2008年11月08日 (土)
こんばんは。今、午後5:25ですけどすっかり暗いです。
さて今回はxiangdaoさんからLDLコレステロールについてコメント・質問をいただきました。
『本日(11/7)の毎日新聞の朝刊に興味深い記事が有りました。
動脈硬化学会と脂質栄養学会との公開討論会の記事です。
記事によると、LDL-Cの140mg以下(動脈硬化学会基準)に対して、脂質栄養学会の大櫛陽一教授が異論を唱えておられます。
しかし、残念ながら酸化LDLには言及されておりません。
記事にする際に肝心な部分をカットされたのかもしれません。
是非、江部先生の解説をお願いいたします。
by xiangdao 2008/11/07 11:24 』
xiangdaoさん。いつもコメントありがとうございます。
その記事ですが、私は、10月28日の京都新聞で見ました。
LDLコレステロール値に関して、2007年の日本動脈硬化学会のガイドラインでは、140mg/dl以上を脂質異常症としています。
これに対して、東海大学医学部の大櫛陽一教授が、全国約70万人の健康診断のデータを基に調べた結果、LDLコレステロールの正常範囲は190mg/dl未満とすべきで、この値は、米国の基準と一致するとの見解を述べておられます。
この問題について、日本脂質栄養学会が主催で、2008年9月7日に大阪市で「コレステロールを多方面から考える」-日本動脈硬化学会との合同シンポジウム-が開催されました。
パネリストとして、日本動脈硬化学会の指針を取りまとめた帝京大の寺本民生教授、東海大の大櫛陽一教授等が参加されました。
寺本教授は、大櫛教授の指摘を認めた上で「LDLコレステロールの数値が低くても糖尿病や喫煙など、ほかの危険因子をもっている人がいる。薬物療法を始める基準ではなく、そうした患者を抽出するための基準だ。」と説明されたそうです。
一方、大櫛教授は、「今の基準は科学的でない。指針が55才以上の女性は脂質異常症の危険が高まるとしているのも、欧米の常識に反する。患者抽出が目的だというが、現実には薬物療法の基準として使われている。」と批判されたとのことです。
「LDLコレステロールが増加すると動脈硬化が起こり、心筋梗塞などのリスクとなる。」というのが日本動脈硬化学会の見解です。
しかし、日本より約3倍心筋梗塞死の多い米国でさえ、190mg以上という基準値なのに、心筋梗塞の少ない日本が140mgというのは、どう考えてもおかしいと私は思います。
また、大櫛教授の仰るように、欧米では、女性はコレステロールを低下させる薬は飲まず、服薬しているのはほとんど男性(心筋梗塞が多い)です。
日本では、コレステロール低下剤を服薬しているのは、女性の方がはるかに多く、これも欧米の常識とは正反対で奇っ怪な現象です。?(゚_。)?
大櫛教授ご指摘のごとく「現実には薬物療法の基準として使われている」という証拠ですね。
コレステロール値を下げる薬は、年間数千億円レベルの売り上げで、製薬会社のドル箱です。日本の基準が140mgから欧米並みに190mgに変わっただけで2000億から3000億の医療費が減ります。
残念ながら、厚生労働省の役人が天下りした製薬会社と、一部の権力を持った大学教授などの癒着が、日本の異常に厳格な基準の元凶の可能性が高いと言わざるを得ません。(`-´)゛
ブログ読者の皆さん、お医者さんの言うことでも鵜呑みにせずに、しっかり自分考えて治療の選択をして下さいね。
なお、酸化LDLや小粒子LDLは最先端の研究領域なので、疫学的なデータが充分蓄積されるまでは標準としてのガイドラインにはまだまだ載らないと思います。
江部康二
さて今回はxiangdaoさんからLDLコレステロールについてコメント・質問をいただきました。
『本日(11/7)の毎日新聞の朝刊に興味深い記事が有りました。
動脈硬化学会と脂質栄養学会との公開討論会の記事です。
記事によると、LDL-Cの140mg以下(動脈硬化学会基準)に対して、脂質栄養学会の大櫛陽一教授が異論を唱えておられます。
しかし、残念ながら酸化LDLには言及されておりません。
記事にする際に肝心な部分をカットされたのかもしれません。
是非、江部先生の解説をお願いいたします。
by xiangdao 2008/11/07 11:24 』
xiangdaoさん。いつもコメントありがとうございます。
その記事ですが、私は、10月28日の京都新聞で見ました。
LDLコレステロール値に関して、2007年の日本動脈硬化学会のガイドラインでは、140mg/dl以上を脂質異常症としています。
これに対して、東海大学医学部の大櫛陽一教授が、全国約70万人の健康診断のデータを基に調べた結果、LDLコレステロールの正常範囲は190mg/dl未満とすべきで、この値は、米国の基準と一致するとの見解を述べておられます。
この問題について、日本脂質栄養学会が主催で、2008年9月7日に大阪市で「コレステロールを多方面から考える」-日本動脈硬化学会との合同シンポジウム-が開催されました。
パネリストとして、日本動脈硬化学会の指針を取りまとめた帝京大の寺本民生教授、東海大の大櫛陽一教授等が参加されました。
寺本教授は、大櫛教授の指摘を認めた上で「LDLコレステロールの数値が低くても糖尿病や喫煙など、ほかの危険因子をもっている人がいる。薬物療法を始める基準ではなく、そうした患者を抽出するための基準だ。」と説明されたそうです。
一方、大櫛教授は、「今の基準は科学的でない。指針が55才以上の女性は脂質異常症の危険が高まるとしているのも、欧米の常識に反する。患者抽出が目的だというが、現実には薬物療法の基準として使われている。」と批判されたとのことです。
「LDLコレステロールが増加すると動脈硬化が起こり、心筋梗塞などのリスクとなる。」というのが日本動脈硬化学会の見解です。
しかし、日本より約3倍心筋梗塞死の多い米国でさえ、190mg以上という基準値なのに、心筋梗塞の少ない日本が140mgというのは、どう考えてもおかしいと私は思います。
また、大櫛教授の仰るように、欧米では、女性はコレステロールを低下させる薬は飲まず、服薬しているのはほとんど男性(心筋梗塞が多い)です。
日本では、コレステロール低下剤を服薬しているのは、女性の方がはるかに多く、これも欧米の常識とは正反対で奇っ怪な現象です。?(゚_。)?
大櫛教授ご指摘のごとく「現実には薬物療法の基準として使われている」という証拠ですね。
コレステロール値を下げる薬は、年間数千億円レベルの売り上げで、製薬会社のドル箱です。日本の基準が140mgから欧米並みに190mgに変わっただけで2000億から3000億の医療費が減ります。
残念ながら、厚生労働省の役人が天下りした製薬会社と、一部の権力を持った大学教授などの癒着が、日本の異常に厳格な基準の元凶の可能性が高いと言わざるを得ません。(`-´)゛
ブログ読者の皆さん、お医者さんの言うことでも鵜呑みにせずに、しっかり自分考えて治療の選択をして下さいね。
なお、酸化LDLや小粒子LDLは最先端の研究領域なので、疫学的なデータが充分蓄積されるまでは標準としてのガイドラインにはまだまだ載らないと思います。
江部康二
普段は 糖質制限食を守り 食生活に気をつけていますので HbA1cの数値が 9.2→7.2まで落ちたのだと思います これも江部先生のブログにたどり着き 糖質制限食を教えていただいたからです 今回 自己血糖値測定器を購入したので 普通に食事をしたらどうなるんだろうと思い いつもは絶対食べないラーメンや白米を食べてみました 現在糖質制限食と運動療法で 月に1回の病院での検査は良好です 担当の先生も今のままで良いでしょうとおっしゃってます 勉強不足で申し訳ありませんが 先生のおっしゃるグルコバイやグルファストの併用って何ですか?薬を飲むってことでしょうか 本当に無知ですみません
23日の福岡講演行かせていただきます 江部先生の講演楽しみにしております
23日の福岡講演行かせていただきます 江部先生の講演楽しみにしております
2008/11/08(Sat) 20:45 | URL | こころ | 【編集】
江部先生おはようございます。
ゆうです。
シナモンパンの食感は見事なものでした。味は、いっしょに買ったメロンパンの方が好みかな。あとはもう少し価格が安ければ満点です。
さて、私自身スーパー糖質制限食を初めて早や4か月目となり、体重は16キロ減、HbA1C5,5%と良好なのですが、あまりにも急激に痩せたため血糖値が正常な人から同じ方法をダイエットとして試していいものかよく問われます。こんなときはどのように応えたら良いのでしょうか?一説によると正常な人が糖質制限を行い、その後やめた時体重がリバウンドしやくすなってしまうという話もききました。
お時間のあるときでかまいませんのでどうぞ宜しくお願いいたします。
ゆうです。
シナモンパンの食感は見事なものでした。味は、いっしょに買ったメロンパンの方が好みかな。あとはもう少し価格が安ければ満点です。
さて、私自身スーパー糖質制限食を初めて早や4か月目となり、体重は16キロ減、HbA1C5,5%と良好なのですが、あまりにも急激に痩せたため血糖値が正常な人から同じ方法をダイエットとして試していいものかよく問われます。こんなときはどのように応えたら良いのでしょうか?一説によると正常な人が糖質制限を行い、その後やめた時体重がリバウンドしやくすなってしまうという話もききました。
お時間のあるときでかまいませんのでどうぞ宜しくお願いいたします。
2008/11/09(Sun) 06:56 | URL | ゆう | 【編集】
江部さん
はじめまして。たまたまブログの記事を読みました。少し酔っていましたが、読んで完全にさめました。
脂質の値について、あなたはいつの時代の話をしているのでしょうか?
心筋梗塞が日本人で少ない…あきれます。
心筋梗塞が多くなってから減らせば良いのですか?
動脈硬化予防ガイドラインは何のためにあるのですか?
予防、未然に防ぐために適切な医療を患者に与えなければなりません。
一度イベントを起こして、フォローするような時代ではありません。
喫煙、高血圧、加齢、家族歴、これらはすべてリスクです。
the lower,the better、世界中のメガスタディでわかっているはずです。
もう一度勉強してください。あなたが考えるより医療はずっと先をいっています。
はじめまして。たまたまブログの記事を読みました。少し酔っていましたが、読んで完全にさめました。
脂質の値について、あなたはいつの時代の話をしているのでしょうか?
心筋梗塞が日本人で少ない…あきれます。
心筋梗塞が多くなってから減らせば良いのですか?
動脈硬化予防ガイドラインは何のためにあるのですか?
予防、未然に防ぐために適切な医療を患者に与えなければなりません。
一度イベントを起こして、フォローするような時代ではありません。
喫煙、高血圧、加齢、家族歴、これらはすべてリスクです。
the lower,the better、世界中のメガスタディでわかっているはずです。
もう一度勉強してください。あなたが考えるより医療はずっと先をいっています。
2010/08/15(Sun) 22:24 | URL | 2型 | 【編集】
2型 さん。
日本脂質栄養学会の先生方のご意見も、最新のエビデンスに基づく、一つの見識です。
日本動脈硬化学会のガイドラインも患者さんのためだけならいいのですが、
製薬会社との癒着も懸念されます。
「the lower,the better、世界中のメガスタディでわかっているはずです。」
最新の論文では、これにも疑問が呈されています。
2型さんも、ガイドラインを鵜呑みにするのではなく、ご自身の眼で虚心坦懐に検討していただけば幸いです。
2009年12月17日 (木) のブログ「コレステロールへの日本脂質栄養学会セミナーでの見解」もご参照頂けばさいわいです。
日本脂質栄養学会の先生方のご意見も、最新のエビデンスに基づく、一つの見識です。
日本動脈硬化学会のガイドラインも患者さんのためだけならいいのですが、
製薬会社との癒着も懸念されます。
「the lower,the better、世界中のメガスタディでわかっているはずです。」
最新の論文では、これにも疑問が呈されています。
2型さんも、ガイドラインを鵜呑みにするのではなく、ご自身の眼で虚心坦懐に検討していただけば幸いです。
2009年12月17日 (木) のブログ「コレステロールへの日本脂質栄養学会セミナーでの見解」もご参照頂けばさいわいです。
2010/08/16(Mon) 15:35 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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