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アニサキス症とアニサキスアレルギー②
こんにちは。
今回の記事は前回の続きで
アニサキス症とアニサキスアレルギー②です。
まずは、魚を食べて生じるアレルギーの全体像です。

<魚を食べて生じるアレルギー>
①魚自体のアレルギー  
②ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”  
③アニサキスアレルギー 

魚を食べて生じるアレルギーには、上記の3つのタイプがあります。
このうち一番多いのが③のアニサキスアレルギーです。
また、②のヒスタミン中毒の場合は、抗原抗体反応が関与していないので、
厳密にはアレルギーではありません。
①の魚アレルギーを起こしやすいのは、
魚の筋肉に含まれた『パルブアルブミン』という蛋白質です。

<アニサキスアレルギー>
魚を食べて蕁麻疹や口唇のピリピリ感などがでたことがある人は、かなりおられると思います。こんな時は、この魚はアレルギーがでるので自分には合わないと、普通は思います。まあ、上記①のパターンと思うわけですね。
しかし、実態として、一番多いのは、実はアニサキスアレルギーなのです。
蕁麻疹、発熱、頭痛、顔や体の紅潮、口唇のピリピリ感、ひどければ、
アナフィラキシーショックなどの様々なアレルギー症状が出現します。
これらは1型アレルギーで、IgE抗体が関与して、抗原抗体反応により、
ヒスタミンが遊離されてアレルギー症状がでます。

前日のブログで解説した「アニサキス症」に第一回目に罹患した時に、
「感作」されると、第二回目にアニサキスのタンパク成分を保有する魚を食べるとアニサキスアレルギーを発症します。
感作されていなければ、アニサキスアレルギーは生じません。
感作というのは、特定の抗原(アレルゲン)に対して過敏状態になることです。
アレルゲンは、基本的にタンパク質成分です。
アニサキスは死んでいても、タンパク成分が魚の筋肉に
残っていれば、アレルギー反応を生じるわけです。
現在アレルゲンとして、
アニサキスの16種類のタンパク成分がわかっています。
このアニサキスの抗原は、熱にも凍結にも強いものがあります。
これらのアレルゲンに対するアレルギー反応は、個人差が大きいです。
極端に言えば、1人1人皆、それぞれ反応は異なると考えられます。
アナフィラキシーショックまで起こす人は、まれとは思いますが、
アナフィラキシーショックは命に関わる病態なので、
魚を食べるときは、細心の注意が必要となります。

オキアミは、ほとんどの種類の魚の餌となっているので、
オキアミのもつアニサキスをほとんどの魚が保有していることとなります。

<症状の治療>
アニサキスアレルギーを発症したときは、
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を内服します。
症状が強ければ、ステロイド剤の内服や注射が必要となります。
アナフィラキシーショックで血圧低下のときは、
ボスミン0.3mlの筋注が一番有効です。

<予防・改善>
プーさんが、ご指摘のように
スーパー糖質制限食で、花粉症が治ったり改善したりした人は
大勢おられます。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息などアレルギーも関与する疾患も
スーパー糖質制限食で改善します。
このように、スーパー糖質制限食でアレルギーが改善した例は多いです。
アニサキスアレルギーの「予防・改善」に対しても
スーパー糖質制限食が有効である可能性は期待できると思います。


以下は、
厚生労働省のサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
より引用です

消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)


※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。


江部康二
コメント
御礼
先生ご無沙汰しております
久しぶりにのぞいてみましたら(すみません)自分の名がありちょっと人前で声をあげそうになりました

その後の経過ですが
アレルギーの数値は改善せず(むしろ一年後に上昇)
しかたなく青魚はやめております
しょうがない場面もありますがサバだけは決して口にしないようにしております
マグロとかは海洋で急速冷凍されていると思いますが一度も発症はありません
あとはサーモンもです

食べなくても何とかなるものですね
そろそろ秋刀魚位はとは思っておりますが今さらチャレンジする気がなくなってしまいました

何かしら面白い経過がご報告できるかと思っておりましたがこのような現状ですみません
今後もご指導よろしくお願いいたします
2022/07/21(Thu) 20:17 | URL | プーさん | 【編集
Re: 御礼
プーさん

コメントをありがとうございます。

なるほど、サバなどの青魚のアレルギーは
一旦なったら、簡単には解除できないようですね。

マグロとサーモンが食べられるなら、よしとしましょう。


2022/07/22(Fri) 15:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
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