2022年09月13日 (火)
今回は、日本と米国の糖尿病合併症頻度の違いに関する考察です。
日米両国の糖尿病合併症頻度の違い、今まであまり意識していませんでしたが、
注目すべきなのは、
米国では、20年間(1990~2010年)で糖尿病合併症が激減したのに、
日本では、日本糖尿病学会の2013年の熊本宣言で
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していない。』
と、明言されたことです。
2010年(米国)と2013年(日本)ですから、
元になるデータの年代は似たようなものです。
医学誌「ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン」に2014年4月17日発表。
20年間で糖尿病合併症激減
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8%
(2)高血糖症による死亡 マイナス64.4%
(3)脳卒中 マイナス52.7%
(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%
熊本宣言2013
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。
治療法は、インスリン注射と経口糖尿病薬で、日米で同一です。
日米で医師の腕に差がないなら、
何故、合併症でこれほどの差が生じるのでしょう。
極めて不思議ですが、必ず理由はあるはずです。
そうすると、
日米の糖尿病食事療法の相違(糖質摂取比率の相違)
に思い至りました。
A)米国では、糖尿病発症前は国民は糖質を約50%摂取していて、
糖尿病は増加しています。
しかし発症後は、ほとんどの医療機関で、糖質40%摂取が主となります。
その他、バーンスタイン医師やアトキンス食事療法やヂューク大学などでは、
糖質摂取比率が約10%くらいです。
B)日本では、糖尿病発症前は、国民は糖質を約60%摂取しています。
そして糖尿病発症後も医師は糖質約60%摂取を推奨します。
薬物療法は日米で差がないのですが、
食事療法「日本:糖質60% 米国:糖質40%」では大きな差がありました。
米国で糖尿病合併症が激減したのに、日本では減少していない現実がありますが。
その答えは食事療法の差ということです。
ほかには、理由がみあたらないので、まず間違いないと思います。
このように日本で糖尿病合併症が減少しないのは、
現行の日本の糖尿病標準治療である
「カロリー制限食(低脂肪・高糖質食)+薬物療法」
が決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクが
カロリー制限食では予防できないので、
必然的に糖尿病合併症を生じることとなります。
日本の糖尿病患者を、合併症から救えるのは、糖質制限食のみです。
糖質摂取比率40%の米国で、合併症激減ですから
糖質摂取比率12%のスーパー糖質制限食なら、合併症はほぼなくなると考えられます。
日本糖尿病学会は
「血糖値を直接上げるのは糖質だけで、タンパク質。脂質は上げない」
という厳然たる生理学的事実に、速やかに目を向ける必要があります。
江部康二
日米両国の糖尿病合併症頻度の違い、今まであまり意識していませんでしたが、
注目すべきなのは、
米国では、20年間(1990~2010年)で糖尿病合併症が激減したのに、
日本では、日本糖尿病学会の2013年の熊本宣言で
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していない。』
と、明言されたことです。
2010年(米国)と2013年(日本)ですから、
元になるデータの年代は似たようなものです。
医学誌「ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン」に2014年4月17日発表。
20年間で糖尿病合併症激減
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8%
(2)高血糖症による死亡 マイナス64.4%
(3)脳卒中 マイナス52.7%
(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%
熊本宣言2013
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。
治療法は、インスリン注射と経口糖尿病薬で、日米で同一です。
日米で医師の腕に差がないなら、
何故、合併症でこれほどの差が生じるのでしょう。
極めて不思議ですが、必ず理由はあるはずです。
そうすると、
日米の糖尿病食事療法の相違(糖質摂取比率の相違)
に思い至りました。
A)米国では、糖尿病発症前は国民は糖質を約50%摂取していて、
糖尿病は増加しています。
しかし発症後は、ほとんどの医療機関で、糖質40%摂取が主となります。
その他、バーンスタイン医師やアトキンス食事療法やヂューク大学などでは、
糖質摂取比率が約10%くらいです。
B)日本では、糖尿病発症前は、国民は糖質を約60%摂取しています。
そして糖尿病発症後も医師は糖質約60%摂取を推奨します。
薬物療法は日米で差がないのですが、
食事療法「日本:糖質60% 米国:糖質40%」では大きな差がありました。
米国で糖尿病合併症が激減したのに、日本では減少していない現実がありますが。
その答えは食事療法の差ということです。
ほかには、理由がみあたらないので、まず間違いないと思います。
このように日本で糖尿病合併症が減少しないのは、
現行の日本の糖尿病標準治療である
「カロリー制限食(低脂肪・高糖質食)+薬物療法」
が決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクが
カロリー制限食では予防できないので、
必然的に糖尿病合併症を生じることとなります。
日本の糖尿病患者を、合併症から救えるのは、糖質制限食のみです。
糖質摂取比率40%の米国で、合併症激減ですから
糖質摂取比率12%のスーパー糖質制限食なら、合併症はほぼなくなると考えられます。
日本糖尿病学会は
「血糖値を直接上げるのは糖質だけで、タンパク質。脂質は上げない」
という厳然たる生理学的事実に、速やかに目を向ける必要があります。
江部康二
私の主治医もそうでしたが、糖質制限に否定的な場合、色々と理由を付けるのですが、例えば高タンパクで将来腎症になるリスクがあるというような事を言います。しかし高タンパクで腎症になるエビデンスは存在しない上に糖質摂取で高血糖になるのは明らかです。あるかないか分からない将来のリスク回避を優先して、はっきりしている目の前のリスクには目をつぶるのはどう言う思考回路なのでしょう。高血糖だけなら薬物療法で何とかなると思っているのでしょうか。それとも炭水化物60%の食事で糖尿病になることはないと思っているのでしょうか。どう考えても論理的とは思えません。自己矛盾を感じないのでしょうか。医療者のこう言う思考回路を是正しない限り日本の糖尿病患者は減らないでしょう。
余談ですが、卵は完全栄養食と言われますが、糖質はほとんど含まれません。卵を完全食だと思っている医師や管理栄養士の方には糖質制限反対派の方はいないはずですね(笑)
余談ですが、卵は完全栄養食と言われますが、糖質はほとんど含まれません。卵を完全食だと思っている医師や管理栄養士の方には糖質制限反対派の方はいないはずですね(笑)
2022/09/13(Tue) 16:11 | URL | 西村 典彦 | 【編集】
西村 典彦 さん
一般的な医師のほとんどが、『ガイドライン』や『今までの常識』に従って
糖尿病の治療を行います。
それで、糖質60%という摂取比率の標準糖尿病食に疑問を持ちません。
つまり、自分の頭で論理的に考えるということを放棄しているのです。
しかも、このやり方なら、何か悪いことが起きても、
ガイドラインに従っただけで、自分は悪くないと居直ることが可能です。
最近、夏井先生のブログや私のブログの読者の医師も増えてきて
そういう方々は自分の頭で考えて、糖質制限食を選択しています。
こちらは、何かあれば、ガイドラインのせいにはできないので、
やはり自分の頭で考えて個別対応することとなります。
もっとも、
診断基準を満たす膵炎がある場合、進行した肝硬変の場合、
長鎖脂肪酸代謝異常症、尿素サイクル異常症、
でないかぎり、糖質制限食を実践すれば、
基本的に体調良好となり症状も改善します。
一般的な医師のほとんどが、『ガイドライン』や『今までの常識』に従って
糖尿病の治療を行います。
それで、糖質60%という摂取比率の標準糖尿病食に疑問を持ちません。
つまり、自分の頭で論理的に考えるということを放棄しているのです。
しかも、このやり方なら、何か悪いことが起きても、
ガイドラインに従っただけで、自分は悪くないと居直ることが可能です。
最近、夏井先生のブログや私のブログの読者の医師も増えてきて
そういう方々は自分の頭で考えて、糖質制限食を選択しています。
こちらは、何かあれば、ガイドラインのせいにはできないので、
やはり自分の頭で考えて個別対応することとなります。
もっとも、
診断基準を満たす膵炎がある場合、進行した肝硬変の場合、
長鎖脂肪酸代謝異常症、尿素サイクル異常症、
でないかぎり、糖質制限食を実践すれば、
基本的に体調良好となり症状も改善します。
2022/09/13(Tue) 16:29 | URL | ドクター江部 | 【編集】
いつも先生のブログを見て勉強させていただいております。
クレアチニン値について質問です。
ネット検索で、糖質制限を開始してから数値が上昇した人がいる一方で、先生のように不変の人もおります。
私は、40歳男、身長173㎝、体重56.5Kgで運動習慣はランニング1日5キロから12キロを20年継続しています。
現在の数値は、糖質制限前(8年前)毎年の健康診断で0.8台だったのが1.0前後に固定されています。
この違いは、主に何だとお考えでしょうか?
生活環境がそれぞれ異なるので一概に特定できないとは思いますが…
クレアチニン値について質問です。
ネット検索で、糖質制限を開始してから数値が上昇した人がいる一方で、先生のように不変の人もおります。
私は、40歳男、身長173㎝、体重56.5Kgで運動習慣はランニング1日5キロから12キロを20年継続しています。
現在の数値は、糖質制限前(8年前)毎年の健康診断で0.8台だったのが1.0前後に固定されています。
この違いは、主に何だとお考えでしょうか?
生活環境がそれぞれ異なるので一概に特定できないとは思いますが…
2022/09/13(Tue) 21:28 | URL | 太陽 | 【編集】
コメントありがとうございます。
自分で考え、自分の責任で治療している医師、同じく患者も自分で考え、自分に合った治療方法を見つける事が重要だと思います。当然、患者自身も自己責任である覚悟も必要と思います。だからこそ、一生懸命考えるわけですが。
現時点で糖質制限を推奨することは自分の頭で考えた結果であり、そう言う医師の多くが新型コロナワクチンを推奨していません。偶然ではないと思います。
自分で考え、自分の責任で治療している医師、同じく患者も自分で考え、自分に合った治療方法を見つける事が重要だと思います。当然、患者自身も自己責任である覚悟も必要と思います。だからこそ、一生懸命考えるわけですが。
現時点で糖質制限を推奨することは自分の頭で考えた結果であり、そう言う医師の多くが新型コロナワクチンを推奨していません。偶然ではないと思います。
2022/09/14(Wed) 07:07 | URL | 西村 典彦 | 【編集】
こんにちは。
江部先生と夏井先生顔の雰囲気が似てます!
江部先生と夏井先生顔の雰囲気が似てます!
太陽 さん
血清シスタチンCを検査しましょう。
クレアチニンは筋肉量や運動が結果に影響します。
血清シスタチンCが最も、信頼度の高い腎機能検査です。
あとは<スタチンC eGFR>で、検索すれば
GFR計算サイトがでてきます。
そこで計算して、eGFRが60以上なら心配ないです。
血清シスタチンCを検査しましょう。
クレアチニンは筋肉量や運動が結果に影響します。
血清シスタチンCが最も、信頼度の高い腎機能検査です。
あとは<スタチンC eGFR>で、検索すれば
GFR計算サイトがでてきます。
そこで計算して、eGFRが60以上なら心配ないです。
2022/09/15(Thu) 08:23 | URL | ドクター江部 | 【編集】
西村 典彦 さん
なるほどです。
なるほどです。
2022/09/15(Thu) 08:23 | URL | ドクター江部 | 【編集】
としの さん
顔そのものというより「雰囲気」ですね。
顔そのものというより「雰囲気」ですね。
2022/09/15(Thu) 08:24 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |