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理研がコロナの「ファクターX」一部解明 オミクロン株に効果か
こんばんは。
2021年12月8日(水)のヤフーニュースに産経新聞の記事、

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c3b2bcd7625ba2e6580afd3ef935d58726c3fca
理研がコロナの「ファクターX」一部解明 オミクロン株に効果
12/8(水)


が掲載されました。

以下の青字の記載は、上記の産経新聞記事の要約です。

【日本人の新型コロナ患者の重症者や死亡者が、
欧米人に比べて非常に少ない理由として存在が指摘されてきた謎の要因「ファクターX」について、理化学研究所は8日、
「日本人に多い特定の免疫タイプが要因の一部だと解明した」と発表した。

感染した細胞を免疫細胞の一つであるキラーT細胞が破壊する仕組みも判明。
仕組みを応用すれば、新たな脅威となっている変異株「オミクロン株」にも有効なワクチンの開発につながりそうだとしている。

新型コロナのウイルスが細胞に感染すると、免疫の作用で細胞の表面に、
ウイルスが侵入したことを示す抗原となるペプチドという物質が表れる。
これにキラーT細胞が刺激されて増殖し、感染細胞を破壊して重症化を防ぐ。
免疫のタイプは多数あって表れるペプチドの種類が異なり、
反応するキラーT細胞も異なる。
反応しない場合もある。

研究チームは、日本人の約6割が持っているが、
欧米人は1~2割しか持たない白血球の型「HLA―A24」という免疫タイプに着目。
このタイプの細胞が新型コロナに感染した際、
細胞表面にどのような種類のペプチドが表れ、
それらにキラーT細胞が反応するか分析した。

その結果、「QYI」というペプチドにキラーT細胞が効率的に反応することが判明。
同じ免疫タイプで新型コロナ未感染の人の細胞を採取しQYIを投与すると、83・3%でキラーT細胞が反応し増殖した。
これらから、日本人の新型コロナ感染者に重症者などが少ないファクターXは、
この免疫タイプの多さが要因の一部だと結論づけた。

この仕組みを利用しQYIをワクチンとして投与すれば、
重症化を抑止できる可能性がある。
また、既存のワクチンとは働きが異なるため、
チームではオミクロン株にも有効ではないかとみている。
理研の藤井真一郎チームリーダーは
「これまでワクチンが効かなかった人の新たな治療法になる可能性もある。
さらに研究を進めたい」と話した。】


「ファクターX」一部解明とは、なかなかに心強いお話です。

『新型コロナのウイルスが細胞に感染すると、免疫の作用で細胞の表面に、
ウイルスが侵入したことを示す抗原となるペプチドという物質が表れる。
これにキラーT細胞が刺激されて増殖し、感染細胞を破壊して重症化を防ぐ。
免疫のタイプは多数あって表れるペプチドの種類が異なり、
反応するキラーT細胞も異なる。
反応しない場合もある。』


免疫の作用で感染細胞の表面に現れるペプチドは多種類あって、
これに対する免疫のタイプも多種類あります。
そしてそれぞれに反応する『キラーT細胞』も異なっています。

日本人の約6割にある白血球の型「HLA―A24」という免疫のタイプを持つ人は、
風邪の原因となる季節性コロナウイルスに対する免疫細胞が、
新型コロナウイルスの感染細胞も攻撃するという実験結果を、
理化学研究所のチームが発表し、
英科学誌コミュニケーションズ・バイオロジーに論文が掲載されました。
ちなみに欧米人は、白血球の型「HLA―A24」は、1~2割しか持っていません。


『その結果、「QYI」というペプチドにキラーT細胞が効率的に反応することが判明。
同じ免疫タイプで新型コロナ未感染の人の細胞を採取しQYIを投与すると、83・3%でキラーT細胞が反応し増殖した。』


免疫の作用で感染細胞の表面に現れるペプチドが「QYI」であれば、
新型コロナウイルス感染に対して、
キラーT細胞が効率的に反応するということが判明しました。
日本人には、「QYI」というペプチドが感染細胞表面に現れやすいという特徴があり、
これが、新型コロナ感染症に大変有利に働いたようです。

つまり日本人の場合、コロナウイルス感染による「普通の風邪」に罹患した既往があれば、
新型コロナウイルス感染に対しても、既に一定の準備ができているということになります。
従って新型コロナウイルスに感染した際には、
速やかに『キラーT細胞』が、駆けつけて感染した細胞を破壊してくれるので、
重症化が防げるわけです。


日本人のファクターXの要因の一つは
<白血球の型「HLA―A24」 と「QYI」というペプチド>
と判明しました。
これらなら、デルタ株にもオミクロン株にも有効と考えられます。
また、「QYI」というペプチドを投与することで
重症化が防げる可能性が高いです。

もっとも、デルタ株はともかくとして、
オミクロン株は、幸い、現在までのところ、弱毒性の可能性が高いです。
このまま、オミクロン株がデルタ株に置き換わって単なる感冒になってくれたら、
一番ラッキーなストーリー展開となるのですが・・・。


江部康二

コメント
理研のHP
2021/12/11(Sat) 22:50 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
Re: 理研のHP
中嶋一雄 先生

情報をありがとうございます。
2021/12/11(Sat) 23:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
さっき、オールアバウトがこんな記事出してました

「夜は太るから炭水化物を食べない」ダイエットが“危険な理由”を管理栄養士に聞いてみたら http://a.msn.com/05/ja-jp/AARIi2Z?ocid=st

書いたのはどっかの大学の准教授だか管理栄養士だからしいですが、炭水化物食べないとケトになって危ない!危ない!ばかり言って糖質は必須エネルギーだと根拠も示さず言い張り全てそういう前提の上で「肉しか食べないと危険だ危険だ」と煽りばかり語っていて話にならないです
低糖質が危ないと一方的に言っておきながら、だったら筆者は糖質はどういう理由で必須と言うのかが全く触れていないのは全く公平な記事ではない、必須アミノ酸や必須脂肪酸はとらないと生きていけないが必須糖質という論文はないと散々言われてるのに、この筆者は糖質が必須という論拠を全く言っていない

未だにこういう一方的プロパガンダ記事がタレ流されるのはどうにかならないもんでしょうかね
この手の記事は一方的にタレ流されるのみでコメント欄とかないので、読者が全く反論が出来ないというのが酷いんですよね、TV新聞などのオールドメディアと同じ事をネットでやってるのは汚いと思います
少なくともこのブログの方がコメントを受け付けているのですから圧倒的に説得力があると思います
2021/12/12(Sun) 03:18 | URL | とおり | 【編集
ファクターX
そう致しますと、日本国内のコロナの重症者、死者は、数少ない欧米人の割合が高いのでしょうか。それとも日本にいる欧米人で感染者が少ないのは、日本国内ではファクターXのお陰で感染自体が抑えられ気味?だから、になりますか。
2021/12/12(Sun) 07:20 | URL | れもん | 【編集
Re: タイトルなし
とおり さん

情報をありがとうございます。


欧米でも日本でも、すでに「ケトン体は生体にとって好ましい物質で、脳・心・腎保護作用がある」と言う共通認識があります。


米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポートで「糖質制限食が最もエビデンスが豊富である」と明言しています。2020年、2021年のガイドラインでも同様の見解です。

①②によりまして、この種の論争には、とっくに決着がついています。
2021/12/12(Sun) 08:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ファクターX
れもん さん

厚生労働省は、日本におけるコロナ死者に関して、国籍を分けていません。
従って、コロナ死者数の内、外国人の割合を示す明確なデータはありません。
以下の数値は、新型コロナ感染者に関する参考値です。

少し古いですが、
2020年11月18日(水)の
厚生労働省のサイトに「空港検疫に関わる発生状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14945.html

が載っていました。
空港ですから、外国人があるていど多いのはわかります。
しかし月別にもよりますが、外国人感染者がとても多いです。

(2)空港検疫に係る発生状況
空港検疫での陽性者の国籍内訳:
(3月)日本国籍60名、 外国籍6名。 合計66名。
(4月)日本国籍68名、 外国籍12名。 合計80名。
(5月)日本国籍19名、 外国籍26名。 合計45名。
(6月)日本国籍31名、 外国籍93名。 合計124名。
(7月)日本国籍58名、 外国籍219名。 合計277名。
(8月)日本国籍77名、 外国籍120名。 合計197名。
(9月)日本国籍69名、 外国籍104名。 合計173名。
(10月)日本国籍75名、 外国籍142名。 合計217名
2021/12/12(Sun) 08:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
この論文はご覧になりましたか?
「ウイルスの感染力を高め、日本人に高頻度な細胞性免疫応答から免れるSARS-CoV-2変異の発見

 佐藤 佳(東京大学医科学研究所 附属感染症国際研究センター システムウイルス学分野 准教授)

 新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の感染受容体結合部位が、ヒトの細胞性免疫を司る「ヒト白血球抗原(HLA)」の一種「HLA-A24」によって認識されることを見出した。

「懸念すべき変異株」に認定されている「カリフォルニア株(B.1.427/429系統)」と「インド株(B.1.617系統;デルタ型)」に共通するスパイクタンパク質の「L452R変異」が、HLA-A24を介した細胞性免疫から逃避することを明らかにした。

「L452R変異」は、ウイルスの感染力を増強する効果があることを明らかにした。

 本研究成果は2021年6月14日、米国科学雑誌「Cell Host & Microbe」オンライン版で公開されました。

 本研究の概要:本研究では、流行株の大規模な配列解析により、HLA-A24によって認識されるエピトープ部位の変異、Y453FとL452Rを同定しました。Y453F変異は、HLA-A24から逃避し、感染受容体ACE2への結合性を高める能力を持ちますが、この変異を持つB.1.1.298系統は、昨秋のデンマークでの一過的な流行以降に収束しました。一方、L452R変異は、HLA-A24から逃避するのみならず、感染受容体ACE2への結合性を高め、ウイルスの膜融合活性を高めることによってウイルスの感染力を増強させることを明らかにしました。L452R変異を持つ流行株として、カリフォルニア株(B.1.427/429系統)とインド株(B.1.617系統)が知られています。現在、カリフォルニア株の流行規模は減少傾向にありますが、本研究の展開後、同じL452R変異を持つインド株が出現し、現在「懸念すべき変異株」のひとつとして注目されています。

以下を懸念しています。

QYIをワクチンとして使用するには問題がある。



 従来の人類のワクチンは、通常は細胞性免疫と液性免疫を誘導するワクチンでしたが、QYIはキラー細胞だけを特異的に増殖させるワクチンである事が予想されます。

 たとえこれがワクチンとして作用し、新型コロナに感染した細胞を効率よく破壊するキラー細胞が増殖したとしても、もし、IgG抗体が上昇しないなら、血液中にまき散らされる新型コロナウイルスは中和されないままにあらゆる血管や臓器に感染し続けます。

 人体はキラー細胞だけで守られているわけではありません。



 さらに、キラー細胞は感染した細胞を破壊しますから、実際に新型コロナに感染した場合、QYIをワクチンとして接種した患者の体内で急激に感染した細胞が破壊される可能性があります。

 新型コロナは血管内皮細胞に感染します。急激にコロナの感染した血管内皮細胞が破壊されれば、血栓症や出血を起こす恐れが予想されます。脳の血管で血栓が起これば脳梗塞、心臓の冠動脈で血栓が起きれば心筋梗塞を起こします。脳の血管が破れて出血すれば脳内出血を起こします。

 もし、QYIがキラー細胞を増殖させるだけではなく、IgG抗体も上昇させるなら、IgG抗体が新型コロナウイルスを中和して血管内皮などに感染しないようにしてくれますから、重症化を防げる可能性がありますが、IgG抗体が上昇しないなら、極めて危険性を伴う不完全なワクチンである事になります。

 また、既に新型コロナのスパイク蛋白を使用した不活化ワクチンが実用化されており、有効性はmRNAワクチンやDNAワクチンと同等であり、副作用ははるかに少ない事が知られています。

 日本を含め、どういうわけか欧米では不活化ワクチンが拒否され実用化されないままになっていますが、キラー細胞だけを増幅させるいびつで不完全なQYIをワクチンとして開発するという馬鹿げたお遊びを実行するより、安全性の高い不活化ワクチンを量産して使用する、特に子供達や高齢者などの脆弱な人々に使用出来るようにすることこそが喫緊の課題なのではないでしょうか?
2021/12/12(Sun) 09:32 | URL | のんちゃんパパ | 【編集
Re: この論文はご覧になりましたか?
のんちゃんパパ さん

情報をありがとうございます。

QYIをワクチンとして使用する・・・そう簡単にはいかないのですね。

「安全性の高い不活化ワクチンを量産して使用する」
確かに、この方が良いと思います。

なお、子供達は重症化や死亡は、ほぼゼロなので、ワクチンそのものが不必要です。
ワクチン接種後の死亡例が1000件以上あり、副反応もインフルエンザワクチンの10倍くらいあるので、
子供達にとって新型コロナワクチンは、接種すべきではないと思います。

持病がある子供達だけ、新型コロナワクチンを接種するか否かを、考慮するのが良いです。



2021/12/12(Sun) 11:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
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