫疾患がほとんどです。
免疫の誤作動で、自分のβ細胞を破壊してしまいます。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20191228/k00/00m/040/166000c
国内最高齢ピューマの「ピコ」死ぬ 17歳、腎不全で治療 天王寺動物園
毎日新聞2019年12月28日 15時48分(最終更新 12月28日 19時30分)

 大阪市の天王寺動物園は28日、飼育していた国内最高齢のピューマ「ピコ」(雌、17歳)が死んだと発表した。
死因は調査中。2018年夏ごろから慢性的な腎不全の治療を受け、12月には糖尿病と診断されていた。


人間の2型糖尿病は
血糖コントロール良好を保てば、膵臓のβ細胞は、保護されて、年余に渡って保たれると思います。
例えば、私は、52歳で糖尿病を発症し、20年後の72歳現在まで
耐糖能は、保たれています。
このまま死ぬまで、β細胞は保たれると思います。
2022/11/08(Tue) 16:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
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