2021年12月25日 (土)
こんばんは。
今回は、
「Low T3 syndrome(低T3症候群)」について考えてみます。
「Low T3 syndrome(低T3症候群)」とは、
FT3という甲状腺ホルモンだけが低値で、FT4という甲状腺ホルモンは正常で、
TSH(甲状腺刺激ホルモン)も正常な病態ですが、
これは、甲状腺機能低下症ではありません。
この「Low T3 syndrome(低T3症候群)」は、臨床上、時々見かけます。
慢性消耗性の疾患で低栄養のときに見かけます。
例えば神経性食思不振症などでは比較的よく見られます。
これらは、低栄養のため見かけ上、FT3が低値なだけで、
本当の甲状腺機能低下症ではありません。
従って、甲状腺ホルモンのチラージンSなどを投与しても無意味です。
治療は原疾患の慢性消耗状態や低栄養状態を改善してやれば、
おのずから低FT3も改善して正常値となるのです。
意外かもしれませんが、神経性食思不振症では、
高コレステロール血症が見られることが多いです。
つまり摂取エネルギー不足でもコレステロール値が上昇する場合があるということです。
スーパー糖質制限食を実践して、体力がおちて
ヘロヘロになったり、
筋力が落ちたり、生理が止まったり、
髪の毛が抜けたりといった症状を訴える方々がたまにおられます。
これは糖質制限食のせいではなく、脂質も制限して、
結果として摂取エネルギーが低過ぎたために生じる症状です。
この時、血液検査をしてFT3が低いと、
甲状腺機能低下症と誤診する可能性があります。
しかしこれは「Low T3 syndrome(低T3症候群)」であり、
TSHが正常ならば、本当の甲状腺機能低下症ではありません。
真の甲状腺機能低下症なら、必ずTSHが上昇しますので鑑別は容易です。
摂取エネルギーを標準まで増やせば、症状も改善してFT3も改善します。
要は 「Low T3 syndrome(低T3症候群)」という状態を
医師が認識しているかどうかです。
「Low T3 syndrome(低T3症候群)」という概念をご存じない医師が結構おられるので
注意が必要です。
江部康二
今回は、
「Low T3 syndrome(低T3症候群)」について考えてみます。
「Low T3 syndrome(低T3症候群)」とは、
FT3という甲状腺ホルモンだけが低値で、FT4という甲状腺ホルモンは正常で、
TSH(甲状腺刺激ホルモン)も正常な病態ですが、
これは、甲状腺機能低下症ではありません。
この「Low T3 syndrome(低T3症候群)」は、臨床上、時々見かけます。
慢性消耗性の疾患で低栄養のときに見かけます。
例えば神経性食思不振症などでは比較的よく見られます。
これらは、低栄養のため見かけ上、FT3が低値なだけで、
本当の甲状腺機能低下症ではありません。
従って、甲状腺ホルモンのチラージンSなどを投与しても無意味です。
治療は原疾患の慢性消耗状態や低栄養状態を改善してやれば、
おのずから低FT3も改善して正常値となるのです。
意外かもしれませんが、神経性食思不振症では、
高コレステロール血症が見られることが多いです。
つまり摂取エネルギー不足でもコレステロール値が上昇する場合があるということです。
スーパー糖質制限食を実践して、体力がおちて
ヘロヘロになったり、
筋力が落ちたり、生理が止まったり、
髪の毛が抜けたりといった症状を訴える方々がたまにおられます。
これは糖質制限食のせいではなく、脂質も制限して、
結果として摂取エネルギーが低過ぎたために生じる症状です。
この時、血液検査をしてFT3が低いと、
甲状腺機能低下症と誤診する可能性があります。
しかしこれは「Low T3 syndrome(低T3症候群)」であり、
TSHが正常ならば、本当の甲状腺機能低下症ではありません。
真の甲状腺機能低下症なら、必ずTSHが上昇しますので鑑別は容易です。
摂取エネルギーを標準まで増やせば、症状も改善してFT3も改善します。
要は 「Low T3 syndrome(低T3症候群)」という状態を
医師が認識しているかどうかです。
「Low T3 syndrome(低T3症候群)」という概念をご存じない医師が結構おられるので
注意が必要です。
江部康二
1) Covid-19:研究者は、ファイザーのワクチン試験でデータの整合性の問題について口笛を吹く(Jackson氏による内部告発です)
https://doi.org/10.1136/bmj.n2635
ところがこの記事に対してFacebook が過剰な fact check を行った
2) Twitter での反論:ファイザーのCOVID-19ワクチン試験における深刻なデータ整合性の問題の不適切な打ち切りと完全に無能ないわゆるファクトチェックについてのBMJからFacebookへの公開書簡。 これは非常に深刻です。 ビッグテックはオープンな議論と私たちの民主主義を破壊しています。
https://twitter.com/pgtzsche1/status/1472092408481521669
3) BMJの編集者はFacebook に対して送った公開書簡の詳しい内容です。BMJの記事の共有ができなくなっているのは遺憾である
https://www.bmj.com/content/375/bmj.n2635/rr-80
https://doi.org/10.1136/bmj.n2635
ところがこの記事に対してFacebook が過剰な fact check を行った
2) Twitter での反論:ファイザーのCOVID-19ワクチン試験における深刻なデータ整合性の問題の不適切な打ち切りと完全に無能ないわゆるファクトチェックについてのBMJからFacebookへの公開書簡。 これは非常に深刻です。 ビッグテックはオープンな議論と私たちの民主主義を破壊しています。
https://twitter.com/pgtzsche1/status/1472092408481521669
3) BMJの編集者はFacebook に対して送った公開書簡の詳しい内容です。BMJの記事の共有ができなくなっているのは遺憾である
https://www.bmj.com/content/375/bmj.n2635/rr-80
2021/12/25(Sat) 21:56 | URL | 中嶋一雄 | 【編集】
中嶋一雄 先生
情報をありがとうございます。
情報をありがとうございます。
2021/12/26(Sun) 08:27 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生いつも楽しく有益なブログ見させて頂いています。
コメン失礼致します。
もし宜しければ下記の「糖質制限による遊離脂肪酸と心臓の関係」について江部先生のご意見をお聞かせ頂けましたら幸いです。
「極端な糖質制限を行うと、エネルギー代謝は遊離脂肪酸のみとなり、常に血液中には過剰な遊離脂肪酸が存在することになります。
心臓は遊離脂肪酸にて心筋の興奮性が亢進し、不整脈を誘発する。場合によっては心室細動による心臓突然死の原因となります。
心臓突然死の発症は、疫学的には午前中に多く、マラソン時に多いのが知られています。空腹時、マラソン時のエネルギー代謝は遊離脂肪酸であり、交感神経緊張状態の時に発症する共通点があります。」
http://www.kawamura-cvc.jp/contents/onepoint/point56.html
またこれ以外にも下記の様な糖質制限により心臓病のリスクが上がるという情報がいくつもありまして心配になってしまいました。
https://twitter.com/ToshiyukiHorie/status/1439822185783181319
現在私も糖質制限を5年間行っていまして、最近、頻繁に不整脈が起こることがありましてコメントさせて頂きました。
何卒よろしくお願い致します。
コメン失礼致します。
もし宜しければ下記の「糖質制限による遊離脂肪酸と心臓の関係」について江部先生のご意見をお聞かせ頂けましたら幸いです。
「極端な糖質制限を行うと、エネルギー代謝は遊離脂肪酸のみとなり、常に血液中には過剰な遊離脂肪酸が存在することになります。
心臓は遊離脂肪酸にて心筋の興奮性が亢進し、不整脈を誘発する。場合によっては心室細動による心臓突然死の原因となります。
心臓突然死の発症は、疫学的には午前中に多く、マラソン時に多いのが知られています。空腹時、マラソン時のエネルギー代謝は遊離脂肪酸であり、交感神経緊張状態の時に発症する共通点があります。」
http://www.kawamura-cvc.jp/contents/onepoint/point56.html
またこれ以外にも下記の様な糖質制限により心臓病のリスクが上がるという情報がいくつもありまして心配になってしまいました。
https://twitter.com/ToshiyukiHorie/status/1439822185783181319
現在私も糖質制限を5年間行っていまして、最近、頻繁に不整脈が起こることがありましてコメントさせて頂きました。
何卒よろしくお願い致します。
江本 さん
「極端な糖質制限を行うと、エネルギー代謝は遊離脂肪酸のみとなり・・・」
ここで、すでに間違っています。
厳格な糖質制限食でも、断食中でも、糖新生によりブドウ糖が作られ血糖値を保ちます。
すなわち、厳格な糖質制限実践者においては
<ケトン体、脂肪酸、ブドウ糖>の三者がエネルギー源となります。
ちなみに、
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、
155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
心筋が最も好むエネルギー源は、実はケトン体なのです。
また、米国糖尿病学会は、
2019年4月のコンセンサス・レポートでは、糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言しました。
その後、2020年、2021年のガイドラインでも、同様の見解です。
糖質制限食は厳格なものも緩やかなものも、共に容認しています。
つまり糖質制限食の有効性と安全性は、米国糖尿病学会の保証付きということです。
ただ、頻繁に不整脈が起こるということなら、
循環器的精査をしたほうが良いです。
心電図、ホルター心電図、心エコーなどです。
2021/12/27(Mon) 16:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
ご丁寧にとても詳しく教えて下さいまして本当にありがとうございます。
糖質制限により心臓の健康も保てそうですね。
今後も安心して糖質制限を続けていこうと思います。
心臓に関しましては循環器科に行ってみます。
ありがとうございました。
ご丁寧にとても詳しく教えて下さいまして本当にありがとうございます。
糖質制限により心臓の健康も保てそうですね。
今後も安心して糖質制限を続けていこうと思います。
心臓に関しましては循環器科に行ってみます。
ありがとうございました。
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