2008年10月21日 (火)
おはようございます。
今回は糖質制限食とやせ・冷えに関して、やせ・冷えさんからコメント・質問をいただきました。
『08/10/16 やせ・冷え
痩せ、末梢神経障害
江部先生。
半年前HbA1c6.2を指摘され、IGTと診断された41歳男性です。糖質制限実施し、約半年で68から53キロまで(15kg)ダイエットしました。その結果HbA1c5.6まで改善いたしました。
しかし、ダイエット開始後2~3ヶ月後より、足の指先端の冷感を自覚し、最近はくるぶしより末梢の冷感を感じるまでになりました。(実際足はかなり冷たくなっております。)夏でも靴下をはかないと眠れません。
このHbA1cの値では末梢神経症状は出ないと勝手に解釈しており、やせによる冷え性と理解しておりますが、いかがなものでしょうか?(糖質制限による影響の可能性はございませんでしょうか?)
同様なダイエットにて冷え性の訴えのある患者様は多いのでしょうか?お教えください。』
やせ・冷えさん。コメントありがとうございます。
HbA1c 6.2→HbA1c5.6、体重 68kg→53kg
見事な改善ですね。
一方、抹消の冷えを感じるということですが、糖尿病はデータ的に正常域にまで改善してますので
仰有る通り、糖尿病神経障害がでる可能性はなく、やせ過ぎによる冷えと思います。
やせ・冷えさん以外ににも、糖質制限食実践で
「血糖値は改善したが痩せすぎる」
「寒がりになった」
「力がでない」
「手足が冷える」
などと訴えられる糖尿人がたまにおられます。
そのほとんどが、結果としてカロリー不足になっておられました。つまり、脂肪が良くないと言う常識が、あまりにも強固に染みついているために無意識のうちに<糖質制限+脂質制限>という食生活になっている人がいるのです。これではそれこそ食べるものがなくなります。
<脂肪悪玉説神話>は、米国の信頼度第一級の疫学的論文で、既に否定されています。**
<糖質制限食=高タンパク・高脂質食>ということをしっかりご認識いただいて、脂質もしっかり食べて、低カロリーにならないようにしておけば、冷えが改善してくると思いますよ。 (^_^)
江部康二
**
米国の大規模介入試験
(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において
「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない」ことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。(JAMA. 2006;295:629-642. 643-654. 655-666.)
**
「米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった。」
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号に、ハーバード大学のグループにより報告されました。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
今回は糖質制限食とやせ・冷えに関して、やせ・冷えさんからコメント・質問をいただきました。
『08/10/16 やせ・冷え
痩せ、末梢神経障害
江部先生。
半年前HbA1c6.2を指摘され、IGTと診断された41歳男性です。糖質制限実施し、約半年で68から53キロまで(15kg)ダイエットしました。その結果HbA1c5.6まで改善いたしました。
しかし、ダイエット開始後2~3ヶ月後より、足の指先端の冷感を自覚し、最近はくるぶしより末梢の冷感を感じるまでになりました。(実際足はかなり冷たくなっております。)夏でも靴下をはかないと眠れません。
このHbA1cの値では末梢神経症状は出ないと勝手に解釈しており、やせによる冷え性と理解しておりますが、いかがなものでしょうか?(糖質制限による影響の可能性はございませんでしょうか?)
同様なダイエットにて冷え性の訴えのある患者様は多いのでしょうか?お教えください。』
やせ・冷えさん。コメントありがとうございます。
HbA1c 6.2→HbA1c5.6、体重 68kg→53kg
見事な改善ですね。
一方、抹消の冷えを感じるということですが、糖尿病はデータ的に正常域にまで改善してますので
仰有る通り、糖尿病神経障害がでる可能性はなく、やせ過ぎによる冷えと思います。
やせ・冷えさん以外ににも、糖質制限食実践で
「血糖値は改善したが痩せすぎる」
「寒がりになった」
「力がでない」
「手足が冷える」
などと訴えられる糖尿人がたまにおられます。
そのほとんどが、結果としてカロリー不足になっておられました。つまり、脂肪が良くないと言う常識が、あまりにも強固に染みついているために無意識のうちに<糖質制限+脂質制限>という食生活になっている人がいるのです。これではそれこそ食べるものがなくなります。
<脂肪悪玉説神話>は、米国の信頼度第一級の疫学的論文で、既に否定されています。**
<糖質制限食=高タンパク・高脂質食>ということをしっかりご認識いただいて、脂質もしっかり食べて、低カロリーにならないようにしておけば、冷えが改善してくると思いますよ。 (^_^)
江部康二
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米国の大規模介入試験
(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において
「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない」ことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。(JAMA. 2006;295:629-642. 643-654. 655-666.)
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「米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった。」
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号に、ハーバード大学のグループにより報告されました。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
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