スーグラ(SGLT2阻害薬)、 2014年1月17日に認可、4月薬価収載。

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こんにちは
今回は、SGLT2阻害薬のお話です。


SGLT2阻害薬が、厚労省の薬食審医薬品第一部会において、
2014年1月17日に認可されました。薬価収載は、2014年4月です。

SGLT2阻害薬には、
スーグラ、ルセフィ、 フォシーガ、アプルウェイ、カナグル、デルベザがあります。

SGLT2阻害薬は、ブドウ糖を尿から排泄させるという全く新しい作用機序の薬品なので、
発想がとても面白いユニークな薬です。
尿中にブドウ糖と水をそれぞれ、約60グラムずつ排泄させます。

有効性に関するデータを見ると、SGLT2阻害薬を12~26週間にわたり単独投与すると、
HbA1c値はベースラインから最大1.2%程度まで低下します。
空腹時血糖値は30~40mg/dL、食後2時間血糖値はおよそ60mg/dL低下です。
また体重減少があるのも興味深いです。

スーパー糖質制限食実践の場合は、食後高血糖はほとんど生じないのですが、
年期が入った糖尿病の場合、早朝空腹時血糖値が高値となることがあります。
眠前に100mg/dlくらいで、なかなか良いデータでも、
早朝空腹時血糖値が、夜中何も食べていないのに140~180~200mg/dlとか
上昇することがあり、「暁現象」(☆)と呼ばれています。

暁現象は、スーパー糖質制限食でも、なかなか改善しないことがあります。
この暁現象に対して、SGLT2阻害薬を処方して、劇的に改善するケースがあるので
試してみる価値はあります。

それから、副作用ですが、尿の中に大量のブドウ糖が排泄されるので、
尿路感染症とか女性では性器感染症も生じやすくなると思いますので注意が必要です。
男性ではまずありませんが、女性ではまれにあります。
しっかり水分を摂取して、しっかり排尿することで、尿路感染は予防できます。

また、ブドウ糖排泄にともない、浸透圧利尿で尿量が増加して脱水になる可能性もあるので、
高齢者には注意が必要です。

そして、<SGLT2阻害薬 + スーパー糖質制限食>
を一気に厳密に開始した場合、血中ケトン体値が急速に上昇して
人体の<緩衝作用>が間に合わなくて、まれに<正常血糖ケトアシドーシス>
を発症することがあるので、こちらも注意が必要です。

いずれも、対処法としては、
SGLT2阻害薬を内服開始する前より200ccくらい多めに水分補給するようにすれば、
尿路感染や脱水やケトアシドーシスも予防できると思います。

SGLT2阻害薬内服で、
血中総ケトン体が平均0.3mmol/L(300μmol/L)増加です。
血中総ケトン体の基準値が、「26~122μM/L」ですので結構な上昇ですね。
血液中のブドウ糖を、約60g(240キロカロリー)尿中に排泄して、
その分を脂肪をエネルギー源とするため、肝臓でのケトン体生成が高まるものと思われます。

スーパー糖質制限食では、食後高血糖が正常血糖になり、
肝臓の糖新生があるので低血糖にはなりません。
糖質摂取時に比べたら、糖質制限時は、脂肪を主たるエネルギー源にするので、
肝臓でケトン体を生成します。

結果的には、糖質制限食でもSGLT2阻害薬内服でも、血中ケトン体が上昇しますが、
インスリン作用があるていど以上あり脱水がないなら、生理的なもので心配はいりません。


江部康二


(☆)「暁現象」


早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、暁現象と呼ばれます。

朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。

成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。

また糖尿病患者では起床前後の交換神経活性が暁現象に関係しています。
交感神経活性でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制とグルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。

夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。
この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。

糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースにいかないために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。
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