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糖質制限食と塩分摂取。
こんばんは。
今回は、糖質制限食と塩分摂取について考えてみます。

 インスリンは、交感神経を活性化させたり、腎臓でナトリウムの再吸収を促進させます。
ナトリウムと共に水分も再吸収されるので、高血圧の要因となります。
糖質ありの普通の食事をしていると過剰のインスリンが分泌されるので
浮腫みやすく血圧も上昇しやすくなります。

スーパー糖質制限食を実践すると、インスリン分泌が必要最小限に減るので
ナトリウムと水分は腎臓から排泄される方向にシフトします。
スーパー糖質制限食を開始して、2~3日で、2kgくらい体重が減少しますが
これは脂肪が燃えたのではなく水分の移動です。

糖質制限と共に『塩分制限』もしてしまうと、
摂取エネルギーは充分量であっても、
身体の塩分が不足することがあります。
こうなると、だるくなったり、ぼーっとしたり、頭重・頭痛があったり、
ぼんやりしたり、動きが鈍くなったりします。

過去の記事で、
「スーパー糖質制限食で血糖値は改善し体重も改善したが、
身体がだるかったり、動きが悪くなったりした。」
というような訴えがあったら
ほとんどが、『摂取エネルギー不足』であると説明してきました。

しかしながら、摂取エネルギーは明らかに充分であるにもかかわらず、
同様の訴えをする人が散見されるという実態があります。
このようなケースは、『塩分不足』の可能性が高いと思われます。

私自身、以前、塩分制限実験をしたことがあります。
摂取カロリーは普通にして、厳格な塩分制限食(味はほとんどないです)にしたら
ぼーとしてだるくなって集中力が低下しました。

このように考察してくると
糖質制限食実践の場合は、塩分制限は必要ないです。

また、とくにスーパー糖質制限食実践の場合は
『水分・塩分』が排泄されやすくなるので
しっかり水分補給して塩分も普通に摂るほうが良いです。


江部康二
コメント
糖質制限でも慢性腎臓病の場合の塩分制限は
江部先生

いつもお世話になっております。
7月16日検査で、慢性腎臓病 G3bA1 腎硬化症との診断を受けました。私は年齢80歳、男性です。

クレアチニン 1.36 (eGFR 39.4)
シスタチンC  1.0 (GFR  67.5)

クレアチニンから上述の診断になったと思いますがシスタチンCはほぼ正常に近い値です。
尿検査でも異常はありません。
1か月後に、1日の尿全量を摂って持って行くとともに再検査をすることになっています。

この1か月間、食塩摂取量を6グラム/日にするよう指示を受けています。
先生には糖質制限を実施中であることは伝えており、検査数値の中に、HbA1c 5.7 血糖135(食後2時間)もでています。
この時測定した摂取食塩量(随時尿)は9.9グラム/日となっていました。
17日以後、食塩6グラム/日を目指していますがなかなか難しく、努力しても7~8グラムとなってしまいます。

当方の腎臓内科の先生が、糖質制限と食塩の関係についてどれほどの知見をお持ちかは判りません。

かかる状況で、次の検査までの1か月、やはり食塩は6グラム/日を目指すべきでしょうか?


江部先生の言われる普通の塩分量を摂るべきでしょうか?
普通の塩分量とは具体的に何グラム/日でしょうか?

よろしくお願いいたします。

名古屋・h
2022/06/19(Sun) 11:50 | URL | 名古屋・h | 【編集
チップがうってない
私は糖尿病ではありませんが、健康のために血糖値計ろうと思い、テルモの測定器買いましたがチップがどこにもなく、調剤薬局で聞いても何ですかそれと言われて取り寄せてもくれません。一体どこで買えば良いのか、使えない測定器を見ながら考える毎日です。
2022/06/19(Sun) 11:54 | URL | たろう | 【編集
Re: 糖質制限でも慢性腎臓病の場合の塩分制限は
名古屋・h さん

クレアチニン 1.36 (eGFR 39.4)
シスタチンC  1.0 (GFR  67.5)


私は、シスタチンCのほうが、クレアチニンより信頼度の高い腎機能検査と考えています。
したがって、名古屋・h さんは、腎障害ではなく、正常と思います。

<食塩6グラム/日>
の実践は、極めて困難で、食べるものがなくなります。
塩分は、今まで通りで良いと思います。

ドクターに
「シスタチンCのほうが腎機能に関して、クレアチニンより信頼度が高いと言う医師もいますが、如何でしょう?」
と質問してみましょう。
2022/06/19(Sun) 13:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: チップがうってない
たろう さん

チップ・・・正確にはセンサーです。
大手の「ダックス」や「マツモトキヨシ」なら
きっと、テルモのセンサーおいてあると思います。

2022/06/19(Sun) 13:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
早速回答ありがとうございました。
江部先生

腎障害はなく、正常とのことなので安心しました。
次回の診察で、シスタチンCのほうが信頼度が高いと言われる医師がおられることを伝えて、よく確認します。

塩分については従来通り(10グラム~/日ほどと思う)摂りたいと思います。

ありがとうございました。

名古屋・h
2022/06/19(Sun) 16:48 | URL | 名古屋・h | 【編集
江部先生こんにちは。
糖質制限中の私は、尿酸値が7mg/dL前後と高めです。
尿酸値が高い場合、それを下げるために多めの水分補給、可能なら2L必要などと医師に指摘されます。
そこで、水分補給と血糖値の関係です。
ただでさえ水分補給が必要な糖尿病人は、より多くの水分補給により、血糖値を下げる効果は現実的にはあるのでしょうか。
2022/06/22(Wed) 15:29 | URL | まー | 【編集
Re: タイトルなし
まー さん

水はいくら飲んでも、血糖値に影響はありません。
2022/06/22(Wed) 16:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限をしていて塩分制限をすると「ぼーとしてだるくなって集中力が低下」するとのことですが、これは糖質制限ではインスリン分泌が少ないために腎臓でナトリウムが再吸収されずにナトリウム不足になるからですか?

狩猟・採集時代というのは糖質制限食だったと思います。当時すでに「塩」を用いて調理していたのでしょうか?
古来のマサイ族はほぼ牛乳のみで生活していたそうです。低塩分でも問題なかったのは、牛乳にはそれなりに糖質が含まれているからでしょうか?

少し不思議に思ったので、質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。
2022/07/03(Sun) 23:00 | URL | citizeness | 【編集
Re: タイトルなし
citizeness さん

<人類と塩分>
興味深い話題ですので、
明日、記事に取り上げようと思います。
2022/07/04(Mon) 17:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
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