2022年06月19日 (日)
こんにちは。
今回は、
「インスリン、インスリン抵抗性。リポタンパクリパーゼ、ホルモン感受性リパーゼ、中性脂肪、」
などのお話しです。
筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、
リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。
毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が、
血中のキロミクロンやV-LDLの積み荷の中性脂肪を、
脂肪酸とモノグリセリドに分解して、
筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませてエネルギー源として利用させます。
脂肪細胞の中では、リポ蛋白リパーゼによって分解されて取り込まれた脂肪酸は、
余剰のものは中性脂肪に再合成して蓄えます。
リポ蛋白リパーゼは脂肪細胞内の中性脂肪貯蔵を促進する方向に働きます。
ホルモン感受性リパーゼ(HSL)は、脂肪細胞内に存在して、トリグリセリドを、遊離脂肪酸とモノグリセリドとに分解し、遊離脂肪酸を、血液中に、放出させます。(HSLは、脂肪細胞の中性脂肪分解を促進します。)
インスリンは、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の活性をは、低下させます(脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制します)。
健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通におかずで脂質も摂取したと仮定します。
糖質摂取で血糖値が上昇して、
追加分泌インスリンが大量にでます。
脂質摂取でキロミクロン(積み荷は中性脂肪)も出現します。
インスリンは、
A)筋肉細胞毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)を抑制します。
B)脂肪細胞毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化します。
筋肉細胞の毛細血管壁では、
インスリンによりリポタンパクリパーゼ(LPL)が抑制されるので、
血中の脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使えなくなるので、
もっぱらブドウ糖を利用します。
それで血糖値は下がります。
一方、脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)は、
インスリンにより活性化されるので、
血中の中性脂肪を脂肪酸とモノグリセリドにどんどん分解します。
分解された脂肪酸は脂肪細胞に取り込まれてエネルギー源として利用されますが、
余剰のものは、中性脂肪に再合成して脂肪細胞に蓄えます。
このようにして、食事由来の血液中の中性脂肪は、
徐々に基準値に下がります。
健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人は、
このように、糖質や脂質を食べても血糖値も正常にコンロトールされますし、
中性脂肪値も空腹時には基準値内に戻ります。
一方、肥満などでインスリン抵抗性がある人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。
インスリン抵抗性の本質は、何らかの理由で、
「生理的なインスリン濃度では、インスリン本来の作用が発揮できないこと」
とされています。
インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。
インスリン抵抗性があると、生理的なインスリン濃度では、
脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が充分に活性化されず、
血中の中性脂肪は分解されにくい状況であり、
脂肪細胞内にそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。
それでキロミクロンの積み荷の中性脂肪は減りません。
そして、脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、
肝臓に過剰に供給されます。
肝臓でもインスリン抵抗性があり、
過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、
VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。
肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、
インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。
一方、筋肉細胞にもインスリン抵抗性はあり、
血糖値を取り込みにくくなっていますが、
追加分泌インスリンにより
筋肉の毛細血管壁の中のリポタンパクリパーゼ(LPL)は抑制されます。
糖尿病になっていない段階なら、
筋肉細胞は脂肪酸を取り込めない代わりに、
ブドウ糖を取り込んで血糖値は下がりますが、
中性脂肪は分解されず血中に残ります。
このようにインスリン抵抗性がある人が、
<糖質+脂質>を摂取すれば、
食事由来のキロミクロンと肝臓由来のVLDLの両方で
血中の中性脂肪が高値となります。
この場合、食後高中性脂肪血症は遷延して、
空腹時中性脂肪値も高値となることが多いです。
インスリン抵抗性がある人でも、
スーパー糖質制限食を摂取した時は、
追加分泌インスリンは極少量しか出ません。
従いまして、筋肉中のリポタンパクリパーゼは、
食中・食後もよく働いて
キロミクロンの中性脂肪を分解して筋肉細胞に取り込みます。
そして血中の中性脂肪値は減少するわけです。 (^^)
いやはや食後脂質代謝は、なかなか複雑で難しいです。
あるていど自分に理解できたことを説明してみましたが、
まだまだ不十分と思います。(・・?)
江部康二
今回は、
「インスリン、インスリン抵抗性。リポタンパクリパーゼ、ホルモン感受性リパーゼ、中性脂肪、」
などのお話しです。
筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、
リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。
毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が、
血中のキロミクロンやV-LDLの積み荷の中性脂肪を、
脂肪酸とモノグリセリドに分解して、
筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませてエネルギー源として利用させます。
脂肪細胞の中では、リポ蛋白リパーゼによって分解されて取り込まれた脂肪酸は、
余剰のものは中性脂肪に再合成して蓄えます。
リポ蛋白リパーゼは脂肪細胞内の中性脂肪貯蔵を促進する方向に働きます。
ホルモン感受性リパーゼ(HSL)は、脂肪細胞内に存在して、トリグリセリドを、遊離脂肪酸とモノグリセリドとに分解し、遊離脂肪酸を、血液中に、放出させます。(HSLは、脂肪細胞の中性脂肪分解を促進します。)
インスリンは、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の活性をは、低下させます(脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制します)。
健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通におかずで脂質も摂取したと仮定します。
糖質摂取で血糖値が上昇して、
追加分泌インスリンが大量にでます。
脂質摂取でキロミクロン(積み荷は中性脂肪)も出現します。
インスリンは、
A)筋肉細胞毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)を抑制します。
B)脂肪細胞毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化します。
筋肉細胞の毛細血管壁では、
インスリンによりリポタンパクリパーゼ(LPL)が抑制されるので、
血中の脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使えなくなるので、
もっぱらブドウ糖を利用します。
それで血糖値は下がります。
一方、脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)は、
インスリンにより活性化されるので、
血中の中性脂肪を脂肪酸とモノグリセリドにどんどん分解します。
分解された脂肪酸は脂肪細胞に取り込まれてエネルギー源として利用されますが、
余剰のものは、中性脂肪に再合成して脂肪細胞に蓄えます。
このようにして、食事由来の血液中の中性脂肪は、
徐々に基準値に下がります。
健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人は、
このように、糖質や脂質を食べても血糖値も正常にコンロトールされますし、
中性脂肪値も空腹時には基準値内に戻ります。
一方、肥満などでインスリン抵抗性がある人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。
インスリン抵抗性の本質は、何らかの理由で、
「生理的なインスリン濃度では、インスリン本来の作用が発揮できないこと」
とされています。
インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。
インスリン抵抗性があると、生理的なインスリン濃度では、
脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が充分に活性化されず、
血中の中性脂肪は分解されにくい状況であり、
脂肪細胞内にそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。
それでキロミクロンの積み荷の中性脂肪は減りません。
そして、脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、
肝臓に過剰に供給されます。
肝臓でもインスリン抵抗性があり、
過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、
VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。
肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、
インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。
一方、筋肉細胞にもインスリン抵抗性はあり、
血糖値を取り込みにくくなっていますが、
追加分泌インスリンにより
筋肉の毛細血管壁の中のリポタンパクリパーゼ(LPL)は抑制されます。
糖尿病になっていない段階なら、
筋肉細胞は脂肪酸を取り込めない代わりに、
ブドウ糖を取り込んで血糖値は下がりますが、
中性脂肪は分解されず血中に残ります。
このようにインスリン抵抗性がある人が、
<糖質+脂質>を摂取すれば、
食事由来のキロミクロンと肝臓由来のVLDLの両方で
血中の中性脂肪が高値となります。
この場合、食後高中性脂肪血症は遷延して、
空腹時中性脂肪値も高値となることが多いです。
インスリン抵抗性がある人でも、
スーパー糖質制限食を摂取した時は、
追加分泌インスリンは極少量しか出ません。
従いまして、筋肉中のリポタンパクリパーゼは、
食中・食後もよく働いて
キロミクロンの中性脂肪を分解して筋肉細胞に取り込みます。
そして血中の中性脂肪値は減少するわけです。 (^^)
いやはや食後脂質代謝は、なかなか複雑で難しいです。
あるていど自分に理解できたことを説明してみましたが、
まだまだ不十分と思います。(・・?)
江部康二
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