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ドクター江部の糖質オフ!健康トーク ▼ vol.13『日本における糖質制限食』
こんにちは。
本日は、ユーチューブのご案内です。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.13『日本における糖質制限食』
https://youtu.be/tQxKF3fWgUg


今回のテーマは
「日本における糖質制限食」 見解の歴史的変遷
です。

糖質制限食に関して、2019年4月以降は、
エビデンスに基づいた米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン現CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践
中であり、
それによりインスリン注射を中止できています。

おかげ様で、2022年現在、糖質制限食はますます順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。

現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートやセブンイレブンでも、
糖質制限OK食品が販売されています。

私は、糖質制限食はブームではなく、生理学的なな真実そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。


さて今回は、糖質制限食と糖尿病食の日本の歴史を考察してみました。

<プロローグ>
富士経済の調査によると、
糖質制限市場は2019年度は3612億円の見込みです。
2022年、糖質制限市場はさらに加速して拡大し、
糖質ゼロビールも、2社から発売されています。

<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病であり、
厳重食で改善しましたが、大正5年12月、胃潰瘍による出血で死亡しました。

<厳重食=スーパー糖質制限食 >
当時の「厳重食」は、まさに「スーパー糖質制限食」であり、
穀物や芋などのデンプンはなしでした。

<日本における糖尿病食事療法の変遷① >
日本糖尿病学会のバイブルといえる「食品交換表」初版
1965年(昭和40年)に発行されましたが、
適正なカロリー糖質量の制限という記載がありました。

<日本における糖尿病食事療法の変遷②>
1969年の第2版で糖尿病食事療法の原則から、
「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場しました。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、
「カロリー制限」一辺倒でした。

<日本における糖尿病食事療法の変遷③>
長年、炭水化物摂取比率が60%だったのが、糖尿病治療ガイド2022年では40~60%と少し、
糖質制限食に歩み寄ってきています。

<日本における糖質制限食の歴史①>
 戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。

その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。

<日本における糖質制限食の歴史②>
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。

その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきて、私も毎年著書を上梓しています13)14)15)16)17)18)19)20)21)22)23)24)25)26)。


1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
  糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27 
  糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
  2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
  治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
  内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年(洋泉社)
17)江部康二:「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年(洋泉社)
18)江部康二:「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)
19)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年(ダイヤモンド社)
20)江部康二:「糖質制限の大百科」2019年(洋泉社)
21)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年(宝島社)
22)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック」 2020年(宝島社)
23)江部康二:医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年(宝島社)
24)江部康二:「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!」2021年(学研プラス)
25)江部康二:「増補新版 糖質制限の大百科」2021年(宝島社)
26)江部康二:「医者が教える 正しい糖質の減らし方」2022年5月(宝島社)


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

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ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.13」の配信をご案内申し上げます。

テーマは、「日本における糖質制限食」です。

日本における、糖尿病食事療法の変遷と糖質制限食の歴史についてお話しております。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.13『日本における糖質制限食』
https://youtu.be/tQxKF3fWgUg

ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/

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コメント
糖尿病だけでなく、後遺症の『眼科、脳梗塞』にも改善効果有りだと証明します!!
都内河北 鈴木です。

本日記事は、糖尿病だけでなく、
後遺症の『眼科、脳梗塞にも多大な改善効果がありました事を御伝えしときます!!』

何故、江部先生『糖質制限理論』の効果かと申しますのは、
私は宮内庁御用の会席調理師をしていましたので、
糖質の価値に気付いたからです!!

*私の言葉だけでなく『医療・果然デ~タが証明です!!』

江部先生には、<<『生還、覚醒、5度の改善、』>>でき、
更なる改善を期待できる状況で、10年目に生活できる事に、
日増しに笑いが出る健康状況です!!
感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2022/07/18(Mon) 18:36 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
夏目漱石の糖質制限医療
糖質制限食通信17号に夏目漱石が受けた糖質制限医療について書きました。

1916年7月28日の、朝日新聞の連載小説「明暗」連載60回に、厳重食(当時)の光景が書かれてあります

この掲載日の7月28日を、『糖質制限医療の日』とするように提案します
2022/07/19(Tue) 15:11 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
腎障害と糖質制限食
先生の著書や食品別糖質量ハンドブックなどにおいて腎障害のある人は糖質制限食は適用されないとの記載があります。
また、2015年6月6日の本ブログ、高たんぱく食と腎機能と糖質制限食においてeGFR60ml/分未満は個別対応が必要となっています。

お聞きしたいこと
① スーパ-糖質制限食において、糖質量は同じにして、たんぱく質量を60グラムに低下させ、全体で1800カロリ-となるよう脂肪量を増加させると、これはスーパ-糖質制限食の範疇にはいるでしょうか?
② ①の方法は健康上何か障害がでるでしょうか?

6/18(土)の本ブログ、糖質制限食と食塩摂取で当方(男、80歳)状況を説明してアドバイスを頂いております。
一か月後、7/15に蓄尿(一日分の全尿を集める)してそこからeGFRを計算すると、eGFR=50.41ml/分でした。血液からのクレアチニンは1.27(eGFR42.5)
前回6/16のクレアチニンは1.36(eGFR39.4)
シスタチンC1.0(eGFR67.5)でした。
担当医は蓄尿からのeGFRが最も信頼性が高いとして、クレアチニンとシスタチンCについては明確に答えてくれませんでした。

eGFRが50,41とするとやはり60を超えているので糖質制限食は適応外となります。

そこで最初の質問の疑問となりました。
担当医からはたんぱく質量を60g程度に下げるよう指示されていたので、この一か月間下げる努力をしました。
蓄尿の結果から当日のたんぱく質摂取量は80.28gでした。

標準のス-パ-糖質制限食で1800カロリ-を摂る場合:P、F、C比は

P:32%---576カロリ---144g
F:56%-----1008       112g
C:12%‐---- 216        54g

たんぱく質を60gとしてカロリ-を脂肪で補うと

P:13.3%----240カロリ- --60g
F:74.4    1345     --149g
C:12.0    216     ---54g

6/16~7/15までたんぱく質量は80~100g/日であったと推定されるが、特に血液検査や体調に問題はなかった。
ただ、オリ-ブ油、アマニ油、ごま油、バタ-や脂肪を多く含む魚、さば、いわしなどを多く摂ることになりやはり食べにくかった。
なにの影響かはわからないがクレアチニンは
1.36から1.27に低下している。

三か月後10月に再度検査を受けることになっています。その時まで、たんぱく質を減らした脂肪量を多くするこの方法を続けようと考えています。

糖質制限を続けて12年となります。12年前糖質制限を始めた時、高雄病院で数回診察指導を受けその後問題なく12年を過ごすことができました。
もし、糖質制限続行不可となった場合には、薬を併用するなどして、糖質量を増やさざるを得ないかもしれません。その時はまた高雄病院で診察していただきたいと思っています。
なお、腎臓の担当医は特に糖質制限に反対しているわけではありません。

よろしくお願いします。

名古屋・h
   
2022/07/19(Tue) 18:07 | URL | 名古屋・h | 【編集
Re: 夏目漱石の糖質制限医療
中嶋一雄 先生

コメント、ありがとうございます。

「1916年7月28日の、朝日新聞の連載小説「明暗」連載60回に、厳重食(当時)の光景が書かれてあります

この掲載日の7月28日を、『糖質制限医療の日』とするように提案します」


検討に値しますね。
2022/07/19(Tue) 18:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 腎障害と糖質制限食
名古屋・h さん

「① スーパ-糖質制限食において、糖質量は同じにして、たんぱく質量を60グラムに低下させ、全体で1800カロリ-となるよう脂肪量を増加させると、これはスーパ-糖質制限食の範疇にはいるでしょうか?
② ①の方法は健康上何か障害がでるでしょうか?」


小児難治性てんかんの「ケトン食」に近くなりますね。
そうすると、スーパー糖質制限食よりは、少し副作用は多くなると思います。

「シスタチンC1.0(シスタチンC1.0(eGFR67.5)67.5)」

シスタチンCのほうが、クレアチニンより信頼度が高い検査であり、eGFRが60以上あるので、
スーパー糖質制限食実践してOKです。

そして、GFR60未満のときは、医師と相談が必要ということで、適応外ということではありません。
2022/07/19(Tue) 18:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
回答ありがとうございました。
腎機能はOKとのことなので、糖質制限食を継続します。
ただ、担当医はたんぱく質を減らせと言われるので、やや少なめにして過ごし、三か月後の検査を待ちたいと思います。

名古屋・h
2022/07/20(Wed) 09:38 | URL | 名古屋・h | 【編集
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