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胃全摘後ダンピング症候群と機能性低血糖対策⇒糖質制限食でOK
【20/10/20 T-J
胃全摘後ダンピング症候群と機能性低血糖対策について
はじめまして、数々の貴重な情報、ありがとうございます。
大きく勇気づけられ、助かっております。

ぜひ、質問させてください。

私は52歳男性で、9年前に胃がんで胃全摘術を受けましたが
幸いにして現在に至るまで再発転移しておりません。

手術後当初は食後の冷や汗、倦怠感がひどく、食が細かったのですが、
徐々に体が慣れてきて、通常人と遜色ない量が食べれて、
お酒もまずまず飲めるようになりました。

胃切除後ダンピング症候群のことは説明を受けていたので、
低血糖症状がでたら何か口にするようにしていました。

しかし、だんだんと低血糖症状にたいして感じ方が弱くなってきたようで、
食後の強い眠気や意識朦朧状態が、
ときどき出るようになりました(本人はわからず家族に聞きました)が
油断していたと思います。

1か月前に就寝中、
1:00amに大量発汗、意識不明となり救急車で運ばれるということがおきました。

家族がリンゴジュースを含ませてくれて、救急車内で20分後くらいに気が付き、
病院では血糖値44でした。点滴をして症状改善、1時間で帰宅しました。

その日は、19:00にカレーを1皿一度にたいらげ(いつもは1時間後に1/2というように分食)てしまい、
さらに22:00過ぎに今思えば低血糖症状に対抗しようとしたのでしょう、
せんべいを1袋全部食べるということをやってしまいました。

2330に就寝するときはなにも異常を感じていませんでした。

常に低血糖に対する恐れがあったため、追い食いを日中は頻繁にしていました。

実は、1年前とそれ以前にも、同様のことで意識消失20分ほどということが起こっていました(今回は3回目。1年前には頭のMRI検査をして異常なし)。

当時は、近くの糖尿病外来を受診しても、直前の食事の内容とタイミングに気を付ける、低血糖症状が出たら何か口にするという以上のアドバイスはなく、
ほかに手はないと思っていました。

しかし今回は、フリースタイルリブレという持続型血糖測定装置を装着してもらいました。

もうすぐ2週間ですが、空腹時血糖は70-80台で、
食後1時間でピーク、130-150くらいのようでした。
そして測定開始の初めの2日ほどは夜間低血糖が起こっていたようで、
50-60台にもなっていたようです。

これをみて、食後高血糖のリバウンド、機能性低血糖だろうと思い、
糖スパイクを作らないようにと、今回ネットで調べて知った、
先生のスーパー糖質制限食を始めました。

そうすると1-2日で夜間低血糖はなくなり(夜間も>80)、
現在まで経過は順調(空腹時血糖80-90台,1回糖質摂取40gの1時間後ピークで<150ほど)です。(ちなみにHbA1c:4.9でした)

現在、鉄剤とビタミンB,B12, C,E剤内服、プロテインパウダー(40g/日)摂取をしております(Hb:14.9)。

まずはスーパー糖質制限食を開始したのですが、
現在は体力低下を感じており、カロリー不足かと考えております。

また、将来的には運動を再開、体力・体重をつけたいと思っております。

身長168cm、体重58kgから糖質制限後1週間で1kg減りました(BMI: 20.2)。

今後はカロリーを2400以上とりたいと思っているのですがなかなか食がすすまず、
2000程度、カロリー不足対策に悩んでおります(先生のレシピ本で勉強中です)。

また、低血糖に対して反応が鈍くなっているようなので、
特に夜間低血糖が怖いと考えております。

そこで現在はスーパー糖質制限なのですが、今後長期的には、
スタンダードなどでもいいものでしょうか?(お酒は家人に止められているため)

また、夜間低血糖対策としては就寝前3時間前までには
摂食をやめたほうがいいでしょうか?(えてして仕事が押してしまうもので...)

また現在は念のため車の運転は控えているのですが、
血糖コントロールが安定したら再開してもいいものでしょうか(短時間、週末のみなど)?

他、何かアドバイス等あればコメントいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。】



こんばんは。
T-J さんから、
胃全摘後ダンピング症候群と機能性低血糖対策について、
コメント・質問を頂きました。

T-J さん、貴重な体験報告をありがとうございます。
以前本ブログに、胃切除後ダンピング症候群で25年間苦しんでおられた患者さんから、
糖質制限食が劇的に有効であったという報告をコメント頂いたことがあります。

【手術後当初は食後の冷や汗、倦怠感がひどく】
これは、まさに機能性低血糖の症状そのものです。
胃を切除しているので、胃の中にしばらく食べたものがとどまることができずに、
一気に小腸に到達して吸収され、急激に血糖が上昇し、
その反動で大量の追加分泌インスリンが出て、食事開始後2時間くらいで
低血糖となり、冷や汗や倦怠感が出現したのでしょう。
血糖値を上げるのは糖質だけなので、糖質を摂取しなければ
機能性低血糖は生じません。
すなわち機能性低血糖に対しては、糖質制限食が極めて有効です。

胃が普通にある人では、
食事したあと、胃の中で食物が混ぜ合わされ、蠕動運動で少しずつ
十二指腸に押し出されていきますが、胃内で約1時間くらいかけて消化されます。
つまり胃には食物貯留の働きもあるわけです。

【食後の強い眠気や意識朦朧状態】
この症状は、食後60分で血糖上昇幅が50~60mgとか、
その後の血糖下降幅が60分で50~60mgあると生じやすいのです。
【1か月前に就寝中、
1:00amに大量発汗、意識不明となり救急車で運ばれる。・・・
病院では血糖値44。点滴をして症状改善、1時間で帰宅。
その日は、19:00にカレーを1皿一度にたいらげ(いつもは1時間後に1/2というように分食)てしまい、さらに22:00過ぎに今思えば低血糖症状に対抗しようとしたのでしょう、せんべいを1袋全部食べるということをやってしまいました。

これは、せんべい1袋全部というのが、直接の引き金のように思います。
22:00 過ぎ せんべい1袋全部
    血糖急上昇とインスリン追加分泌開始
23:00 頃が、食後1時間でピークの血糖値上昇
    インスリン大量追加分泌
24:00 頃には血糖値はかなり下降していたが
    インスリン分泌は、遷延して継続
翌朝午前1:00 血糖値:44mg/dl と低血糖

【スーパー糖質制限食開始。
1-2日で夜間低血糖はなくなり(夜間も>80)、
現在まで経過は順調(空腹時血糖80-90台,1回糖質摂取40gの1時間後ピークで<150ほど)です。(ちなみにHbA1c:4.9でした)】


スーパー糖質制限食を開始してからは、
食後高血糖も夜間低血糖も改善して良かったです。
糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は最小限で、
インスリン追加分泌も最小限ですむので、その後の低血糖が生じなくなります。
なお、HbA1c:4.9%と低いのは、空腹時や夜間の低血糖を反映していると考えられ
『質の悪いHbA1c』と言えます。

【まずはスーパー糖質制限食を開始したのですが、
現在は体力低下を感じており、カロリー不足かと考えております。】

これは、仰る通りと思います。
脂質はしっかり摂取して、<推定エネルギー必要量>は確保しましょう。
動物性脂肪もしっかり食べましょう。

【現在はスーパー糖質制限なのですが、今後長期的には、
スタンダードなどでもいいものでしょうか?】

基本はスーパー糖質制限で、たまにスタンダードでもよいと思います。
夕食に糖質を食べると、夜間低血糖を生じやすいので注意が必要です。
ただ、AGEs蓄積予防ということも考慮すれば、
認知症予防・免疫力向上・老化予防のためにも
スーパー糖質制限食が好ましいとは思います。

【夜間低血糖対策としては就寝前3時間前までには
摂食をやめたほうがいいでしょうか】

糖質制限食なら、寝る前に食べても機能性低血糖にはなりません。
仕事上やむを得ないときはそれでOKです。
しかし、一般的には、健康上就寝3時間前くらいの摂食が推奨ですね。

なお胃を切っていない人でも、機能性低血糖の患者さんはおられます。
この場合も、炭水化物の摂取が、ブドウ糖ミニスパイクを生じ、
そのためインスリンが過剰分泌され、2-3時間後に低血糖を生じます。

ともあれ、糖質制限食なら、食後高血糖が生じないので、インスリンの過剰分泌も起こらず、
その後の低血糖も生じないと思います。

江部康二
コメント
ありがとうございました。
早々のお返事、ありがとうございました。意識してカロリーを取ることと血糖値乱高下による体力ロスがなくなったせいか、開始してわずか1ー2週間ですが、冷え性や肩こりが解消し、体が軽くなった気がします。

ちなみに昨日病院受診して総ケトン体は526, 尿ケトン体(−)でした。血糖値もほぼ、80-150に収まっております。今後もスーパー糖質制限食を継続使用と思います。

また、よろしくお願いいたします。
2020/10/22(Thu) 10:33 | URL | T-J | 【編集
詳細は明らかになっていませんが、気になりますね
世界で一番進んでいるオックスフォード大学のワクチンですから

新型コロナのワクチン ブラジルで臨床試験の参加者が死亡

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201022/k10012675061000.html
2020/10/22(Thu) 13:50 | URL | 久堀 | 【編集
Re: ありがとうございました。
T-J  さん

糖質制限食にて
冷え性や肩こりが解消し、体が軽くなったとは、良かったです。
2020/10/22(Thu) 17:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
久堀 さん

情報をありがとうございます。

『亡くなったのはリオデジャネイロの28歳の医師で、ことし7月から被験者として参加していましたが9月、
新型コロナウイルスに感染し、今月亡くなったということです。』


新型コロナウィルス感染により死亡ということで、ワクチンの有害事象での死亡ではありませんね。
また、この医師の接種していたのは、本物のワクチンではなくて、プラシーボのワクチンだったようです。


2020/10/22(Thu) 17:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
アルツハイマー型認知症予防はスーパー糖質制限食だけ
スタンダード糖質制限食は、若年性アルツハイマー型認知症を1食で再発します。

◎「脳の糖尿病」=アルツハイマー型認知症

です。
2020/10/22(Thu) 22:40 | URL | らこ | 【編集
認知症・回避には!!
都内河北 鈴木です。

らこさんの発言通り、認知症の回避には、
『ス~パ~糖質制限食しかない』かなと、
私自身の『改善・医療デ~タ』が示す様に、『脳梗塞4度の覚醒』です!!

*脳梗塞のプラ~ク2か所2度の縮小改善!!
*脳内全体の血流が明瞭化している改善!!
*脳梗塞の狭窄部が、拡張改善!!

これ等の改善も
<<『ス~パ~糖質制限理論食生活の御陰だと明言できます!!』>>

2005年発表・江部先生『糖質制限理論』を、
せれまでの医療者は、だれ一人として、告知・指導しなかったのですから!!

それまでの『眼、脳梗塞、』で、
悪化一途で、殺されかけた病態患者が、
2012年10月1日より、江部先生『糖質制限理論』を理解把握して実践で成し得た9年目に、体調快調に成りながら生活できている事が、
『認知症・回避の証明かなと考えます!!』

私は糖尿病の改善の為に始めましたが、
現在は『認知症にも効果有る事が証明出来て、嬉しく思います!!』

<<日本の医療界は、自国民の為に、
  いつになったら進化するのか??です!!>>

江部先生には、『生還、覚醒、4度の再覚醒、』している9年目に
体調快調に成りながら生活できる事に、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具



2020/10/23(Fri) 15:37 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: アルツハイマー型認知症予防はスーパー糖質制限食だけ
らこ さん

らこさんの脳細胞のメインエネルギーはケトン体と考えられます。
従って、1食でも糖質を摂取すれば、血糖値が上昇してケトン体が下がるので
アルツハイマー病が再発すると考えられます。

2020/10/23(Fri) 19:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
カロリーの量と取り方
江部先生、先日は胃手術後のダンピング症候群後の機能性低血糖について、詳細なアドバイスありがとうございました。感謝申し上げます。

そこでスーパー糖質制限食を実践持続するべく模索しているのですが、168cm57kgで2000-2200kcalくらいだと体重が56kgになってしまいました(ほぼデスクワークで、現在ひどい馬力不足は感じませんが、顔が疲れていると言われます)。

摂取カロリーを増やすべくいろいろなオイルや肉魚類をとっているのですが、食があまりおおくないので一度に量を食べるのがなかなか困難で、1日約2200kcal(3食(各500kcal)+間食3回(各200kcal)+α)としています。

先生のレシピ本だと1日ほぼ2食で、お酒抜きだと1日2000kcal未満かと思われます。

先生の活動レベル(診察+テニス他?)でも、そのカロリーでOKなのでしょうか(私も将来的にはそのレベルの活動をしたいと思っております)?

また、お酒はempty カロリーとも聞きますが大丈夫なのでしょうか?

他に糖質制限をなさっている方々も、1日2食以下だったりして、実際の摂取カロリーはどのくらいなのか不思議です。

現状かなりがんばってハイカロリーなものを探して食べているのですが、アイテムが偏ってきてしまったりと問題を感じています。

お酒抜きでも2500kcal以上とりたいとすると3食+間食(低糖質パン等)で糖質がどうしても増えていってしまうのと、時間がとられる(のべつ幕なし口にしている感じ?)のが悩みです。

長期的に継続するにはもっと楽な方法を探したく、先生のレシピ本をそのまま再現(お酒は抜きで)したら、」お腹はふくれず楽だろうと思われますが、やはり体力低下は免れないでしょうか?

なにかコメントあればお聞かせ願えれば幸いです。

よろしくお願いいたします。



2020/10/24(Sat) 23:41 | URL | T-J | 【編集
カロリ~不足なら、状況どうあれ、摂取しかないのでは??!!
都内河北 鈴木です。

胃全摘出後の方でも、江部先生『糖質制限理論』食生活が、
改善へ可能あるなら、腸からだけならエネルギ~摂取不足は、致し方ないが、
私なら、BMIを満足するまで食生活一括などでなく、
回数を増やすしかないかなと考えます!!

『糖質以外の食材を摂取してみるべきかなと考えます!!』

そして『害毒・糖質を、必要可能な限り排除の生活を考えますが!!』

『低糖質対応食材』であっても、その物の食材が根本『糖質食材』ならば、
私ならば、健康への『糖質・害毒』だと解明されたのだから認識して、
『糖質・摂取・拒否』してみば如何かなと考えます!!

以前、顧問・夏井先生ブログで見た、『糖質と肉との消化画像』が、
思い出されます!!

胃の内部での消化時間は、
*『肉類』は、数時間で跡形もなく消化される!!
*『糖質』は、12時間以上経過しても残留物あり!!
 未消化だと認識されます!!

昔から、『御飯(糖質)は、腹持ちがよい』などの言葉通り、
『糖質・害毒』が解明される以前の医学の未解明・知識として、
洗脳されている事が、理解できるかなと考えます!!

胃全摘出しているのなら、
『自身の満足するBMIを目指して、カロリ~摂取』して
食生活の既成概念しかないかなと考えますが!!

以前読んでいた、胃全摘出5年後の『こたろう』さんブログも、
参考になるかなと考えます!!

現在の私は江部先生『糖質制限理論』で、
『生還、覚醒、4度の再覚醒、』している事に、感謝尽きませんが、
更なる改善の学習の為に、江部先生の考えを、拝聴したいと考えます!!
敬具
2020/10/25(Sun) 16:55 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
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