2021年01月15日 (金)
【21/01/12 久堀
英リウマチ薬を重症者に投与へ、中外製薬開発「トシリズマブ」他
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac1f644a5210f5caf506c6a977b6b6c545b64b00】
こんばんは。
久堀さんから、中外製薬開発のリウマチ薬「トシリズマブ」が、
英国で新型コロナ重症患者に投与されるという情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
<トシリズマブ>
トシリズマブは、
炎症をおこす要因となるIL-6(インターロイキン-6)の働きを抑えることで
リウマチの関節の腫れや痛みなどを改善し、骨などの損傷を防ぐ薬です。
炎症をおこす要因となるインターロイキン6という物質があるのですが、
この物質がインターロイキン-6受容体に結合してその作用をあらわします。
トシリズマブはインターロイキン-6受容体を阻害することで、
インターロイキン-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える効果があります。
本剤は関節リウマチや若年性特発性関節炎などに使用されます。
<生物学的製剤>
生物学的製剤とは化学的に合成したものではなく、生体が作る物質を薬物と使用するものです。現在日本で関節リウマチに使用できる生物学的製剤は8剤あります。
腫瘍壊死因子(TNF)という分子と結合してその作用を抑制するものが5剤あり、
インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴルで、それぞれレミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジアという商品名で使用されています。
また、インターロイキン-6受容体に対する抗体製剤であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ)とサリルマブ(商品名:ケブザラ)も使用されています。
<サイトカインストーム>
新型コロナ感染症は「サイトカインストーム症候群」といっても過言ではありません。
新型コロナに感染して急激に重症化するケースには、サイトカインストームが関わっていると思われます。
サイトカインとは細胞から分泌されるたんぱく質の総称です。
ウイルスが細胞に侵入すると、サイトカインが出て免疫細胞が活性化し、
ウイルスに感染した細胞を攻撃します。
何らかの原因でサイトカインが過剰に分泌されて制御不能となると、
正常な細胞まで攻撃してしまう場合があり、
嵐のように急激に起こるため、サイトカインストームと呼ばれます。
サイトカインストームになると、肺だけでなく腎臓や肝臓などにも重度の疾患を引き起こし、血管の内壁の細胞を傷つけ血管炎を起こし、血栓を作り出す恐れがあります。
さまざまな種類のサイトカインの中でも特にサイトカインストームの元凶と考えられているのが「インターロイキン-6」です。
<新型コロナ重症化とサイトカインストーム>
新型コロナ感染症重症化の原因がサイトカインストームであり、
サイトカインストームを起こす犯人がインターロイキン-6です。
従って、インターロイキン-6の働きをブロックしてやれば、
サイトカインストームを生じることがなく、
新型コロナ感染症の重症化を防ぐことができます。
このインターロイキン-6をピンポイントにブロックするのが
トシリズマブ(商品名:アクテムラ)などです。
トシリズマブ(商品名:アクテムラ)投与により、
サイトカインストームを予防し、新型コロナ感染症の重症化を阻止することが
可能となります。
<トシリズマブの意義>
このようにトシリズマブは、サイトカインストームを防ぎ、
新型コロナ感染の重症化を阻止してくれます。
しかし、感染を防ぐとか発症を防ぐような効果はありません。
<免疫力>
感染を防ぎ、発症を防ぐのは、あくまでも自分自身の免疫力ということです。
実際、45%の人は感染しても無症状ですし、35%の人は軽症で、
残りの20%が重症化します。
高齢者や持病がある人は重症化しやすいというのは、
高齢や持病により免疫力が落ちていることが原因なのです。
免疫力の向上には、糖質制限食で「ケトン体を高める」「AGEs蓄積を減らす」
ことがことが肝要です。
江部康二
☆☆☆
以下の青字の記載はジャパン・ニュース・ネットワーク記事の要約です。
英リウマチ薬を重症者に投与へ、中外製薬開発「トシリズマブ」他
1/11(月) 配信
ジャパン・ニュース・ネットワーク
イギリス政府は日本で開発された関節リウマチ治療薬が、新型コロナの死亡率を下げる効果があるとして、
重症患者に投与する方針を発表しました。
「トシ、トシリズマブ・・・すみません、もう一度言います。
トシリズマブとサリルマブ」(イギリス ジョンソン首相)
イギリス政府は7日、ICUで治療中の新型コロナの重症患者に対して、
2種類の関節リウマチ治療薬を投与すると発表しました。
このうち、トシリズマブは日本の中外製薬が開発し、
「アクテムラ」の名前で流通しているもので、過剰な免疫反応を抑える働きがあります。
イギリス政府によりますと、トシリズマブは重症患者がICUに移されて24時間以内に投与が開始された場合、
死亡率を24%減少させる効果が認められました。
ICUで治療中の重症患者およそ800人を対象に調べたところ、
ステロイド系の抗炎症薬のみを投与した患者の死亡率は35.8%だったのに対し、
トシリズマブも併用した場合、28%と、7ポイント以上下がったということです。
またICUでの治療日数も7日から10日、短縮されたとしています。
変異ウイルスがまん延するイギリスでは、死者、入院患者ともに急増していて、
これら治療薬の使用で死者数と医療機関のひっ迫の度合いが少しでも減ることが期待されています。
英リウマチ薬を重症者に投与へ、中外製薬開発「トシリズマブ」他
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac1f644a5210f5caf506c6a977b6b6c545b64b00】
こんばんは。
久堀さんから、中外製薬開発のリウマチ薬「トシリズマブ」が、
英国で新型コロナ重症患者に投与されるという情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
<トシリズマブ>
トシリズマブは、
炎症をおこす要因となるIL-6(インターロイキン-6)の働きを抑えることで
リウマチの関節の腫れや痛みなどを改善し、骨などの損傷を防ぐ薬です。
炎症をおこす要因となるインターロイキン6という物質があるのですが、
この物質がインターロイキン-6受容体に結合してその作用をあらわします。
トシリズマブはインターロイキン-6受容体を阻害することで、
インターロイキン-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える効果があります。
本剤は関節リウマチや若年性特発性関節炎などに使用されます。
<生物学的製剤>
生物学的製剤とは化学的に合成したものではなく、生体が作る物質を薬物と使用するものです。現在日本で関節リウマチに使用できる生物学的製剤は8剤あります。
腫瘍壊死因子(TNF)という分子と結合してその作用を抑制するものが5剤あり、
インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴルで、それぞれレミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジアという商品名で使用されています。
また、インターロイキン-6受容体に対する抗体製剤であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ)とサリルマブ(商品名:ケブザラ)も使用されています。
<サイトカインストーム>
新型コロナ感染症は「サイトカインストーム症候群」といっても過言ではありません。
新型コロナに感染して急激に重症化するケースには、サイトカインストームが関わっていると思われます。
サイトカインとは細胞から分泌されるたんぱく質の総称です。
ウイルスが細胞に侵入すると、サイトカインが出て免疫細胞が活性化し、
ウイルスに感染した細胞を攻撃します。
何らかの原因でサイトカインが過剰に分泌されて制御不能となると、
正常な細胞まで攻撃してしまう場合があり、
嵐のように急激に起こるため、サイトカインストームと呼ばれます。
サイトカインストームになると、肺だけでなく腎臓や肝臓などにも重度の疾患を引き起こし、血管の内壁の細胞を傷つけ血管炎を起こし、血栓を作り出す恐れがあります。
さまざまな種類のサイトカインの中でも特にサイトカインストームの元凶と考えられているのが「インターロイキン-6」です。
<新型コロナ重症化とサイトカインストーム>
新型コロナ感染症重症化の原因がサイトカインストームであり、
サイトカインストームを起こす犯人がインターロイキン-6です。
従って、インターロイキン-6の働きをブロックしてやれば、
サイトカインストームを生じることがなく、
新型コロナ感染症の重症化を防ぐことができます。
このインターロイキン-6をピンポイントにブロックするのが
トシリズマブ(商品名:アクテムラ)などです。
トシリズマブ(商品名:アクテムラ)投与により、
サイトカインストームを予防し、新型コロナ感染症の重症化を阻止することが
可能となります。
<トシリズマブの意義>
このようにトシリズマブは、サイトカインストームを防ぎ、
新型コロナ感染の重症化を阻止してくれます。
しかし、感染を防ぐとか発症を防ぐような効果はありません。
<免疫力>
感染を防ぎ、発症を防ぐのは、あくまでも自分自身の免疫力ということです。
実際、45%の人は感染しても無症状ですし、35%の人は軽症で、
残りの20%が重症化します。
高齢者や持病がある人は重症化しやすいというのは、
高齢や持病により免疫力が落ちていることが原因なのです。
免疫力の向上には、糖質制限食で「ケトン体を高める」「AGEs蓄積を減らす」
ことがことが肝要です。
江部康二
☆☆☆
以下の青字の記載はジャパン・ニュース・ネットワーク記事の要約です。
英リウマチ薬を重症者に投与へ、中外製薬開発「トシリズマブ」他
1/11(月) 配信
ジャパン・ニュース・ネットワーク
イギリス政府は日本で開発された関節リウマチ治療薬が、新型コロナの死亡率を下げる効果があるとして、
重症患者に投与する方針を発表しました。
「トシ、トシリズマブ・・・すみません、もう一度言います。
トシリズマブとサリルマブ」(イギリス ジョンソン首相)
イギリス政府は7日、ICUで治療中の新型コロナの重症患者に対して、
2種類の関節リウマチ治療薬を投与すると発表しました。
このうち、トシリズマブは日本の中外製薬が開発し、
「アクテムラ」の名前で流通しているもので、過剰な免疫反応を抑える働きがあります。
イギリス政府によりますと、トシリズマブは重症患者がICUに移されて24時間以内に投与が開始された場合、
死亡率を24%減少させる効果が認められました。
ICUで治療中の重症患者およそ800人を対象に調べたところ、
ステロイド系の抗炎症薬のみを投与した患者の死亡率は35.8%だったのに対し、
トシリズマブも併用した場合、28%と、7ポイント以上下がったということです。
またICUでの治療日数も7日から10日、短縮されたとしています。
変異ウイルスがまん延するイギリスでは、死者、入院患者ともに急増していて、
これら治療薬の使用で死者数と医療機関のひっ迫の度合いが少しでも減ることが期待されています。
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