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糖質制限食と低GI食の違い
こんにちは。
今回は糖質制限食低GI食の違いについて考えてみます。

まず、GIは正常人ではあるていど参考になりますが、
糖尿人では、あまり参考になりません。
糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、
1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます


従いまして、たとえ低GIの食品でも、糖質が主成分の食品(穀物など)を普通に一人前摂取すれば、糖質は50g~60gは含まれているので、糖尿人では食後血糖値は200mgを超えてきます。

糖質制限食では、1回の食事の糖質摂取量を、
10~20g以下にする
ので、食後血糖値の上昇は、かなり少なくなります。
糖質制限食は、肉・魚貝・大豆製品などがメインですが、
糖質含有量の少ない葉野菜・ブロッコリー・カリフラワー・ゴーヤ・ピーマン、海藻、茸などはOKなので、
食物繊維もしっかり摂れると思います。

それから、GI値は研究者により、データにばらつきがありますが、
豚肉や牛肉や魚のGI値はそもそも存在しません。

GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して、基準となる食品(50gのブドウ糖)と食後の血糖値を比較して決定します。
例えば糖質50gを含む豚肉というと、25kg以上はあります。ヾ(゜▽゜)
これは摂取不可能です。
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、
脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。
従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。

http://www.mendosa.com/gi.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、
およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、お暇なときに覗いてみてください。

このサイトの、最後に、四角で囲んである 
Most Popular Articles and Blog Posts 
の中の Glycemic Index ををクリックすると、
グリセミック インデックスの 場所に飛びます。


江部康二


☆☆☆

<グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>

GIは血糖上昇反応度とも言われています。

一時流行した低インスリンダイエットの本などにGIのことも載っていたので、
聞いたことのある方、またご存知の方もおられるでしょう。

GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、
基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、
パーセントで表した数値のことです。


GIの算出方法
 
     糖質50gを含有する食品摂取後
      2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
    糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
    摂取後2時間までの血糖曲線下面積



何やよくわかりませんよね。

グラフにするともう少しわかりやすいのですが、実は私パソコン苦手なもので、写真や絵を貼り付ける技が・・・
すいません。 (*- -)(*_ _)
拒否反応を起こしかけている皆さんのために簡潔に言うと、GIの数値が高ければ血糖値を急激に上昇させやすい食品であり、
GIの数値が低ければ血糖値を急激には上昇させにくい食品であるということです。

GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、ブドウ糖スパイクを生じます。
実際、50gの糖質を含む玄米と、50gの糖質を含む白米を摂取しても、血糖値の上がり方はそれぞれ異なります。
GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。
ちなみに玄米のGIは50~60くらいで、白米は70です。
その他、ブドウ糖や白パンのGIは100、豆類は30、乳製品は35くらいです。

糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。
糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、普通に一人前摂取すれば、
200mg/dl以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、
私達は高雄病院の3000人以上のデータで確認しています。

一方糖尿人おいても、GIの高い白米の方が、玄米より血糖値をさらに上昇させやすいということはあります。
しかし、白米一人前で食後血糖値260mgが、玄米一人前なら240mgくらいの差なので臨床的には意味は少ないのです。
また、現在のGIの数値は主に欧米人のデータで、日本人のものではありませんので、
日本人のGIを調べようという動きもあります。

もともとジェンキンスが62品目の数字を出し、
現在International table of GIというアメリカ栄養学会の出したリストで、600種類の食品に関するデータが出ています。
50gのブドウ糖を基準にしたものと、白パン50gを基準にしたものでは、おなじ食品でもGIが異なります。

それからライスとバターライスを比べたら、バターライスのほうがGIが低いというように、
食品の組み合わせでも違いが生じます。

GIというのは、糖質を含む食品、例えばニンジンならニンジンだけを単品で食べてみて計測した数値です。
実際の食事では何種類か一緒に食品を食べますから、GIはあくまでも実験室的なデータですね。


このように見てくるとGIは正常人ではある程度参考にはなりますが、確定的なものではありません。
まして、糖尿人においてはGIはあてにならず、糖質のグラム数の計算のほうが重要です。
そこで糖質制限食の出番となるわけです。

糖質制限食ならば、糖尿人においても血糖値の上下動は極めて少なくなり、
薬に頼ることなく良好な血糖コントロールが期待できます。



江部康二
コメント
夜間多尿について
いつもありがとうございます。数年ぶりに膀胱炎にかかりました。糖質の多い食事をしたのと、過度のストレス疲れがあった時になりました。尿の状態を見るため尿量を測り始めましたら、就寝後から起床時を含む尿量が総尿量の40パーセントを占めていることがわかりました。夜間回数は3回です。昼間は約7回くらいです。喉が渇いて飲むということもなく、寝る前には水分は摂りません。心配なのは体重が減る一方なのです。内臓検査は異常なしです。尿に栄養が出過ぎているのでしょうか。糖質制限で身体がインスリンを出さないようになると、エネルギーを脂肪やタンパク質で使うようになるというのを見ました。空腹時血糖値は正常で、ヘモグロビンは6、4です。やはり糖尿病性多尿になるのでしょうか。これ以上痩せないためにはどうすれば良いのか、夜間多尿を治すのにはどうすれば良いかお教え願えませんでしょうか。ちなみに現在飲んでいる漢方薬は、牛車腎気丸、補中益気湯、です。

2022/10/18(Tue) 16:23 | URL | よよ | 【編集
Re: 夜間多尿について
よよ さん

身長
体重
年齢
性別


を、ご教示頂ければ幸いです。
2022/10/18(Tue) 16:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
有難うございます。
身長は 164センチ
体重は 47キロ
女性 74歳
以上です。ご指導よろしくお願い致します。
2022/10/19(Wed) 09:16 | URL | よよ | 【編集
PD-1L→PD-L1に訂正してください
細かいことですが、
PD-1L→PD-L1に訂正してください
2022/10/23(Sun) 11:28 | URL | 田中松平 | 【編集
Re: PD-1L→PD-L1に訂正してください
田中松平 さん

ご指摘ありがとうございます。
早速訂正します。
2022/10/23(Sun) 12:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
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