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腎機能検査に関してシスタチンCがクレアチニンより有用です。
【22/09/13 太陽
糖質制限でクレアチニン値上昇
いつも先生のブログを見て勉強させていただいております。

クレアチニン値について質問です。
ネット検索で、糖質制限を開始してから数値が上昇した人がいる一方で、先生のように不変の人もおります。
私は、40歳男、身長173㎝、体重56.5Kgで運動習慣はランニング1日5キロから12キロを20年継続しています。
現在の数値は、糖質制限前(8年前)毎年の健康診断で0.8台だったのが1.0前後に固定されています。
この違いは、主に何だとお考えでしょうか?
生活環境がそれぞれ異なるので一概に特定できないとは思いますが…】



太陽さんから、糖質制限食と血清クレアチニン値について
コメント・質問を頂きました。

太陽さん、血清シスタチンCを検査しましょう。
クレアチニンは筋肉量や運動が結果に影響します。
血清シスタチンCが、それらに影響を受けない
最も、信頼度の高い腎機能検査です。

しかし、1/3ヶ月でないと保険適応となりません。
つまり、1月に検査したら、次は4月となります。


腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、
取り過ぎた塩分などを尿と一緒に
体の外へ出してくれる働きがあります
腎臓はいらなくなった余分なものを体から排出して、
必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、
体内の環境を正常に保つことができるのです。

糸球体での濾過量(GFR)は、正常では一定に維持され、
腎機能を知るうえで最も重要な指標となります。

血清シスタチンCの数値や血清クレアチニンの数値から、、
年齢と性別を考慮して、腎臓の働きを推測した値を、
eGFR(推定糸球体濾過量)と言います。

<血清シスタチンC GFR>
<血清クレアチニン GFR>

で、ネットで検索すれば、
eGFR(推定糸球体濾過量)を計算するサイトが見つかります。
便利なので、利用しましょう。
そこで計算して、eGFRが60以上なら心配ないです。


腎機能検査として、一般的な血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、
運動などの影響を受けますが、
血清シスタチンC値はそれらの影響を受けないため、
小児・老人・妊産婦・アスリートなどでも問題なく測定できます。

また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、
尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には、
早期腎症の可能性がありえるので、血清シスタチンCを調べるのが有用です。

血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、
シスタチンCを測定する意義はありません。
一方、ごく軽度上昇例で評価が困難な場合、
シスタチンC測定で腎機能を検査するのがお奨めです。


 
<高齢者とクレアチニンとシスタチンC>

高齢者の場合は、ほとんどの人で、筋肉量が少ないです。
そうすると、一般によく用いられる腎機能検査の「血清クレアチニン値」だと、
筋肉量が少ない分、低値になります。
つまり、本当は腎機能障害があるのに、「血清クレアチニン値」だと
正常範囲になってしまうケースがかなりあると
思われます。
このような時、「血清シスタチンC」だと、筋肉量に影響されずに
正確な腎機能を評価することができ、とても有用です。

血清クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
血清シスタチンCの基準値は、
男性0.63~0.95mg/L、女性0.56~0.87mg/L です。
 
例えば、75歳男性Aさんの血清クレアチニン値は0.76mg/dlで基準値内でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.76mg/dlで基準値を超えていて
腎機能障害が認められました。


同様に、77歳女性Aさんのクレアチニン値は0.58mg/dlで基準値内でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.48mg/dlで基準値を超えていて
腎機能障害が認められました。


つまり、AさんもBさんも、腎機能障害があるけれど、
筋肉量低下のため血清クレアチニン検査だけでは
見逃してしまうということになります。
 
今後、高齢者の腎機能検査は、血清クレアチニンではなく
血清シスタチンCを主に実施するのが良い
と言えます。
 
 
国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人が高齢者となります。 
65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。
総務省によれば、日本の65歳以上の高齢者は、
2020年は3617万人・総人口の28.7%で、過去最高の更新が続いています。
 

江部康二
 

コメント
腎臓切除後の糖質制限は
何時も勉強させて頂いています。

食後血糖値スパイクを生じる体質であることが分かり、3年前よりスーパー糖質制限をしてる63歳女です。

13年前に膀胱がんが見つかり、その後再発を繰り返し4年で4回の内視鏡手術を受けました。幸い浸潤などなく以後は定期検診を続けていました。

ところが7年後の今年に入って、以前より怪しいと言われていた尿管口の変性部分が癌であることが分かりまた内視鏡手術を受けたのですが、一部が尿管に及んでいて内視鏡で取り切れず、近々片側の腎臓、尿管と膀胱一部を切除することになってしまいました。

3年間スーパー糖質制限を続けていながらこの事態を防げなかったことが残念です。おそらくは以前の手術で取り残しがあったのでしょう。糖質制限をしていなかったら、もっと早く進行したのかもしれません。

ところで本題なのですが、腎臓がひとつになっても糖質制限はこれまで通り続けられるでしょうか。それとも多少はタンパク質を減らした方が良いのでしょうか。タンパク質は70~80g摂るようにしています。

医師から言われたのは、手術後は水分をこれまで以上しっかり摂ること(1日1.5L摂取または尿量1L確保を目安)、塩分を控える事のふたつのみです。

また現在の腎機能には特に問題は無いようです。


(2022/06/09)

159センチ 47キロ

尿素窒素 28.4
クレアチニン 0.66(時折シスタチンCも確認しています)
尿酸 5.5
HDL 123
LDL 88
ケトン体 +1
CRP 0.03

その他 血糖値、中性脂肪も問題ありません。

LH比は元々良いですが、糖質制限を始めてから総コレステロールが300以上に上昇、高止まりしていました。それが昨年軽度リウマチを発症(投薬無し)、その対策に1年以上ナイアシンを摂っているため更に値が改善したと思われます。

健康な腎臓まで取らねばならないことが辛いですが、やむを得ません。今後も健康でいられるために注意すべきことがありましたら、是非ご教授ください。
2022/09/16(Fri) 00:12 | URL | まめこ | 【編集
糖質制限とクレアチニン値
記事にしていただきありがとうございます。

糖質制限(高タンパク食)と腎機能は、いつも議論になりますね。

私は、尿検査で蛋白−、糖−、潜血−なのでおそらく腎機能は異常ないと思いますが、運動習慣があるので、シスタチンCの検査をしたいと思います。
結果が出ましたらご報告します。

記事にしていただいたコメントは、純粋に運動の有無に関わらず、高タンパク食でクレアチニンが上昇したという人もいるので、不変な人と何が異なるのか。
脱水の可能性もあると思いますが、それだけでは納得できず質問をした次第です。

2022/09/16(Fri) 08:02 | URL | 太陽 | 【編集
シスタチン
シスタチン=0.93

今後もシスタチンCを測定します。
2022/09/16(Fri) 13:06 | URL | らこ | 【編集
Re: 腎臓切除後の糖質制限は
まめこ さん

『ところで本題なのですが、腎臓がひとつになっても糖質制限はこれまで通り続けられるでしょうか』

医師に、タンパク質制限を言われていないなら、
今まで通り、普通に糖質制限食実践されてOKです。

HDLコレステロールが、123と、60以上あります。
空腹時中性脂肪値が、80mg以下なら、LDLコレステロールもほとんどが
標準の大きさの善玉ですので、問題ないと思います。
2022/09/16(Fri) 16:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限とクレアチニン値
太陽 さん

厚生労働省によれば、
高タンパク食で腎障害が発生したというエビデンスは、ありません。
一方、どのくらい高タンパク食でも腎障害にならないというエビデンスもありません。

従って、厚生労働省としては、蛋白質の摂取基準上限を設定していません。
以下の記事をご参照頂ければ幸いです。

糖質制限食で腎機能は悪化しない。
2022年05月19日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5966.html
2022/09/16(Fri) 16:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: シスタチン
らこ さん

それでよいと思います。
2022/09/16(Fri) 16:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生

お答えありがとうございました。
安心して糖質制限を続けます。
倍の負担がかかるようになるかと思いましたが、腎臓を守るためには、むしろこれまで以上に低糖生活が大切かもしれませんね。
2022/09/17(Sat) 10:16 | URL | まめこ | 【編集
シスタチンC
3ヶ月に1回しか健康保険適用にならないのが注意点でしたね
2022/09/17(Sat) 13:05 | URL | らこ | 【編集
Re: シスタチンC
らこ さん

そうでした。
ありがとうございます。
2022/09/17(Sat) 15:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
シスタチンCは正常値内だが高値の らこ
49才前に若年性アルツハイマー型発症の らこ です。

結婚前の25才までに「狂うほど糖質食いました」です。

◎50才越えて生きていた直系尊属全員が若年性アルツハイマー型発症
◎父方従兄弟が5才で透析
◎らこ自身「高尿酸血症」で放置すると透析移行、と言われている

0.93 は充分に高値です><

らこ父母の生地は「街の中心に透析病院」で近隣の街全部が同じです><

腎臓異常は一瞬でも早く発見しないと、「悲惨な透析」に移行してしまいます。
2022/09/19(Mon) 23:01 | URL | らこ | 【編集
Re: シスタチンCは正常値内だが高値の らこ
らこ さん

下記のサイトで、eGFRを計算できます。
http://www.shiga-jin.com/calculation/04.html

eGFRが60以上なら腎機能はOKなのですが、
らこさんは、80くらいありそうですよ。

2022/09/20(Tue) 16:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
eGFRa=79.3
計算しました。上記の通りです(涙

シスタチンC を3ヶ月毎に計測して行きます。
2022/09/21(Wed) 00:28 | URL | らこ | 【編集
Re: eGFRa=79.3
らこ さん

eGFRa=79.3・・・腎機能はとても良いです。
良かったですね。
2022/09/21(Wed) 11:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
質問ですがよろしくお願いします。
スーパー糖質制限と薬で血糖管理をしていて、低い数値で安定してきているのですが、数値が不安定なので、
どう考えたらよいのか分からないため、江部先生の考えをお聞かせ願えないかと連絡してみました。
血糖値の記録で、不安定と考えられるデータを挙げてみますので、ご検討願えれば幸いです。

9月1日: 19時夕食後(スーグラ服用)。9月2日: 早朝5時血糖値85、7時軽い朝食、10時血糖値117、
19時夕食後(スーグラ服用)、21時血糖値104
9月3日:早朝5時血糖値117、7時軽い朝食、9時血糖値152、11時血糖値145、19時夕食、20時血糖値167、
21時血糖値155、24時血糖値109、
9月5日:午前1時30分血糖値176(高いと思いスーグラ服用)、早朝5時血糖値96、7時軽い朝食、
9時血糖値137、20時夕食後(スーグラ服用)、21時血糖値170
9月21日: 早朝6時血糖値126、7時軽い朝食後(スーグラ、メトグリコ服用)、8時血糖値168・・・

薬を服用してこの状態なので、薬はやめられないという気がします。また、薬を服用するにしても、
どの薬をどのように服用するのがベストなのかよく分かりません。
私としては、早朝(又は空腹時)血糖値を100未満、食後血糖値を130~1490未満の正常値に抑えられたらベストだと考えていますが、薬を服用すればそうできた時もあるので、それならスーパー糖質制限と薬の服用を続けたほうがよいでしょうか。データが不十分かもしれませんが、このあたりの先生のお考えをお聞かせ願えれば幸いです。

2022/09/22(Thu) 07:09 | URL | 倉田 | 【編集
Re: 質問ですがよろしくお願いします。
倉田 さん

スーグラは毎日飲んでおられるのでしょうか?
それとも時々飲んでおられるのでしょうか?

基本的にはスーグラは朝1回同時刻に毎日内服するのが標準です。
毎日スーグラを内服して、血糖自己測定器で検査してみましょう。
2022/09/22(Thu) 07:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
ご回答ありがとうございました
スーグラはほぼ毎日、夕食後に一回飲んできました。それで一旦中止すると、血糖値が上昇したので、薬を再開して色々試しています。一度は正常値に近い状態が継続していたこともありましたが、それ以後どうも不安定な状態が出現しています。理由がどうもよくわかりません。

食事はほぼ同じスーパー糖質制限食を維持しているつもりですので、食事の問題かどうか分かりません。それとも、ほかの理由があるのかどうか。

このような事情で、どのように対処してよいのか、やや混乱しています。先生は特にスーグラを推奨されていますが、最初に処方されていたメトグリコは飲む必要はないでしょうか。

薬の処方に関して、今はやや混乱してきたので、医師の最初の処方に戻り、7時朝食後にスーグラ50 mg、メトグリコ500 mgを飲み、7時夕食後にメトグリコ500 mgを飲み、就寝前に血糖値140くらいだとメトグリコ500 mgを飲んでみたりしています。

それでも、早朝5時の血糖値は110~140あたりになります。一時期は、早朝血糖値が100未満の時もありました。どう考えればよいか、どうすればよいか、いささか混乱している状態です。
2022/09/22(Thu) 11:14 | URL | 倉田 | 【編集
確認させてください。
先生は「基本的にはスーグラは朝1回同時刻に毎日内服するのが標準」
と述べられていますが、
スーグラは一日朝1回ということには、何か特別な意味があるのでしょうか。

私は夕食を主な食事としていますので、主に夕食後19時に薬 (スーグラ単独、
またはメトグリコも)を飲んでいます。

その上、就寝前(12時から1時頃)にスーグラを飲むと、早朝(5、6時頃)の血糖値が100以下の確率が高いです。
このように、スーグラを1日2回飲むことには、何か問題があるでしょうか。

2022/09/23(Fri) 05:55 | URL | 倉田 | 【編集
Re: 確認させてください。
倉田 さん

スーグラの添付文書

6. 用法及び用量
〈2型糖尿病〉
通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。


この用法、用量で臨床試験を実施していますので、
それ以外の用法・用量だと、有効性・安全性は担保されていないことになります。

またスーグラのほうが、メトグルコより有効性は高いですので
まずスーグラ単独で試してみて、それで効果が足らなければ、メトグルコを追加しましょう。
2022/09/23(Fri) 07:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
シスタチンC測定
いつも先生の記事を基に、勉強させていただいております。
シスタチンCを測定しましたので、ご報告いたします。

シスタチンC 0.62

この結果と尿検査に異常がなかったことから、腎機能に異常は認められないと思います。

ただ痩せ型の私には、クレアチニン1.03とシスタチンC0.62との乖離にとても疑問に思います。
2022/10/06(Thu) 15:40 | URL | 太陽 | 【編集
Re: シスタチンC測定
太陽 さん

シスタチンC0.62なので、腎機能は全く問題ないです。
クレアチニン1.03ということですが、痩せ型でも筋肉質なのではないでしょうか。
2022/10/06(Thu) 18:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
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