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75g経口ブドウ糖負荷試験データとその結果と見方。
【21/08/22 みほこ
75g糖負荷試験から読み取れることを教えてください
江部先生

はじめまして。
コメントをもし読んでくだされば幸いです。

妊娠糖尿病にかかり、出産までインスリンを打っていました。出産日でインスリンストップです。

産後3ヶ月経過した頃に、75g糖負荷試験を再度行いました。

結果が下記です。

読み取れることとして今後注意すべきことや、私はインスリンの出が少ないのか、
食後高血糖なのかなど、答えられる答えられない範囲があるのかもしれませんが、
可能な範囲で大丈夫ですのでお応えくださればとても幸いです。

ヘモグロビンa1c 6.0

75gブドウ糖摂取前90(インスリン2.6)
30分後167(インスリン17.9)
1時間後237(インスリン24.2)
2時間後244(インスリン63.3)

以上でした。】


みほこさんから、
75g経口ブドウ糖負荷試験データをコメント頂きました。
今回はとその結果と見方について、考察してみます。

75g経口ブドウ糖負荷試験のデータでは、

①2時間後244mg/dlと、200を超えているので、<糖尿病型>です。
 2時間後血糖値が140mg/dl未満は正常型、
 2時間後血糖値が140~200mg/dl未満は境界型、
 2時間後血糖値が200mg/dl以上は糖尿病型です。

②インスリンは分泌されていますが、遷延するタイプです。
  2時間後のインスリンが最も多く分泌されているので、
インスリン分泌が遅延・遷延するタイプです。
   糖尿病の場合は、このようなタイプが多いです。
このタイプは、昼食後の夕方17~18時頃に「機能性低血糖」
   になりやすいので注意が必要です。  

③HOMA-R:0.58と正常で、インスリン抵抗性なしです。
 1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性ありです

④HOMA-β:34.7
正常値:40-60
ですので、少しインスリン分泌能力が低めです。

⑤インスリン分泌指数:0.2・・・0.4以上が正常なので2型糖尿病パターンです。

①②④⑤を考慮すると、このままだと糖尿病になってしまいます。
糖質制限食実践で、血糖コントロール良好を保って、糖尿病発症を予防しましょう。
可能ならば、スーパー糖質制限食実践が良いです。
産婦人科医の宗田哲男先生のご研究では、
糖質制限食で妊娠糖尿病が治った例が多数あります。


江部康二


インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。

インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。

Cペプタイド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。

IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。

早朝空腹時血中CPRを測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。

蓄尿して一日尿中のCPRを測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。

SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。

Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。


インスリン抵抗性指標 HOMA-R
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
コメント
ありがとうございます
江部先生

この度はお応えくださりありがとうございました。

感謝しています。

スーパー糖質制限食(1日の糖質量30〜60g)が私にはおすすめということですね。先生の本と自己血糖測定器を活用し、スーパー糖質制限食を習慣化します。

生んだ子のためにも健康でいて、長生きしたいものです。妊娠糖尿病の検査がなければ、まだ自分の糖尿病型には気付かず、もっと進行してから知ることになっていたと思います。健康診断では空腹時血糖(正常)とヘモグロビンa1c(高めではありましたが)スルーしてしまう値だったので、まったく気にしていませんでした。

前向きに捉えると、妊娠中の75g糖負荷試験で早くに気付けたのですから、生まれてきてくれた子に感謝です。

出産後は血糖値が下がる(元に戻る)と聞いていたのですが、産後3ヶ月経過した75g糖負荷試験の結果が本件の数値だったので、ショックではありました。

江部先生、ありがとうございます。
2021/08/24(Tue) 07:34 | URL | みほこ | 【編集
Re: ありがとうございます
みほこ  さん

1回の食事の糖質量<10~20g以下>を目指すのがスーパー糖質制限食です。
私は朝食抜きの、一日2食なので、一日の食事の糖質量は<20~40g>となります。
一日3食の人は、一日の食事の糖質量は<30~60g>となります。

スーパー糖質制限食実践で
①食後高血糖を防ぐ
②糖尿病発症を予防する
③AGEsの蓄積が最小限なので<糖化⇒老化>も最小限ですむ
④AGEsの蓄積が最小限なので、慢性炎症が関与する<ほとんどの生活習慣病>の予防と改善ができる
⑤インスリンの分泌が最小限なので、老化速度もゆっくりとなる
⑥インスリンの分泌が最小限なので、がん、アルツハイマー病、動脈硬化なども、あるていど予防できる可能性がある

など、健康長寿を目指すことが可能となります。
2021/08/24(Tue) 08:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
追記です
いただいた内容に、

>このタイプは、昼食後の夕方17~18時頃に「機能性低血糖」になりやすいので注意が必要です。

と記載いただきましたが、確かに低血糖の症状を感じるときがあり、少しクッキーなどを食べることがあります。

妊娠期間中のみ妊娠糖尿病によりインスリン注射をしていましたが、そこで低血糖というものを初めて知り(何度かひどく体験しました)、しかし以前からもこんな症状を経験していたと思いました。

的確なお話をいただけて謎がとけます、感謝します。

私は体格が小柄で体重は35〜36kgほどです。
これまで勝手な先入観で、糖尿病は太っている方がなるものだと思っていましたが、まったくそうではないのだと学びました。

とにかく今できることはスーパー糖質制限食を習慣化することですね。

先生のブログや本で学び、自分の糖尿病型を受け入れて向き合っていきます。
2021/08/24(Tue) 08:36 | URL | みほこ | 【編集
糖質制限食
江部先生

いつも勉強になる記事をありがとうございます。

スーパー糖質制限食で得られる改善と予防ですが、①~⑥に加えて睡眠の質の改善(結果QOLが向上)もあるように思います。

私の実体験ですが、糖質制限を始めてから睡眠時間が3時間ほど減りました。
以前は眠りが浅く、睡眠時間は10時間がベスト、8時間はマスト。それより短い日が続くと発熱を伴う風邪をひいていました。どれだけ寝ても疲れていたので、体力不足への不安がありました。
それが、いまや7時間もあればすっきり。日中の体力もあるので外出や子育ても全力で楽しめます。
睡眠時間を無理に減らしたというわけではなく、気が付けばという感じです。
長い睡眠は糖質を分解するために必要だったのでは?と思います。
先生の患者さんでもそういった方がおられるのではないでしょうか?

糖質制限は糖尿病及び合併症予防だけでなく、生活の質も上げてくれますね。

★みほこさん
私も同じような経過で境界型となったのですが、まだまだひよっこですが、糖質制限生活は慣れると楽しいです。案外、糖質まみれの頃の方が同じ物を食べていた気がします。今は低糖質の食材をどう食べようか、と楽しくなってきました。
私は江部先生の「高雄病院の糖質制限給食」と「体が変わる最強の糖質制限食」に随分助けられています。
2021/08/25(Wed) 01:09 | URL | 挑戦中 | 【編集
挑戦中さんへ
著書のご紹介ありがとうございます。
低糖質食品どんどん増えていますよね、私も楽しみながら糖質制限スタイルを日常化します⭐︎
2021/08/25(Wed) 13:51 | URL | みほこ | 【編集
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