2008年10月10日 (金)
こんばんは。
今回は、糖質制限食とガンについて考えてみました。
PETという検査がありますね。PET検査は、ガン細胞が正常細胞にくらべて、多くのブドウ糖を細胞内に取り込む性質を利用しています。
ブドウ糖に「放射性同位元素」をくっつけた薬剤(FDG)を注射して、このFDGを検知するPETカメラ(CTに似た装置です)で体内のFDG分布を画像化して調べます。FDGが多く集積している部位は、ガン細胞の可能性が高いということになります。
いろんなガンがありますから、全てというわけにはいかないのですが、このように、多くのガン細胞が、エネルギー源として大量のブドウ糖を利用していることは、間違いありません。
そうすると「糖質制限食を実践すれば、ブドウ糖摂取量が少ないのでガンが縮小するのではないか?」といった意見もでてくるでしょうし、私もかつてそう思っていました。
しかし、誠に残念ながら、ガン細胞は、GLUT-1を獲得していることが多いのです。(-д-;)
GLUT(糖輸送体)というのは、細胞のブドウ糖取り込み装置でしたね。筋肉細胞や脂肪細胞はGLUT-4で通常は細胞内に沈んでいて、インスリン追加分泌された時と筋収縮があった時に表面に上がってきて、ブドウ糖を取り込みます。
これに対して、脳や赤血球はGLUT-1を持っていて、こちらは常に細胞表面にあるので、優先的にブドウ糖をいつでも取り込めるわけです。
つまり、ガン細胞もGLUT-1を持っていることが多いので、他の体細胞に比べて、優先的にブドウ糖を取り込むことができるのですね。
従いまして、ガン細胞も脳や赤血球並みにブドウ糖を取り込むことができるので、糖質制限食を実践しても、ガンを撲滅することはなかなかできないと思います。
しかし、野放しに糖質を摂取して血糖値を上昇させるよりは、糖質制限食ならある程度の兵糧攻めにはなるので、進行が少しは遅くなるかなというくらいの期待はあります。
また、糖質制限食により代謝全てが安定するので、免疫系を中心に自然治癒力が高まり、ガン進行を遅らせる方向に働いてくれる可能性もあります。
ガンのことはまだまだよくわからないことが多いので、断定的なことは何も言えないのですが、現在まで調べた知識の範囲内で、仮説として述べてみました。
江部康二
今回は、糖質制限食とガンについて考えてみました。
PETという検査がありますね。PET検査は、ガン細胞が正常細胞にくらべて、多くのブドウ糖を細胞内に取り込む性質を利用しています。
ブドウ糖に「放射性同位元素」をくっつけた薬剤(FDG)を注射して、このFDGを検知するPETカメラ(CTに似た装置です)で体内のFDG分布を画像化して調べます。FDGが多く集積している部位は、ガン細胞の可能性が高いということになります。
いろんなガンがありますから、全てというわけにはいかないのですが、このように、多くのガン細胞が、エネルギー源として大量のブドウ糖を利用していることは、間違いありません。
そうすると「糖質制限食を実践すれば、ブドウ糖摂取量が少ないのでガンが縮小するのではないか?」といった意見もでてくるでしょうし、私もかつてそう思っていました。
しかし、誠に残念ながら、ガン細胞は、GLUT-1を獲得していることが多いのです。(-д-;)
GLUT(糖輸送体)というのは、細胞のブドウ糖取り込み装置でしたね。筋肉細胞や脂肪細胞はGLUT-4で通常は細胞内に沈んでいて、インスリン追加分泌された時と筋収縮があった時に表面に上がってきて、ブドウ糖を取り込みます。
これに対して、脳や赤血球はGLUT-1を持っていて、こちらは常に細胞表面にあるので、優先的にブドウ糖をいつでも取り込めるわけです。
つまり、ガン細胞もGLUT-1を持っていることが多いので、他の体細胞に比べて、優先的にブドウ糖を取り込むことができるのですね。
従いまして、ガン細胞も脳や赤血球並みにブドウ糖を取り込むことができるので、糖質制限食を実践しても、ガンを撲滅することはなかなかできないと思います。
しかし、野放しに糖質を摂取して血糖値を上昇させるよりは、糖質制限食ならある程度の兵糧攻めにはなるので、進行が少しは遅くなるかなというくらいの期待はあります。
また、糖質制限食により代謝全てが安定するので、免疫系を中心に自然治癒力が高まり、ガン進行を遅らせる方向に働いてくれる可能性もあります。
ガンのことはまだまだよくわからないことが多いので、断定的なことは何も言えないのですが、現在まで調べた知識の範囲内で、仮説として述べてみました。
江部康二
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