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糖質制限食とは
糖質制限食とは

食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。

これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が、大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。

一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。

3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを、1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。

なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。

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糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-

一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維


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糖質制限食を実践される時のご注意

本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用されてない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」などを参考に、自力で 糖質制限食を実践され糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
お久しぶりです
江部先生、スタッフの皆様こんちは。
以前中性脂肪が高くて、コメントを書かせて頂いた、49歳kazuです。
5月よりスーパー糖質制限を実行して、おかげさまで9/24の定期検査(3ヶ月に一回いってます)では、中性脂肪146になり、正常値に入りました。また、ヘモグロビンA1cも5.3になりました。
感謝申し上げます。

血糖値はすばらしく改善しておりますが、最近また自律神経、抹消神経の異常と思われる症状が発生して、困っております。

足の痛みによる歩行困難と、糖尿病性の下痢と思われることです。
下痢の話はおおやけに公開するのは、恥ずかしいのですが、ここを訪れる糖尿病患者の皆様の中にも、同じ症状で困っている方もいらっしゃると思います。もしこの件で、江部先生のアドバイスを賜れば参考になるのでは?という思いで書き込みさせていただきます。

お忙しい先生にアドバイスの催促をするようで申し訳ありません。

末梢神経の異常と思われる足の痺れは、去年秋口から、足の裏が攣るような感じになり、また背中が痛くなったりしていました。今年1月に糖尿病と診断されて、困っているところ、江部先生のブログにたどり着き、糖質制限を実行させて頂いたところ、1ヶ月ぐらいで、症状がほとんどでなくなり、最近まで、症状を忘れておりました。

ところが10月に入ってすぐですが、椅子に長時間座っていた所、左臀部に鈍い痛みが出ました。
その後から、左足の足首から先が正座したあとの痺れるよう感じになり、最近は50mも歩くと左足スネあたりが痛くなってきます。
また、左側の顔、左手なども鈍く痺れている感じがします。

このことで、糖尿病科の主治医に話をしたところ、糖尿からくる足の痺れは必ず両側の足にでるので、糖尿からきている可能性は低いと説明を受けました。

念のため、動脈硬化の測定もしましたが、血管の硬さは1500baPWVでそんなに問題になるような数字ではないとのことでした。

それで神経内科を受診したのですが、問診、MRI、レントゲンの結果特に異常になるところはないと言う結果になりました。しかし足の痺れを緩和させるために、メチコバール錠を処方していただきました。

ネットで調べるとやはり糖尿病からくるものだと思うのですが、体の左側だけって事もあるのでしょうか?
主治医殿のおっしゃるように必ず左右対称でおこるものでしょうか?

また、10月8日頃から、毎日下痢状態で1日7~8回トイレにいきます。就寝時も便意があり起きてしまいます。これも10月15日に主治医殿に診察して頂いたところ、糖尿病は便秘にはなるが、下痢にはならないとの事でした。

でも一週間下痢は長いので、タンナルビンとビオフェルミンBF11を処方するので飲んで様子を見てほしいとのことで、10月17日現在服用しております、症状はまるで改善しません。
タンナルビンは強い下痢止め効果があると説明を受けましたが。。

ネットを調べたりすると、やはり糖尿病性下痢ではないかと思っています。
また糖尿病性の下痢だとすると、どんな対処療法があるのでしょうか?

お忙しい先生に質問だらけで申し訳ありません。お時間のあるときでもお返事頂けたら幸いです。

2008/10/17(Fri) 20:20 | URL | kazu | 【編集
No title
 こんばんは
 今日久しぶりに測定いきました。
 
2時間値   8/28  10/17
 
   血糖値 156 → 137
   A1C   5.6 → 5.4
   中性脂肪131 → 130
   HDL   153→ 128
   LDL   82 → 137

で、今日の先生は、薬を飲み忘れても値が正常範囲内なら薬の副作用も出にくいので、OKというオオラカナ方で薬はなくなりました。でも、中性脂肪とLDLの値が心配です。以前Pannyさんが太るためにはオリーブオイルが良いとコメントされていたので、太るためとコレステロールのために、今日からオリーブオイルとエゴマ油でドレッシングを作っています。
 さて、もう一つ気になるのはアルコールです。スタイルフリー500を2本と焼酎の湯割を軽く1杯飲んでいますが、アルコールはすい臓を疲れさせるので糖尿には良くないといいます。江部先生のお考えでは糖質0や蒸留酒は適量ならOKということなので、いい気になって飲んでいますが、そのところどうなのでしょう?やめれたら良いのですが、仕事のストレスや楽しみのためになかなか…
 お忙しいとは思いますが、お時間のあるときにご指導ください。
 朝夕は肌寒くさえ感じる季節になりました。どうぞご自愛ください。
2008/10/17(Fri) 20:44 | URL | 太りたいみい です | 【編集
体調が悪い時の糖質制限食について
今年の5月に糖尿病を発症して、すぐに江部先生の本に出会い糖質制限食を実施して血糖値のコントロールもできています。

先週末から風邪気味で食欲も減退し、脂濃いものが口に入りません。以前であればお粥やうどんなどを食べるのですが、糖質制限食では叶いません。このような時に適するメニューとして推奨できるものは何かあるのでしょうか。

風邪気味の時の空腹時の血糖値が120mg台で通常値の110程度より高くなていました。風邪などの場合、血糖値は一般的に高くなるものでしょうか。

体調不良や疲労等でブドウ糖の点滴を行いかますが、糖質制限食を実施している場合はこの治療を受けるべきなのか、受けるとすればどのような対処が必要でしょうか。

よろしくお願いします。

2008/12/17(Wed) 09:36 | URL | 井上浩 | 【編集
風邪と糖質制限食
井上浩さん。

本のご購入ありがとうございました。

風邪などいわゆるシックデイの時は血糖値は上昇します。

ブドウ糖の点滴はさすがに血糖値上昇で良くないです。
脱水のときは、生理的食塩水とビタミン剤などで補液してください。

風邪など食欲不振の時の糖質制限食に関しては2008/02/26のブログ「風邪と糖質制限食」をご参照ください。


2008/12/17(Wed) 22:19 | URL | 江部康二 | 【編集
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