FC2ブログ
アルツハイマー病と糖尿病
こんばんは。伊達に薄着をしたため、寒さにふるえながら京都の街を歩いた江部康二です。 (*_*)

といっても駐車場から徒歩1分で、高雄病院京都駅前診療所までなんですが・・・。

さて、糖尿病があるとアルツハイマー病になりやすいことがわかっています。

以下、今までの文献を参考に考察してみます。

アルツハイマー病の病理>
病理学的には脳組織の萎縮、大脳皮質の老人斑の出現がみられる。老人斑はベータアミロイドの沈着であることが明らかになっている。(ウィキペディア)

①九州大学の清原裕教授(環境医学)らによる久山町研究
「1985年時点で、神経疾患などを研究する米国立衛生研究所の研究機関の基準で認知症ではないと判断した65歳以上の826人を15年間にわたって追跡調査。その結果糖尿病やその予備群の人は、アルツハイマー病を発症するリスクが4.6倍高いことを報告」

②Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」

③Janson J等 Diabetes2004:53:474-481
アルツハイマー病の約80%に2型糖尿病あるいは耐糖能低下がみられる」

④神戸新聞 2008年11月8日
糖尿病の通院患者の半数以上に、「海馬傍回(かいばぼうかい)」と呼ばれる脳の部位が萎縮(いしゅく)するアルツハイマー病の初期症状がみられることが、加古川市内の病院に勤務する医師らの臨床研究で分かった。十五日から米国・ワシントンDCで開かれる北米神経科学会で発表される。」

⑤高齢者糖尿病の臨床 横野浩一 日老医誌 2007:44:572-574 
「肝臓などのインスリン分解酵素が末梢血液中のベータアミロイドを分解する。
インスリンはベータアミロイドの遊離を促進させ細胞内への蓄積を防ぐことが動物実験では報告されている。
高インスリン血症では脳内へのインスリン移行が、低下するため、脳内のインスリンの作用が低下して神経保護作用が減弱する。
高インスリン状態ではインスリン分解酵素がベータアミロイドを分解するのとインスリンを分解するのと競合するので、ベータアミロイドが血液中に残存しやすい。」


①の久山町研究によれば、糖尿病およびその予備軍はアルツハイマー病を発症する確率が4.6倍です。

②のRotterdam研究で興味深いのは高齢糖尿病患者で、脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は約2倍でほぼ一緒なのに、インスリン使用者だけが4.3倍と非常な高値を示していることです。

①②③④にて糖尿病があるとアルツハイマー病になりやすいことは間違いないようです。

②と⑤を合わせて考えると、外部からの注射であろうと内因性であろうと、高インスリン血症がインスリン分解酵素を消費して、ベータアミロイドを分解するのを邪魔するため、アルツハイマー病になりやすいというパターン仮説が一つあることは間違いないようです。

それでは、インスリン分泌能が既に低下している時期の糖尿人はどうなるのでしょう。

清原教授は「脳にたまってアルツハイマー病を引き起こすとされる物質(ベータアミロイド)は、インスリン分解酵素によって分解される。耐糖能異常の人はインスリンが少ない場合が多く、分解酵素も減るので、アルツハイマー病の危険性が高まる。」と仮説を述べておられます。こちらは単純にインスリン分解酵素が少ないので、ベータアミロイドが血液中に残存しやすいということですね。

「インスリン、インスリン分解酵素、ベータアミロイド」の3つのキーワードでここまで考察してきましたが、高血糖そのものによる代謝異常と認知症の関係はどうなのでしょう。

この問題に関しては、②のRotterdam研究が一定の参考になります。

糖尿病がない高齢者に比べたら、脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は約2倍ですので、糖尿病で高血糖があると両タイプの認知症に同等になりやすいと言えます。
一方、ことアルツハイマー型痴呆に関しては、インスリン使用者の相対危険度は4.3倍ですから、インスリンおよびインスリン分解酵素が大きく関与しているようです。

一方、コントロール良好の糖尿病でどうなのかは、疫学的調査がないので、よくわかりません。

しかし、他の合併症と同様糖尿病のコントロールが良好なら、アルツハイマー病にもなりにくいと予想されます。

また、糖質制限食なら人体の代謝全てが改善しますので、当然脳細胞の代謝もよくなりアルツハイマー病予防にも有効と思います。 (^_^)
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
アレルギー
最近気が付いたんですが 糖質制限していると体調いいんです。ちょっと外食などして糖が余分に体に入ると私の場合顔が赤ら顔になってかゆくなったりするんです 以前はずっと赤ら顔だったので 化粧品などにも負けやすくかぶれたりしやすい体質だったのですが糖質制限していると変わって来たようにおもいます 今日は何故か顔赤いなって考えると 外食してもちろん炭水化物などは取らないようにしててもドレッシングなど調味料が普段より多く体にはいるからかな?って自己分析で思っています 体重が5キロ減ってちょっと停滞気味・・・1ヵ月半になるけど これからどれくらい減っていくのかしら・・・
2008/11/10(Mon) 20:25 | URL | まる子 | 【編集
私も体調いいのですが…
 私も、糖質制限食で体調の改善を実感している一人です。 

 肌関係に関しては、糖を制限すると、江部先生の「お肌のコンディションが良くなりますよ。」とおっしゃる通り透明感を感じています。

 しかし!私の場合、この透明感を通り越して?眼の下がクマ気味な青白い顔色が多くなっています。睡眠もカロリーも充分なのに、私だけ?

 体重の停滞に関しては私もですよ!これは根くらべですね。たとえ100gだけでも減ったらいいかと気ィ長くあきらめず、お互い前向きに続けましょう!

2008/11/11(Tue) 00:03 | URL | めいりん | 【編集
No title
早速のご教授ありがとうございます。
参考になりました。
2008/11/11(Tue) 09:22 | URL | 会長 | 【編集
体調と体重
まる子さん、めいりんさん。

コメントありがとうございます。
糖質制限食により、ブドウ糖スパイクがなくなり、代謝全てが改善し安定していくので、体調はよくなります。

体重は当初よく減少しますが、自分なりの適切な体重になったあたりで、身体もケトン体をよく利用するようになり、尿中にはケトン体がでなくなります。
ここらでほどよく落ち着くと思います。
2008/11/11(Tue) 10:22 | URL | 江部康二 | 【編集
まだまだ・・
ここらで程よく 体重落ち着いてしまったら まだまだで~~~こまります  ただ37歳位からあっという間に太り始めて20年位この太った体重維持してきたので まあこっからは そんなに簡単に減らないかもとは最初から思ってました 大体停滞期があって そこから又すとーんっておちますからね それでも5キロ減っただけでも凄いから まだまだ要注意なので頑張ります きっと外食が続いたりしたら落ちにくくなるんでしょうね めいりんさん お互いに頑張りましょうね
2008/11/12(Wed) 18:18 | URL | まる子 | 【編集
糖質と脂質制限
糖質制限を開始して7ヶ月たち体重はまだ減り続けていますが18キロ落ちました以前コレステロールの件で質問させて頂いた者です、少し30程ですが下がりましたm(__)m今回胆嚢摘出手術を受け2~3ヶ月は脂質制限をしなければなりませんエネルギーは糖質から取りましょうと栄養指導されました…どうしたらよいのでしょうかw(゜o゜)w
2008/11/16(Sun) 10:37 | URL | ひさ | 【編集
胆のう摘出
ひささん。

減量成功おめでとうございます。

現在、炎症が活動していないならば
タンパク質中心で
少量から中等量の糖質と
少量から小中等量の脂質くらいで
大丈夫と思います。
脂質ゼロの必要はありません。
教科書的には、急性胆のう炎で脂質ゼロの食事ということではありませんので・・・
2008/11/16(Sun) 20:10 | URL | 江部康二 | 【編集
βアミロイド
なるおかさん。

βアミロイドはタンパク質です。
アルミニウムではありません。

アルツハイマー病は記憶にかかわる海馬や大脳皮質の部分に
βアミロイドが沈着することで神経細胞が死滅し、発症すると考えられています。

このβアミロイドは、「生活ゴミ」とも呼べるもので、正常脳においても定常的に合成され、分解されています。

分解過程が何らかの理由で阻害されると、脳内に沈着してしまうのですね。
2008/11/25(Tue) 12:10 | URL | 江部康二 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック