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昆布の糖質、だしを取った後の昆布は食べてOK。甲状腺機能低下症は?
こんにちは。
「昆布は健康に良いそうなので食べても良いですか?」
といった質問を、外来患者さんから受けることがあります。
昆布の糖質量について、以前オスティナートさんから詳しい情報を
コメントして頂きましたので、再考してみます。

【18/06/10 オスティナート
昆布の糖質
だし用の素干し昆布100gでだしを取った後の昆布の重量は約5倍になります。
(柔らかくなるまで煮ると6倍)
よって、糖質は約25.1g/500g、100gあたり約5gとなります。

家庭(4~6人分)で素干し昆布20gを使って、
だしを取った後の昆布の重量は約100gとなります。
(是非お試しください)

●利尻昆布/素干し(可食部100g当たり)
・エネルギー:138kcal
・水分:13.2g
・タンパク質:8.0g
・脂質:2.0
・糖質:25.1g
・食物繊維:31.4g
・灰分:20.3g
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

私はだしを取った後の昆布を、刻んだり煮物にして、
いつもおいしく食べています。
なお、一度に食べる量が25~50g(糖質1.25~2.5g)ですので、
血糖値の上昇はほとんどありません。】


オスティナートさん、
耳寄りな情報を、ありがとうございました。

今まで、昆布に関して
「だしはとってもいいけれど、糖質が多いので食べてはだめ」
と、本ブログでも記載してきました。

しかし、だしを取って膨らんだ昆布は、
オスティナートさんがご指摘のように
100g中に約5gの糖質であり、
糖質制限OK食材と言えます。

私は、乾燥重量で、100g中に25.1gも糖質があるので
単純に糖質が多いのでNG食材と思っていましたが
「だしを取って膨らんだ昆布は、
適量(25~50g)なら、糖質制限食的に食べても大丈夫」

と考え直しました。
ブログ読者の皆さんも、オスティナートさんのように
だしを取った後の昆布を、適宜美味しく食べて頂ければよいと思います。


一方、甲状腺機能低下症の問題があります。
過去、健康に良いということで昆布を積極的に食べてていた方々において、
私の経験だけでも40名以上の甲状腺機能低下症を認めました。
多くの場合昆布に含まれるヨード(ヨウ素)の過剰摂取によるものと考えられました。

高雄病院と江部診療所では、外来患者さんに、
定期的に年に2回くらい、血液尿検査をすることが多いのですが、
その中で、TSHが高値でFT4が軽度低値の人が、
時々発見されるということです。
これらの方々のほとんどが、聞いてみると昆布を積極的に食べておられました。
そして、昆布を止めたら、甲状腺機能は速やかに正常値に戻りました。

ヨウ素は、甲状腺ホルモンを作るために必要な一方、過剰に摂取すると
甲状腺ホルモンが作られなくなり甲状腺機能低下症となることがあります。
お摘まみ昆布、塩昆布、おしゃぶり昆布・・・などヘルシーイメージで食べ過ぎると
甲状腺機能低下症を発症することがあるので要注意なのです。

あと、ヨウ素含有のうがい薬(イソジンガーグルなど)を、
毎日うがいのときに使用するなどすれば、結果としてヨウ素吸収が過剰となり、
やはり、甲状腺機能低下症のリスクになるので、気をつけましょう。
うがいは水で行えばOKで、薬は要りません。

京都大学健康科学センターの川村孝教授(公衆衛生学)らが
2005年に発表した論文には、
風邪とうがいの関係に関する実験結果が報告されています。
「うがいしない群」「うがい薬使用群」「水うがい群」
の3群で検討してみると、水うがい群が唯一<かぜ予防効果>がありました。


なお、TSHが高値でFT4が軽度低値の人の中には
橋本病などで、甲状腺ホルモンの補充が必要な人もまれにはおられますが、
この場合は、治療が必要です。


ともあれ、やはり、昆布の食べ過ぎやうがい薬には要注意ということになります。


江部康二

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