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糖質制限食で腎機能は悪化しない。
こんにちは。
毎日新聞のwebサイトに、2022年5月18日、
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20220513/med/00m/100/011000c
食事制限で腎不全? 医師が伝えたい食べ物の大切さとは

という記事が掲載されました。

金子至寿佳・高槻赤十字病院糖尿病・内分泌・代謝内科部長
が、解説しておられます。
Taka さんから情報を頂きました。
ありがとうございます。

以下の青字の記載はは、記事の要約です。
 
【病院にやって来た20代の男性の血液検査をしたところ、腎臓の機能が著しく低下していました。
炭水化物を取らないようにしていたというこの男性に、一体何が起きたのでしょうか? 
高槻赤十字病院(大阪府高槻市)の金子至寿佳医師が、毎日口にする食べ物の大切さについて解説します。

食事から炭水化物を取り除くと
 ある日、初診で病院に来られた28歳の男性の血液検査をしたところ、腎臓の機能を表す数値がかなり悪化していました。
原因を突き止めるため、食事について男性に尋ねると、
母親が友人から「糖質を含む炭水化物を食べると血糖値には良くないから食べないほうがいいよ」と言われ、
徹底的に食事から炭水化物を抜いていたというのです。
男性は「ビタミンは必要だから、サプリメント(栄養補助食品)から取っていました」と話しました。

 腎臓は、血液に含まれるいろいろな「かす」をろ過してきれいにする臓器です。
しかし、塩分が多すぎたり、炭水化物を完全に抜いてたんぱく質と脂肪だけを食べたりしていると、
腎臓の機能を表す数値が悪くなることがあります。
この男性は、入院して総摂取エネルギーの55%を炭水化物から取っていただくようにしたところ、
正常値に戻りました。「まだ間に合った」と安心したことを思い出します。

 他の方でも、友人の言うことを信じてたんぱく質と脂肪だけを食べ続けた結果、
腎臓の機能が落ち込み、人工透析に至ったという例があります。・・・】



考察してみます。


A)

【20代の男性
腎臓の機能が著しく低下していた。
炭水化物を徹底的に抜いていた。
入院して炭水化物を摂取エネルギーの55%としたら正常値に戻った】


まず腎機能の悪化ですが、簡単に正常に戻っていますので、
脱水が原因だった可能性が高いです。
脱水で腎血流が低下すると、クレアチニン値が上昇して、
一見、腎機能障害に見えますが、初期の段階なら、脱水を改善させて
腎血流量を正常に戻してやれば、クレアチニン値もすぐに正常に改善します。
この20代男性の腎機能低下も脱水が主たる要因だったので
速やかに改善したと思います。
つまり、糖質制限が原因ではなくて、脱水が原因だったと考えられます。


B)
そもそも、『正常人が高タンパク食を食べて腎機能が悪化した』
というエビデンスは存在しません。
また脂肪は、腎機能に全く影響を与えないので、腎不全でも摂取OKです。


C)
<厚生労働省と蛋白質の耐容上限量>
「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
の、8ページに、たんぱく質の食事摂取基準が載っています。
(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量(中央値):%エネルギー)

「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
においては、たんぱく質の耐容上限量は設定しないと記載してあります。
II  各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3.過剰摂取の回避
3─1.耐容上限量の設定
 たんぱく質の耐容上限量は、
たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。
しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は
十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。

厚生労働省によれば、現時点では、
正常人がタンパク質をたくさん食べて健康障害を生じたという
報告は十分にはないとしています。
結果として、タンパク質の耐容上限量は設定しないということです。


D)
米国糖尿病学会は、糖尿病腎症に対して
タンパク質制限は推奨しないとしています。(ランクA)


E)
米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポート以降、
『エビデンスが最も豊富なのは糖質制限食である』
と明言しています。
つまり糖質制限食の有効性と安全性に関しては、
米国糖尿病学会が保証してくれているということです。


<結論>
A)B)C)D)E)を考慮すれば
糖質制限食で、腎機能が悪化するというエビデンスは存在しません。
また米国糖尿病学会は糖質制限食をキッチリ、一推しで、推奨しています。


江部康二


コメント
リン酸を含む食品添加物
糖質制限の製品の添加物が気になります。透析を出来るだけ先延ばしにするには腎臓のネフロンの温存が必須。
加工デンプン、ph調整剤、乳化剤、結着剤、酸味料、香料にはリン酸の化合物が含まれてる可能性がありますが表示の義務はなく消費者が知るすべはありません。
無機リンの摂取は腎症なら控えるべきだと思います。
2022/05/19(Thu) 22:43 | URL | たか | 【編集
よろしくお願いします。
江部先生、いつもお世話になっています。
私の直近の血糖値の推移をお伝えしますので、先生はどのように判断されるか、
お聞かせ願えれば幸いです。
6月18日 
就寝前深夜1時 (スーグラ50mg1錠、メトグリコ250mg2錠)
早朝6時 血糖値130
昼食なし (薬服用なし)
14時  血糖値101
14時から1時間ウォーキング後血糖値99
夕食前17時 血糖値88 (食後の薬服用なし)
夕食後9時 血糖値 172
6月19日
就寝前1時 血糖値148
早朝7時 血糖値135
この数値はどう考えたらよいでしょうか。この数値を維持できれば、薬を中止してよいのか、
それとも、この数値を維持するだけでは、まだ中止してはいけないのか。
先生のお考えをお聞かせ願えれば助かります。
2022/05/20(Fri) 07:34 | URL | 倉田 | 【編集
インスリン分泌について
いつも役立つ情報をありがとうございます。

先日、このような記事を見ました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e136b256501cf32363e04438f353ff44c53db95f?page=2

糖分が胃から小腸にくると小腸から
インクレチンが分泌されるとあります。

インクレチンは、たんぱく質や脂質の
摂取で分泌されると思っておりましたが、
インスリン分泌は、インクレチンの影響
なのでしょうか?

インスリンが分泌される条件は、
血糖値の上昇だと思っていたので、
教えていただけませんか?
2022/05/20(Fri) 12:29 | URL | 金魚 | 【編集
Re: リン酸を含む食品添加物
たか さん

コメントありがとうございます。
リンの摂取にかんして、仰る通りと思います。
2022/05/20(Fri) 14:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: よろしくお願いします。
倉田 さん

スーグラの残留効果は数日続くことがあります。
従って現時点でなんとも言えませんが、
スーパー糖質制限食実践で、もう1週間、薬なしで試験してみてはどうでしょう。
2022/05/20(Fri) 15:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
ご回答ありかとうございました
先生の回答は参考になりましたが、追加で質問させていただきたいので、
よろしくお願いします

薬を中止するかどうかの判断ですが、私が細かく記録した数値の推移を見た判断というより、要するに、空腹時血糖値ではなく、食後1~2時間の食後血糖値だけに注目して、それが例えば140以上であったら、スーグラかメトグリコあるいはその両方を、食事の前後どちらかに飲む必要があると判断すればよいでしょうか。
そして、その数値が140以下で安定したら、薬を中止して観察してみる、という方法が最も合理的で効率的と考えてよいでしょうか。
2022/05/21(Sat) 06:05 | URL | 倉田 | 【編集
ありがとうございます!
回答ありがとうございました!

最近では、炭水化物でも
分泌されるということですね。
2022/05/21(Sat) 09:17 | URL | 金魚 | 【編集
Re: インスリン分泌について
金魚 さん

https://news.yahoo.co.jp/articles/e136b256501cf32363e04438f353ff44c53db95f?page=2
このサイトは

小西統合医療内科院長・小西康弘医師並びに大阪大学大学院医学系研究科研究員・藤井祐介氏との共同執筆です。

近年は、インクレチンは、腸管内の<糖質・脂質・たんぱく質>を感知して、分泌されると認識されています。

炭水化物よりもタンパク質および脂肪の方がインクレチンの分泌刺激作用は強いと考えられています。
2022/05/21(Sat) 09:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ご回答ありかとうございました
倉田さん

空腹時血糖値も食後血糖値も、コントロール目標を達成していなければ、
糖尿病合併症のリスクとなりますので、ご注意ください。

本日のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
2022/05/21(Sat) 15:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
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