2020年08月04日 (火)
こんにちは。
今回は、糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係を考察してみます。
ネットで、「スーパー糖質制限食を続けると、膵臓のβ細胞のインスリン分泌能力が低下する」などと
無根拠なデマが流れたりするので、キッチリ説明して反論します。
<糖質摂取は大量のインスリンを追加分泌させる>
血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけです。糖質摂取による食後高血糖に対して、
追加分泌インスリンが大量に分泌されて、血糖を下げます。
<タンパク質摂取は少量のインスリンを追加分泌させる>
アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。
そして、例えば牛肉のタンパク質の成分には、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれています。
正常人が牛サーロインステーキを200g食べても、血糖値に直接影響を与えるのはグリコーゲン分の糖質だけで1g未満なので、
3mgも上昇しません。
それなのにインスリンだけが分泌されたら、低血糖になってしまいます。
低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(糖新生による間接的血糖上昇作用あり)も分泌されて、
効果が相殺されるからです。
すなわち、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれているタンパク質を食べると、
追加分泌のインスリンが少量ながら分泌されるということです。
このようにスーパー糖質制限食でも、少量の追加分泌インスリンは出ています。
つまり、野菜もなしの糖質ゼロ食でも、タンパク質摂取分の追加分泌インスリンは出るということです。
<脂質摂取はインスリンを分泌させない>
脂質摂取は、血糖値を上げないし、インスリン追加分泌もゼロです。
<基礎分泌インスリン>
基礎分泌インスリンは、スーパー糖質制限食でも糖質ゼロ食でも、
24時間常に出続けていますので膵臓のβ細胞はずっと働き続けているわけです。
<考察>
このように、スーパー糖質制限食を継続して実践していても、基礎分泌インスリンは普通に出ています。
またスーパー糖質制限食実践でも、野菜分の糖質が10gくらいはあるので、
基礎分泌の2~3倍の追加分泌インスリンは出ます。
従って、膵臓のβ細胞が、スーパー糖質制限食実践で休業状態になり過ぎて、
インスリン分泌能力が低下するなどどいうのは、無用の心配ということです。
江部康二
次回は、「タンパク質摂取で血糖値上昇する場合」 です。
今回は、糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係を考察してみます。
ネットで、「スーパー糖質制限食を続けると、膵臓のβ細胞のインスリン分泌能力が低下する」などと
無根拠なデマが流れたりするので、キッチリ説明して反論します。
<糖質摂取は大量のインスリンを追加分泌させる>
血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけです。糖質摂取による食後高血糖に対して、
追加分泌インスリンが大量に分泌されて、血糖を下げます。
<タンパク質摂取は少量のインスリンを追加分泌させる>
アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。
そして、例えば牛肉のタンパク質の成分には、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれています。
正常人が牛サーロインステーキを200g食べても、血糖値に直接影響を与えるのはグリコーゲン分の糖質だけで1g未満なので、
3mgも上昇しません。
それなのにインスリンだけが分泌されたら、低血糖になってしまいます。
低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(糖新生による間接的血糖上昇作用あり)も分泌されて、
効果が相殺されるからです。
すなわち、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれているタンパク質を食べると、
追加分泌のインスリンが少量ながら分泌されるということです。
このようにスーパー糖質制限食でも、少量の追加分泌インスリンは出ています。
つまり、野菜もなしの糖質ゼロ食でも、タンパク質摂取分の追加分泌インスリンは出るということです。
<脂質摂取はインスリンを分泌させない>
脂質摂取は、血糖値を上げないし、インスリン追加分泌もゼロです。
<基礎分泌インスリン>
基礎分泌インスリンは、スーパー糖質制限食でも糖質ゼロ食でも、
24時間常に出続けていますので膵臓のβ細胞はずっと働き続けているわけです。
<考察>
このように、スーパー糖質制限食を継続して実践していても、基礎分泌インスリンは普通に出ています。
またスーパー糖質制限食実践でも、野菜分の糖質が10gくらいはあるので、
基礎分泌の2~3倍の追加分泌インスリンは出ます。
従って、膵臓のβ細胞が、スーパー糖質制限食実践で休業状態になり過ぎて、
インスリン分泌能力が低下するなどどいうのは、無用の心配ということです。
江部康二
次回は、「タンパク質摂取で血糖値上昇する場合」 です。
嘘みたいな興味深い結果が出て来ました。
【速報】「ポビドンヨード」うがいで陽性減、大阪府などが発表
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4045123.html
【速報】「ポビドンヨード」うがいで陽性減、大阪府などが発表
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4045123.html
2020/08/04(Tue) 18:08 | URL | 久堀 | 【編集】
久堀 さん
興味深い情報をありがとうございます。
興味深い情報をありがとうございます。
2020/08/04(Tue) 18:46 | URL | ドクター江部 | 【編集】
おはようございます。
金魚です。
たんぱく質でも糖質でも
インスリンは、分泌される
ということですが、
唐揚げ定食やとんかつ定食では、
食前血糖値90前後に対して、
1時間160 2時間140くらいで
そうめんやざるそばだと
1時間240 2時間200くらいです。
麺類の場合は、4時間後には
80くらいまで下がる事が多いです。
糖質量は、どの食事も80g程度ですが、
たんぱく質比率の高い食事の方が
インスリン分泌は早いのでしょうか。
金魚です。
たんぱく質でも糖質でも
インスリンは、分泌される
ということですが、
唐揚げ定食やとんかつ定食では、
食前血糖値90前後に対して、
1時間160 2時間140くらいで
そうめんやざるそばだと
1時間240 2時間200くらいです。
麺類の場合は、4時間後には
80くらいまで下がる事が多いです。
糖質量は、どの食事も80g程度ですが、
たんぱく質比率の高い食事の方が
インスリン分泌は早いのでしょうか。
金魚 さん
単なるライスとバターライスだと、
バターライスのほうが血糖値の上昇は遅れます。
脂質と糖質を一緒に摂取すると、消化吸収がややゆっくりになるのだと思います。
糖質単独摂取だと、血糖上昇は早くて高値となり、インスリンの量もその分大量に分泌されます。
それで、4時間後には、80くらいと下がります。
人によっては、4~6時間後に60mgくらまで低下して『機能性低血糖』を生じることがあるので注意が必要です。
単なるライスとバターライスだと、
バターライスのほうが血糖値の上昇は遅れます。
脂質と糖質を一緒に摂取すると、消化吸収がややゆっくりになるのだと思います。
糖質単独摂取だと、血糖上昇は早くて高値となり、インスリンの量もその分大量に分泌されます。
それで、4時間後には、80くらいと下がります。
人によっては、4~6時間後に60mgくらまで低下して『機能性低血糖』を生じることがあるので注意が必要です。
2020/08/05(Wed) 10:16 | URL | ドクター江部 | 【編集】
大阪府知事会見の「ポビドンヨード」うがいの報道が出ていますが、それはうがいの効果によるものと思われます。
うがいで風邪の予防に効果があるのは以前から判っている事です。
しかし、ポビドンヨード(イソジン)は細胞障害作用があります。喉の病気を増やす可能性もあると思います。
水うがいで充分でしょう。水うがいの方が効果があるという報告もあります。
https://twitter.com/maimoku2/status/1239948354437562369
https://jeaweb.jp/activities/seminars/pdf/20161027.pdf
うがいで風邪の予防に効果があるのは以前から判っている事です。
しかし、ポビドンヨード(イソジン)は細胞障害作用があります。喉の病気を増やす可能性もあると思います。
水うがいで充分でしょう。水うがいの方が効果があるという報告もあります。
https://twitter.com/maimoku2/status/1239948354437562369
https://jeaweb.jp/activities/seminars/pdf/20161027.pdf
2020/08/05(Wed) 10:58 | URL | e10go | 【編集】
e10go さん
同感です。
まずは、<手洗いと水うがい、三密を避ける、対面で大声で喋らない、マスク着用>
ですね。
同感です。
まずは、<手洗いと水うがい、三密を避ける、対面で大声で喋らない、マスク着用>
ですね。
2020/08/05(Wed) 13:43 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、こんにちは。
今回、江部先生がブログで取り上げてくださった内容、とても参考になりました。
実際、私も低糖質を色々調べると、江部先生が書いていたようにインターネットでは低糖質生活でインスリン分泌が悪くなるなどのものを見られました。
江部先生がこうして医学的根拠に基づいて書いてくださることで、低糖質で食事を続けている人やこれから健康の為に取り入れようとしている方に正しく低糖質というものが伝わるので感謝しています。
最近は食後か2時間後の血糖値120前後で推移しています。
私は意志が弱いほうなので自分の戒めの為に毎食後2時間値を測定しています。
しかし前回の受診で、食後1時間値も測定してみてと言われました。(前回のブドウ糖負荷試験で1時間値が200を超えていたため)
現在、血糖測定の機器、全て自費で購入しています。妊娠中から毎日、測定していましたが、私のように境界型は糖尿病ではないので、保険は使えないとのことでした。妊娠中だけと思い、その時の出費は諦めていましたが、今回、また測定を始めたためまた自費で購入しています。そのため毎日、毎食2時間値を測定するだけでも、針や測定チップが登録した薬局でしか買えないため合わせて1万5千円ほどかかります。できればこれ以上、血糖測定を増やすことでの出費は避けたいです。
そこで先生にお聞きしたいのですが、やはり毎食後、1時間値と2時間値両方を測定したほうがいいでしょうか?その場合、1日おきでもいいか?
それとも今まで通り毎食、1時間値か2時間値測定したほうがよいかお忙しいとは思いますがアドバイス頂ければ幸いです。
今回、江部先生がブログで取り上げてくださった内容、とても参考になりました。
実際、私も低糖質を色々調べると、江部先生が書いていたようにインターネットでは低糖質生活でインスリン分泌が悪くなるなどのものを見られました。
江部先生がこうして医学的根拠に基づいて書いてくださることで、低糖質で食事を続けている人やこれから健康の為に取り入れようとしている方に正しく低糖質というものが伝わるので感謝しています。
最近は食後か2時間後の血糖値120前後で推移しています。
私は意志が弱いほうなので自分の戒めの為に毎食後2時間値を測定しています。
しかし前回の受診で、食後1時間値も測定してみてと言われました。(前回のブドウ糖負荷試験で1時間値が200を超えていたため)
現在、血糖測定の機器、全て自費で購入しています。妊娠中から毎日、測定していましたが、私のように境界型は糖尿病ではないので、保険は使えないとのことでした。妊娠中だけと思い、その時の出費は諦めていましたが、今回、また測定を始めたためまた自費で購入しています。そのため毎日、毎食2時間値を測定するだけでも、針や測定チップが登録した薬局でしか買えないため合わせて1万5千円ほどかかります。できればこれ以上、血糖測定を増やすことでの出費は避けたいです。
そこで先生にお聞きしたいのですが、やはり毎食後、1時間値と2時間値両方を測定したほうがいいでしょうか?その場合、1日おきでもいいか?
それとも今まで通り毎食、1時間値か2時間値測定したほうがよいかお忙しいとは思いますがアドバイス頂ければ幸いです。
2020/08/06(Thu) 10:37 | URL | ゆきぼくり | 【編集】
ゆきぼくり さん
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値の上昇はごく少ないですので、そんなに毎日測定しなくても良いと思います。
早朝空腹時と、あとは、外食時などの測定ですね。
食後1時間値と2時間値は、どちらが自分のピークかを、まず確かめましょう。
その後は、ピークの方を測定すればいいです。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値の上昇はごく少ないですので、そんなに毎日測定しなくても良いと思います。
早朝空腹時と、あとは、外食時などの測定ですね。
食後1時間値と2時間値は、どちらが自分のピークかを、まず確かめましょう。
その後は、ピークの方を測定すればいいです。
2020/08/06(Thu) 20:10 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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