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縄文人、北海道は本州に較べてデンプン等の糖質の摂取量が少なかった。
こんばんは。
北海道の公式サイトの記載によれば、
「縄文時代、北海道は本州に較べて
植物性の食物(デンプン等の糖質)の摂取量が少なかった。」

ということです。

寒かった旧石器時代に比べて、暖かくなった縄文時代でも、
北海道の住民には虫歯が少なく2.4%くらいでした。
本州の縄文人の虫歯率は8.2%でした。
これも当時の北海道の環境(青森以南に比べて寒冷)や食生活が関係していると
考えられます。

北海道の縄文人は「漁労」「狩猟」の二つが主な生業で、
クリやドングリなどの「採集」が相対的に少なくて、
鹿やイノシシなどの動物、魚や海獣類を好んで多く食べていたようです。
このため糖質摂取が本州の縄文人より少なく、虫歯率も低かったのでしょう。

「古病理学辞典」(藤田尚編、同成社)
151ページの表1に
古人骨における虫歯率の比較が載っていましたので、
以下一部を抜粋してみました。

縄文人:12000~2300年前 狩猟採集 虫歯率8.2%
弥生人(土井ヶ浜):2000年前 農耕 虫歯率19.7%
弥生人(三津):2000年前 農耕 虫歯率16.2%
現代日本人:1993年 虫歯率31.3%
アメリカ先住民:7600年前 狩猟採集 虫歯率0.4%
アメリカ先住民:3000年前 狩猟採集 虫歯率2.4%
オーストラリア先住民:近代 狩猟採集 虫歯率4.6%
イヌイット(グリーンランド):近代 狩猟採集 虫歯率2.2%
イヌイット(アラスカ):近代 狩猟採集 虫歯率1.9%


 ちなみに、農耕を開始して穀物(糖質)を食べ始めて、
虫歯が倍以上に増加したのは日本だけではありません。
世界中で確認されています。
虫歯菌の代表として知られているのは
ストレプトコッカスミュータンス菌とラクトバチラス菌ですが、
いずれもその餌は糖質なので、さもありなんです。


江部康二


以下の青字の記載は北海道の公式サイトから抜粋した要約です。

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/bns/jomon/life_food.html  
北海道の公式サイト
■北海道の縄文人の食卓
縄文の人びとの食べ物は遺跡から発見される動物の遺体や骨、
植物の実や種子などからいろいろな事が解明されています。
又、縄文人の遺骨に含まれる炭素・窒素などの元素の比率や、
虫歯の数の調査から、
北海道は本州に較べて植物性の食物(デンプン等の糖質)の摂取量が少なかった事がわかっています。
どうやら北海道の縄文人は、
さかなや海獣類など海の幸を好んで食べていたようです。


https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/bns/jomon/life_food2.html#food1
北海道の公式サイト
■北海道の縄文人が食べていたもの
遺跡から発見される動物の遺体や骨、植物の実や種子などから、
縄文の人びとが食べていたものがわかっています。
実に多種多様なものを食物として利用していたことがわかります。
特定の食物に頼らない生活は、
天候不順による不作・不漁の影響を受けにくくし
資源・生態系の維持にも繋がる生活の知恵だったのかもしれません。
縄文人は自然とのバランスを保ちながら、
四季折々の旬を味わうグルメだったともいえます。


<北海道の縄文人が食べていたもの>
海の動物
海獣類 トド・オットセイ・アシカなど
ほ乳類 クジラ・イルカ・シャチなど
魚介類 マグロ・サケ・マス・タラ・ホッケ・サメ・ニシンなど
貝類 アサリ・ホタテ・カキ・ハマグリなど

陸の動・植物
動物 しか・きつね・ウサギ・タヌキ・カモ・ガン・ウ・キジなど
木の実や植物 クリ・ドングリ・クルミ・ヒエ・ソバ・キノコ・ゼンマイなど
コメント
コレステロールについて
先生の御サイトをきっかけに糖質制限をはじめた者です。

お陰様で無駄に太らず、食後の眠気も無くなり極めて快活に毎日を過ごさせていただけております。

質問ですが、私は糖質制限前よりコレステロールが高いのですが、先日血液検査をしたところ、糖質制限前より数値が悪化しておりました。

40歳男性
身長173cm、体重54kg
総コレステロール…305
LDLコレステロール…197
中性脂肪…189

主治医から、脳梗塞や心筋梗塞の可能性高いから内服薬を出そうかと言われましたが、保留にしております。

糖質制限を続けたらこれらの数値も正常になり得るのでしょうか?
2022/09/26(Mon) 09:54 | URL | コレステローラー | 【編集
ネアンデルタール人の虫歯率は高かった?
ライオンのサイトで気になる記事を見かけました。

旧石器時代の虫歯が少なかったという本当でしょうか。

また、縄文時代の糖質摂取量が現代人並であるのに、虫歯率が比較的少ないことの説明ができないように思われます。

>ザンビアで発見された約30万年前のカブエ人の化石人骨には、すでにむし歯がありました。奥歯だけではありません。犬歯や切歯などの前歯にも立派なむし歯はありました。
同じ頃、ヨーロッパを中心に分布していたネアンデルタール人からは、歯周病が発見されています。ひどい例は、フランスのラ・シャペローサン遺跡で発見された約6万年前の化石人骨。50~60歳の老人で、ひどい歯周病のため、生前にほとんどの歯が抜け落ちていたようです。実は、太古の人類には歯周病がよくみられ、その発生率は現代人以上かもしれないといわれています。
2022/09/28(Wed) 15:38 | URL | sato | 【編集
Re: ネアンデルタール人の虫歯率は高かった?
sato さん

「古病理学辞典」(藤田尚編、同成社)
151ページの表1に
古人骨における虫歯率の比較が載っていましたので、
以下一部を抜粋してみました。

縄文人:12000~2300年前 狩猟採集 虫歯率8.2%
弥生人(土井ヶ浜):2000年前 農耕 虫歯率19.7%
弥生人(三津):2000年前 農耕 虫歯率16.2%
現代日本人:1993年 虫歯率31.3%
アメリカ先住民:7600年前 狩猟採集 虫歯率0.4%
アメリカ先住民:3000年前 狩猟採集 虫歯率2.4%
オーストラリア先住民:近代 狩猟採集 虫歯率4.6%
イヌイット(グリーンランド):近代 狩猟採集 虫歯率2.2%
イヌイット(アラスカ):近代 狩猟採集 虫歯率1.9%


このデータは、信頼度は高いと思います。

「縄文時代の糖質摂取量が現代人並であるのに、虫歯率が比較的少ない」
縄文時代の糖質摂取量は、地域により様々です。
糖質が50~60%の地域もあれば、魚介類中心で糖質が少ない地域もあります。

また、縄文時代の前期は虫歯率が低く、中期・後期・晩期は多くなります。
そして体格が、前期縄文人は「華奢」で、中期以降は「頑丈」なので、
中期以降は摂取エネルギーが多くなり、糖質摂取も多くなったと思われます。

ネアンデルタール人の虫歯、歯周病の話は知りませんでした、
勉強になります。
ありがとうございます。
歯周病菌も虫歯菌も餌は糖質なので、ネアンデルタール人も糖質を食べていたのでしょう。

ザンビアで発見された約30万年前のカブエ人の化石人骨には、すでにむし歯があったそうで
やはり糖質摂取によるものと考えられます。
2022/09/29(Thu) 08:25 | URL | ドクター江部 | 【編集
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