2021年08月30日 (月)
こんにちは。
今回も、がんについて、考察してみます。
がんには、生活習慣病型と感染症型との2つのタイプがあります。
A)
生活習慣病型のがん
世界がん研究基金が2007年に
「腎臓がん、膵臓がん、食道がん、子宮体がん、大腸がん、乳がんの6つと、おそらく胆のうがんの7つには肥満がかかわっている」
と報告しています。
リスクを下げるには「適正体重の維持」が肝要であり、
BMI20~25未満に保つことを推奨しています。
肥満は生活習慣に起因しているため、これら7つのがんは生活習慣病型と呼ばれており、
日本を含めた先進諸国で急増しているタイプです。
そして、生活習慣病型のがんについて、元凶ではないかと疑われているのが、
高血糖であり高インスリン血症なのです。
高インスリン血症も高血糖も肥満すると起こりやすくなりますが、
この2つに発がんリスクがあることが、明らかになっています。
生活習慣病型のがんについて、
スーパー糖質制限食には予防効果のある可能性が非常に高いと考えられます。
なぜならば、肥満、高インスリン血症、高血糖、これら生活習慣病型のがんにつながると疑われている要因の全てについて、
スーパー糖質制限食で防ぐことができるからです。
肥満、高インスリン血症、高血糖は、いずれも糖質過剰な食生活で起こります。
生活習慣病型のがんに関しては、
1)高インスリン血症がない(高インスリン血症は発がんリスクでエビデンスあり)
2)食後高血糖がない(食後高血糖も発がんリスクでエビデンスあり)
3)肥満がない(肥満も発がんリスクでありエビデンスあり)
4)HDLコレステロールが増加する(HDLコレステロールにはがん予防効果あり)
あくまでも仮説ですが、1)2)3)4)の利点により、
生活習慣病型のがんは、スーパー糖質制限食で予防できる可能性があります。
B)
感染症型のがん
胃がん、肝がん、子宮頸がんなどがあります。
これらは、感染症が引き金になって起こるタイプのがんです。
がんの約3割が感染症型のがんです。
がん細胞は、正常な細胞が増殖するときに遺伝子つまりDNAの複製に失敗して、
生まれてしまいます。
細菌やウイルスに感染すると、炎症を起こし細胞が頻繁に壊れます。
それを修復するには細胞が増殖しなければなりませんが、
このときにDNAの複製にエラーが起こり、
それが蓄積されると、がん細胞が発生します。
つまり、細菌やウイルス感染により慢性炎症が起こり持続し、
細胞傷害と再生を繰り返す機会が増えて細胞内の遺伝子異常が蓄積されて発症するのが、感染症型のがんなのです。
持続炎症により細胞が頻繁に壊れると、
細胞はそれだけ多くの増殖をしなければなりません。
DNAの複製を頻繁に繰り返すため、
エラーが起こりやすくなり、がん細胞の発生リスクが増すわけです。
胃がんはヘリコバクターピロリという特殊な細菌の持続感染、
肝がんの場合はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの持続感染、
子宮頸がんの場合は、ヒトパピローマウイルスの持続感染が、
主な原因でがん化を起こします。
あと、EBウイルスによる上咽頭がん、
ヘルペスウイルス8型によるカポジ肉腫、
ヒトT細胞白血病ウイルスによる成人T細胞白血病、
肝吸虫による胆管細胞がん、
ビルハルツ住血吸虫による膀胱がん
などがあります。
感染症型のがんに関しては、スーパー糖質制限食でも予防は困難と考えられます。
何故なら細菌やウイルスの持続感染を
食事療法(スーパー糖質制限食)で取り除くことはできないからです。
かつて伝統的な食生活(スーパー糖質制限食)の頃のイヌイットも、
外部から新たに持ち込まれたEBウィルスのために、
鼻咽頭と唾液腺のがんが多く発生した歴史があります。
EBウィルス持続感染で特に鼻咽頭と唾液腺のがんになったのは、
イヌイットの民族としての特異性とされています。
同じEBウィルス感染で、アフリカではバーキットリンパ腫発症が多いのです。
江部康二
今回も、がんについて、考察してみます。
がんには、生活習慣病型と感染症型との2つのタイプがあります。
A)
生活習慣病型のがん
世界がん研究基金が2007年に
「腎臓がん、膵臓がん、食道がん、子宮体がん、大腸がん、乳がんの6つと、おそらく胆のうがんの7つには肥満がかかわっている」
と報告しています。
リスクを下げるには「適正体重の維持」が肝要であり、
BMI20~25未満に保つことを推奨しています。
肥満は生活習慣に起因しているため、これら7つのがんは生活習慣病型と呼ばれており、
日本を含めた先進諸国で急増しているタイプです。
そして、生活習慣病型のがんについて、元凶ではないかと疑われているのが、
高血糖であり高インスリン血症なのです。
高インスリン血症も高血糖も肥満すると起こりやすくなりますが、
この2つに発がんリスクがあることが、明らかになっています。
生活習慣病型のがんについて、
スーパー糖質制限食には予防効果のある可能性が非常に高いと考えられます。
なぜならば、肥満、高インスリン血症、高血糖、これら生活習慣病型のがんにつながると疑われている要因の全てについて、
スーパー糖質制限食で防ぐことができるからです。
肥満、高インスリン血症、高血糖は、いずれも糖質過剰な食生活で起こります。
生活習慣病型のがんに関しては、
1)高インスリン血症がない(高インスリン血症は発がんリスクでエビデンスあり)
2)食後高血糖がない(食後高血糖も発がんリスクでエビデンスあり)
3)肥満がない(肥満も発がんリスクでありエビデンスあり)
4)HDLコレステロールが増加する(HDLコレステロールにはがん予防効果あり)
あくまでも仮説ですが、1)2)3)4)の利点により、
生活習慣病型のがんは、スーパー糖質制限食で予防できる可能性があります。
B)
感染症型のがん
胃がん、肝がん、子宮頸がんなどがあります。
これらは、感染症が引き金になって起こるタイプのがんです。
がんの約3割が感染症型のがんです。
がん細胞は、正常な細胞が増殖するときに遺伝子つまりDNAの複製に失敗して、
生まれてしまいます。
細菌やウイルスに感染すると、炎症を起こし細胞が頻繁に壊れます。
それを修復するには細胞が増殖しなければなりませんが、
このときにDNAの複製にエラーが起こり、
それが蓄積されると、がん細胞が発生します。
つまり、細菌やウイルス感染により慢性炎症が起こり持続し、
細胞傷害と再生を繰り返す機会が増えて細胞内の遺伝子異常が蓄積されて発症するのが、感染症型のがんなのです。
持続炎症により細胞が頻繁に壊れると、
細胞はそれだけ多くの増殖をしなければなりません。
DNAの複製を頻繁に繰り返すため、
エラーが起こりやすくなり、がん細胞の発生リスクが増すわけです。
胃がんはヘリコバクターピロリという特殊な細菌の持続感染、
肝がんの場合はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの持続感染、
子宮頸がんの場合は、ヒトパピローマウイルスの持続感染が、
主な原因でがん化を起こします。
あと、EBウイルスによる上咽頭がん、
ヘルペスウイルス8型によるカポジ肉腫、
ヒトT細胞白血病ウイルスによる成人T細胞白血病、
肝吸虫による胆管細胞がん、
ビルハルツ住血吸虫による膀胱がん
などがあります。
感染症型のがんに関しては、スーパー糖質制限食でも予防は困難と考えられます。
何故なら細菌やウイルスの持続感染を
食事療法(スーパー糖質制限食)で取り除くことはできないからです。
かつて伝統的な食生活(スーパー糖質制限食)の頃のイヌイットも、
外部から新たに持ち込まれたEBウィルスのために、
鼻咽頭と唾液腺のがんが多く発生した歴史があります。
EBウィルス持続感染で特に鼻咽頭と唾液腺のがんになったのは、
イヌイットの民族としての特異性とされています。
同じEBウィルス感染で、アフリカではバーキットリンパ腫発症が多いのです。
江部康二
江部先生、こんばんは
糖質制限食は、全てのガンに効果が有るのかと思っていましたら、
「感染症型のがんに関しては、スーパー糖質制限食でも予防は困難と考えられます」
との事で、少し残念ですが、「生活習慣病型のがん」は予防効果ある可能があるという事ですので、こちらは期待したいです。
尚、江部先生は既にご存知の事かもしれませんが、今度研修を受けるのですが、「尿一滴」でガン検査でき、結構高精度のようです。
糖質制限食は、全てのガンに効果が有るのかと思っていましたら、
「感染症型のがんに関しては、スーパー糖質制限食でも予防は困難と考えられます」
との事で、少し残念ですが、「生活習慣病型のがん」は予防効果ある可能があるという事ですので、こちらは期待したいです。
尚、江部先生は既にご存知の事かもしれませんが、今度研修を受けるのですが、「尿一滴」でガン検査でき、結構高精度のようです。
2021/08/30(Mon) 21:24 | URL | モン吉 | 【編集】
江部先生こんにちは。
過去に先生のブログから糖質制限を知り助けられた者です。
しかし、それから不摂生がたたり、2度の狭心症手術(ステント留置)を受けて、現在に至ります。
最近再び、血糖値が9%台になったため、糖質制限で6%台まで戻したのですが、主治医からは『糖質制限を行うと、確実に低血糖になり、血管にダメージを与えるからやめた方が良い』と言われました。6%後半で維持している方が良い、とのことでした。お話では、イギリスの大学で糖質制限により寿命が短くなる、という結果が出ている、とか。毎食150g程度のご飯を食べてください、と言われています。しかし、そう言われると気が緩み、今7%台まで戻しています。やはり高血糖の記憶がある限り、急激な糖質制限は心臓疾患には良くないのでしょうか。
江部先生はどうお考えになりますか?
※薬はカナリア、メトグルコ朝夕、高血圧、高脂血症など7種類飲んでおります。
過去に先生のブログから糖質制限を知り助けられた者です。
しかし、それから不摂生がたたり、2度の狭心症手術(ステント留置)を受けて、現在に至ります。
最近再び、血糖値が9%台になったため、糖質制限で6%台まで戻したのですが、主治医からは『糖質制限を行うと、確実に低血糖になり、血管にダメージを与えるからやめた方が良い』と言われました。6%後半で維持している方が良い、とのことでした。お話では、イギリスの大学で糖質制限により寿命が短くなる、という結果が出ている、とか。毎食150g程度のご飯を食べてください、と言われています。しかし、そう言われると気が緩み、今7%台まで戻しています。やはり高血糖の記憶がある限り、急激な糖質制限は心臓疾患には良くないのでしょうか。
江部先生はどうお考えになりますか?
※薬はカナリア、メトグルコ朝夕、高血圧、高脂血症など7種類飲んでおります。
2021/08/30(Mon) 22:51 | URL | S.t | 【編集】
急性膵炎経験の らこ です。
原因は「酒の呑み過ぎ」です。去年12月27日です。
発症後、3週間余断酒しました。
その後は「飲酒量削減」して再発はしていません。
---------
◎BMI=23前後
◎スーパー糖質制限食実行継続12年11月
◎休刊日皆無
膵臓癌の可能性高いでしょうか?
ご教示よろしくお願いいたします。
原因は「酒の呑み過ぎ」です。去年12月27日です。
発症後、3週間余断酒しました。
その後は「飲酒量削減」して再発はしていません。
---------
◎BMI=23前後
◎スーパー糖質制限食実行継続12年11月
◎休刊日皆無
膵臓癌の可能性高いでしょうか?
ご教示よろしくお願いいたします。
2021/08/31(Tue) 07:24 | URL | らこ | 【編集】
モン吉 さん
情報をありがとうございます。
糖尿病ネットワークに、記事が載っていました。
尿1滴でがんを早期発見 高感度・低コストのがん検診が実用化 世界初
https://dm-net.co.jp/calendar/2020/029947.php
情報をありがとうございます。
糖尿病ネットワークに、記事が載っていました。
尿1滴でがんを早期発見 高感度・低コストのがん検診が実用化 世界初
https://dm-net.co.jp/calendar/2020/029947.php
2021/08/31(Tue) 10:12 | URL | ドクター江部 | 【編集】
S.t さん
米国糖尿病学会は、
2019年4月のコンセンサス・レポートで、糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言しました。
このように糖質制限食の有効性・安全性はすでに確立しています。
それ以降のガイドラインでも、同様の見解です。
米国糖尿病学会CEOは、ご自身が糖尿病であり、スーパー糖質制限食を実践しておられます。
S.t さんの主治医は、残念ながら勉強不足です。
米国糖尿病学会は、
2019年4月のコンセンサス・レポートで、糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言しました。
このように糖質制限食の有効性・安全性はすでに確立しています。
それ以降のガイドラインでも、同様の見解です。
米国糖尿病学会CEOは、ご自身が糖尿病であり、スーパー糖質制限食を実践しておられます。
S.t さんの主治医は、残念ながら勉強不足です。
2021/08/31(Tue) 10:23 | URL | ドクター江部 | 【編集】
らこ さん
2020年12月27日、急性膵炎発症とは大変でした。
酒は、減らしましょう。
急性膵炎は命に関わる重病ですので、
その時に、膵臓の検査を、MRIなど含めて、徹底的に実施しています。
そのとき、膵臓がんの有無も検査しているので、医師から何も言われてないなら、
膵臓がんは、ないのだと思います。
2020年12月27日、急性膵炎発症とは大変でした。
酒は、減らしましょう。
急性膵炎は命に関わる重病ですので、
その時に、膵臓の検査を、MRIなど含めて、徹底的に実施しています。
そのとき、膵臓がんの有無も検査しているので、医師から何も言われてないなら、
膵臓がんは、ないのだと思います。
2021/08/31(Tue) 10:28 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、こんばんは
ガン検査の詳しい記事の紹介ありがとうございます。
線虫って凄いですね!
ガン検査の詳しい記事の紹介ありがとうございます。
線虫って凄いですね!
2021/08/31(Tue) 18:58 | URL | モン吉 | 【編集】
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