2022年04月09日 (土)
こんにちは。
新型コロナウイルス感染症、オミクロン株が一旦収まりかけていたのが、
変異株でまた再燃しつつあるので油断は禁物です。
現在、オミクロン株「BA.2」が支配的になっており、さらに新たな変異株「XE」も懸念されます。
新型コロナウィルス肺炎が重症化する例において、
サイトカインストーム(☆)と呼ばれる「免疫の過剰反応」が
関与している可能性が示唆されています。
2020年3月15日
ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/
に、
『コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表』
という記事が載りました。
フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、
コロナウイルスに関して、
『イブプロフェンを服用しないほうがよい』と勧告したのです。
フランスの厚生大臣Olivier Veran氏は神経科医で39歳という若さです。
厚生大臣は、自身のツイッターで、
「!新型コロナウイルス:感染者が(イブプロフェンなどの)抗炎症薬を服用すると、
感染を悪化させる要因になる可能性があります。
熱がある場合は、パラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用してください」
と述べています。
これは、イブプロフェンなどのNSAIDsと言われる「消炎鎮痛解熱剤」の内服が、
サイトカインストーム(☆)を引き起こして
新型コロナウィルス肺炎の重症化を招くことを懸念しての発言と思います。
安全な鎮痛解熱剤は「アセトアミノフェン」だけです。
免疫細胞の活性化や機能抑制には、
サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。
サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、
サイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。
全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、
体内を嵐のように駆け巡ります。
この過剰反応をサイトカインストームと呼びます。
TERUMO(テルモ)のサイト
https://www.terumo.co.jp/pressrelease/detail/20200413/1074/index.html
に
治療機器として初
テルモの血液成分分離装置、新型コロナウイルスに対して米国での緊急使用が許諾
吸着カートリッジと組み合わせて、サイトカインストーム抑制を期待
という記事が掲載されています。
【テルモ株式会社の遠心型血液成分分離装置「スペクトラオプティア」が、米国食品医薬品局(FDA)から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんを対象とする緊急使用の許諾(EUA: Emergency Use Authorization)を受けました。
・・・中略
スペクトラオプティアは、患者さんの血液を専用のディスポーザブル回路に通すことで、血球と血漿に分離します。回路に接続したD2000吸着カートリッジが、血漿中に存在するサイトカインを減らし、血液は、また患者さんの体内に戻ります。サイトカインの減少により、サイトカインストームが抑制され、呼吸障害の改善が期待されます。後略・・・】
米国食品医薬品局(FDA)が許諾したとのことですので、
新型コロナウィルスの重症化にサイトカインストームが関与している可能性は高いと
思われます。
このサイトカインストームを引き起こしやすい薬物がNSAIDs「消炎鎮痛解熱剤」です。
アセトアミノフェン以外のほぼ全ての消炎鎮痛解熱剤にリスクがあります。
結局、安全性が一定確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。
アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。
他の解熱剤(ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、ブレシン、セレコックス、アスピリン、イブプロフェン・・・)は使用してはいけません。
薬局の市販薬にもロキソニンなどがありますので細心の注意が必要です。
インフルエンザ脳症の原因も、
NSAIDs投与によるサイトカインストームと考えられています。
要するに安全なのは、アセトアミノフェンだけです。
なお、他の風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、
私は大人も子供も、解熱剤はアセトアミノフェンしか処方しません。
(☆)サイトカインストーム
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋
5.免疫系におけるサイトカインの役割
病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。
江部康二
新型コロナウイルス感染症、オミクロン株が一旦収まりかけていたのが、
変異株でまた再燃しつつあるので油断は禁物です。
現在、オミクロン株「BA.2」が支配的になっており、さらに新たな変異株「XE」も懸念されます。
新型コロナウィルス肺炎が重症化する例において、
サイトカインストーム(☆)と呼ばれる「免疫の過剰反応」が
関与している可能性が示唆されています。
2020年3月15日
ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/
に、
『コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表』
という記事が載りました。
フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、
コロナウイルスに関して、
『イブプロフェンを服用しないほうがよい』と勧告したのです。
フランスの厚生大臣Olivier Veran氏は神経科医で39歳という若さです。
厚生大臣は、自身のツイッターで、
「!新型コロナウイルス:感染者が(イブプロフェンなどの)抗炎症薬を服用すると、
感染を悪化させる要因になる可能性があります。
熱がある場合は、パラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用してください」
と述べています。
これは、イブプロフェンなどのNSAIDsと言われる「消炎鎮痛解熱剤」の内服が、
サイトカインストーム(☆)を引き起こして
新型コロナウィルス肺炎の重症化を招くことを懸念しての発言と思います。
安全な鎮痛解熱剤は「アセトアミノフェン」だけです。
免疫細胞の活性化や機能抑制には、
サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。
サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、
サイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。
全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、
体内を嵐のように駆け巡ります。
この過剰反応をサイトカインストームと呼びます。
TERUMO(テルモ)のサイト
https://www.terumo.co.jp/pressrelease/detail/20200413/1074/index.html
に
治療機器として初
テルモの血液成分分離装置、新型コロナウイルスに対して米国での緊急使用が許諾
吸着カートリッジと組み合わせて、サイトカインストーム抑制を期待
という記事が掲載されています。
【テルモ株式会社の遠心型血液成分分離装置「スペクトラオプティア」が、米国食品医薬品局(FDA)から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんを対象とする緊急使用の許諾(EUA: Emergency Use Authorization)を受けました。
・・・中略
スペクトラオプティアは、患者さんの血液を専用のディスポーザブル回路に通すことで、血球と血漿に分離します。回路に接続したD2000吸着カートリッジが、血漿中に存在するサイトカインを減らし、血液は、また患者さんの体内に戻ります。サイトカインの減少により、サイトカインストームが抑制され、呼吸障害の改善が期待されます。後略・・・】
米国食品医薬品局(FDA)が許諾したとのことですので、
新型コロナウィルスの重症化にサイトカインストームが関与している可能性は高いと
思われます。
このサイトカインストームを引き起こしやすい薬物がNSAIDs「消炎鎮痛解熱剤」です。
アセトアミノフェン以外のほぼ全ての消炎鎮痛解熱剤にリスクがあります。
結局、安全性が一定確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。
アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。
他の解熱剤(ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、ブレシン、セレコックス、アスピリン、イブプロフェン・・・)は使用してはいけません。
薬局の市販薬にもロキソニンなどがありますので細心の注意が必要です。
インフルエンザ脳症の原因も、
NSAIDs投与によるサイトカインストームと考えられています。
要するに安全なのは、アセトアミノフェンだけです。
なお、他の風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、
私は大人も子供も、解熱剤はアセトアミノフェンしか処方しません。
(☆)サイトカインストーム
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋
5.免疫系におけるサイトカインの役割
病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。
江部康二
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