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百寿者はしっかり食べている。タンパク質摂取が大事。医師は短命?
こんばんは。
少し前ですが、

日経Goodayに
2018/2/24
「100歳以上の長寿には小食が多い」 ウソ・ホント?
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO26731380Z00C18A2000000/


という記事が載りました。
以前yanosono さんから情報を頂きました。
ありがとうございます。

結論は
「100歳以上の長寿には小食が多い」はウソでして、
「しっかり食べている」が正解です。


以下の青字の記載は、日経Goodayの記事を要約してみました。

【厚生労働省が2017年9月に発表したデータによると、
現在日本には100歳以上の高齢者が全国に6万7824人だそうで
随分増えたものだと思います。
 47年間、連続で増加し続けているとのことです。

 慶應義塾大学医学部では1992年から、
百歳以上生きる人(百寿者)の医学調査を行っています。
当時の百寿者は4000人程度ですから、
25年間で、16倍以上に増えています。
 「粗食がいい」とか「カロリーを制限すると寿命が延びる」という説もありますが
実際の「百寿者」の食生活は、どのようなものか興味ある話題です。

 長寿者の研究を行っている
慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター講師の新井康通さんは、
「百寿者はむしろしっかり食べています」と述べています。
 摂取カロリーも、80代と同レベルで栄養状態が良いのが基本です。

 60代ぐらいまでは、糖尿病やメタボ予防に、
肥満しないような食生活が基本ですが、
それ以降は、むしろしっかり食べて筋肉や骨を維持することの方が重要です。
カロリー制限の目的は、体脂肪を減らすことですが、
実際は、筋肉や骨も同時に弱くなりますし、
通常、筋肉と骨は加齢とともに減っていきます。

 70~80代以降になると、筋肉と骨格系の衰えの方が重要な問題です。
新井講師は
「個人差はありますが、70代ぐらいになったら頭を切り替え、
『やせないようにしっかり食べる』ことを優先した方がいいのです。
栄養素では、たんぱく質をきちんと食べることが大事です」。
 「もちろん百寿者には肥満の人はほとんどいませんので、
若いころから食べ過ぎる習慣はなかったと思われます。
でも、小食でもない。とりわけ高齢になってからは、
むしろしっかり食べたほうがいいと、覚えておいてください」
と述べておられます。】


私も、基本は新井講師のお考えに賛成ですが、
もっと早期から高蛋白・高脂肪食にするほうが、もっと良いと思っています。
すなわち、スーパー糖質制限食実践ですが、早ければ早いほど良いと考えています。
それで、糖尿病・メタボ・肥満なども予防できます。

私自身は、52歳で糖尿病が発覚してから、
足かけ20年、スーパー糖質制限食を続けています。
つまり、52歳から「高蛋白・高脂肪食」をしっかり摂取していることになります。
おかげで、71歳現在、内服薬なしで、糖尿病合併症もなしで、他の生活習慣病もなしで、
血液検査のデータは全て正常です。
2022年1月8日には、72歳になります。

①歯は全部残っていて、虫歯はなし。 ・・・1~2人/100人
②身長も縮んでいません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/10人
③夜間の尿も行きません。・・・・・・・・・・・・・・・・・1/10人
④聴力低下もなし。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/10人
⑤視力は裸眼で広辞苑が読めます。・・・・・・・・・1/50人
単純計算では、①②③④⑤を全て達成している人の確率は、
250万人~500万人に一人です。
身長167cm、体重57kg前後で、20年間不変です。
単なる個人のデータですが、スーパー糖質制限食実践の成果と思われます。

私は京大医学部に、1968年に入学して、1974年に卒業です。
医学部卒業時には、同級生が、110人いましたが、
2021年12月現在、すでに10名が逝去されています。

医者の不養生というわけでもないのですが、
仕事上の重責とか毎日のようなサービス残業とか、
精神的にも肉体的にもかなりストレスフルなのがこの職業なので、
医師は思った以上に短命なのです。

岐阜県保険医協会が実施した調査(2008~2017年)で、
開業医の死亡時平均年齢が70.8歳と短く
特に60歳代の死亡割合が34%と最も多いことが明らかになりました。

厚生労働省の統計にある死亡時平均年齢(2015年)は、
男性が77.7歳、女性が84.3歳であり、明らかな差がありました。
日本人全体の死亡割合では80歳代がピークであり、
医師の60歳代が、死亡のピークというのはいかにも若すぎます。


さて、同級生諸氏の話題に戻りますが、ほとんどの方が、何か内服薬を飲んでいます。
高血圧、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、高尿酸血症、糖尿病、逆流性食道炎・・・
同級生の医師からは「江部君は変だよ。早く何か病気になりなさい。」
と誘惑されています。

ともあれ、今は、52歳で糖尿病になってとても運が良かったと、
糖尿病に感謝しています。
糖尿病を発症していなくて、普通にラーメンや寿司やケーキを食べ続けていたら
今頃は、歯は何本か抜けて、背は縮み、視力・聴力も低下し、
夜中に2~.3回は排尿に行く人生であったと思います。


江部康二
コメント
長寿のファクターについて
1.「少食」と言う表現について
少食かどうかは、相対的な比較であり、普段の食事が過食だとすれば、相対的に少食の方が健康で長寿になると言えます。
極端な少食(絶対的なカロリー不足)が長寿に良い影響を与えるとは思えませんが、厚労省推奨の摂取カロリーも私は過食だと感じているのでそれと比べても「相対的に少食」の方が健康には良いとのではないかと考えています。少食と言う言葉はあくまでも過食に対する相対的な表現であり、決して絶対量が不足するような食事ではないと思います。
したがって、過食よりは少食(実際には適正量)が、健康であり、長寿であると私は考えています。
適正量がいくらかと言う事になりますが、厚労省の推奨量も多いのではないかと感じている私が適正と思う量(適正体重を維持する量)は、厚労省推奨値と比べて「少食」という表現になります。

2.断食について
少食が長寿のファクターだとする研究は多数ありますが、「SUPER AGERS 老化は治療できる ニール・バルジライ著」によると長寿のファクターは少食ではなく、断食が長寿のファクターであると記されています。ラットの実験になりますが、カロリー制限された餌を1日中食べた場合とその全量を朝に食べたラットでは、1日中食べたラットは長生きしなかったと言う事です。
カロリー制限の実験を行う際に、食事回数を減らすことが行われますが、それは、カロリーが制限されると同時に絶食時間が長くなります。どちらが長寿に対する影響が多いかと言えば絶食時間を長く取る方が長寿に対して良い結果が得られたと言うものです。

3.長寿の食事について
長寿にとって大事なことは、タンパク質を多く摂る事ですが、若いころからではなく、老齢になってから摂取量を増やす必要がありそうです。
タンパク質の摂取は細胞分裂を活性化し、テロメアの短縮を早め、細胞分裂の限界を早めますのでタンパク質の過剰摂取は避けるべきです。
ただし、老齢期のタンパク質不足は、サルコペニア等の長寿に対してリスクとなるファクターになります。
したがって、若年期には、タンパク質の摂取量を抑え細胞分裂を抑制し、老齢期には多く摂取し、サルコペニア等のリスクを回避する事が長寿に対するタンパク質摂取の方法と言えそうです。
少し前に、投稿した内容になりますが、
高タンパク食は、繁殖力を高めるが、短命であり、高炭水化物食は、繁殖力は抑制されるが長寿である。
結局、生物は個の長寿よりも種の存続を優先する。
と言うものです。

4.DNAの違い
長寿に対する一番のファクターは長寿遺伝子を持っているかどうかと言う事だろうと思います。
ブルーゾーンと呼ばれる長寿地域(戦前の沖縄など)や長寿家系が存在することからも長寿に遺伝子が関係している事が推察されます。
長寿をどの程度の寿命と定義するかによると思いますが、90~100歳未満であれば、生活習慣や食事などある程度実現できるのではないかと思います。しかし、110歳を超えるような超長寿となると食事や生活習慣だけでは実現できそうには思えません。現時点で、長寿遺伝子を持たない人がどこまで長寿になれるかと言う事については、今後の研究結果にゆだねる段階だと思います。

以上が、生命科学についての書籍などから得た情報に私なりの解釈を加味したものになります。
食事量についてもタンパク質の摂取量についても、多すぎず少なすぎず摂取する必要がありそうで、どこかに損益分岐点が存在し、食事内容(バランス)は年齢と共に変化する必要があると言うのが私の現在の考えです。
2021/12/27(Mon) 17:48 | URL | 西村 典彦 | 【編集
Re: 長寿のファクターについて
西村 典彦 さん

長寿のファクターについて、コメントをありがとうございます。

1.「少食」と言う表現について
2.断食について
3.長寿の食事について
4.DNAの違い

少食より、断食が長寿のファクターであるというのは、賛成です。
タンパク質をいつ頃から摂取するのが良いかは、議論のあるところです。
DNAの違いは、長寿に影響すると思います。

そして、まだ理論的段階ですが、糖質制限食により、
『糖化の延長上にある老化』が予防できます。
<①ケトン体高値><②AGEsの蓄積が少ない>
①②という二つのアドバンテージがあります。
ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用および、慢性炎症を抑える効果が期待できます。
慢性炎症を抑えることで、一定の老化予防になると思います。



あと、オートファジーの活性化が、寿命を延ばすと思われます。


SWITCH(スイッチ)
オートファジーで手に入れる究極の健康長寿
ジェームズ・W・クレメント、クリスティン・ロバーグ (著), 児島 修 (翻訳)

この本では、
p65で、
『オートファジーが
mTOR(エムトア)の活性化と抑制化のサイクルを繰り返す
これらで、老化を遅らせる。
これが、現時点での最高の
アンチエイジングの「スイッチ」である。』


P219
『「成長」(mTORが活性化)
「修復」(オトファジー。)
カロリー制限、間欠的断食、超低糖質食
が寿命を延ばすのに極めて有効。』

p327

スイッチ・・・「mTOR」エムトアの働きが抑制されるとオートファジーが活性化。

オートファジーは細胞の「自己浄化モード」

脂肪燃焼とがん細胞の除去。
細胞内浄化と脂肪燃焼・・・オートファジー
2021/12/28(Tue) 16:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
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