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腎機能検査。高齢者はクレアチニンは不正確で、シスタチンCが適切。
こんにちは。
2022年10月号の最新医学雑誌を読むと、
腎臓内科専門医が、高齢者の CKD(慢性腎臓病)について
解説しておられました。
60歳代~70歳代について、血清クレアチニン値検査を指標にしての解説です。

しかし、クレアチニン値は、筋肉量に大きく影響されるので
高齢者の腎機能の指標としては好ましくないのです。
とくに、60歳以上の高齢者では、筋肉量が20歳のときより24%も低下しているので
クレアチニン値は低くでます。
つまり本当は腎機能障害があるのに、正常にでてしまうのです。
血清シスタチンC値検査なら筋肉量の影響は受けませんので
特に高齢者の腎機能検査の指標は、シスタチンCとするべきなのです。
また、若者でも、<食事や筋肉量や運動>などの影響を受けない
シスタチンCのほうが、腎機能検査としては信頼度が高いのです。

成人における筋肉の重量は、体重のおよそ40%です。
もちろん個人差はありますが、20歳ころの筋肉量を基準に考えると、
70歳くらいでは男女ともに30%の低下がみられることから、
10年間でおよそ6%ずつ、低下していることになります。

人は誰でも高齢になると、筋肉を構成する筋繊維数が減少し、
さらに筋繊維が萎縮してしまうことにより、筋肉量が低下します。
加齢による筋変化は、筋繊維そのものの変化よりも、
筋肉量の低下が目立ちます。
加齢による筋力低下の本質は、筋の萎縮によるものです。

筋肉量。
20歳を基準。
30歳で、6%低下
40歳で、12%低下。
50歳で、18%低下。
60歳で、24%低下。
70歳で、30%低下。



シスタチンCは1/3ヶ月でないと保険適応となりません。
つまり、1月に検査したら、次は4月となります。


腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、
取り過ぎた塩分などを尿と一緒に
体の外へ出してくれる働きがあります
腎臓はいらなくなった余分なものを体から排出して、
必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、
体内の環境を正常に保つことができるのです。

腎臓の糸球体での濾過量(GFR)は、正常では一定に維持され、
腎機能を知るうえで最も重要な指標となります。
年齢と性別を考慮して、腎臓の働きを推測した値を、
eGFR(推定糸球体濾過量)と言います。

<血清シスタチンC GFR>
で、ネットで検索すれば、
eGFR(推定糸球体濾過量)を計算するサイトが見つかります。
便利なので、利用しましょう。
そこで計算して、eGFRが60以上なら心配ないです。


腎機能検査として、一般的な血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、
運動などの影響を受けますが、
血清シスタチンC値はそれらの影響を受けないため、
小児・老人・妊産婦・アスリートなどでも問題なく測定できます。

また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、
尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には、
早期腎症の可能性がありえるので、血清シスタチンCを調べるのが有用です。

血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、
シスタチンCを測定する意義はありません。
一方、ごく軽度上昇例で評価が困難な場合、
シスタチンC測定で腎機能を検査するのがお奨めです。



<高齢者とクレアチニンとシスタチンC>

高齢者の場合は、ほとんどの人で、筋肉量が少ないです。
そうすると、一般によく用いられる腎機能検査の「血清クレアチニン値」だと、
筋肉量が少ない分、低値になります。
つまり、本当は腎機能障害があるのに、「血清クレアチニン値」だと
正常範囲になってしまうケースがかなりあると思われます。
このような時、「血清シスタチンC」だと、筋肉量に影響されずに
正確な腎機能を評価することができ、とても有用です。

血清クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
血清シスタチンCの基準値は、
男性0.63~0.95mg/L、女性0.56~0.87mg/L です。

例えば75歳男性Aさんの血清クレアチニン値は0.76mg/dlで基準値内でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.76mg/dlで基準値を超えていて
腎機能障害
が認められました。

同様に、77歳女性Aさんのクレアチニン値は0.58mg/dlで基準値内でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.48mg/dlで基準値を超えていて
腎機能障害
が認められました。

つまり、AさんもBさんも、腎機能障害があるけれど、
筋肉量低下のため血清クレアチニン検査だけでは
見逃してしまうということになります。

今後、高齢者の腎機能検査は、血清クレアチニンではなく
血清シスタチンCを主に実施するのが良い
と言えます。


国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人が高齢者となります。
65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。
総務省によれば、日本の65歳以上の高齢者は、
2020年は3617万人・総人口の28.7%で、過去最高の更新が続いています。

なお、私は72歳と高齢者ですが、
クレアチニン0.60mg/dl(0.6~1.1) eGFR:99.4
シスタチンC:0.75/Ldl(0.53~0.95) eGFR:96.48

と両者がほとんど、変わらないので、
筋肉量は若い頃と比べて、あまり落ちてないということとなります。


本日の記事は、
健康長寿ネット(☆)のサイトを参考にしました。
ありがとうございます。

(☆)公益財団法人
長寿科学振興財団
健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/undoukei-rouka.html



江部康二
コメント
7月にシスタチンC測定しました
江部先生のシスタチンC記事読んで、速攻で クレアチニン測定 → シスタチンC測定 に切り替えた高齢者 = 62才の らこ です。
3ヶ月に1回しか健康保険適用にならないので、今月が2回目の測定です。
2022/10/03(Mon) 06:55 | URL | らこ | 【編集
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