2022年09月07日 (水)
こんばんは。
アフリカのマサイ族はビタミンC摂取量は極めて少なく、
血中濃度は壊血病レベルの低値ですが、とても健康です。ビタミンCには、抗酸化作用などがあります。
マサイ族は野菜も全く食べませんが、そのライススタイルは酸化ストレスがとても少ないと考えられ、
ビタミンCもごく少量でOKなのだと思います。
<マサイ族と牛乳とヨーグルトとビタミンC>
東アフリカ、ケニアからタンザニアにかけて住むマサイ族は、
主たる食事として牛乳、ヨーグルト、牛の生き血を取る伝統的食生活を送ってきました。
これらの食事では、ビタミンC摂取が非常に少なくなりますが、
彼らの健康度は良好です。
サバンナの民、マサイ族の独特な食生活から「ヒトにとって必要な栄養素」について考えてみます。
マサイ族の主食は現在でも牛乳とヨーグルトです。
牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。
毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、
数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。
長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、
搾乳してから2〜3日が経過したものや、さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。
この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、
牛乳に混ぜて飲むことで補います。
<野菜や果物を食べないマサイ族のビタミンC摂取量は>
彼らの伝統的食生活では、野菜や果物は一切食べないそうです。
となるとビタミンCをいかに摂取しているのかが不思議です。
ヒトはビタミンCを体内で合成できず、必ず食物から摂取せねばなりません。
マサイ族にとって牛は財産であり、殺して牛肉を食べることはありません。
ヤギやヒツジも飼っていて、
こちらはお祝いごとや家族に病人が出て栄養をつけたい時には食べるといいます。
この時、ヤギやヒツジの生レバーや生の小腸も食用になります。
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で、野菜や果物に含まれるビタミンCを調べてみると、
100gあたり赤ピーマン170mg、パセリ120mg、甘ガキ70mg、イチゴ62mg、ゆでブロッコリー54mgなどとなります。
牛の生レバーのビタミンC含有量は100g中30mg、生の小腸は同じく15mgです。
ヤギやヒツジの生レバー、生小腸のデータは載っていないのですが、牛に準ずる程度でしょう。
しかしマサイ族は日常的に生レバーや生小腸を食べているわけではありません。
一方、牛の血漿(けっしょう)に含まれるビタミンCは1.4〜3.6mg/dLで、人の血漿(0.6〜1.4mg/dL)より高いそうです。
しかしそれでも、牛の血を1L飲んだところで摂取できるビタミンCはせいぜい30mgです。
やはり十分な量とは言えません。
彼らの主食である牛乳はどうでしょうか。
彼らが飲む新鮮な牛乳の中には、ビタミンCが2.2mg/dL含まれています。
ひょうたんに入れて、数日間発酵させてから飲む場合、この量は減少します。
例えばひょうたんの中で4日間経過すると、0.4mg/dLにまで減ってしまいます。
つまり牛乳、ヨーグルト、牛の生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい1日30mg程度。
厚生労働省の推奨量である1日100mgに到底足りません。
<極端に低い血中ビタミンC濃度>
マサイ族と居住エリアが重なり、主に農耕生活を行うバンツー族という人々がいます。
バンツー族は穀物、野菜など何でも食べます。
ケニアの研究者が、この二つの種族の食生活と血液検査データを比較検討した論文があります。
前述のマサイ族が飲む牛乳のビタミンC含有量を調べたのもこの論文です。
マサイ族21人、バンツー族24人を対象に調べた論文のデータによると、
伝統的な食事をしているマサイ族の血清ビタミンC濃度は、0.16mg/dLです。バンツー族は0.56mg/dL。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨し、
日本の大手検査会社エスアールエルは日本人の血清ビタミンC濃度の基準値を0.55〜1.68mg/dL としています。
つまりバンツー族では日本人の基準値の正常下限であり、
マサイ族に至っては極端に低値ということです。
白血球の中に含まれるビタミンCの濃度でも、
マサイ族はバンツー族の半分以下だと言います。
<なぜマサイ族に壊血病が起きないのか>
マサイ族、バンツー族ともに総じて身体に異常はないそうです。
論文では結論として、マサイ族の血清ビタミンC濃度が低いのは、
単純に食物から摂取するビタミンCが少ないからと考えられるとし、
これほど低いのに(ビタミンC不足で起きる)壊血病や貧血などは見られない理由については、
さらなる研究が必要としています。
江部康二
アフリカのマサイ族はビタミンC摂取量は極めて少なく、
血中濃度は壊血病レベルの低値ですが、とても健康です。ビタミンCには、抗酸化作用などがあります。
マサイ族は野菜も全く食べませんが、そのライススタイルは酸化ストレスがとても少ないと考えられ、
ビタミンCもごく少量でOKなのだと思います。
<マサイ族と牛乳とヨーグルトとビタミンC>
東アフリカ、ケニアからタンザニアにかけて住むマサイ族は、
主たる食事として牛乳、ヨーグルト、牛の生き血を取る伝統的食生活を送ってきました。
これらの食事では、ビタミンC摂取が非常に少なくなりますが、
彼らの健康度は良好です。
サバンナの民、マサイ族の独特な食生活から「ヒトにとって必要な栄養素」について考えてみます。
マサイ族の主食は現在でも牛乳とヨーグルトです。
牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。
毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、
数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。
長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、
搾乳してから2〜3日が経過したものや、さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。
この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、
牛乳に混ぜて飲むことで補います。
<野菜や果物を食べないマサイ族のビタミンC摂取量は>
彼らの伝統的食生活では、野菜や果物は一切食べないそうです。
となるとビタミンCをいかに摂取しているのかが不思議です。
ヒトはビタミンCを体内で合成できず、必ず食物から摂取せねばなりません。
マサイ族にとって牛は財産であり、殺して牛肉を食べることはありません。
ヤギやヒツジも飼っていて、
こちらはお祝いごとや家族に病人が出て栄養をつけたい時には食べるといいます。
この時、ヤギやヒツジの生レバーや生の小腸も食用になります。
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で、野菜や果物に含まれるビタミンCを調べてみると、
100gあたり赤ピーマン170mg、パセリ120mg、甘ガキ70mg、イチゴ62mg、ゆでブロッコリー54mgなどとなります。
牛の生レバーのビタミンC含有量は100g中30mg、生の小腸は同じく15mgです。
ヤギやヒツジの生レバー、生小腸のデータは載っていないのですが、牛に準ずる程度でしょう。
しかしマサイ族は日常的に生レバーや生小腸を食べているわけではありません。
一方、牛の血漿(けっしょう)に含まれるビタミンCは1.4〜3.6mg/dLで、人の血漿(0.6〜1.4mg/dL)より高いそうです。
しかしそれでも、牛の血を1L飲んだところで摂取できるビタミンCはせいぜい30mgです。
やはり十分な量とは言えません。
彼らの主食である牛乳はどうでしょうか。
彼らが飲む新鮮な牛乳の中には、ビタミンCが2.2mg/dL含まれています。
ひょうたんに入れて、数日間発酵させてから飲む場合、この量は減少します。
例えばひょうたんの中で4日間経過すると、0.4mg/dLにまで減ってしまいます。
つまり牛乳、ヨーグルト、牛の生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい1日30mg程度。
厚生労働省の推奨量である1日100mgに到底足りません。
<極端に低い血中ビタミンC濃度>
マサイ族と居住エリアが重なり、主に農耕生活を行うバンツー族という人々がいます。
バンツー族は穀物、野菜など何でも食べます。
ケニアの研究者が、この二つの種族の食生活と血液検査データを比較検討した論文があります。
前述のマサイ族が飲む牛乳のビタミンC含有量を調べたのもこの論文です。
マサイ族21人、バンツー族24人を対象に調べた論文のデータによると、
伝統的な食事をしているマサイ族の血清ビタミンC濃度は、0.16mg/dLです。バンツー族は0.56mg/dL。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨し、
日本の大手検査会社エスアールエルは日本人の血清ビタミンC濃度の基準値を0.55〜1.68mg/dL としています。
つまりバンツー族では日本人の基準値の正常下限であり、
マサイ族に至っては極端に低値ということです。
白血球の中に含まれるビタミンCの濃度でも、
マサイ族はバンツー族の半分以下だと言います。
<なぜマサイ族に壊血病が起きないのか>
マサイ族、バンツー族ともに総じて身体に異常はないそうです。
論文では結論として、マサイ族の血清ビタミンC濃度が低いのは、
単純に食物から摂取するビタミンCが少ないからと考えられるとし、
これほど低いのに(ビタミンC不足で起きる)壊血病や貧血などは見られない理由については、
さらなる研究が必要としています。
江部康二
こんばんは。
江部先生の専門ではないのですが、
先生の薬を使わない医療の考え方を信じている者です。
抗がん剤をせずに癌治療ができる病院や先生をしりませんでしょうか。
日本の医療は抗がん剤を進めてくるお医者様ばかりです。
セカンドオピニオンを受けたいのですが
お知り合いでいらっしゃいませんでしょうか。
江部先生の専門ではないのですが、
先生の薬を使わない医療の考え方を信じている者です。
抗がん剤をせずに癌治療ができる病院や先生をしりませんでしょうか。
日本の医療は抗がん剤を進めてくるお医者様ばかりです。
セカンドオピニオンを受けたいのですが
お知り合いでいらっしゃいませんでしょうか。
江部先生こんにちは、いつも参考にさせてもらってます。大変勉強になります。以前にも食事内容に指導いただきありがとうございました。ビタミンの摂取量で私の場合をコメントします。
糖質制限5年、73歳、171cm、58kg、健常者
現在食事内容は次のとおりです。
昼夜2食の1日の量です。
オーストラリア産牛肉
肩ロース 470g
バラ切り落とし 220g
豚レバー 30g
煮干し 3匹
キャベツ 50g
粗塩 4g
昆布乾燥 0.1g
にがり 25ml
多少変更もありますが、ビタミンCにつては、レバーとキャベツと昆布ですが、合計して30mgあるかないかですが、特に問題ないようです。以前はパプリカやレモンを摂ったりして、70mgほどとっていましたが、減らしたことで私のアトピー体質に変化がなかったので、減らしてそのままにしてました。ただ、ミネラル摂取増でにがりを摂ったりしてるのですが、カリウムを多く含むブロッコリー(ゆで)を新たに50gとりますので、ビタミンCも30mg増える予定です。
なお、以前の先生のご指導で昆布の摂りすぎは甲状腺に良くないとのことでしたので、0.1gとしてます。にがりはマグネシウムを摂るためです。
以前指導頂いたときより5kgダイエットしました。
腹周りの脂肪が気になったので、ダイエットしましたが、63kgの体重自体が肥満ではないので、食事量を減らしたことは、栄養面で無理があったように思います、58kgに近付くにつれて体調が少しづつ悪くなったようで、58kで倦怠感が強くなったので、ダイエットをストップし、肩ロースを50g増やすと倦怠感は無くなりました。現在は上記の食事内容で、様子見です。
ダイエット中、マグネシュウムの摂取したところ、
減量が進んだように感じましたが、代謝がよくなったのでしょうか。
ビタミンCについてご参考になればと思います。
糖質制限5年、73歳、171cm、58kg、健常者
現在食事内容は次のとおりです。
昼夜2食の1日の量です。
オーストラリア産牛肉
肩ロース 470g
バラ切り落とし 220g
豚レバー 30g
煮干し 3匹
キャベツ 50g
粗塩 4g
昆布乾燥 0.1g
にがり 25ml
多少変更もありますが、ビタミンCにつては、レバーとキャベツと昆布ですが、合計して30mgあるかないかですが、特に問題ないようです。以前はパプリカやレモンを摂ったりして、70mgほどとっていましたが、減らしたことで私のアトピー体質に変化がなかったので、減らしてそのままにしてました。ただ、ミネラル摂取増でにがりを摂ったりしてるのですが、カリウムを多く含むブロッコリー(ゆで)を新たに50gとりますので、ビタミンCも30mg増える予定です。
なお、以前の先生のご指導で昆布の摂りすぎは甲状腺に良くないとのことでしたので、0.1gとしてます。にがりはマグネシウムを摂るためです。
以前指導頂いたときより5kgダイエットしました。
腹周りの脂肪が気になったので、ダイエットしましたが、63kgの体重自体が肥満ではないので、食事量を減らしたことは、栄養面で無理があったように思います、58kgに近付くにつれて体調が少しづつ悪くなったようで、58kで倦怠感が強くなったので、ダイエットをストップし、肩ロースを50g増やすと倦怠感は無くなりました。現在は上記の食事内容で、様子見です。
ダイエット中、マグネシュウムの摂取したところ、
減量が進んだように感じましたが、代謝がよくなったのでしょうか。
ビタミンCについてご参考になればと思います。
2022/09/07(Wed) 21:01 | URL | 中嶋一雄 | 【編集】
seiko さん
『抗がん剤をせずに癌治療ができる病院や先生』
私は知りません。
『抗がん剤をせずに癌治療ができる病院や先生』
私は知りません。
2022/09/08(Thu) 11:42 | URL | ドクター江部 | 【編集】
yk さん
『58kgに近付くにつれて体調が少しづつ悪くなったようで、58kで倦怠感が強く』
171cm 58kg ならBMI19.8です。
厚生労働省は、BMI20以上25未満で、その人の体調が良好ならそれでOKとしています。
スーパー糖質制限食は、摂取カロリーは満足・満腹するまで食べてOKです。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨していますが
糖質セイゲニストは、酸化ストレスが少ないので、ビタミンC必要量は、糖質摂取者よりかなり少なくても
大丈夫な可能性が高いと考えられます。
『58kgに近付くにつれて体調が少しづつ悪くなったようで、58kで倦怠感が強く』
171cm 58kg ならBMI19.8です。
厚生労働省は、BMI20以上25未満で、その人の体調が良好ならそれでOKとしています。
スーパー糖質制限食は、摂取カロリーは満足・満腹するまで食べてOKです。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨していますが
糖質セイゲニストは、酸化ストレスが少ないので、ビタミンC必要量は、糖質摂取者よりかなり少なくても
大丈夫な可能性が高いと考えられます。
2022/09/08(Thu) 11:57 | URL | ドクター江部 | 【編集】
中嶋一雄 先生
興味深い情報をコメント頂き、ありがとうございます。
興味深い情報をコメント頂き、ありがとうございます。
2022/09/08(Thu) 11:58 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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