2022年04月18日 (月)
【22/04/18 光一
有酸素運動と筋力低下について
いつも貴重な情報をありがとうございます。
以前、運動について江部先生に質問させて頂いたのですが、
その時に「狩猟採集民の運動は歩行がメインでたまに走る程度」と教えて頂きました。
運動に関しては筋トレのような無酸素運動よりも、
有酸素運動の方が人類には適しているとのことでしたが、
有酸素運動のみの運動ですと将来的に筋力が低下したりしないのでしょうか?
スーパー糖質制限をしていれば、
有酸素のみの運動でも筋量を維持できるのでしょうか?】
こんにちは。
有酸素運動と筋力低下について、
光一 さんからコメント・質問を頂きました。
これは、<有酸素運動だけで筋力維持やアップが可能か?>
というテーマでもありますが、
結論からいうと、筋トレなしでも、可能と思います。
まずは自然環境における野生動物や狩猟民について考察してみます。
野生動物の運動は歩行がメインでたまに走るていどです。
勿論、筋トレはしていませんが、それで筋力低下はありません。
①ライオン:たいてい寝ていて、狩りのときだけ全力で数秒くらい走る。
②シマウマ:通常は寝ているか、歩いていて、
ライオンに追われた時だけ全力で10~20秒走る
③狩猟民:ジョギング程度の速度で、数時間、獲物が疲れるまで追い続けて仕留める。
ヒトは、長距離走に最も向いている動物です。
まあライオンに追われたら、10秒くらいは全力で走るでしょう。
次はエビデンスレベルのお話です。
http://www.jtrc.or.jp/interval/interview.php
科学的エビデンスが支えるインターバル速歩
信州大学大学院特任教授
NPO法人熟年体育大学リサーチセンター副理事
医学博士能勢博
まずはこのサイトを覗いてみました。
能勢博士によれば、
ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、
誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下していくそうです。
これを防ぐために
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、
個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
そうすれば6カ月で体力が10%向上し、
それに比例して生活習慣病の症状が改善するそうです。
しかし、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて、
効果が上がらない、とのことです。
そこで、能勢博士が推奨するのが「インターバル速歩」です。
いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、
体力向上のための運動トレーニングができます。
インターバル速歩ですが、
これは、「速歩」と、「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。
これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、
週に4日以上実践すればOKです。
速歩ばかり、行えばよいようなものですが、
なかなか速歩を5分、10分連続的に
続けるのは体力的に難しい人が多いようです。
それで、3分交代なのですね。
ウィークデ―が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が
週60分になるように実施してもいいそうです。
能勢博士の研究によれば
インターバル速歩を5ヶ月間行えば、
1)体力が最大20%増加。
2)生活習慣病指標が20%改善。
3)医療費が20%抑制。
とのことで、これを「20%の法則」と呼ぶそうです。
体力が20%向上ですから、有酸素運動のみでも筋力向上が可能ということです。
☆江部康二:私は、1979年29歳で高雄病院就職以来、
2022年72歳現在まで、勤務日は毎日速歩で院内を、60分以上は、歩いています。
自分から電話をすることはありません。
栄養課に用事があれば地下まで歩き、
療養型に用事があるときは三階まで歩きます。
また、高雄病院理事長室が、丘の上に立つ建物の中にあるので、
毎日坂道を数往復しているのも筋力維持に良さそうです。
基本、私の歩行は、ほとんどが速歩で、ゆっくり歩きはあまりありません。
手持ちの、ヤマサの活動量計で測定すると、
歩数の60~70%が速歩(パワー ウオーク)でした。
結果として、8000歩/日くらい歩いています。
勤務中に5000歩くらいで、
あとはテレビやユーチューブを見ながら「ながらジョギング」などです。
8000歩中、5000~6000歩は「速歩+ジョギング」です。
筋トレはしていませんが、いきなりスクワット10回とかも可能ですので、
筋肉量は維持できていると思います。
生来のせっかちな性格と早歩きパターンが、
72年間、結果として、私の体力を保ってくれたようで、ありがたいことでした。
江部康二
有酸素運動と筋力低下について
いつも貴重な情報をありがとうございます。
以前、運動について江部先生に質問させて頂いたのですが、
その時に「狩猟採集民の運動は歩行がメインでたまに走る程度」と教えて頂きました。
運動に関しては筋トレのような無酸素運動よりも、
有酸素運動の方が人類には適しているとのことでしたが、
有酸素運動のみの運動ですと将来的に筋力が低下したりしないのでしょうか?
スーパー糖質制限をしていれば、
有酸素のみの運動でも筋量を維持できるのでしょうか?】
こんにちは。
有酸素運動と筋力低下について、
光一 さんからコメント・質問を頂きました。
これは、<有酸素運動だけで筋力維持やアップが可能か?>
というテーマでもありますが、
結論からいうと、筋トレなしでも、可能と思います。
まずは自然環境における野生動物や狩猟民について考察してみます。
野生動物の運動は歩行がメインでたまに走るていどです。
勿論、筋トレはしていませんが、それで筋力低下はありません。
①ライオン:たいてい寝ていて、狩りのときだけ全力で数秒くらい走る。
②シマウマ:通常は寝ているか、歩いていて、
ライオンに追われた時だけ全力で10~20秒走る
③狩猟民:ジョギング程度の速度で、数時間、獲物が疲れるまで追い続けて仕留める。
ヒトは、長距離走に最も向いている動物です。
まあライオンに追われたら、10秒くらいは全力で走るでしょう。
次はエビデンスレベルのお話です。
http://www.jtrc.or.jp/interval/interview.php
科学的エビデンスが支えるインターバル速歩
信州大学大学院特任教授
NPO法人熟年体育大学リサーチセンター副理事
医学博士能勢博
まずはこのサイトを覗いてみました。
能勢博士によれば、
ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、
誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下していくそうです。
これを防ぐために
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、
個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
そうすれば6カ月で体力が10%向上し、
それに比例して生活習慣病の症状が改善するそうです。
しかし、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて、
効果が上がらない、とのことです。
そこで、能勢博士が推奨するのが「インターバル速歩」です。
いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、
体力向上のための運動トレーニングができます。
インターバル速歩ですが、
これは、「速歩」と、「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。
これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、
週に4日以上実践すればOKです。
速歩ばかり、行えばよいようなものですが、
なかなか速歩を5分、10分連続的に
続けるのは体力的に難しい人が多いようです。
それで、3分交代なのですね。
ウィークデ―が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が
週60分になるように実施してもいいそうです。
能勢博士の研究によれば
インターバル速歩を5ヶ月間行えば、
1)体力が最大20%増加。
2)生活習慣病指標が20%改善。
3)医療費が20%抑制。
とのことで、これを「20%の法則」と呼ぶそうです。
体力が20%向上ですから、有酸素運動のみでも筋力向上が可能ということです。
☆江部康二:私は、1979年29歳で高雄病院就職以来、
2022年72歳現在まで、勤務日は毎日速歩で院内を、60分以上は、歩いています。
自分から電話をすることはありません。
栄養課に用事があれば地下まで歩き、
療養型に用事があるときは三階まで歩きます。
また、高雄病院理事長室が、丘の上に立つ建物の中にあるので、
毎日坂道を数往復しているのも筋力維持に良さそうです。
基本、私の歩行は、ほとんどが速歩で、ゆっくり歩きはあまりありません。
手持ちの、ヤマサの活動量計で測定すると、
歩数の60~70%が速歩(パワー ウオーク)でした。
結果として、8000歩/日くらい歩いています。
勤務中に5000歩くらいで、
あとはテレビやユーチューブを見ながら「ながらジョギング」などです。
8000歩中、5000~6000歩は「速歩+ジョギング」です。
筋トレはしていませんが、いきなりスクワット10回とかも可能ですので、
筋肉量は維持できていると思います。
生来のせっかちな性格と早歩きパターンが、
72年間、結果として、私の体力を保ってくれたようで、ありがたいことでした。
江部康二
江部先生、私の質問を記事にして頂きありがとうございます^^
やはり狩猟採取時代のことを考えると人間に適している運動は有酸素になるのですね。
最近は筋トレがブームですが、江部先生の記事を読んで筋トレで見た目がカッコよくなるのと健康になることはイコールではないんだなと感じました。
限界まで追い込むような筋トレをするのは活性酸素のことを考えると健康上のリスクが大きいとは感じていましたが・・・。
やはり狩猟採取時代のことを考えると人間に適している運動は有酸素になるのですね。
最近は筋トレがブームですが、江部先生の記事を読んで筋トレで見た目がカッコよくなるのと健康になることはイコールではないんだなと感じました。
限界まで追い込むような筋トレをするのは活性酸素のことを考えると健康上のリスクが大きいとは感じていましたが・・・。
2022/04/18(Mon) 20:03 | URL | 光一 | 【編集】
光一 さん
ボディビルダーとか、目的があって筋トレする方々は、それで良いと思います。
一般人は、しなやかな筋肉はあってよいけれど、ムキムキの筋肉は必要ないと思います。
またご指摘通り、<筋トレと活性酸素発生>の問題はあると思います。
ボディビルダーとか、目的があって筋トレする方々は、それで良いと思います。
一般人は、しなやかな筋肉はあってよいけれど、ムキムキの筋肉は必要ないと思います。
またご指摘通り、<筋トレと活性酸素発生>の問題はあると思います。
2022/04/19(Tue) 09:06 | URL | ドクター江部 | 【編集】
とても有益な情報をいつもありがとうございます。
速歩のペースですが、個人差があり一概に定義できないとは思いますが、どれぐらいのペースが目安になるのでしょうか。
(脈拍を指標にしたほうが良いかもしれませんが)
ご教授いただけますと幸いです。
速歩のペースですが、個人差があり一概に定義できないとは思いますが、どれぐらいのペースが目安になるのでしょうか。
(脈拍を指標にしたほうが良いかもしれませんが)
ご教授いただけますと幸いです。
2022/04/22(Fri) 13:27 | URL | 50代目前のデスクワーカー | 【編集】
50代目前のデスクワーカー さん
①
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、
個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
②
NHK
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_13.html
インターバル速歩は、普段の早歩きよりも少し速いペース、目安は自分がややきついと思うペースです。
歩幅を大きくとることを意識しましょう。
速歩中に前かがみや猫背になる人がいますが、
腰とひざに負担がかかるためさけましょう。
そうならないためには遠くを見ること、腕を「後ろ」に大きく振ることを意識します。
指は開いてパーの状態にします。
すると、自然に上体が起きて、歩幅も大きくなり、腕に力が入らなくなります。
①
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、
個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
②
NHK
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_13.html
インターバル速歩は、普段の早歩きよりも少し速いペース、目安は自分がややきついと思うペースです。
歩幅を大きくとることを意識しましょう。
速歩中に前かがみや猫背になる人がいますが、
腰とひざに負担がかかるためさけましょう。
そうならないためには遠くを見ること、腕を「後ろ」に大きく振ることを意識します。
指は開いてパーの状態にします。
すると、自然に上体が起きて、歩幅も大きくなり、腕に力が入らなくなります。
2022/04/22(Fri) 17:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ありがとうございます!参考にいたします。
2022/04/22(Fri) 17:08 | URL | 50代目前のデスクワーカー | 【編集】
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