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人類と甘味料。蜂蜜と砂糖の歴史。
こんにちは。
我々糖質セイゲニスト一押しの甘味料と言えば、エリスリトールであり、血糖値も上げず、カロリーもゼロです。
安全性に関しても、
国連食糧農業機関(FAO)
のお墨付きであり、妊婦でも大丈夫です。
エリスリトールが主成分で、手に入りやすいのは、サラヤの「ラカントS」や味の素の「パルスイートカロリーゼロ」です。

一方、糖質セイゲニストでない人においては、砂糖蜂蜜などが一般的な甘味料です。
糖尿病の患者さんでも、メタボリックシンドロームの患者さんでも、そしてさまざまな生活習慣病の患者さんでも、
老若男女を問わず、甘党はかなりの割合でおられます。
かく言う私も、決して甘党ではないつもりで、日ごろ家人に「甘いものなんか要らないもんね」などと言ってはいるのですが、
コロナ禍前に、宴会で酔っぱらって帰宅した翌朝には、テーブルの上のチョコレートがきれいさっぱり無くなっていたりしますので(記憶にはないのですが……)、
大きなことは言えません。

そういうわけで、今回のブログ記事は、人類と甘味料について検討してみます。
紀元前6000年頃に描かれた、スペイン・アラーニャ洞窟の壁画には、蜂蜜を採集する人の姿が残っています。
その絵が示すように、人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜と言われています。
ちなみに蜂蜜に含まれる糖質は、果糖(約40%)、ブドウ糖(約35%)、ショ糖(スクロース、数%)です。

蜂が集めてきた花の蜜は主にショ糖なのですが、働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによってブドウ糖及び果糖へと変化し、
同時に水分が約20%にまで濃縮されます。 
果糖は血糖値をほとんど上げない糖質なのですが、中性脂肪に変わりやすい性質があるため、蜂蜜は太りやすい甘味料です。
一方で、ビタミンやミネラルの含有量が多く、その中には18種を超える有機酸が含まれていて「pH値は3.2-4.9」つまり酸性を示します。
しかし蜂蜜はカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどの体内に吸収されるとアルカリ性を示すミネラルが豊富なので、アルカリ性食品に分類されます。
ちなみに酸性を示すミネラルは、塩素、リン、硫黄などです。

蜂蜜以外の甘味料として、サトウキビ(甘藷<カンショ>)の搾り汁を煮詰めて精製した結晶、
いわゆる「白砂糖」を作り出すのに成功したのは、紀元前のインド人です。
インドの砂糖は、アレクサンダー大王(紀元前356年-323年)の東征により西方、現在の中東から欧州へと伝わりましたが、
庶民には高嶺の花、かなりの貴重品でした。
ですから長らく西洋でも日常の甘味料としては蜂蜜が唯一のものでした。 

中国では玄奘(三蔵法師)のインド行きがきっかけで、製糖法が伝わり、7世紀以降に砂糖生産が始まったとされています。
砂糖が日本に伝わったのは、奈良時代後期に鑑真が唐から渡来した折と言われています。
欧州、中国、日本いずれでも砂糖はずっと貴重品で、たしなむことができるのは貴族だけでした。

17世紀後半以降、砂糖は多量にかつ安価に生産できるようになります。
同時に、庶民にも解禁され、英国では紅茶にたっぷりの砂糖を入れることが一般的となりました。
世界に広がったその風習が、砂糖の過剰摂取につながり、英国のみならず世界中の肥満や糖尿病の元凶であると問題になっています。 

砂糖の大量生産の歴史は、カリブ海の西インド諸島に築かれた欧州各国の植民地で行われたサトウキビ栽培に端を発します。
欧州の白人が、西インド諸島に住んでいた人たちを奴隷として過酷な労働を強いた結果、現地の人口が激減します。
するとアフリカから黒人を奴隷として連れてきて働かせる、ということを行いました。
サトウキビ栽培の歴史は、奴隷制度の歴史そのものと言っても過言ではありません。

時がたち、徐々に奴隷制度廃止へと歴史が動きますが、
この辺の話題は「砂糖の歴史」(エリザベス・アボット著、樋口幸子訳、河出書房新社)という本に詳しく書かれていますので、
興味のある人にはお薦めです。
マニアックな大著ですので読むのに骨がおれますが……。
悲惨な歴史を経て、庶民の口にも入るようになった砂糖ですが、その主成分はショ糖で、ブドウ糖と果糖が結合したものです。
サトウキビのほか、サトウダイコン(甜菜<テンサイ>)からも作られます。
砂糖の中でもショ糖の純度の高いものがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、
ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけたもので、純度は97.8%です。

「転化糖」とは、ショ糖を加水分解してできたブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いものです。
意外かもしれませんが、天然のショ糖は大豆、大根、白菜、ネギ、ホウレンソウなどの野菜や、アーモンド、ピーナツなどのナッツ類にも少量含まれています。
植物が持つ天然のエネルギー源として、存在しているのでしょう。

料理をする人の間では、「ショ糖含有率が高い大豆がおいしい」と言われており、その一例が夏に枝豆として食べられる品種です。
中にはショ糖を100gあたり4.3gも含む品種もあります。
この時点で糖質量としては本醸造の清酒と同じくらいです。
もちろんかなり甘くておいしいと思いますが、ショ糖に加えて、でんぷんや麦芽糖も含まれているので糖質制限をしている人には
甘すぎる枝豆は、要注意の食材です。

米国では著述家、ウイリアム・ダフティが1975年「Sugar Blues(シュガー・ブルース)」(邦訳は「砂糖病(シュガー・ブルース)甘い麻薬の正体」)を著して、
砂糖の毒性、危険性を説きました。
以来、砂糖はことあるごとに悪者扱いされて、糖尿病はもちろんさまざまな病気の元凶と言われてきましたが、
私はあくまでもトータルの糖質摂取量が問題だと考えています。

結局、糖質であればもとが米でも麦でもサトウキビでも、血糖値を上昇させ、血糖変動幅を増大させ、代謝が乱れ、心理的にも不安定になるのです。
さまざまなミネラルを含み、栄養価が高い蜂蜜でも、ほぼ純粋なショ糖であるグラニュー糖でも、その事実には差はありません。


江部康二
コメント
人類が使う甘味の摂取量は、害毒だと解明された!!
都内河北 鈴木です。

本日の最後の江部先生言葉、『糖質・摂取量が、問題だと考えています!!』

私は、江部先生『糖質制限理論』を知り得てから、極力糖質摂取を控えて、
21年かの重症化する『糖尿病』から、
3ヵ月足らずで、インスリン増量3年半余りから、
インスリン自主離脱して、『生還』できた事実現実があります!!

日本近代史の『脚気・高木兼寛医師』、
『第2次世界大戦の玉砕したガダルカナル帰還兵の父親の食生活』の事を
江部先生の『糖質制限理論』が食生活の事だと、感動した事!!

実践翌日には、薬も服用していたこともあり『血糖値激減しました!!』

2日目からは、継続して
<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>の結果が出せました!!

*その改善効果は、まだまだあるかなと体感あります!!

だが『日本医療界』、『糖尿病・専門組織『日本糖尿病学会』は、
現在も江部先生『糖質制限理論』を受容していない事が、
疑問でなりません!!

私の<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>に疑問のある『日本医療界』の方は、公然の場で会話をしましょう!!

江部先生には、<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>でき、
更なる改善を期待できる状況で、10年目に生活できる事に、
感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2022/07/02(Sat) 20:47 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
甘い糖質、甘くない糖質
糖質制限を始めて5年目になり、甘いもを食べることは、ほぼありません。
元々、甘いものは好きな方でしたが、特に我慢しているわけでもなく、甘いものに対する欲求がなくなりましたし、食べても特に以前ほど美味しいとは思わなくなりました。ペットボトル飲料などは、糖質制限以来、一度も口にしていません。
ただ、甘くない糖質、要するに米や小麦などの炭水化物に対する欲求は、甘い糖質に対する欲求よりも強いような気がしますが、私だけでしょうか。特に私は小麦の欲求が強いようです。どちらかと言えば少しですが我慢している状態と言えます。甘いものの方が止めにくいと思っていましたが、これは意外でした。
甘くない糖質は、嗜好品と言うより食事で摂取することが多く、外食が強いられる場面では、炭水化物しか選択肢がない事も結構多くて困りますが、最近は、コンビニでも低糖質パンなどが入手できるようになり、利用することが多くなりました。大手のパンメーカーからもしっかりと低糖質の食パンなども販売されていてスーパーで買う事もできます。こういう製品でサンドイッチなどにして弁当にすれば1食15g以下の食事が作れます。
糖質制限がごく一般的になってきた事を実感しますし、周囲にも糖質制限と言う言葉を知らない人は皆無と言ってよいほどに浸透していますし、糖質過剰が健康を害する事は一般的な常識になりつつあると感じます。実際にしっかりと糖質制限している人、できている人はまだまだ少数ですが、プチ糖質制限くらいの人は確実に増えていると言う実感です。
2022/07/03(Sun) 09:26 | URL | 西村 典彦 | 【編集
Re: 甘い糖質、甘くない糖質
西村 典彦 さん

確かに、最近は、私達、糖質セイゲニストにとっては、
とても暮らしやすい日本となりました。

2005年に初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版したころとは、雲泥の差です。
ここ数年は、食品業界が「糖質制限食がビジネスになる」と明確に認識して
そこに注力していると感じます。
あの大手の山崎パンでさえも、糖質制限パンを発売しています。
糖質セイゲニストにとって良い時代となりましたが、当分続くと思います。
2022/07/03(Sun) 15:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
エリスリトールについて、気になる記事がでました。

カロリーゼロの甘味料、心臓発作や脳卒中リスク増大と関係 米研究 - CNN.co.jp
https://www.cnn.co.jp/fringe/35200613.html
2023/03/01(Wed) 14:04 | URL | 元メタボ | 【編集
Re: タイトルなし
元メタボ さん

エリスリトールは危険という論文が、一つ発表されたということです。
一方、過去数十年に渡って、エリスリトールの安全性を証明する論文は、極めて多数報告されています。
たった一つの論文でうろたえる必要はありません。
私は、今までも今後も、普通にエリスリトールを使用します。


糖類の分子に水素を添加することにより、アルコール基(-OH)をもつ糖質が得られますが、
これらを「糖アルコール」と言います。

虫歯菌に利用されないことと、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料としてよく使用されています。

代表的なものに、ソルビトール 、マルチトール 、エリスリトール 、ラクチトール 、キシリトール などがあります。

これらの糖アルコールは、天然素材を原料としており、分類としては合成甘味料には属しません。

国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、これらの糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。
妊婦にも大丈夫です。

糖アルコールの中で血糖値を全く上昇させないのは、唯一エリスリトールだけです。

他の糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上昇させますが、上昇幅には個人差があります。
2023/03/01(Wed) 18:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
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