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糖質摂取と食後の眠気。デブリンの生化学。
こんばんは。
2022年6月27日(月)のブログ記事で、食後の眠気について言及しました。

食後は眠気がきて当たり前と思っている人が多いと思います。
しかし、糖質セイゲニストは、食後の眠気はまずありません。
「糖質摂取と食後の眠気」に関してですが、いろんな仮説があります。
その中で、以前、T-akasakaさんから、デブリンの生化学の記述を、コメント頂きました。
ありがとうございます。

「血液脳関門を介する輸送に対して他のアミノ酸がトリプトファンと競合すると、
トリプトファンの利用率が減弱する。
糖質の催眠効果は、インスリンの遊離が促進され、
他のアミノ酸が同化作用により血液中濃度が低下することにより競合が緩和され、
脳内に入るトリプトファン量が増加することにより眠気を引き起こす」
原書7版 p990



トリプトファン (Tryptophan) はアミノ酸の一種で、
ヒトにおける9つの必須アミノ酸の内の1つです。

セロトニン・メラトニンといったホルモンの前駆体でもあります。

メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。
メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれています。

糖質摂取→インスリン多量分泌→トリプトファン以外のアミノ酸の骨格筋への取り込みと蛋白質合成促進→
トリプトファン以外の血中アミノ酸濃度低下→相対的に血中トリプトファン濃度上昇→
血液脳関門を通過するトリプトファン増加→脳内トリプトファン量増加→
セロトニン増加→メラトニン増加→眠気出現



インスリンは、骨格筋に作用して、
トリプトファン以外のアミノ酸の細胞内への取り込みを増加させて、
蛋白質合成を促進させます。

バリン、ロイシン、イソロイシンは、筋肉合成に関わる主要なアミノ酸ですが、
中でもロイシンの役割が重要です。

血中のトリプトファンは輸送体によって脳内に運ばれますが、
この輸送体はバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど
長鎖中性アミノ酸も輸送します。


インスリン分泌によりバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど
トリプトファン以外の長鎖中性アミノ酸が、
筋肉合成に使われて血中濃度が低下すれば、
相対的に血中トリプトファン濃度が上昇します。

このように、競合する他のアミノ酸が減少すると、
血液脳関門を通過するトリプトファンが増加して、睡眠ホルモンであるメラトニン産生が増えて、
眠気が出現することとなります。


江部康二
コメント
先生質問です。

https://melos.media/wellness/75646/

上記サイトには
「急激に上がった血糖値を減らそうとインスリンが過剰に分泌され、血糖値が一気に下がってしまいます。その結果、脳のエネルギー源であるグルコースの供給が減り、頭がボーッとしたり眠気を感じたりするのです」

こう説明されてますが、全く違うということですね。
2022/07/01(Fri) 08:32 | URL | 名無し | 【編集
Re: タイトルなし


名無し さん


「急激に上がった血糖値を減らそうとインスリンが過剰に分泌され、血糖値が一気に下がってしまいます。その結果、脳のエネルギー源であるグルコースの供給が減り、頭がボーッとしたり眠気を感じたりするのです」

これは、『機能性低血糖』の説明ですね。

機能性低血糖だと、眠気以外にも、以下のような多彩な症状がでます。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
2022/07/01(Fri) 17:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
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