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天然甘味料と人工甘味料と糖質制限食
おはようございます。今朝はどんより曇っています。涼しいというより寒い京都の朝です。

さて今日は、久しぶりに甘味料のお話しです。糖尿人にもメタボ人にも正常人にも、等しく興味あるのが甘味料ですね。

甘味料は、まず天然甘味料と人工甘味料の、大きく2つに分けることができます。次に、人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分けることができます。

1 天然甘味料
ショ糖(サトウキビなど)、ステビオサイド(ステビア)、グリチルリチン酸(甘草)、ソーマチン(西アフリカに生育するソーマトコッカスダニエリという赤い果実)、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などのように、天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のこと。

2 人工甘味料(広義の意味)
人工的に作られた甘みのある物質のこと。合成甘味料、糖アルコールなどがあります。

a) 合成甘味料
人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)のこと。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴がある。狭義の意味の人工甘味料は合成甘味料と同義で使われることがあります。
サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム(俗称チクロ)、ズルチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、などがあります。

b) 糖アルコール
キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれています。マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料としています。
糖アルコールは合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。


合成甘味料のなかで、ズルチンとチクロは、戦後間もない日本で、貴重な甘みとして広く使用されたのですが、発ガン性などのため1969年と1970年にそれぞれ使用禁止となっています。

サッカリンも発癌テストが陽性に出て、日本では食品衛生法により1973年に、いったん全面禁止となりました。ところが1ヶ月後、食品別の使用基準が制定されると、制限付きながらサッカリンはあっさり再認可されました。米国では、長期間にわたり一度も禁止されることなく、結構大量に使っているようです。

現在、FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースの4種です。これらの人工甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。

これら4種の合成甘味料は、カロリーはないのでダイエットにはよいし、血糖値を上昇させないという意味では、糖尿病にも糖質制限食的にもOKです。

かの糖質ゼロ食の求道者・釜池豊秋先生も、パルスイート(エリスリトール+アスパルテーム)はOK食品としておられます。一日摂取許容量が決められているので、わざわざ大量に摂取する必要もないと思います。

まあゼロカロリー飲料、例えば

「カロリ」
 アセスルファムカリウム、スクラロース
「コカコーラゼロ」
 アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
「ペプシネックス」
 アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム

などを、一日に2~3本くらいであれば、一日許容量を超えることはまずありません。FDAが認める4種の合成甘味料に関しては、特に優劣をつけるデータはなくて、同等と考えて良いとお思います。

アスパルテームは、FDA(米国食料医薬品庁)により人工甘味料として1981年に使用が許可されています。現在、製法特許は味の素が持っており、国内ではアスパルテームを使った食卓用甘味料がPAL SWEETとして販売されています。

アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという、2つの天然アミノ酸が結合したものです。体内に吸収されると、速やかに二つのアミノ酸と、ごく微量のメタノールに分解されます。欠点は、添加物として比較的不安定であることです。

メタノール(メチルアルコール)は、大量だと失明を起こすなど毒性が強いですが、本来、ひと、動物、植物の体内に天然に存在するもので、ひと血液中の常成分の一つです。

アセスルファムカリウムは、アスパルテームと違って酸性・高温条件でも変化しにくいので、炭酸飲料のほか、クッキーなどの焼き菓子にも利用できます。

欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。2005年には、スクラロースを使用したダイエットコーラも登場しました。スクラロースは水に溶けやすく、酸や熱にも安定しています。

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
No title
私はたまにどうしても甘いものが欲しくなった時ダイエットコーラを飲んでいます。そのままだとちょっと炭酸がきついので水で少々薄めたりしています。たまにならダイエットコーラもOKなのですね。安心しました。
ところで普段はスーパー糖質制限食を実践している私ですが、来月は子供の誕生日でケーキを食べる日が2日あります。なるべく量は控えめにするつもりですが、何か気をつけるべきことはあるでしょうか。まだ今のところ糖尿病を発症してはいないので医者にはかかっておらず、糖の吸収を遅らせる薬などは手元にありません。あるのは水に溶かして飲む食物繊維の粉ぐらいです。これを食前に飲んで、食べた後30分後に運動すればいくらかマシになるでしょうか?あと市販のギムネマ等のサプリメントには血糖値の上昇を緩やかにする効果はありますか?
よろしくお願いいたします。
2008/09/28(Sun) 08:51 | URL | リュカ | 【編集
ケーキ
リュカ さん。

糖尿病でないなら、月に2回の
控えめのケーキぐらい、
いいと思いますよ。 (^_^)

食物繊維やギムネマも糖尿病でなければ、少しは効くと思います。
運動もいいですね。
2008/09/28(Sun) 12:34 | URL | 江部康二 | 【編集
アイスとチョコレート
先生はじめまして、糖尿病の事を調べていてこのプログにたどり着きました。
現在40歳過ぎで妊娠5ヶ月、妊娠糖尿病になってしまいました。
いままで空腹時血糖は80位で甘党ですが、健康診断で糖尿でひっかかった事はありませんでしたが、妊娠後にぶどう負荷検査で180と150とギリギリでひっかかりました。 
食後血糖が120を超える事が偶にあるために食事制限とインシュリンを2単位毎食後にうつ事になり現在は空腹時は問題なく、食後2時間後偶に100をちょこっと超す位です、今は未だ良くても週数が進むと持ちこたえられなくなり、胎児が死亡したり、早産になったり、母体側も各種合併症を引き起こさない為に食事制限もインシュリンもがんばってやっております。
妊娠前のBMIは18位で(やせてはいけないと言われる位)、今の摂取カロリーは2000kcalで、多分本格的メタボ糖尿の方のダイエットとはちょっと違うかもしれませんが、分食していて間食をとらないとならない制限です。 間食時は80kcalや100kcalのスナック(あまり甘くない物を食べます。)砂糖は急激に血糖に作用するためにクッキー系は避けるように言われています、一日に取って良い砂糖は小さじ1&みりん小さじ1で料理用の分です、 
さて、以前先生が書かれていた甘味料の所を読ませていただきまして、今は低カロリーやゼロ砂糖の商品が色々出ていて、砂糖が使ってなければ食べてもいいのかな?ってどうしようっておもってました、 グリコからカロリーコントロールアイスとゆうのが出ていて80kcalや40kcalの物があります、甘味料はスクラロース、砂糖は不使用です、今回こちらのコメントを読ませていだだきスクラロースは血糖に作用しないってわかって、食べても良いんだとわかり安心しました。
ロッテのチョコレート ゼロ マイルドは砂糖はゼロですが、カロリーは1本10gで47kcalでこれも良いかと思ったのですが、甘味料にキシリトール、アスパルテーム、フェニルアラニン化合物、スクラロース  が使われています、以前のコメントを読むとキシリトールは砂糖は半分くらい血糖を上昇させるとのことなのでこちらはちょっと止めておきます、  アイスクリームだけ40kcalの物をちょこっと試してみます。
2008/09/28(Sun) 15:45 | URL | スヌーピー | 【編集
No title
先生、お忙しい中ご回答どうもありがとうございました。
私は今のところ糖尿病ではないのですが、2度の妊娠中2度とも妊娠糖尿病になりましたので(産後すぐの検査では正常値)、このままだととても糖尿病になりやすい体だと心得て気をつけたいと思います。
ありがとうございました。
2008/09/28(Sun) 16:38 | URL | リュカ | 【編集
No title
スヌーピーさん。

カロリーコントロールアイス・バニラの成分です。

「乳製品、ポリデキストロース、豆腐、マルチトール、還元水あめ、ヤシ油、パーム油、乳化剤、香料、安定剤(増粘多糖類)、メタリン酸ナトリウム、甘味料(スクラロース)、カロチン色素、糖転移ビタミンP、(原材料の一部にゼラチンを含む)」

マルチトールと還元みずあめはやはり砂糖の半分くらい血糖値を上昇させますのでご注意下さいね。


還元水飴は、ソルビトール含量が50%未満及び還元麦芽糖(マルチトール)
含量が75%未満の糖アルコールの総称です。
2008/09/28(Sun) 17:05 | URL | 江部康二 | 【編集
No title
えっっ やはり砂糖の半分と同じ位血糖値上昇させますか・・・うわっそうですかぁ~
じゃあやっぱりやめようかな? 1/4とか1/8に切ってたべようかしら、さっきサンクスに行って一個買っちゃいました。。。うーんかなしいなぁ  先生ありがとうございました。
2008/09/28(Sun) 17:51 | URL | スヌーピー | 【編集
糖尿病の癖?
初めてブログの書き込みをいたします。

パートナー(男性67歳)が長年の糖尿病から昨年6月に心筋梗塞を起こして食事を改善しております時に、京都での講演会に参加いたしまして、糖質制限食を取り入れて参りました。(講演会のときはサインをしていただきました。ありがとうございました。)

今年2月からは高雄病院の方でもお世話になりまして生薬の処方もいただいております。
以前からの某大学病院での糖尿病定期受診も継続しておりまして、重症の大学病院依存症です。

講演会以降、糖質制限を始めまして7月受診日にはHbA1cが5.8までになりました。が、8月はじめに富士登山を致しまして、一時糖質制限を緩めました所、8月受診日にはHbA1c6.4になり、その後も私が関与できない部分で制限食を始める前の生活に戻してしまったようで、9月の検査結果は6.8にまで戻ってしましました。この日の血糖値は出掛ける直前に羊羹を食べたとかで209もありました。(診察室でドクターに話したのを聞いて思わずしばいてしましました)

同居しておりませんので私は生薬の用意と夕食の用意しかできません。後は本人の自覚の問題なのですが、本人は自覚して節制していると言いますが、こっそりお餅を食べたり、私が子供に買ってきたスナック菓子を味見と言って私の目の前で食べてみたり、今の高くなったHbA1cを下げる為にと、もう必要でない残っている某大学病院で処方されていた薬を飲んだりしています。

私は彼が糖尿病から解放されることを願ってサポートしてきましたが、本人の自覚・腹のくくりが、私の意向とずれていて数値だけを維持すればいいと考えているようです。(この考え方はこれまでに掛った病院での教育の賜物かと思います)

本人は病気のさせることだと大目に見てほしいというのですが、この病気には精神的なものがあってそこが満たされないから覆い隠すように食べることに走る傾向があるのでしょうか?

年齢的にも幼い時に戦争を体験し、疎開で親せきの家に預けられたりして食べ物に対する執着がきつく、早食い大食いで、少食で生きてきた私にまで多食を強要することが多いのです。ここ1年食事のときはゆっくりよく噛んで楽しく過ごすようにと諭しながらやってきましたが、精神的にフォローするためには心理療法なども取り入れた方が回復が早いように思うのですが如何なものでしょうか

それとも高雄病院で教育入院をした方が少しは病気に対する理解が深まるのでしょうか?

私ひとりでなだめすかしてやれる限界を感じています。v-393




2008/09/28(Sun) 19:18 | URL | きょうこ | 【編集
教育入院
きょうこさん。

現在高雄病院に通院しておられるのであれば、
コントロール・教育入院がお奨めです。

糖尿人は自己管理がとても大事ですので、本人の自覚が必要です。

入院中、グルコバイやグルファストを飲んで、主食を適量食べて許容範囲の糖質量を調べる実験もします。

2008/09/29(Mon) 17:27 | URL | 江部康二 | 【編集
等質制限食と尿素窒素
等質制限食と尿素窒素の関係について教えてくください。4月にほぼ糖尿病ですといわれて、そのときたまたま東洋経済の雑誌と一緒に先生のご本の案内が同封されており、早速購入し糖質制限食を始めました。おかげで順調に血糖値はコントロールできております。ヘモグロビンA1cはもともとそれほど高くはなかったのですが今では4.9となっています。しかし、主食やうどんなどを食べると食後2時間血糖値は軽く200を越えてしまう状況です。そんな中で、
6月7日尿素窒素24.6カリウム5.0
8月2日尿素窒素24.4カリウム4.9
9月27日尿素窒素26.3カリウム4.7
となっており病院の先生にも腎臓の機能が少し低下していますねといわれました。そこで、先生には糖質制減食をやっていることを説明しましたら、蛋白のとりすぎですかねともいわれましたがどうなのでしょうか。ちなみに、クレアチニンは0.74,0.82,0.74となっています。江部先生の書物には腎臓が悪くなることはないと書かれていますが、腎臓が悪い人には糖質制減食はむかないとも書かれています。尿素窒素の数値はどのくらいが目安となるのでしょうか。コメントいただけるとありがたいのですが。
2008/09/29(Mon) 18:32 | URL | 退屈無想庵 | 【編集
No title
退屈無想庵さん。

高タンパク食(糖質制限食)により血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。


尿素窒素26.3は糖質制限食実践中なら正常値です。

2008.6.20のブログ
「糖質制限食と尿素窒素」
をご参照下さい。


2008/09/29(Mon) 20:58 | URL | 江部康二 | 【編集
ゼロカロリー飲料について
こんばんは。以前あらてつさんのブログでも書かせていただいたのですが、アクエリアスゼロ・ゼロカロリーカルピス(炭酸あり/なし)もカロリやゼロコーラ同様大丈夫ですか?
もし過去に話題に上がっていたらすみません。。。
2008/10/12(Sun) 00:19 | URL | ミント | 【編集
アクエリアスゼロ
アクエリアスゼロ

原材料名 : 塩化Na、L-カルニチン L-酒石酸塩、ローヤルゼリー、海草エキス、クエン酸、香料、Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)
0kcal/100ml

カロリーゼロなら糖質ゼロですので大丈夫ですね。

ゼロカロリーカルピス
も、カロリーゼロなら大丈夫ですよ。
2008/10/12(Sun) 11:51 | URL | 江部康二 | 【編集
アステルパームについて
はじめまして、hasikeiと申します。
私は糖尿病ではないのですが、30半ばをすぎ自分の健康を考えまして糖質制限をはじめました。3ヶ月目に入り、体調もよく、体重も3キロほど減少いたしました。

今回古い記事にコメントさせていただいたのは、アステルパームについて、URLに入力しましたFacebookでの某医師のコメントが気になり、江部先生のご意見をおうかがいしたいと思ったからです。
要約すれば、アステルパームはフェニルアラニンとアスパラギン酸を主に構成されており、これらはインスリンとレプチンの放出を促進するためダイエットの敵だというのです。
これは江部先生のお書きになった記事とは異なった意見であり、どちらが正しいのか迷っております。
もしよろしければ、江部先生のご見解を改めておうかがいいたしたくよろしくお願いいたします。
2013/03/12(Tue) 23:36 | URL | hasikei | 【編集
Re: アステルパームについて
hasikei さん

アスパラギン酸はアスパラガスに多く含まれるアミノ酸です。
フェニルアラニンも食品に含まれる必須アミノ酸です。
牛乳、卵、肉などの食品中のたんぱく質に多く含まれています。
いずれもインスリンは分泌させないと思います。

アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。
そして、牛肉の成分にはロイシン、アルギニン、リジンが含まれています。
正常人が牛サーロインステーキを200g食べても血糖値は3mgも上昇しません。
それなのにインスリンだけが分泌されたら、低血糖になってしまいます。

低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(血糖上昇作用あり)も分泌されて、
効果が相殺されるからです。
2013/03/13(Wed) 13:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
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