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各栄養素の消化・吸収時間について。
こんばんは。
脂質・蛋白質・炭水化物の消化・吸収時間について検討してみました。
「胃内の停滞時間は、炭水化物→タンパク質→脂質の順に長くなります。」としれっと根拠なしに記載してあるサイトもあるのですが、
これは、間違っていると思います。
GI(グリセミック・インデックス)でみると、確かに、単独で摂取したブドウ糖や白米の 消化・吸収速度は速いです。
しかし、食材として、デンプンを摂取したときの消化・吸収は、場合により、脂質・蛋白質より長くなることがありえます。


<脂質と蛋白質>
食事後の胃内滞留時間は脂質と蛋白質が30分から1時間程度です。
そこから小腸で吸収されて代謝される時間ですが、
蛋白質は胃でほとんどがペプチドというアミノ酸数個の分子に分解されるため吸収速度は一定しています。
脂質も小腸に行く前に、十二指腸で胆汁などにより一連の変化を受けるのでこれも吸収速度が一定しています。
小腸では、15~30分以内に全て吸収されれると思われます。
普通の食物(魚介類や肉類)の脂質と蛋白質は、上記でよいと思います。

なお牛乳から作られるホエイプロテインは1~2時間で消化・吸収されますが、
カゼインプロテインが完全に消化・分解されるまでには7~8時間もかかるとされています。
大豆から作られるソイプロテインも完全に消化・分解されるまでには5~6時間とされています。

<炭水化物>

炭水化物の消化・吸収については
2018年11月18日(日)の本ブログを、以下一部修正して再掲します。

炭水化物の消化・吸収について
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
2018年11月18日 (日)
blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html

【18/11/17 オスティナート
Re:Re: Re: ???
≪「デンプンは、胃で、45~60分かけていの分泌液と混合され、その糜粥(ビジュク)が胃から十二指腸に移動する。
十二指腸では糜粥(ビジュク)は膵液と混合して、15~30分以内に全て吸収されれる。」
ということですね。≫

についてですが、
ガイトンによりますと、
【時として1時間も継続する】とあります。
「継続」ですので、炭水化物を食べた直後から胃の分泌液と混合され、
糜粥(ビジュク)がその都度、胃から十二指腸に送り込まれ、
小腸では短時間で単糖まで分解され、吸収されるのだと思います。
(食べた全ての食物が胃の分泌液と混合されるまで、
胃から十二指腸に送り込まれないのではない。)

そのためブドウ糖の吸収には遅れますが、炭水化物を食べた場合にも、
直後から血糖値上昇があるのだと思います。

追記
※【時として1時間も継続する】について、、
●「場合によって(食べた食物の量や、食べ合わせ、又状態(製粉や、液状)によって異なる)すべて胃の分泌液と混合されるまでに1時間も継続する。」
と読み替えてみるとわかりやすいかと思います。】


なるほど。
オスティナートさん、ありがとうございます。
おかげさまで、やっと整合性をもって理解できました。
炭水化物の主成分はデンプンです。

①デンプンは、唾液中のα-アミラーゼにより加水分解される。
②食道は、消化吸収の働きはなく、蠕動運動で食物を通過させる。
③胃内でも、胃液と混和しない部分では、消化が進行して約70%が加水分解される。
④大量の胃液(粘液、塩酸、ペプシン)が分泌され、撹拌運動により食物と胃液が混ぜ合わされる。
⑤胃内で混ぜ合わされて糜粥(ビジュク)となり、蠕動運動によりその都度、チビチビ小刻みに十二指腸に移動していく。
⑥胃の内部の糜粥(ビジュク)は、時として1時間くらいかけて継続的に消化されて十二指腸に移送される。すなわち胃には貯留の働きもある。
⑦糜粥(ビジュク)は、小腸(十二指腸・空腸・回腸)で単糖に分解されて吸収される。


胃の消化物(糜粥)の十二指腸への移動は、
基本的にブドウ糖と同じメカニズム(胃の蠕動運動)と思われます。
胃の蠕動運動には、撹拌・粉砕・移送があります。
従って、炭水化物摂取後、
ブドウ糖の吸収速度にはおよびませんが、
あるていど速やかに血糖値が上昇し始めると考えられます。
しかし、胃内に1時間以上、停留している場合もあり、
その時は全て消化・吸収されるには、一定以上の時間がかかるので、
脂質・蛋白質より消化・吸収時間は長くなります。

なお、水分、塩分、アルコールも、ほとんどは小腸で吸収され、
胃では一部しか吸収されません。

コメント
ベータ細胞の回復と再生について
江部康二先生

いつも先生のご著書、blog、Twitterを拝読しております。
はじめてコメント欄にて投稿いたします。

昨年の健康診断で初めて、

空腹時血糖値 83
hba1c 6.4

となり、自分なりに気をつけていたものの、糖質をやめきれなかったため、

空腹時血糖値 85
hba1c 6.7

となり、「糖尿病疑い」となりました。

医師の検査を受ける前に、一ヶ月でもスーパー糖質制限食を実施し、なるべく正常な肉体に近づけて、それを維持していきたいと思っております。

肝機能についても、昨年は酒量が多く、

AST 37
ALT 82
γGTP 109

だったため、酒量を控えたところ、

AST 52
ALT 83
γGTP 53

γGTPに改善が見えてきました。おそらく長年の炭水化物摂取過多で、脂肪肝もあると自覚しております。

糖尿病でも食後高血糖や初期であれば、ベータ細胞の機能がある程度回復し、インスリン抵抗性にも改善があるという論文を読みました。

今の状態でまだ引き返せるのかかなり不安がありますが、完全に元に戻らなくても少しでも寛解を目指したいと思っております。

糖尿病の専門医や栄養指導士でも古い考え方のままのクリニックが多く、自分でも努力して、自分の病態に向き合っていきたいと思っております。

先生のこれまでのご実績で、糖質制限による二型糖尿病のベータ細胞の回復や機能改善は何%程度の手応えを感じられているでしょうか。

ご多用中のところ大変恐縮ではありますが、ご教示くださいましたら、心より幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
2021/11/18(Thu) 13:09 | URL | マンモス私立大学教員 | 【編集
追伸
連続投稿失礼いたします。

昨年の体重は85.8、身長は165.6でした。

今年は、ココナッツオイルなどを取り入れたダイエットをして、72.6、165.2でした。

現在、脂質は

LDL-C 121(174)
HDL-C 78(44)
TG 61(128)

です。()内は昨年の値です。

引き続き、がんばります!
2021/11/18(Thu) 19:43 | URL | マンモス私立大学教員 | 【編集
Re: ベータ細胞の回復と再生について
マンモス私立大学教員 さん

『糖尿病でも食後高血糖や初期であれば、ベータ細胞の機能がある程度回復し、インスリン抵抗性にも改善があるという論文を読みました。』

糖質制限食をキッチリ実践することで、耐糖能が正常に戻った人も、少数ですがおられます。

ただ多くの場合(私、江部康二も含めて)
糖尿病と診断された時点で、β細胞が2~3割くらいは壊れているので、その分は戻りません。
私の場合も、耐糖能正常に戻ることはありません。

まあ、耐糖能が糖尿病型でも、スーパー糖質制限食なら、血糖コントロール正常は維持できますので
問題ないですが・・・。
2021/11/19(Fri) 17:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、ありがとうございます。
江部先生

お忙しい中、ご教示くださいまして誠にありがとうございます。

私の現在の血糖値の状態から、

空腹時血糖値 85
hba1c 6.7

食後高血糖、隠れ糖尿病だと思われます。
hba1cだけでは判断できないとも言われますが、いかがでしょうか。

これまでの食生活を省みて反省しています。

まずは、スーパー糖質制限食を実施し、一ヶ月後再検査したいと思います。

まだ後戻りできるかどうかわかりませんが、糖質を20g以下にしたら、体が楽です。

断糖してから五日後、夜中にものすごい空腹と手足の冷え、だるさを覚えましたが、プロテインの回数を増やしたり、間食にミックスナッツを追加して、落ちついてきました。

いつか高雄病院にも教育入院したいと思っております!
2021/11/20(Sat) 15:11 | URL | マンモス私立大学教員 | 【編集
Re: 江部先生、ありがとうございます。
マンモス私立大学教員 さん

空腹時血糖値 85
hba1c 6.7


空腹時血糖値が85mgととても良いわりに、
HbA1cが6.7と正常値6.2未満より、かなり高いので、
仰る@通り、食後高血糖がある可能性が高いです。

『スーパー糖質制限食を実施し、一ヶ月後再検査』
おそらく6%くらいになっていると思います。

『断糖してから五日後、夜中にものすごい空腹と手足の冷え、だるさを覚えました』
これは、摂取エネルギー不足ですので、脂質・蛋白質を充分量、摂取しましょう。
推定エネルギー必要量を確保しましょう。
2021/11/20(Sat) 19:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、誠にありがとうございます。
江部先生

ご教示くださいまして、誠にありがとうございます。

肝機能も高値のため、脂肪肝によるインスリン抵抗性もあるかもしれません。

まずは一か月、スーパー糖質制限食を実施し、糖質制限推進協会に所属されている医師の先生の診察を受けます。

糖質制限をすると、朝、心拍(ドキドキ)が強い感じがすることがありますが、まだエネルギーが不足しているかもしれません。しっかり、栄養補給いたします。

先生の新しい記事(糖尿病は治るのか、治らないのか)についても、大変参考になりました。

現在はパーフェクトガイドをじっくり拝読しております。

これからもがんばります!
2021/11/22(Mon) 20:11 | URL | マンモス私立大学教員 | 【編集
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