2022年08月02日 (火)
こんにちは。
ユーチューブやマスコミなどで、
根拠のない糖質制限批判をしているケースがあります。
間違いだらけの情報発信は視聴者に大変迷惑です。
今回は、糖質制限食の有効性と安全性の根拠となる米国糖尿病学会の見解の変遷を述べ、
次に日本における変化についても検討してみます。
1)米国糖尿病学会と糖質制限食、見解の変遷
『2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨せず。
2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイ エットが推奨される」
と1年の期限付きで糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
2013年10月、 「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、
糖質制限食を容認。
2019年4月、コンセンサスレポートにおいて、
糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言。
2020年、2021年、2022年のガイドラインでもコンセンサスレポートを引用し、
同様の見解。』
2007年までは糖質制限食を全面否定していた、ADA(米国糖尿病学会)ですが、
6年間のの歳月を経て、肯定も批判も含めて多数の研究論文を検証して、
2013年、糖質制限食を正式に容認しました。
すなわち糖質制限食の有効性に関しては、
ADAにおいては、エビデンスレベルで担保されたと考えられます。
このように、2013年10月の時点で、糖質制限食の是非については、
米国においては、すでに決着はついているということです。
さらに、2019年4月のコンセンサスレポートで、
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と明言し、その後も同様の見解です。
現時点で、糖質制限食の有効性と安全性は米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
米国糖尿病学会のCEOであるトレーシー・ブラウン氏は、自身がスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射から離脱されています。
2)日本における糖質制限食
日本でもADA「食事療法に関する声明2013」以降、明らかに流れが変わりました。
その流れを受けて、2016年7月2日号の週刊東洋経済の記事において、
日本糖尿病学会の門脇孝理事長は、
『緩い糖質制限食には既に賛成の立場であり、自身は元慎重派である』
と述べておられます。
2015年4月から東大病院では、糖質40%というメニューを提供されているそうです。
門脇孝理事長、大変身ですが、
とてもいい方向への変化なので私としても嬉しい限りです。
1)により、米国では勿論正式に受容ですし、
2)より日本でも糖質制限食容認の方向に舵をきっているのがわかります。
3)糖新生
糖質制限食実践で低血糖になるのではないかと心配する人もいます。
しかし人体には「糖新生」 という機能があります。
肝臓や腎臓で、アミノ酸、乳酸、グリセロール(脂肪酸の分解物)などを原料にして
糖新生機能により、ブドウ糖を作ります。
糖新生は、糖質を食べている人でも空腹時や睡眠時には、
日常的に行っています。
スーパー糖質制限食実践者では、ステーキを食べている最中にも、
脂肪分解をエネルギー源として糖新生が行われて、血糖値を保ちます。
4)糖質制限食による身体の変化
体操選手やテコンドー選手や自転車選手と糖質制限食の研究論文もあり、
糖質制限で筋肉は落ちません。
全身の血流・代謝が良くなるので、肌は荒れませんし、しっとりしてきますし、
髪の毛も抜けませんし、顎の下もたるみません。
食後の眠気がリアルタイムに改善し、
勉強や作業能率が向上し、やる気がでます。
糖質制限中は、糖新生が活発になるので、
血糖値は正常に保たれ脳や赤血球などのエネルギー源になりますます。
また脳はケトン体という脂肪酸の分解物をいくらでも利用します。
糖質制限中は、血中ケトン体は高値となります。
普通に糖質を食べている人でも、空腹時や睡眠時は、
心筋・骨格筋など多くの体細胞は
ケトン体と脂肪酸を主なエネルギー源としています。
『肌荒れ、髪の毛が抜ける、眠くなる、顎の下がたるむ、やる気がでない』
これらの症状は、全て摂取カロリー不足が原因であり、糖質制限は無関係です。
摂取カロリーを<推定エネルギー必要量>ほど摂れば、これらの症状は速やかに改善します。
5)まとめ
世界史では、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが、
700万年前、農耕開始(麦の栽培)が1万年前です。
狩猟・採集時代の700万年間は穀物などないので、
人類は皆糖質制限食でした。
すなわち糖質制限食こそが、人類本来の食事であり、人類の健康食なのです。
日本史では、約38000年前に日本列島にヒトが住むようになりましたが、
米の栽培は、2500年前の弥生時代からに過ぎません。
日本人も3万数千年の長い糖質制限食時代を経たあとに、米食が始まったのであり、
『日本人は昔から米を食べてきた。』というのは、誤解に過ぎません。
江部康二
ユーチューブやマスコミなどで、
根拠のない糖質制限批判をしているケースがあります。
間違いだらけの情報発信は視聴者に大変迷惑です。
今回は、糖質制限食の有効性と安全性の根拠となる米国糖尿病学会の見解の変遷を述べ、
次に日本における変化についても検討してみます。
1)米国糖尿病学会と糖質制限食、見解の変遷
『2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨せず。
2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイ エットが推奨される」
と1年の期限付きで糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
2013年10月、 「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、
糖質制限食を容認。
2019年4月、コンセンサスレポートにおいて、
糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言。
2020年、2021年、2022年のガイドラインでもコンセンサスレポートを引用し、
同様の見解。』
2007年までは糖質制限食を全面否定していた、ADA(米国糖尿病学会)ですが、
6年間のの歳月を経て、肯定も批判も含めて多数の研究論文を検証して、
2013年、糖質制限食を正式に容認しました。
すなわち糖質制限食の有効性に関しては、
ADAにおいては、エビデンスレベルで担保されたと考えられます。
このように、2013年10月の時点で、糖質制限食の是非については、
米国においては、すでに決着はついているということです。
さらに、2019年4月のコンセンサスレポートで、
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と明言し、その後も同様の見解です。
現時点で、糖質制限食の有効性と安全性は米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
米国糖尿病学会のCEOであるトレーシー・ブラウン氏は、自身がスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射から離脱されています。
2)日本における糖質制限食
日本でもADA「食事療法に関する声明2013」以降、明らかに流れが変わりました。
その流れを受けて、2016年7月2日号の週刊東洋経済の記事において、
日本糖尿病学会の門脇孝理事長は、
『緩い糖質制限食には既に賛成の立場であり、自身は元慎重派である』
と述べておられます。
2015年4月から東大病院では、糖質40%というメニューを提供されているそうです。
門脇孝理事長、大変身ですが、
とてもいい方向への変化なので私としても嬉しい限りです。
1)により、米国では勿論正式に受容ですし、
2)より日本でも糖質制限食容認の方向に舵をきっているのがわかります。
3)糖新生
糖質制限食実践で低血糖になるのではないかと心配する人もいます。
しかし人体には「糖新生」 という機能があります。
肝臓や腎臓で、アミノ酸、乳酸、グリセロール(脂肪酸の分解物)などを原料にして
糖新生機能により、ブドウ糖を作ります。
糖新生は、糖質を食べている人でも空腹時や睡眠時には、
日常的に行っています。
スーパー糖質制限食実践者では、ステーキを食べている最中にも、
脂肪分解をエネルギー源として糖新生が行われて、血糖値を保ちます。
4)糖質制限食による身体の変化
体操選手やテコンドー選手や自転車選手と糖質制限食の研究論文もあり、
糖質制限で筋肉は落ちません。
全身の血流・代謝が良くなるので、肌は荒れませんし、しっとりしてきますし、
髪の毛も抜けませんし、顎の下もたるみません。
食後の眠気がリアルタイムに改善し、
勉強や作業能率が向上し、やる気がでます。
糖質制限中は、糖新生が活発になるので、
血糖値は正常に保たれ脳や赤血球などのエネルギー源になりますます。
また脳はケトン体という脂肪酸の分解物をいくらでも利用します。
糖質制限中は、血中ケトン体は高値となります。
普通に糖質を食べている人でも、空腹時や睡眠時は、
心筋・骨格筋など多くの体細胞は
ケトン体と脂肪酸を主なエネルギー源としています。
『肌荒れ、髪の毛が抜ける、眠くなる、顎の下がたるむ、やる気がでない』
これらの症状は、全て摂取カロリー不足が原因であり、糖質制限は無関係です。
摂取カロリーを<推定エネルギー必要量>ほど摂れば、これらの症状は速やかに改善します。
5)まとめ
世界史では、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが、
700万年前、農耕開始(麦の栽培)が1万年前です。
狩猟・採集時代の700万年間は穀物などないので、
人類は皆糖質制限食でした。
すなわち糖質制限食こそが、人類本来の食事であり、人類の健康食なのです。
日本史では、約38000年前に日本列島にヒトが住むようになりましたが、
米の栽培は、2500年前の弥生時代からに過ぎません。
日本人も3万数千年の長い糖質制限食時代を経たあとに、米食が始まったのであり、
『日本人は昔から米を食べてきた。』というのは、誤解に過ぎません。
江部康二
『昔』の定義による認識の相違ですね。
2022/08/02(Tue) 17:50 | URL | いつも | 【編集】
糖尿病発症当初の食後3時間の血糖値255、A1c 8.5であったのが、スーパー糖質制限と薬(メトグリコとスーグラ)服用による療法を実行して9か月後の8月1日現在、夕食2時間後血糖値135、早朝6時血糖値100~110台、A1c 5.9となりました。
直近では、スーグラを夕食後1錠または薬なしでも同じ程度の水準が維持されています。ただ、正確にはよくわからない点がありますので、江部先生のお考えを聞かせていただければと思い連絡してみました。
ここひと月は、薬はスーグラ1錠だけを服用していて、大体おなじような水準が維持てきているのですが、夕食後の血糖値が150~170で、早朝血糖値もあまり下がらない時があるので、そのような時には、夕食後と寝る前にスーグラ1錠飲むと、早朝血糖値が確実に100前後に収まるようです。
夕食後に飲むだけで寝る前に飲まなくても、早朝血糖値が100~110台程度の場合のほうが多いのですが、この状態では、少なくとも夕食後のスーグラ50mg1条(またはメトグリミコ500mg)は、まだ継続して飲んでおいたほうが良いでしょうか。
直近では、スーグラを夕食後1錠または薬なしでも同じ程度の水準が維持されています。ただ、正確にはよくわからない点がありますので、江部先生のお考えを聞かせていただければと思い連絡してみました。
ここひと月は、薬はスーグラ1錠だけを服用していて、大体おなじような水準が維持てきているのですが、夕食後の血糖値が150~170で、早朝血糖値もあまり下がらない時があるので、そのような時には、夕食後と寝る前にスーグラ1錠飲むと、早朝血糖値が確実に100前後に収まるようです。
夕食後に飲むだけで寝る前に飲まなくても、早朝血糖値が100~110台程度の場合のほうが多いのですが、この状態では、少なくとも夕食後のスーグラ50mg1条(またはメトグリミコ500mg)は、まだ継続して飲んでおいたほうが良いでしょうか。
倉田 さん
糖質制限食で、血糖値、A1c 改善、良かったです。
①スーグラは、一日一回、朝食前または朝食後が、基本的な内服方法です。
朝の内服で、翌朝の空腹時血糖値もコントロールできると思います。
②スーグラは、腎臓・心臓・脳の保護作用があるとされているので
継続して内服する意味はあると思います。
糖質制限食で、血糖値、A1c 改善、良かったです。
①スーグラは、一日一回、朝食前または朝食後が、基本的な内服方法です。
朝の内服で、翌朝の空腹時血糖値もコントロールできると思います。
②スーグラは、腎臓・心臓・脳の保護作用があるとされているので
継続して内服する意味はあると思います。
2022/08/03(Wed) 16:23 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |