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がん診断時にはすでに10年以上が経過。糖質制限食で予防は?  
【22/09/13       ジェームズ中野
 
江部先生、コメント失礼します。
江部先生がもし癌を宣告された場合
選択される治療法はなんでしょうか?
あるいは、放置ですか?
糖質セイゲニストとして大変気になるところであります。】

 
 
こんにちは。
ジェームズ中野さんから、上記コメントを頂きました。
確かに『糖質セイゲニストとがん』というテーマ、気になるところですね。
 
厚生労働省によれば、2019年の日本人の死因の順位は2018年と同様、
第1位「悪性新生物(腫瘍)」、
第2位「心疾患(高血圧性を除く)」、
第3位「老衰」、
第4位「脳血管疾患」、
第5位「肺炎」

でした。
 
悪性新生物というのは、がんのことです。
がんが日本人の死亡順位の一位です。
今日は、糖質制限食とがん予防のお話です。
現実にどのていど予防可能かを考察してみます。
 
がん細胞は人の体の中で毎日、数百から数千個も発生していますが、
通常は免疫細胞が排除してくれているので、がんを発症しません

 
正常細胞ががん細胞に変わり、体の免疫細胞が排除に失敗すると、
がん細胞は徐々に成長を始めます。
実は、1個のがん細胞が発生してから、画像診断的に発見可能な大きさになるのには、
かなり長い年月がかかります。
 
細胞分裂により1個が2個になり、2個が4個、
4個が8個、そして16個、32個、64個と倍々で増加していきます。
30回分裂を繰り返すと、約10億個に増え、
重さは約1グラム、直径1cm程度になります。
 
細胞1個が0.01mmで、1cm経になるのに10~20年かかります。
つまり、がん細胞が発生してから、診断できる大きさになるまでには
実に10~20年を要している
わけです。
 
個体差やがんの種類によっても発育速度は異なります。
がん細胞が生まれてから活発に成長するようになるまでには、
長い期間がかかります。
 
しかし、がん細胞は成長するに従って、
発育速度が速くなるとされています。
2倍の大きさになるのは、例えば早期胃がんでは数年(2-6年)、
進行がんでは数ヶ月、転移した胃がんでは数週間とされています。
 
従来のがん検診では、腫瘍の大きさが1cm程度にならないと発見できませんでしたが、
PET検査では、早期の5mm程度の大きさでの発見が可能です。
しかしながら、5mmや1cmで早期発見したがんということでも、
がん細胞が発生してから、
すでに約10~20年間が経過していることとなります。

つまり早期発見ということでも、すでに転移しているか否かは、運次第なのです。
 
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「糖質摂取による過剰インスリン分泌」
が、酸化ストレスとなり、非常に大きながん発症リスクとなりますが、
これらは「スーパー糖質制限食」で予防できます。
 
従って「スーパー糖質制限食」実践で理論的には、
『生活習慣病型がん』の発症予防が期待できます。
 
一方、すでに発症しているがんに対しては、
スーパー糖質制限食でも、縮小させることは困難です。
「ケトン食」レベルの厳しい食事が必要となりますが、
それでも食事療法単独で、がんを根治させるのは難しいと思いますし、
手術できる段階なら、手術するのが一番です。
 
がん予防対策としては、がん細胞が発生する前に、間に合う内にできるだけ早く
「スーパー糖質制限食」を開始して予防を期待するということになるでしょうか。
 
糖尿人はがんになりやすいことは、よく知られていますが、
国立がん研究センターの研究によると、
糖尿病ではない人においても、HbA1cが高値であるほど、
右肩上がりで、がんのリスクが増える
ことがわかっています。
糖尿人も正常人も、スーパー糖質制限食でがん予防が望ましいです。
 
江部康二は2002年からスーパー糖質制限食を実践しています。
2022年現在で、あしかけ21年です。
2002年以降は、いわゆる『生活習慣病型のがん』の発生は
かなり予防できている可能性が高いです。
一方で、2001年以前に、すでに原初のがん細胞が発生していたとしたら
予防はできていないこととなります。
まあ足かけ21年、経過しているので、まず大丈夫と思っています。
 
本日のブログは
 
PET検査ネット
http://www.pet-net.jp/pet_html/treat/gan.html

 
を参考にしました。
PET検査ネットさん、ありがとうございます。
 
 
江部康二
コメント
経過6年
江部先生
はなくろと申します。いつも有益な情報をありがとうございます。
私は、現在、S状結腸癌ステージ4です。肝臓と傍大動脈リンパ節に転移がありました。
S状結腸癌は、手術で取り除き、肝臓は、抗がん剤で消失しましたが、傍大動脈リンパ節のみ
現在も残っています。現在の腫瘍マーカーは、標準外で、昨年の12月から、また、抗がん剤を
実施中です。肺にも白い影がありますが、癌かどうかは、不明です。
2016年5月に発覚し、糖尿病と診断され、10月からスーパー糖質制限を続けています。
一時期、ケトン食も実践していましたが、長期間続ける事が難しく、途中で断念し、スーパー糖質制限に戻しました。
癌の標準治療+スーパー糖質制限(ケトン食)が経験上、一番かと思います。
スーパー糖質制限(ケトン食)では、予防はできても、癌が縮小や消失する事は、ゼロではないと思いますが、確率は低いので、やはり、標準治療は必要かと思います。
標準治療をしなかった場合は、すでに亡くなっていると思います。
手術、抗がん剤治療をしても、生存期間中央値は、2~3年とセカンドオピニオンで言われました。
腫瘍マーカーが標準外でも、抗がん剤も1年以上止めている時もあり、自分の身体と相談しながら、自分で考えながら、治療をを選択しています。
抗がん剤の休薬期間にカツ丼やカレーライスや甘い物などの炭水化物をたくさん食べている人をよく見かけます(笑)
HbA1c(2019年測定)は、5.4%でした。血糖値は、83(2022年8月測定)です。最近は、80台前半です。
これからも、癌はありますが、癌と戦うのではなく、共存してスーパー糖質制限を続け、抗がん剤治療でたまに治療(一番副作用が軽い抗がん剤で)をしていくつもりです。新しい治療法が見つかれば、それもやっていきたいと思います。
これからもブログ楽しみにしています。
2022/09/19(Mon) 09:03 | URL | はなくろ | 【編集
Re: 経過6年
はなくろ さん

コメントありがとうございます。

「癌はありますが、癌と戦うのではなく、共存してスーパー糖質制限を続け、抗がん剤治療でたまに治療(一番副作用が軽い抗がん剤で)をしていくつもりです。新しい治療法が見つかれば、それもやっていきたいと思います。」

それが良いと思います。
がん細胞の、ブドウ糖取り込みは、正常細胞の数倍レベルなので、
スーパー糖質制限食だけで治すことはできないけれど、一定の兵糧攻めにはなると思います。
2022/09/19(Mon) 16:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
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