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麻疹とインフルエンザ、ワクチン効果に大きな差。理由は?
こんにちは。
今回は、麻疹とインフルエンザの違いと、
ワクチンの有効性の違いを検討してみます。

まず、麻疹に関する
厚生労働省のサイトhttp://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/
を読んでみました。

それによると、平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、
平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、
平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。

またウイルス分離・検出状況からは、平成22年11月以降は海外由来型のみであり、
平成19・20年に国内で大流行の原因となった遺伝子型D5は見られません。

平成27年3月27日、世界保健機関西太平洋地域事務局により、
日本が麻しんの排除状態にあることが認定されました。


つまり、麻疹ワクチンを2回摂取することを徹底した結果、平成22年11月以降は、
日本発の麻疹は消滅したわけで、劇的な効果を示しています。

そして、平成27年3月27日、WHOにより「日本が麻疹の排除状態」にあることが認定されたわけです。


一方、毎年、流行を繰り返しているインフルエンザに対して、
毎年インフルエンザワクチンを多くの日本人が接種していますが、
流行は防げていません。

麻疹とインフルエンザで、何が違うのでしょう?

麻疹ワクチンもインフルエンザワクチンも、
IgG抗体は作るけれど、粘膜面のIgA抗体は作れませんので、
粘膜表面での感染防御は困難なのは同一なのに、
何故効果にこれほどの差があるのでしょう?
検討してみます。

インフルエンザワクチンを注射することにより、
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
つまり粘膜面での感染防御は不可能ということです。

従って、インフルエンザウイルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)

はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
ワクチンで産生されるIgG抗体は呼吸器粘膜面に滲出して、
細胞外でウイルスと戦うこととなります。

普通のインフルエンザウィルス(弱毒型)は、
呼吸器と消化器でだけ生存できて、
血中には入れません。

一方、麻疹は、麻疹ウイルスへの曝露から、発症まで7~14日間程度かかります。
その後カタル期(口腔粘膜症状と37~38度前後の風邪症状)が3~4日間続き、
いったん解熱したあと半日で39~40度の発熱と全身の発疹がでます。

麻疹ウィルスが口腔粘膜から血中に入って全身にばらまかれるので、
カタル期のあと「39~40度の発熱と全身の発疹」が出現すると考えられます。

麻疹ワクチンを接種している場合、麻疹ウィルスが口腔粘膜内に侵入したら、
粘膜細胞外の血液中のIgG抗体が、麻疹ウィルスとの戦いの準備を開始します。
実は、現在のIgG抗体は細胞内では不安定で、
その作用は細胞外の標的に限定されています。

従って、カタル期には、すでに麻疹ウィルスを駆逐すべく、
IgG抗体が活躍の準備をしているので、
血中に入ってもすぐに抗原抗体反応が開始され、
高熱や発疹の発症を予防できる可能性が高いのです。

インフルエンザウィルスと違って発病までが長いし、
血中に入るまでに一定の期間があるので、
粘膜細胞外の血中のIgG抗体が間に合うのです。

この時点で、ほぼ防衛成功と考えられます。

麻疹ウィルスが血中で増えることを防ぐことができれば、
「39~40度の発熱と全身の発疹」が防げる
ので、
感染源となることが激減して、流行もしないと考えられます。


結論です。

1)麻疹ウィルスは口腔粘膜に感染して発症するまで7~14日間かかる。
ワクチンで口腔粘膜感染を予防することはできない。
その後、粘膜から血中に侵入して全身に播種されるが、
麻疹ワクチン接種によるIgG抗体が待ち構えていてそれを防ぐ。
従って高熱や発疹が予防できる。
それにより発症予防・流行予防が可能である。

2)インフルエンザワクチン接種によるIgG抗体では、
粘膜感染防御は困難である。
つまり感染予防はできない。
インフルエンザウイルスは呼吸器粘膜や腸管粘膜で増殖する。
インフルエンザウィルスは血中に侵入できないので、
麻疹ワクチンほどのIgG抗体による顕著な効果は期待できない。



江部康二

コメント
抗体陽性時のワクチン摂取について
昔、BCGを摂取する際に予めツベルクリン反応で抗体の有無を検査し、陰性の場合のみBCGを摂取していたと思います。2005年からはツベルクリンは省略されているようですが、これは感染の可能性が極めて低い生後早い段階での接種になったためと思います。したがって1歳を過ぎてからの摂取ではツベルクリン反応を確認するようです。しかし他のワクチンで予め抗体の有無を検査するものを知りません。もし、すでに抗体がある場合に摂取すれば過剰にはならないのでしょうか。インフルエンザワクチンは、流行期になる前に摂取し、多くの人が抗体を持っていると推定される流行期には摂取していないと思いますが、新型コロナワクチンは流行の真っ只中での接種が推奨されています。これまでのワクチンと何か違いがあるのでしょうか。
2022/10/15(Sat) 08:12 | URL | 西村 典彦 | 【編集
Re: 抗体陽性時のワクチン摂取について
西村 典彦 さん

新型コロナワクチンは、
今までのワクチンとは全く異なる製法で作られていて、様々な不安があるワクチンです。

人類初の遺伝子ワクチン(mRNAワクチン)です。
人類が未経験のワクチンであり、通常はすぐに消えていく『mRNA』が一定期間
体内に残り、産生されたスパイクタンパクはいつまで体内に残るのかもはっきししません。
これらの影響が10年、20年後にでないという保証は全くないのです。

ワクチン接種開始後すぐの変化としては、
帯状疱疹の発症率が2倍になっています。
ワクチンが人体の自然免疫を障害している可能性が高いです。

すでにワクチン接種後死亡者が、報告されただけで、国内で1700人以上でています。
これはインフルエンザワクチンの10倍近い死亡率です。
報告されていない死亡例もかなりあると想われます。
2022/10/15(Sat) 15:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
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