2022年10月30日 (日)
新型コロナとインフルエンザ 2つ同時に感染しうるのか?
同時感染すれば重症化しやすいのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20221029-00320655
こんにちは。
ヤフーニュースに2022年10月29日、上記、記事が掲載されました。
季節性のインフルエンザは、日本では
例年11~12月頃に流行が始まり、翌年の1~3月にピークを迎えます。
流行期間は約4ヶ月間です。
寒い時期、つまり冬が主の感染症です。
気象庁の定義によると、冬とは12月から2月の3ヶ月間です。
インフルエンザの感染力は非常に強く、
日本では毎年約1千万人、約10人に1人が感染しています。
インフルエンザは流行性が強く、
いったん流行が始まると短期間に多くの人へ感染が拡がります。
2021年11月30日の本ブログ記事で、
新型コロナウイルスとのウイルス間干渉により、
2020年11月~2021年3月期と
2021年11月~2022年3月期の
二つの期間は、インフルエンザ感染者は極めて少数であったと述べました。
しかしながら、反省です。
「ウイルス間干渉で、同時に2つのウイルスは流行しない」
というのは、あくまでも仮説に過ぎませんでした。
現実にオーストラリアでは2022年4月後半(冬です)から、
まだ新型コロナが流行している最中にインフルエンザの流行が始まり、
7月中旬には急速に感染者数が減少し、8月中旬に終息しています。
インフルエンザの流行期間は、冬の4ヶ月間です。
つまり、ウイルス間干渉仮説は、脆くも崩れ去ったのです。
また、忽那医師の解説では、
ハムスターを用いた実験では、
それぞれのウイルスに単独で感染させた場合よりも、
同時にあるいは連続して感染させた方が重症度が高くなるという結果でした。
人間でも同時感染で重症化する恐れがあるので要注意です。
イギリスでの調査(THE LANCET March 25,2022 発表)では、
新型コロナに感染した6965人について呼吸器系ウイルスとの同時感染を調べたところ、227人がインフルエンザウイルスと同時感染していました。
そしてインフルエンザと同時感染していた患者は、
新型コロナ単独感染の患者よりも4.1倍人工呼吸管理となりやすく、2.4倍死亡しやすいという結果でした。
さて、忽那医師推奨のワクチンですが、
インフルエンザワクチンは感染や流行予防効果はなく、
重症化を防ぐ可能性があるというのが効能です。
そして、新型コロナワクチンも感染や流行予防効果はないが
重症化を防ぐことになっていて、まあインフルエンザワクチンと
同様の効能をうたっていますね。
しかしながら、必要な新型コロナワクチン接種完了率と
人口10万人あたりの累計感染者数をみると、
ワクチン接種率が高い国々で、しっかり感染してますね。
一方、ワクチン接種率が極めて低い、一桁の国々を見てみると
人口10万人あたりの累計感染者数は極めて低いのです。
イエメンで韓国の1250分の1、日本の457分の1です。
セネガルで韓国の95分の1、日本の35分の1です。
ブルンジは韓国の120分の1、日本の44分の1です。
ワクチン接種率の高い国々のほうが、極めて接種率が低い国々よりも
人口10万人あたりの累計感染者数は、
35倍から1250倍と桁違いに多いことは明白ですが、
忽那医師はどのように考えられているのでしょうね?
日本経済新聞のサイト
チャートでみる世界の感染状況
新型コロナウイルス
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/
累計感染者数
2022/10/28時点
必要な接種完了率 人口10万人あたり累計感染者数
韓国: 86.3% 49221人
イタリア: 80.5 39812
英国: 75.7 35732
米国: 67.4 28803
日本: 80.4 17924
ブラジル: 81.1 16169
ロシア: 68.8 14584
インド: 68.8 3150
中国: 90.7 72人
セネガル 6.9 % 515.6人
パプアニューギニア 3.3 497.8
カメルーン 4.8 7/25まで 441.1
イエメン 2.2 39.2
ブルンジ 0.2 411.7
コンゴ民主共和国 4.2 100.8
ハイチ 2.0% 293人
江部康二
ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20221029-00320655
新型コロナとインフルエンザ 2つ同時に感染しうるのか?
同時感染すれば重症化しやすいのか?
忽那賢志感染症専門医
大阪大学医学部 感染制御学 教授
10/29(土) 12:11
以下の青字の記載は、上記記事の要約です。
今年はオーストラリアで、
新型コロナとインフルエンザの同時流行がみられました。
これらのウイルス性呼吸器感染症について「同時に感染したらどうなるの?」と周りの方によく聞かれるのですが、
そもそも同時感染は起こり得るのでしょうか?同時感染するとしたら重症化しやすくなるのでしょうか?
ウイルス干渉とは?
複数の呼吸器系ウイルスが同時に流行している時期に、
人が同時に、あるいは連続してウイルスに感染することでお互いの感染に影響を与えることがあります。
例えば、新型コロナウイルスに感染した人が、その後にインフルエンザに感染すると、
新型コロナウイルス感染症の経過がインフルエンザウイルスによる影響を受けるということです。
これは「ウイルス干渉」と呼ばれ、1960年代から複数のウイルス間の相互作用について研究されています。
例えば、あるウイルスに感染すると一時的に自然免疫によりインターフェロンが誘導され、
次に感染するウイルスの増殖を抑える作用が起こると考えられています。
すごく簡単に言うと、人があるウイルスに感染すると免疫が活性化するので、
その時期に他のウイルスが入り込んできても追い払われることがある、ということです。
これは、マウスの実験や人でも証明されていますし、
疫学的にもRSウイルス感染症とインフルエンザの流行時期がずれることは
この「ウイルス干渉」が関係しているのではないかという報告もあります。
新型コロナとインフルの同時流行は起こらないのか?
ではウイルス干渉があるから新型コロナとインフルの同時流行は杞憂に過ぎないのでしょうか?
しかし、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとの間のウイルス干渉は、
少なくとも人にとって良い方向には働かなさそうという報告が増えてきています。
今年の5月から6月にかけて南半球のオーストラリアで新型コロナ発生以降初めてのインフルエンザの流行がみられました。
この時期、オーストラリアでは1日あたり2万〜6万人の新型コロナの感染者が報告されており、
まさに同時流行が起こっています。
新型コロナが出現してからの数年間、ほとんどの地域でインフルエンザが全く流行しなかったのは、
新型コロナの感染対策が徹底して行われたこと、海外からのウイルスの流入が激減したことなどが原因であり、
感染対策も緩和が進み、海外からの旅行者が急増している今シーズンは同時流行の可能性は低くないと考えられます。
新型コロナとインフルの同時感染では重症化しやすくなる
ウイルス干渉には疾患の重症度や病原性を悪化させるものもあり、
インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの組み合わせは、
この悪い方のウイルス干渉に当てはまる可能性が指摘されています。
ハムスターを用いた実験では、それぞれのウイルスに単独で感染させた場合よりも、
同時にあるいは連続して感染させた方が重症度が高くなるという結果でした。
イギリスでの調査では、新型コロナに感染した6965人について呼吸器系ウイルスとの同時感染を調べたところ、
227人がインフルエンザウイルスと同時感染していました。
インフルエンザと同時感染していた患者は、
新型コロナ単独感染の患者よりも4.1倍人工呼吸管理となりやすく、2.4倍死亡しやすいという結果でした。
今シーズンは新型コロナ、インフルエンザの両方に備えよう
このように、今年は新型コロナとインフルエンザの同時流行が起こる可能性があり、
また万が一同時感染ということになれば重症化につながるかもしれません。
すでに同じ北半球のアメリカでも増加傾向にあり、日本国内でも大阪府などで報告数が増えてきています。
これらが必ずしも同時に流行のピークを迎えるというわけではありませんが、
それぞれの感染症についてしっかりと備える必要があります。
インフルエンザワクチンについては10月から全国の医療機関で接種が開始されています。
また、新型コロナワクチンについては、オミクロン株対応ワクチンが接種できるようになっています。
今シーズンから同時接種が可能となりました。
また、「接種間隔についても問わない」となりました。
例えば今日インフルエンザワクチンを打って、明日新型コロナワクチンを接種する、ということも可能になりました。
これにより、柔軟に接種スケジュールを立てることが可能となります。
同時接種にこだわる必要はありません。流行期の前にそれぞれのワクチンを接種して流行に備えましょう。
同時感染すれば重症化しやすいのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20221029-00320655
こんにちは。
ヤフーニュースに2022年10月29日、上記、記事が掲載されました。
季節性のインフルエンザは、日本では
例年11~12月頃に流行が始まり、翌年の1~3月にピークを迎えます。
流行期間は約4ヶ月間です。
寒い時期、つまり冬が主の感染症です。
気象庁の定義によると、冬とは12月から2月の3ヶ月間です。
インフルエンザの感染力は非常に強く、
日本では毎年約1千万人、約10人に1人が感染しています。
インフルエンザは流行性が強く、
いったん流行が始まると短期間に多くの人へ感染が拡がります。
2021年11月30日の本ブログ記事で、
新型コロナウイルスとのウイルス間干渉により、
2020年11月~2021年3月期と
2021年11月~2022年3月期の
二つの期間は、インフルエンザ感染者は極めて少数であったと述べました。
しかしながら、反省です。
「ウイルス間干渉で、同時に2つのウイルスは流行しない」
というのは、あくまでも仮説に過ぎませんでした。
現実にオーストラリアでは2022年4月後半(冬です)から、
まだ新型コロナが流行している最中にインフルエンザの流行が始まり、
7月中旬には急速に感染者数が減少し、8月中旬に終息しています。
インフルエンザの流行期間は、冬の4ヶ月間です。
つまり、ウイルス間干渉仮説は、脆くも崩れ去ったのです。
また、忽那医師の解説では、
ハムスターを用いた実験では、
それぞれのウイルスに単独で感染させた場合よりも、
同時にあるいは連続して感染させた方が重症度が高くなるという結果でした。
人間でも同時感染で重症化する恐れがあるので要注意です。
イギリスでの調査(THE LANCET March 25,2022 発表)では、
新型コロナに感染した6965人について呼吸器系ウイルスとの同時感染を調べたところ、227人がインフルエンザウイルスと同時感染していました。
そしてインフルエンザと同時感染していた患者は、
新型コロナ単独感染の患者よりも4.1倍人工呼吸管理となりやすく、2.4倍死亡しやすいという結果でした。
さて、忽那医師推奨のワクチンですが、
インフルエンザワクチンは感染や流行予防効果はなく、
重症化を防ぐ可能性があるというのが効能です。
そして、新型コロナワクチンも感染や流行予防効果はないが
重症化を防ぐことになっていて、まあインフルエンザワクチンと
同様の効能をうたっていますね。
しかしながら、必要な新型コロナワクチン接種完了率と
人口10万人あたりの累計感染者数をみると、
ワクチン接種率が高い国々で、しっかり感染してますね。
一方、ワクチン接種率が極めて低い、一桁の国々を見てみると
人口10万人あたりの累計感染者数は極めて低いのです。
イエメンで韓国の1250分の1、日本の457分の1です。
セネガルで韓国の95分の1、日本の35分の1です。
ブルンジは韓国の120分の1、日本の44分の1です。
ワクチン接種率の高い国々のほうが、極めて接種率が低い国々よりも
人口10万人あたりの累計感染者数は、
35倍から1250倍と桁違いに多いことは明白ですが、
忽那医師はどのように考えられているのでしょうね?
日本経済新聞のサイト
チャートでみる世界の感染状況
新型コロナウイルス
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/
累計感染者数
2022/10/28時点
必要な接種完了率 人口10万人あたり累計感染者数
韓国: 86.3% 49221人
イタリア: 80.5 39812
英国: 75.7 35732
米国: 67.4 28803
日本: 80.4 17924
ブラジル: 81.1 16169
ロシア: 68.8 14584
インド: 68.8 3150
中国: 90.7 72人
セネガル 6.9 % 515.6人
パプアニューギニア 3.3 497.8
カメルーン 4.8 7/25まで 441.1
イエメン 2.2 39.2
ブルンジ 0.2 411.7
コンゴ民主共和国 4.2 100.8
ハイチ 2.0% 293人
江部康二
ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20221029-00320655
新型コロナとインフルエンザ 2つ同時に感染しうるのか?
同時感染すれば重症化しやすいのか?
忽那賢志感染症専門医
大阪大学医学部 感染制御学 教授
10/29(土) 12:11
以下の青字の記載は、上記記事の要約です。
今年はオーストラリアで、
新型コロナとインフルエンザの同時流行がみられました。
これらのウイルス性呼吸器感染症について「同時に感染したらどうなるの?」と周りの方によく聞かれるのですが、
そもそも同時感染は起こり得るのでしょうか?同時感染するとしたら重症化しやすくなるのでしょうか?
ウイルス干渉とは?
複数の呼吸器系ウイルスが同時に流行している時期に、
人が同時に、あるいは連続してウイルスに感染することでお互いの感染に影響を与えることがあります。
例えば、新型コロナウイルスに感染した人が、その後にインフルエンザに感染すると、
新型コロナウイルス感染症の経過がインフルエンザウイルスによる影響を受けるということです。
これは「ウイルス干渉」と呼ばれ、1960年代から複数のウイルス間の相互作用について研究されています。
例えば、あるウイルスに感染すると一時的に自然免疫によりインターフェロンが誘導され、
次に感染するウイルスの増殖を抑える作用が起こると考えられています。
すごく簡単に言うと、人があるウイルスに感染すると免疫が活性化するので、
その時期に他のウイルスが入り込んできても追い払われることがある、ということです。
これは、マウスの実験や人でも証明されていますし、
疫学的にもRSウイルス感染症とインフルエンザの流行時期がずれることは
この「ウイルス干渉」が関係しているのではないかという報告もあります。
新型コロナとインフルの同時流行は起こらないのか?
ではウイルス干渉があるから新型コロナとインフルの同時流行は杞憂に過ぎないのでしょうか?
しかし、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとの間のウイルス干渉は、
少なくとも人にとって良い方向には働かなさそうという報告が増えてきています。
今年の5月から6月にかけて南半球のオーストラリアで新型コロナ発生以降初めてのインフルエンザの流行がみられました。
この時期、オーストラリアでは1日あたり2万〜6万人の新型コロナの感染者が報告されており、
まさに同時流行が起こっています。
新型コロナが出現してからの数年間、ほとんどの地域でインフルエンザが全く流行しなかったのは、
新型コロナの感染対策が徹底して行われたこと、海外からのウイルスの流入が激減したことなどが原因であり、
感染対策も緩和が進み、海外からの旅行者が急増している今シーズンは同時流行の可能性は低くないと考えられます。
新型コロナとインフルの同時感染では重症化しやすくなる
ウイルス干渉には疾患の重症度や病原性を悪化させるものもあり、
インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの組み合わせは、
この悪い方のウイルス干渉に当てはまる可能性が指摘されています。
ハムスターを用いた実験では、それぞれのウイルスに単独で感染させた場合よりも、
同時にあるいは連続して感染させた方が重症度が高くなるという結果でした。
イギリスでの調査では、新型コロナに感染した6965人について呼吸器系ウイルスとの同時感染を調べたところ、
227人がインフルエンザウイルスと同時感染していました。
インフルエンザと同時感染していた患者は、
新型コロナ単独感染の患者よりも4.1倍人工呼吸管理となりやすく、2.4倍死亡しやすいという結果でした。
今シーズンは新型コロナ、インフルエンザの両方に備えよう
このように、今年は新型コロナとインフルエンザの同時流行が起こる可能性があり、
また万が一同時感染ということになれば重症化につながるかもしれません。
すでに同じ北半球のアメリカでも増加傾向にあり、日本国内でも大阪府などで報告数が増えてきています。
これらが必ずしも同時に流行のピークを迎えるというわけではありませんが、
それぞれの感染症についてしっかりと備える必要があります。
インフルエンザワクチンについては10月から全国の医療機関で接種が開始されています。
また、新型コロナワクチンについては、オミクロン株対応ワクチンが接種できるようになっています。
今シーズンから同時接種が可能となりました。
また、「接種間隔についても問わない」となりました。
例えば今日インフルエンザワクチンを打って、明日新型コロナワクチンを接種する、ということも可能になりました。
これにより、柔軟に接種スケジュールを立てることが可能となります。
同時接種にこだわる必要はありません。流行期の前にそれぞれのワクチンを接種して流行に備えましょう。
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