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月に数回の高血糖時に備え内服治療は必要でしょうか?
【22/01/24 育休中産業医
月に数回の高血糖時に備え内服治療は必要でしょうか?

こんにちは、いつも有用な情報を提供してくださってありがとうございます。
私は二人目妊娠時に妊娠糖尿病を発症し、出産後も食後高血糖が改善しないため、
先生のブログを参考に糖質制限をしている者です。

元々著書は拝読しておりましたが、二人目妊娠時にブログの閲覧を開始し、
おかげさまで血糖コントロールに成功し、第二子は無事に出産、
その後も糖質制限食で健診時もHbA1cは5.3-5.6%(30代後半)程度で
推移することが出来ています。

1年に数回、フリースタイルリブレ(リブレの誤差を確認するため数回のウルトラビューによる随時末梢血糖確認の上)の使用をしてグルコーススパイクがないか確認していますが、普段の食事であれば血糖値80-130mg/dlに抑えることが出来ております。

ただ、まれにイベントで糖質摂取量が多いと(自覚的に)、
リブレで血糖値ご160程度になることが分かっています、
そのパターンも食後2時間くらいから120を超え出し、
4時間程度で最高値になりその後6時間くらいで100未満に下がるため、
耐糖能異常は確実にあり(インスリンの分泌が遅く分泌量も少ないタイプ?)、
糖質制限はずっと続けないといけないと自覚しております。

今回ご相談がありコメントしました。
この度、第三子を出産しました。
今回の妊娠中は糖質制限食を実施継続していたため、
尿糖でひっかかることもなく無事出産しました。
(OGTTをしたら確実に治療対象になったと思いますが)

現在産後一ヶ月で、授乳中で、産前の体重に戻りました(身長147cm. 体重44kg)

耐糖能異常に変化がないかフリースタイルリブレで確認したところ、
普段の食事(糖質量概算20グラム以下)では血糖値120を超えることはありませんが、イベント等の糖質摂取時(家族のお誕生日でケーキを食べる、お客様と外食する等で糖質量概算50グラム程度)には、
食後2時間で120, 4時間で血糖値150程度の最高値、
そこから徐々に下がり血糖値が100未満になったのは6時間後でした。

典型的な短時間での血糖値の乱高下のグルコーススパイクではありませんが、
高血糖持続時間が長いので体へは負担がかかっているのでは、と愚考しております。

問題は、月に数回はこの様なイベントがあることです。
家族は普段同じ食事を摂れないことを理解してくれていますが、
お祝いの時は一緒に楽しみたいですし、気のおけない友人以外との外食は、
気を遣わせてしまわない様にどうしても糖質の多い食事を口にすることがあります。

選べる場合は選びますし、気休めにメタバリア等の血糖値の上がりにくいサプリを使う等の工夫はしますが、同じ様な高血糖になっていると思います。
本来はこういう場面でも糖質制限色を貫けば問題はないのですが、
私の我儘ではありますが、QOLとの天秤にかけ、月に数回の機会は受け入れております。

江部先生にご質問をしたいのは、この月に数回、確実に高血糖になる状況があることに対し、予防的に薬を飲んだ方が良いか否かです。
以前、堀江貴文氏が予防的にSGLT2阻害薬を自費診療で内服していることを思い出したので、叔父の内科医であればその様な処方をお願い出来るかもしれない、
と思った所存です。
(ただし、叔父が自費診療対応が出来なければ、OGTTをしてもらって保険診療で内服処方をお願いすることになると思われますが、もし境界型の数値であれば内服薬は一度目の診察で処方してもらえない印象なので不安です、無知で申し訳ありません)

月に数回であれば許容範囲なのか、可能であれば予防的に内服しておく方がベターなのか、江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
不躾なご相談で恐縮ですが、ご教授お願いいたします。

追伸;私は企業の専属産業医として勤務しているのですが、
自身の体験を踏まえて、社員に食後高血糖のリスクを広く伝えています。
僭越ながら、個人的な保健指導の際には
勝手に先生の書籍やブログも勧めさせていただいております。
早めに受診して食事だけでコントロール出来ている社員もおり、
先生には日頃からたいへん感謝しております。】


こんにちは。
育休産業医さんから、
『月に数回の高血糖時に備え内服治療は必要でしょうか?』
との、コメント・質問を頂きました。

【元々著書は拝読しておりましたが、二人目妊娠時にブログの閲覧を開始し、
おかげさまで血糖コントロールに成功し、第二子は無事に出産、
その後も糖質制限食で健診時もHbA1cは5.3-5.6%(30代後半)程度で推移】


拙著のご購入、ありがとうございます。
糖質制限食実践で、第二子を無事にご出産、良かったです。
HbA1cも素晴らしい値です。

【まれにイベントで糖質摂取量が多いと(自覚的に)、
リブレで血糖値ご160程度になることが分かっています、
そのパターンも食後2時間くらいから120を超え出し、
4時間程度で最高値になりその後6時間くらいで100未満に下がるため、
耐糖能異常は確実にあり(インスリンの分泌が遅く分泌量も少ないタイプ?)、
糖質制限はずっと続けないといけないと自覚しております。】


食後4時間が血糖値のピークなので、仰る通り、
内因性インスリンの分泌がやや遷延するタイプと思われますが、
分泌量はあるていど確保できていると思います。

一方、耐糖能が完全に正常なら、食後血糖値のピークは30~60分となります。
ただ、ピークが160mg/dlくらいなので、
血管壁への害はほとんどないと思われます。
それでもスーパー糖質制限食なら、「血糖値80-130mg/dl」なので
血糖コントロール良好と共にAGEsの蓄積も最小限にとどめることができるので、
健康度は高まります。

糖尿病合併症予防のためには
世界糖尿病連合は、食後1時間・2時間血糖値を160mg/dl未満を目標で、
日本糖尿病学会は、食後2時間血糖値が180mg/dl未満が目標です。


育休中産業さんは、しっかり目標を達成できておられます。

【この度、第三子を出産しました。
今回の妊娠中は糖質制限食を実施継続していたため、
尿糖でひっかかることもなく無事出産しました。
(OGTTをしたら確実に治療対象になったと思いますが)

現在産後一ヶ月で、授乳中で、産前の体重に戻りました。
(身長147cm. 体重44kg)】


妊娠糖尿病もなくて、無事出産、おめでとうございます。
身長147cm、体重44kgも、産前の体重に戻って良かったです。
BMIが20.4でほどよいと思います。

【イベントで糖質摂取量が多いのが月に数回であれば許容範囲なのか、
可能であれば予防的に内服しておく方がベターなのか、
江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
不躾なご相談で恐縮ですが、ご教授お願いいたします。】


上述しましたように、
世界糖尿病連合、食後1時間・2時間血糖値を160mg/dl未満、
日本糖尿病学会、食後2時間血糖値が180mg/dl未満

という目標をクリアしておられるので、
月に数回であれば、全く問題ないです。
勿論薬も必要ないです。

【私は企業の専属産業医として勤務しているのですが、
自身の体験を踏まえて、社員に食後高血糖のリスクを広く伝えています。
僭越ながら、個人的な保健指導の際には
勝手に先生の書籍やブログも勧めさせていただいております。
早めに受診して食事だけでコントロール出来ている社員もおり、
先生には日頃からたいへん感謝しております。】


拙著のご推奨、ありがとうございます。
社員さんの保健指導に、
拙著やブログがお役に立てているなら、嬉しい限りです。
育休産業医さん、これからも美味しく楽しく末長く
糖質制限食を続けられて、健康長寿を目指して頂ければ幸いです。


江部康二
コメント
糖質制限と一過性脳虚血発作について
最近糖質制限を始めました。
わたしはもやもや病という難病を患っているのですが、152センチ57キロもありダイエットしないといけないと思い、いろいろ調べていた所糖質制限は動脈硬化にも良いと知りました。
しかし、女医さんが一過性脳虚血発作になったという記事をみてもやもや病では一過性脳虚血発作が起こることがあるので不安です。
後わたしは、
朝→オリーブオイル15ml・卵3つ
昼→お肉100g程度・野菜・汁物
夜→1汁3菜
を2週間ほど続けていたのですが最初の3日間で2キロ減りその後体重が少し増えたため、倹約遺伝子タイプだと思いカロリー制限(だいたい1日に1000キロカロリーくらい)も同時に行ったところ1日に0.3キロずつ減るようになりました。

もやもや病という病気があっても
カロリー制限+糖質制限を行っても問題はないですか?時間がある時にでも返信頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
2022/01/25(Tue) 01:27 | URL | ぽぽ | 【編集
ご回答誠にありがとうございました
質問をした者です。早速の、そして丁寧かつ分かりやすいご回答誠にありがとうございました。以前妊娠糖尿病の診察時に「最高値のピークが遅い程病態として悪い」と言われたため、子どもがまだ小さいのに自身の状態はかなり悲観的なのではないかと思っていましたが、あくまで現在用いられている基準に基づき、最高値に注目すると起こりうるリスクは低いとご教示いただき、ホッといたしました。これからも糖質制限食を継続し、高血糖の機会が増え過ぎない様に気を引き締めつつ、人生を楽しんでいこうと思います。この度は誠にありがとうございました。
2022/01/25(Tue) 01:43 | URL | 育休中産業医 | 【編集
Re: 糖質制限と一過性脳虚血発作について
ぽぽ さん

米国糖尿病学会は、2019年4月の「コンセンサスレポート」で
『糖質制限食事が最もエビデンスが豊富である』を明言しました。
2020年、2021年のガイドラインでも同様の見解です。

もやもや病に関しては私にはよくわかりません。
また、私は、ぼぼさんに、安全性の保証をする立場にありません。
ぼぼさんが、ご自分でご判断ください。

152センチ57キロ・・・BMIは24.67です。
日本人の女性は、BMI20以上25未満で、その人の体調が良ければそれでOKです。

1000kcal/日は、少なすぎますので、増やしましょう。
2022/01/25(Tue) 08:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限と一過性脳虚血発作について
江部先生早速の返信ありがとうございます。
糖質制限はカラダにとって一番良い食事方法だと思っているのですがいろんな記事を見て、病気持ちのわたしができる食事方法ではないのかと不安になっているところでした。
しかし、糖質制限をすると食事後の眠さや動悸お腹空いてきた時の低血糖感がなくわたしには合っていると思いました。
女医さんが糖質制限で脳虚血発作になったことは根拠がないと言われているのでわたしは糖質制限続けてみます。
ありがとうございます。

あともう少しカロリー摂るようにします(^ ^)
2022/01/25(Tue) 08:57 | URL | ぽぽ | 【編集
インスリン投与の必要性
なぜ、インスリン投与が必要なのかと言う基本的な疑問と質問です。

体内でグルコースが必要な細胞は、ミトコンドリアを持たない(解糖系のみの)赤血球だけ(?)とされています。
その赤血球がグルコースを取り込むためのグルコース輸送体はGLUT1であり、GLUT1はインスリンを必要とせずにグルコースを取り込めるはずです。
そして、赤血球に必要なグルコースは、体外からの摂取がなくても糖新生によって賄われます。したがって炭水化物は必須栄養素ではない事になっています。

では、なぜ、インスリンが枯渇した1型糖尿病では、インスリンの体外からの投与が必要になるのでしょう。
1型糖尿病患者は、脂肪酸代謝と糖新生により得た(赤血球のための)グルコースのみでは生命の維持ができないのは何故でしょうか。
インスリンを投与しなければ生命維持に必要なエネルギーが不足するためと説明しているものが多いと思いますが、ケトン食(てんかん治療食)のような食事であればインスリン投与は不要なのでしょうか。
2022/01/25(Tue) 09:28 | URL | 西村 典彦 | 【編集
Re: インスリン投与の必要性
西村 典彦 さん

糖質代謝、たんぱく質代謝、脂肪代謝の全てに関与していますので、
生命の維持に必要不可欠のホルモンです。
インスリンの役割インスリン過剰の弊害について、記事にしようと思います。


インスリンの作用


インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。

インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。

1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。

2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。

3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。


2022/01/25(Tue) 10:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
おはようございます
またまた妙な記事が。

砂糖や炭水化物を抜くダイエットで「果物」は避けるべきなのかを専門家が解説 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20220118-sugar-carbs-fruit-diet/ 

糖質制限を本当に叩きたいのでしょうね。
人の健康よりもプロパガンダを優先かつ、利益でしょうね。
私も大金くれたらこちら側に立っているかもしれません(笑)
2022/01/25(Tue) 11:41 | URL | 猫 | 【編集
Re: おはようございます
猫 さん

情報をありがとうございます。

米国糖尿病学会が、2019年4月の<コンセンサスレポート>
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と明言し、
2020年、2021年のガイドラインでも同様の見解を示しています。


反論としては、これで必要充分でしょう。
2022/01/25(Tue) 16:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
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