fc2ブログ
インスリンの功罪③。インスイリン過剰の「罪」について。
こんばんは。
インスリンシリーズの三回目は
インスリンの功罪③。インスリン過剰の「罪」について。
です。

先日、ある製薬メーカーさんの社内勉強会で
糖尿病と糖質制限食のお話しをしてきました。

製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の

「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)

皆さん、よく勉強しておられるので
私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさんの社内勉強会ですから、
インスリン注射のこともよくご存知です。

ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でしたが、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。

それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。

まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。

一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。

たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。

また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。

酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも
酸化ストレスの関与の可能性
があります。


1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。

Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」



2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。

2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258 



3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。

57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.



このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖こントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。


(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。

江部康二
コメント
インスリンの罪!!
都内河北 鈴木です。

本日迄の『インスリンの功罪』を読み、
私の『3年半のインスリン投与』は、何だったのかと考えます!!

だが、2012年10月1日よりの
<<江部先生『糖質制限理論』(2005年発表)>>食生活で、
<<『生還、覚醒、5度の再覚醒』>>している10年目の現在の私が、
更なる改善への体調快調に成りながら、生活できる事に感謝の日を暮らしています!!

昨年3月の『脳梗塞、5度目の再覚醒』に続き、
今年は更なる『覚醒』が期待できる気がします!!

江部先生には、<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>でき、
感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2022/01/29(Sat) 01:30 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
GLP-1ダイエット
最近、美容外科医さんが、GLP-1やリベルサスでダイエット出来ると推してますが、GLP-1や
リベルサスを3ヶ月使用しても、ガン等の副作用のリスクはあるのでしょうか?
2022/01/29(Sat) 14:48 | URL | すぬこ | 【編集
Re: GLP-1ダイエット
すぬこ さん

糖尿病患者さんに、血糖コントロールのため、健康保険で、
トルリシティー、リベルサスなどのGLP1受容体作動薬を投与して、1~3kgくらい
体重が減少する人もいます。

保険外で減量のために3ヶ月、GLP1受容体作動薬を使用して痩せても
やめれば元に戻るだけなので、無意味と思います。
ガンの副作用はないと思います。
副作用は食欲不振や下痢などの消化器症状が一番多いです。

肥満している人の減量には、「スーパー糖質制限食」が正解の解決法です。


2022/01/29(Sat) 17:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可