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アニサキスの食中毒 年間約2万人か 厚労省に報告の50倍以上。
こんにちは。
NHKのサイトに
2022年10月2日(日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221002/k10013845201000.html
アニサキスの食中毒 年間約2万人か 厚労省に報告の50倍以上


という記事が、掲載されました。
以下の青字の記載はその要約です。

【魚介類に寄生し、激しい腹痛を引き起こす「アニサキス」による食中毒について、
国立感染症研究所の研究グループが診療報酬明細書のデータをもとに患者の数を試算したところ、
厚生労働省に報告された50倍以上の年間およそ2万人にのぼるとみられることが分かった。

アニサキスは、体長2、3センチほどの幼虫がサバやアジなどの魚介類に寄生し、
生きたまま人の体内に入ると胃や腸を傷つけ、
激しい腹痛やおう吐などを引き起こす。

国立感染症研究所の杉山広 客員研究員のグループは診療報酬明細書に注目し、
研究用の843万人分のデータを解析した。

その結果、アニサキスによる食中毒で診療報酬が請求されていたのは2018年と2019年では平均およそ880人で、
これをもとに全人口での患者数を推計したところ、
年間1万9737人にのぼると分かった。

2021年に厚生労働省に報告された件数は食中毒の原因の中では最も多いものの344件で、
実際の患者は50倍以上いるとみられる。
2005年から2011年では年間およそ7000人と推計されていて、
今回、増加が裏付けられた。】



アニサキスによる食中毒、2005年~2011年では、年間約7000人という推計に対して
2018年と2019年は、年間約20000人弱と増加しています。
流通機構が発達して、全国的に新鮮な生の魚を食べる機会が
増えていることが原因と考えられます。
アニサキス亜科に属する線虫の総称がアニサキスです。

まずは、魚を食べて生じるアレルギーの全体像を考察してみます。

<魚を食べて生じるアレルギー>
①魚自体のアレルギー  
②ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”  
③アニサキスアレルギー 

魚を食べて生じるアレルギーには、上記の3つのタイプがあります。
このうち一番多いのが③のアニサキスアレルギーです。
また、②のヒスタミン中毒の場合は、抗原抗体反応が関与していないので、
厳密にはアレルギーではありません。
①の魚アレルギーを起こしやすいのは、
魚の筋肉に含まれた『パルブアルブミン』という蛋白質です。

<アニサキスアレルギー>
魚を食べて蕁麻疹や口唇のピリピリ感などがでたことがある人は、かなりおられると思います。
こんな時は、この魚はアレルギーがでるので自分には合わないと、普通は思います。
まあ、上記①のパターンと思うわけですね。
しかし、実態として、一番多いのは、実はアニサキスアレルギーなのです。
蕁麻疹、発熱、頭痛、顔や体の紅潮、口唇のピリピリ感、ひどければ、
アナフィラキシーショックなどの様々なアレルギー症状が出現します。
これらは1型アレルギーで、IgE抗体が関与して、抗原抗体反応により、
ヒスタミンが遊離されてアレルギー症状がでます。

アニサキスの幼虫(白くて2~3mm×0.5mm)が寄生している魚を
人が生で食べると「アニサキス症」を発症します。

「アニサキス症」に第一回目に罹患した時に、
「感作」されると、第二回目にアニサキスのタンパク成分を保有する魚を食べるとアニサキスアレルギーを発症します。
感作されていなければ、アニサキスアレルギーは生じません。
感作というのは、特定の抗原(アレルゲン)に対して過敏状態になることです。
アレルゲンは、基本的にタンパク質成分です。
アニサキスは死んでいても、タンパク成分が魚の筋肉に
残っていれば、アレルギー反応を生じるわけです。
現在アレルゲンとして、
アニサキスの16種類のタンパク成分がわかっています。
このアニサキスの抗原は、熱にも凍結にも強いものがあります。
これらのアレルゲンに対するアレルギー反応は、個人差が大きいです。
極端に言えば、1人1人皆、それぞれ反応は異なると考えられます。
アナフィラキシーショックまで起こす人は、まれとは思いますが、
アナフィラキシーショックは命に関わる病態なので、
魚を食べるときは、細心の注意が必要となります。

アニサキス類の成虫は、クジラやイルカな どの海の哺乳類の胃に寄生しています。
虫卵が糞便とともに海中に放出され、
オキアミなどの甲殻 類に取り込まれ、その体内で幼虫に発育します。

アニサキス症の元となる魚は、
サバ、イワシ、アジ、カツオ、キンメダイ、タラ、ホッケ、サケ、イカなどですが、
一番多いのはサバです。

オキアミは、ほとんどの種類の魚の餌となっているので、
オキアミのもつアニサキスをほとんどの魚が保有していることとなります。

養殖魚では冷凍オキアミなどを食料として使用するので、
養殖魚にはアニサキスの寄生は大変少ないです。


<症状の治療>
アニサキスアレルギーを発症したときは、
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を内服します。
症状が強ければ、ステロイド剤の内服や注射が必要となります。
アナフィラキシーショックで血圧低下のときは、
ボスミン0.3mlの筋注が一番有効です。


以下は、
厚生労働省のサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
より引用です

消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)


※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。


江部康二
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