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「質の良いHbA1c」と「質の悪いHbA1c」。糖質制限食と尿素窒素。
【21/10/30 みほこ
尿素窒素が高く出ました
江部先生

こんにちは。
いつも情報発信ありがとうございます。

先日採血があり結果が出ました。

糖質制限食をしているつもりでも
HbA1cは5.9でした。
ちょこちょこした間食がいけないのでしょうか。

中でも気になったのが尿素窒素という項目が
25.3と高かったのですが
これは糖質制限食は関係するのでしょうか。

血糖 92
尿素窒素 25.3
クレアチニン 0.63
推算GFR 83
Na 138
Cl 105
カリウム 4.2
AST 19
ALT 17
γGTP 12
クレアチンキナーゼ 111
LDLコレステロール 123
HDLコレステロール 91
中性脂肪 50
HbA1c 5.9
…でした。】


こんばんは。
みほこさんから、【糖質制限食をしているつもりだけど
HbA1cが5.9%でした。ちょこちょこした間食がいけないのでしょうか。】

というコメント・質問をを頂きました。

これは、「糖質制限食を実践したのに、思ったほど、HbA1cが改善しなかった」
という意味でしょうか?

糖尿人が糖質ありの食事(従来の糖尿病食)をしていて、
糖質制限食に切り替えた場合、通常はHbA1cが速やかに低下し改善します。

一方、従来の糖尿病食(高糖質食)の時期と、糖質制限食実践後の時期を比較して
両者ともHbA1cが5.9%とかいうことはありえます。

どういうことかというと、
糖尿病食実践者の5.9%は「質の悪いHbA1c」
糖質制限実践者の5.9%は「質の良いHbA1c」
であり、実は大きな差があるのです。

血糖値を直接上昇させるのは、糖質・脂質・蛋白質のうち、糖質だけです。
「質の悪いHbA1c」は糖質摂取時のもので
『食後高血糖』『空腹時低血糖』の平均値を示しているに過ぎません。
実際には「血糖変動幅」が大きく「酸化ストレスリスク」が大きいのです。
これでは、一見HbA1cはコントロール良好でも、合併症予防は困難です。

現実に、日本では糖尿病合併症として、毎年新たに
糖尿病腎症からの人工透析が16000人以上、
糖尿病網膜症からの失明が3000人以上、
糖尿病足病変からの足切断が3000人以上、

あります。
これらの合併症を生じた糖尿人のなかには、
HbA1cが7.0%未満というコントロール目標を達成していた人もあると思います。
しかしながら、所詮は「質の悪いHbA1c」であり、合併症を防ぐのは困難なのです。

これに対して糖質制限食を実践している糖尿人のHbA1cは
「食後高血糖」「空腹時低血糖」「血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクのない
「質の良いHbA1c」であり、糖尿病合併症を予防できるのです。


【気になったのが尿素窒素という項目が
25.3と高かったのですがこれは糖質制限食は関係するのでしょうか。

尿素窒素 25.3
クレアチニン 0.63
推算GFR 83】


尿素窒素、クレアチニンはいずれも腎機能検査の指標です。
その中で、クレチニンのほうが尿素窒素より信頼度が高い検査です。
つまり、尿素窒素が少々高値でもクレアチニンが基準値内なら
腎機能は正常ということになります。
クレアチニンの換算GFRは83と、60を超えているので
腎機能的には安全圏です。

高タンパク食だと、尿素窒素が高値となることがありますが、
これは生理的な現象であり、クレアニンが正常なら心配ないのです。
みほこさんの場合も、糖質制限食実践で相対的に高タンパク食となったために
生理的に尿素窒素が高値となったのであり、問題はありません。


江部康二
コメント
はい、そうです。
江部先生

お返事を
ありがとうございました。

〉これは、「糖質制限食を実践したのに、〉思ったほど、HbA1cが改善しなかった」
〉という意味でしょうか?

はい、そうです。
4ヶ月前と変わらずHbA1c 5.9だったので。

尿素窒素は気にしなくて大丈夫とのこと、
安心しました。
2021/10/31(Sun) 00:24 | URL | みほこ | 【編集
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