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午前中の運動と血糖値上昇と暁現象
おはようございます。

今朝は、とても寒いです。ジョギングなどにはぴったりの季節到来でしょうか。

さて、運動と血糖値について、私も勉強中で本ブログで少しずつ書いてきましたが、今回もdeosさんから、「午前中空腹時の運動で血糖値がかえって上昇する」というコメントをいただきました。

『08/10/28 deos
糖新生
はじめて書込みさせていただきます。
先生のブログと本を参考に糖質制限にトライ中の、54歳、2型組、糖尿人9年生のdeosと申します。既にプチ糖質制限を自主的に開始しておりましたが、先週の診察でやっと主治医と栄養指導の方に、実際のデータを示すことで糖質管理にて治療に取り込む事(前は反対していましたが)説得できて大手を振って実践できそうです。

今年の3月まで、まったく自分で管理することに興味なく、ただただ経口薬が増えるまま気儘に生活してきた事もあり、空腹時180台、A1c 8.5迄行ってしまいました。メタボ元年に改めて見直してみると、1次予選(胴囲85cm↑)は軽くクリア、2次予選全3種目入賞していることに気がつき、一念発起生活改善に取り組み、毎朝1時間の速歩ウォーキング(約6.5km)と1500kcalの食事制限で、今年の9月迄に-16kgの減量<BMIをやっと30%を切ったぐらいで、欧米水準の肥満からは脱出しましたが、まだまだです(-ωー;)>、メタボ3種目はすべて特保基準内に収まる処まで来ました。 次の目標は、できればSU剤から脱して、なるべくβ細胞を鞭打たず生き残ったβさんとできるだけ末永いつきあいをしたいと思い、調べている内に先生にブログにたどり着くことが出来ました。(先生のブログを見て、新たに食後血糖140以内も目標として追加しました)

ベイスン、メルビン、アクトス(30mg1錠→15g1錠)、オイグルコン2.5mg3錠→アマリール1mg2錠)と状態改善するに従って処方を減らして貰ってますが、SU剤を減らした途端、それまで空腹時75~90位、A1C5.2~5.7と安定していたのに、空腹時120台となってしまい、プチ糖質制限を10月初旬から始めて見たところ、即効で75~110位にコントロールできるようになりました。ところが最近、前夜の食後2時間血糖値より朝が高くなっている、運動後の空腹時血糖値が何も食べていないにも係わらず上がると言う現象が起きております。多分「糖新生」が起きているのかと思いますが、糖質制限をした場合通常な過程なのでしょうか? 主治医は経験やデータがないので判断できないとの事で、お忙しい中大変恐縮ですが質問をさせて頂きました。

前夜 寝起  運動後
110 ー 120
109 88 108
84 91 ー
212 72 107 ※前日60%糖質摂食データ採集日

食後2時間122mgBG/C-ペプチド3.0、空腹時HOMA-R 0.6と一応インシュリン分泌/抵抗性はそこそこの様です。

運動により糖新生で血糖値が10も30も上がるものなのでしょうか? 少し、空腹での運動は抑えた方が良いのでしょうか?

肝臓にはグリコーゲンが10時間分ぐらい貯蓄されており、朝にこれが朝食までぐらいは多少残ってグリコースを分泌していると思っていましたが、糖尿人は貯蔵量が少ないのでしょうか?

この糖新生の段階を得て、ケトンを利用できる体質に変化していくのでしょうか?

多くの質問となってしまいましたが、よろしくおねがいします。』


deosさん。コメント、本のご購入ありがとうございます。また、プチ糖質制限食の実践で血糖値の改善良かったです。 (^_^)

Susumuさん、退屈無想庵さんの体験と同様のデータですね。お三方から、同様のコメントをいただいたので、午前中の運動で、血糖値がかえって上昇する糖尿人が、そこそこおられるということがわかりました。

1型糖尿人に限らず、2型糖尿人でも暁現象を呈す場合が結構あるようですね。バーンスタイン医師のご指摘通りで、とても参考になります。以下、食事摂取時と空腹時の血糖値、糖新生について考えてみます。

<糖質を摂取する食事の場合>
正常人では、食事摂取時は、消化管から吸収された糖質の約50%を肝臓が取り込みます。残りの肝臓を通り抜けたブドウ糖は、大循環にまわり血糖となります。

糖尿人では「肝臓のグリコーゲン分解と糖新生」が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。また糖尿人は、肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。

食物吸収が一段落したあとしばらくは、肝臓のグリコーゲン分解が、血液中のブドウ糖の主要供給源となります。食後数時間が経過すると、筋肉やほとんどの体組織でエネルギー源として脂質を利用するようになります。そして、日中でも血中への主要なブドウ糖供給源は、肝臓でのグリコーゲン分解から糖新生に置き換わります。

また、糖新生は、夜間絶食時の重要なブドウ糖供給源であり、減少した肝貯蔵グリコーゲンの主要な補給源となります。

<糖質制限食の場合>
摂食時にも、糖質がほとんど含まれていませんので、肝の糖新生が行われています。そして摂食時にも、筋肉や体細胞などほとんどの体組織で、脂質がエネルギー源(脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム)として利用されています。

空腹時にも勿論糖新生は行われていて、脂質もしっかりエネルギー源として利用されます。糖新生は肝や筋の貯蔵グリコーゲンの補給源となります。

糖質制限食の場合は、摂食時も空腹時も一日中、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムがほとんどの体組織で積極的に利用されていて、糖新生も行われているわけです。このことが、糖質制限食で肥満が改善する主要な理由ですね。

糖質制限食を続けていると、ケトン体が効率よく体組織で利用されるようになるので、血中ケトン体が標準値より高値でも尿中にはでなくなります。

例えばスーパー糖質制限食実践中の江部康二のある日の血中ケトン体は939μmol/mlで基準値(26~122)より大幅に高値ですが、尿中ケトン体はでていません。インスリン作用が保たれていてスーパー糖質制限食を実践している場合、血中ケトン体の正常値は300~2000μmol/mlていどになります。

これは農耕以前の人類の日常的なエネルギーシステムでも同様だったと考えられます。

<暁現象と血糖値>
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象です。deosさんの場合も暁現象と思われます。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなるのです。

deosさんも午前中の運動で血糖値が上昇する場合、やはり暁現象が関与している可能性がありますね。

2型糖尿人でも、暁現象がない場合は、午前中の空腹時運動でも血糖値は下がると思います。
暁現象があっても、午後の運動なら肝臓によるインスリンの不活化は少なく血糖値は下がると思います。

**インスリン
人体で唯一血糖値を下げるホルモン。膵臓のβ細胞でつくられ分泌される。24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと、血糖値が上昇したときにその10~20倍の量がでる追加分泌がある。追加分泌には第一相と第二相がある。インスリンが追加分泌されると、筋肉細胞が血糖を取り込むが、余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれる。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
No title
丁重な解説ありがとう御座いました。同じような症例を経験されていることも知り、安心して糖質制限に取り組んでいけそうです。今週からプチ→スタンダード糖質制限にチャレンジして行きます。
2008/11/05(Wed) 10:39 | URL | deos | 【編集
ありがとうございます
江部先生、ご説明いただきましてありがとうございました。実は祝日の月曜日に次のような結果でした。
(走る前)11時30分
     血糖値105
2時間のジョギング
(走った後)13時32分
     血糖値103
      14時38分
     血糖値106
という結果でした。今回は血糖値の上昇が見られませんでした。
走る時間を倍にしたから(糖質制限食でスタミナがついてるようです)かなとも思っていましたが、先生の丁寧な解説をいただいて、多分走り始めた時間が関係しているのかなと考えております。
この次は完全に午後になってからとかいろんなシチュエーションでジョギングを試みたいと思います。また、ご報告させていただきます。
そういえば前回までの血糖値が上昇した時は午前中にジョギングをしておりました。 
2008/11/05(Wed) 23:48 | URL | 退屈無想庵 | 【編集
1ヶ月で2%改善
何度もお世話になっています「てんこ盛り」です。

先生本当にありがとうございます

糖質制限、朝夕の運動と毎週の登山を続けたかいがありました。
昨日5日の診察では、下記のとおりの結果になりました。
(いずれも食後2時間の数値。この10日間アマリールは中止していました)
10/7 血糖値321・Hba1c 9.8
11/5 血糖値155・hba1c 7.9
1ヵ月で約2%ダウンです。

先月、インシュリン注射で1週間管理入院を指示していた主治医も驚いて、喜んでいました。
「こんなに改善されるとは…薬はもーっと軽い物に変更して来月には投薬無しを目指しましょう」となりました。
スターシス30mg毎食前1錠になりました。
本当はすぐにも投薬無しとしたかったのですが、「投薬無し」と主治医と私の目標が一致しましたので、もーっとがんばろうと思います。

昨日の診察では、血糖値測定値をエクセルの表にして提示し、この10日アマリールを中止していること、朝夕の運動の事や糖質を制限していることを説明しまし、アマリールのデメリットやスターシスの効果や体へのダメージの質問をしました。

このブログと先生の著書に触れてアクティブな糖尿人に変身です。
2008/11/06(Thu) 11:48 | URL | てんこ盛り | 【編集
Hba1c改善
てんこ盛りさん。

見事な改善ですね。
おめでとうございます。
理解のある主治医殿で良かったですね。きっと投薬無しになると思いますよ。
美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
2008/11/06(Thu) 17:37 | URL | 江部康二 | 【編集
はじめまして
はじめてこちらを拝見しました。
糖尿病もちなのですが、
最近ひざ下にむくみが出てきたので、
糖尿病性腎症がらみでネットサーフィンをしていたら、ここを発見しました。

腎症もそうですが、
私も夜寝る前に測った血糖値より、
朝一番の血糖値が高いのがとても不思議でした。
暁現象にとても納得。

毎日朝晩合計40分の散歩だけではダメだなと思い、
どの時間帯に有酸素運動を加えようかと思っていましたが、
やっぱり午後以降にしたほうがいいようですね。
とても勉強になりました。
2008/11/06(Thu) 21:36 | URL | Sara | 【編集
私なりに糖質制限食を普及
かれこれ糖尿と気付いて10年近く、特に治療はしていませんでしたが、今年の春より薬物治療を開始しました。そんな折、3ヶ月ぐらい経ちますか、たまたま糖新生という言葉の復習のためインターネットを見ていて先生のブログに出会い、とても理論的と申しますか感激し、本などを買わせて頂いて見よう見真似で実践しています。効果はとても満足が行くもので、体重も72kgから64kgに下がり妻もプチではありますが糖質制限で8kgダイエットに成功、数値も改善されています。娘は糖尿ではありませんが美容のため糖質制限で6kgダイエットに成功。家族中感謝に耐えません。ちなみに私たち夫婦は薬剤師で娘は管理栄養士の大学に通っています。こちらの地域ではまだ先生のことを知る人は少なく、友達の医者など江部康二先生の名を出しても、芸能人見たいな名前だなあと言う始末、前置きが長くなりましたが、そんな訳で、私は先生のお考えをここ北海道は旭川の地で私なりに咀嚼し勝手に普及しています。医療費の問題など私も常々、食事と運動、生活習慣でかなり緩和できると考えている一人であり、そのようなことも含め、今後とも先生の著書ならびブログなどを紹介して参りたいと思いますので、先生に私が先生の名を口にすることをお許し頂きたくメール致しました。支離滅裂な文章でありますがお許しください。なにせ勝手に尊敬する人へのメールでありますから、初めてのラブレターのようなもので緊張であります。
2008/11/09(Sun) 13:24 | URL | たっちゃん | 【編集
糖質制限食普及・北海道
たっちゃん様。

本のご購入ありがとうございました。糖尿病改善、一家でダイエット成功、おめでとうございます。 (^_^)

芸能人みたいな名前・・・
まあ確かに、毎月一回第三金曜日に、十数年来バンドでライブ活動はしていますけど・・・
アマチュア・バンドです。

薬剤師お二人に管理栄養士お一人、とても心強い味方です。嬉しい限りです。ヽ(*`▽´)ノ

北海道・旭川の地で糖質制限食普及活動、熱烈歓迎ですので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
2008/11/09(Sun) 18:19 | URL | 江部康二 | 【編集
お礼
はじめまして。アメリカ在住のmimiです。
糖尿予備軍と言われ数年が経ち、この6月に、ついに糖尿病と宣告されてしまいました。
その後あれこれ調べ、このブログに出会い、7月からスーパー糖質制限を始め、血糖値測定器も購入し、がんばっています。

スーパー糖質制限を開始直後に、アメリカの日系書店で、「高雄病院の糖質制限給食」を発見し、運命の出会いだと、思ってしまいました(笑)。
早速購入し、具体的な食生活の参考にさせていただいております。

去年の6月の健康診断では、
空腹時血糖値 110、HBA1C 6.4%(予備軍)

宣告時の6月は、
空腹時血糖値 116、HBA1C 7.0%

8月の検診では、
空腹時血糖値 120、HBA1C 6.7%

まずは、薬はなしで、食事や運動で頑張れと言われ、今回の検診で、糖質制限で頑張った旨を医師に伝えると、フンフンとうなずかれ、数値を見て、「糖尿病は大丈夫です」とだけ言われました。
え?たったそれだけ??あっさりしすぎてて、ちょっとがっかりしました(笑)。
アメリカでは、糖質制限も市民権を得たチョイスのひとつで、自分の思い通りにできて、いいですが。
でも、自分なりに頑張ったので、もうちょっと励ますとか、認めるとかしてほしかったです(笑)。なんだか拍子抜けしました。

私も、早朝空腹時血糖値が、就寝時より高く、なおかつ、起き掛けに運動をすると、血糖値が以下のように上がり、心配になり、今日は、その答えを探していて、このページを拝読し、安心しました。

・早朝空腹時血糖値 120⇒5分体操後 126
・早朝空腹時血糖値 121⇒5分体操後 128

先生のおっしゃるように、午後~夜の食後の運動は、同じ運動5分で、血糖値20~25くらい下がります。10分体操すると、40~50くらい下がります(糖質を食べてしまった時は、焦って多く運動しています)。

やはり、運動する時間が関係あったのですね。本当に参考になり、安心できました。

糖質を絶つのは、始める前は、とても難しいことのように感じていましたが、いざ実行してみたら、案外大丈夫で、辛くないことが驚きでした。
普段は、特に炭水化物食べたくなくなりました。自分でもびっくりですが、我慢している感じもそんなにありません。

でも月に1回は、チィーティングデーをあえて設けています。昨日は、大好物のお寿司8個と普通のビール1杯、行きました!(事前に38gまで糖質カットできるサプリを飲みましたが)
2時間後、なんと、113で、すっかり気を良くしています。

そんなわけで、我慢やストレスは、ほとんどなしです。月に1回は、計画的に、糖質カットサプリで、好きなもの食べる予定です。

とにかく、江部先生のおかげで、合併症にもならず、上手に糖尿病と付き合っていけそうで、自信がついてきました。
本当にありがとうございます!!
2013/08/26(Mon) 15:12 | URL | mimi | 【編集
Re: お礼
アメリカ在住のmimi さん

拙著のご購入、ありがとうございます。
データ改善良かったですね。

「アメリカでは、糖質制限も市民権を得たチョイスのひとつで、自分の思い通りにできて、いいです」

それは素晴らしいです。日本も早くそうなればいいです。

ところで「糖質カットサプリ」とは、具体的には、どのようなものでしょうか?
2013/08/26(Mon) 18:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
お礼
お忙しい中、お返事をいただけ、感激しております。本当にありがとうございます。

糖質カットのサプリは、カーブブロック(CARB BLOCK)という製品で、38gまで糖質カットできるようです↓
http://jp.iherb.com/universal-nutrition-doctor-s-carbrite-diet-carb-block-120-tablets/31037?rcode=gvp341

カーブブロックは、実際、私には効いていると思います。持ち歩いて外食のピンチの際に飲んだりしています。(でも、普段の外食時は、炭水化物や糖質が高いものは残します)。あとは、計画的にズル休みの日を設け、炭水化物込みの美味しいものを食べたい時などに利用しています。

これからも、度々ブログを拝読に参ります。私も頑張ります!!
今後ともよろしくお願いいたします。
先生の一層のご活躍を海外よりお祈りしております!!
2013/08/28(Wed) 06:04 | URL | mimi | 【編集
Re: お礼
mimi さん

カーブブロックは
phaseolamin(ファセオラミン)
Gymnemalin(ギムネマリン)
が主成分ですね。

ファセオラミンは、白いんげん豆抽出物で、
αアミラーゼの働きを抑制することで、でんぷんの分解を遅らせ、
吸収をゆっくりさせ食後の高血糖を防いでくれることになっています。

ギムネマリンは、ギムネマ・シルベストリのエキスで、
血糖値を低く抑える効果を発揮するとことになっています。

mimi さんは、カーブブロックが有効なようで良かったですね。
しかし万人に共通に有効とはいかないと思います。
2013/08/28(Wed) 13:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
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