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血糖自己測定(SMBG)器の精度と誤差。糖尿人でなくても測定を。
こんにちは。
血糖自己測定器ですが、
私自身は、ニプロの『フリースタイルフリーダムライト』を
使用しています。
高雄病院の患者さんも、多くの人が同一機種です。

自己血糖測定器の指先の採血は、毛細血管血の値です。
病院で採血する血糖値は、静脈の血です。

動脈血>毛細血管血>静脈血

の順番で血糖値は少し高値となります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、
消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。
通常、特に食後においては、
動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。

病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。
一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。

即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、
病院の静脈血より高値となることがありります。

また、病院や検査機関の検査機器に比べると、
簡易血糖自己測定器の誤差は、かなり大きいです。

センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、
メーカーの言う20%程度の誤差は、
仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)

例えば、江部康二のある日の午前8時半の、
空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、
びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、30分後の午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、
微生物研究所に検査を依頼しました。
その結果は100mg/dlでした。
毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。

また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、
病院のデータと比較することがあります。
誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、
やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。

そういったことを承知の上で、上手に使えば、おおいに役に立つと思いますよ。
まあ、早朝空腹時血糖値は比較的安定してますし、
食前・食後血糖値の差を見るのには少々の誤差は問題ないと思います。

例えば、脂の乗った牛ロースステーキ200g(1000kcal)を食べても
食後血糖値は3mg未満しか上昇しませんが、
白ご飯1膳(150g)食べたら、食後血糖値は160mg以上上昇します。
(1gの糖質が体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます)

こういった、通常はお医者さんが教えてくれないような生理学的事実が、
自分で確かめられるのは大きな利点といえます。

“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。

食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる
血糖自己測定
ですが、どんどん進歩して、
4~5秒程度の時間で、以前より少量の血液(0.3μL~0.6μL)で測定でき、
かなり便利になりました。
以前は、採血量が3μL必要で、測定結果も30秒必要でした。

「SMBGをすると、それ以前に比べてHbA1cが0.5%下がった」という米国の報告もあるようですので
糖尿人必須のアイテムかもしれませんね。 (^^)

いろんなメーカーが血糖自己測定器を発売していますが
痛くなくて早くてエラーがなく、使いやすいのは

ニプロフリースタイルフリーダム
アキュチェックアビバ
グルテストNEO
テルモメディセーフフィット

あたりかなと思います。
精度・誤差は、これらのメーカーにおいては、結局約20%となります。
これらに比し、韓国製のものは、調べた範囲では、
残念ながら誤差が大きいように思います。

1 痛くない
採血量が以前の機種が3μL必要なのに対して、

ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μL
アキュチェックアビバ、グルテストNEOは0.6μL

と少ないです。これくらいの量だと、針で刺した皮膚の穴も小さくてすむので、
痛くないのです。

また、ほとんどの機種が指先からの採血なのですが、
ニプロフリースタイルフリーダムは、
指先以外に、手掌、前腕、上腕、太股、ふくらはぎでもOKです。
指先を使う仕事の人にはアドバンテージですね。

アキュチェックアビバ、ワンタッチウルトラも、
指頭だけでなく手掌でも測定できます。その分、採血時の痛みはほとんど無いです。

私自身の経験では、指先はやはり敏感な部位ですので、たまに痛いことがあります。
とくに3μL必要な旧型アセンシア・ブリーズではやや痛かったです。

最も簡単なのは手掌で、穿刺器具の針の深さは1(1~5まであります)と一番浅くして、外套を軽く押し込んで穿刺し、もう一回外套を軽く押して血液をしぼります。
ニプロフリースタイルフリーダムはこれで大丈夫です。

2 早い
ニプロフリースタイルフリーダムとアキュチェックアビバは測定時間4~5秒と、
おそらく全機種中最短です。
グルテストNEOも5.5秒で、ほとんど遜色なしですね。

3 エラーがない
やはり、採血量が少ないほどエラーも出ないと思います。
私もアセンシア・ブリーズのときは3μL必要なので、
検体量が足らない時にエラーがでました。
その意味では、ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μLで最小の検体量ですね。


上述の特徴を参考にしていただいて、適宜選んでいただけば幸いです。
なお、現在、糖尿病や予備軍でない人も、
一度食後1時間血糖値を測定してみるとよいと思います。
食後1時間値が180mg/dlを超えていると
2時間値が140mg/dl未満で、正常型であっても
将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。


江部康二
コメント
一日目血糖値測定結果
昨日から始めた血糖値測定の結果書いておきます。朝は早朝でなくて測定機器が来てから測ったもので起床時ではありませんでした。

食前から30分毎に測定しました。以下結果です。 
 80,89,88,92,97,ここから一時間幅で92,91で終了しました。今朝の起床時血糖値は86でした。結果は良好でしたがあと二日間測ってみようと思っています。

以上です。<m(__)m>
2022/06/11(Sat) 06:37 | URL | 甘いミカン | 【編集
記録の継続と効果
糖質制限開始と共に私費でリブレを4年以上、連続使用していましたが、昨年12月に定年退職したこともあり、費用がかさむので1日1回、朝食前のSMBGのみにしました。
同時にケトン体値も時々測定し、脂質代謝が保たれていることも確認しています。体重は毎日、朝食前に測定し、食事の総量の目安としています。
そしてMETs値による1日の活動量(消費カロリー)と3回の食事内容(PFC量)は全て記録し、これまで4年以上蓄積した食後ピーク血糖値の自己データもあり、どのような食事(糖質量とPFC比率)でどのようなピーク血糖値になるかはおよそ把握できていますので今後は、1日1回の測定で、HbA1Cが悪化がない事を確認しつつ、数ヶ月に1回のクリニックの検査、年1回のドックや健康診断の数値が悪化しない事を確認していこうと思っています。
この測定スタイルにして5ヶ月が過ぎ、先月のクリニックでの検査はHbA1c5.8、空腹時血糖値99で今のところ変化(悪化)はないようです。
現在の食事は、糖質40g/日前後、退職後はやはり活動量が減っており、1700kcal/日程度で体重(BMI21.0程度)は大きく増減なく維持されています。全体重もさることながら特に徐脂肪体重は減らないよう注意しています。
これまでずっと食事内容、体重の変化、血糖値を毎日記録してきましたが、やはり記録する(数値化する)ことによって節制できる事と迷った時に過去のデータを見返す効果は大きいと感じております。リブレは、旅行やスキーに行くときなど日常と違う生活や食事になる場合のみ利用しています。

以上、参考まで。
2022/06/11(Sat) 16:40 | URL | 西村 典彦 | 【編集
Re: 記録の継続と効果
西村 典彦 さん

素晴らしいです。
good job です。
とても参考になります。

私は、かなりの面倒くさがりなので、
西村さんほどまめに記録とかは取れていません。

どのくらいの面倒くさがりかというと、
例えば、自家用車は、購入して以来、1回も洗車したことも掃除したこともありません。
車は雨がしのげて、ちゃんと動けばそれで良いと思っているからです。
エンジン周りなどの定期点検はキッチリ行っています。

まあ、血糖測定は、菓子職人さんの糖質制限ケーキの試食時などに行っています。
基本、早朝空腹時血糖値は、毎日測定しています。
早朝空腹時血糖値は109mg/dl未満で正常のことも多いですが、
時々、110~125mgの境界型レベルになることもあります。


2022/06/11(Sat) 16:52 | URL | ドクター江部 | 【編集
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