2020年12月20日 (日)
こんばんは。
今回の記事は、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)を比較してみます。
<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血液中のヘモグロビンとアルブミンが、
それぞれ血糖と結合して変化したものの割合を示す検査値で、原理は同じです。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1cにするとよいです。
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ
HbA1c(NGSP):5.7%(基準値4.6~6.2%)
HbA1c(JDS):5.3%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.7%(基準値11.8~16.0%)
上記、江部康二の検査データ(2020年10月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.58:1とかなり低いです。
食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.7%
HbA1c(JDS):5.3%
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.4:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
やや安価なHbA1cのほうを実費で保険外で調べればいいと思います。
私費で、HbA1cは¥500-くらいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
江部康二
今回の記事は、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)を比較してみます。
<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血液中のヘモグロビンとアルブミンが、
それぞれ血糖と結合して変化したものの割合を示す検査値で、原理は同じです。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1cにするとよいです。
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ
HbA1c(NGSP):5.7%(基準値4.6~6.2%)
HbA1c(JDS):5.3%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.7%(基準値11.8~16.0%)
上記、江部康二の検査データ(2020年10月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.58:1とかなり低いです。
食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.7%
HbA1c(JDS):5.3%
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.4:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
やや安価なHbA1cのほうを実費で保険外で調べればいいと思います。
私費で、HbA1cは¥500-くらいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
江部康二
江部先生、解り易い記事ありがとうございます。
江部ブログで「食後高血糖を反映するのはGA」を読み、
◎高尿酸血症投薬時は GA(3ヶ月に1度)
◎健康診断時は HbA1c(年1度)
年1度、同日ではないですが近日で測定します。今回、3週間違いで測定しました。
GA 10.9
HbA1c 5.1
GA/HbA1c = 2.14
年に1~2回、外食でとんかつソース掛け過ぎで、若年性アルツハイマー型認知症再発している 私らこ ですが、「食後高血糖値は良い」ようですね。
安心しました。
11年続いた糖尿病合併症の歯肉炎が今年夏に寛解か完治し、残る糖尿病合併症は脂漏性皮膚炎だけです。
これも寛解か完治してくれると良いのですがwww
江部ブログで「食後高血糖を反映するのはGA」を読み、
◎高尿酸血症投薬時は GA(3ヶ月に1度)
◎健康診断時は HbA1c(年1度)
年1度、同日ではないですが近日で測定します。今回、3週間違いで測定しました。
GA 10.9
HbA1c 5.1
GA/HbA1c = 2.14
年に1~2回、外食でとんかつソース掛け過ぎで、若年性アルツハイマー型認知症再発している 私らこ ですが、「食後高血糖値は良い」ようですね。
安心しました。
11年続いた糖尿病合併症の歯肉炎が今年夏に寛解か完治し、残る糖尿病合併症は脂漏性皮膚炎だけです。
これも寛解か完治してくれると良いのですがwww
2020/12/20(Sun) 23:46 | URL | らこ | 【編集】
「質の悪いHbA1c」は、これまで数値化されていなかったように記憶していまず。
◎GA/HbA1c > 3 → 質の悪いHbA1c
これは明解!
食後高血糖や低血糖も数値化されているから、皆さん共有できていると思います。
私らこ は今後もGA測定継続します。
◎GA/HbA1c > 3 → 質の悪いHbA1c
これは明解!
食後高血糖や低血糖も数値化されているから、皆さん共有できていると思います。
私らこ は今後もGA測定継続します。
2020/12/22(Tue) 23:55 | URL | らこ | 【編集】
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