fc2ブログ
非結核性抗酸菌症、とくに肺MAC症について
【20/06/29 葉月
非結核性抗酸菌症
neiriさんへ

糖質制限を始めるほんの少し前頃、消化器科の検査で腹部のCTを撮影する機会があったのですが、
その撮像範囲の右肺中葉に所見がみつかりました。
呼吸器科の先生(複十字病院から診察にいらしているドクター)の診察を受けた所、肺MAC症の診断でした。
私は関節リウマチの治療で免疫を抑える生物学的製剤も使っているのですが、
今は半年毎のレントゲンチェックでの経過観察のみです。
レントゲンで分かるか分からない程度の状態だそうで、
特に自覚症状も無いのでMAC症の投薬治療はこれまで一度も受けておりません。
CTでたまたま見つかった時は54歳で、正に発症者の多い中年女性、痩せ型です。
畑仕事などはする機会は無いのですが、
シャワーやお風呂掃除などに関しても特別注意を払うようなことはしていません。
極々普通の皆さんと同様な生活をしていると思います。
関節リウマチは免疫を抑える治療なので、副作用として感染症のリスクはありますが、
その影響で発症したのか?、
発覚したCT以前に腹部や胸部のCTは撮影する機会もなかったので、
実際発症したのがいつなのかも不明です。
中には進行してしまわれる方もいらっしゃると思いますが、
進行がとてもゆっくりな病気だとこのことですし、
私の様に(発症から)5年経過しても全く進行せず
経過観察のみの人も沢山いらっしゃるようです。
江部先生も仰るように、糖質制限が功を奏しているのかも…と私自身も思っております。
一度きりしか無い人生、
neiriさんも過度に不安に怯えることなく楽しい日々過ごしていって下さい!】


こんにちは。
葉月さんから、肺MAC症について、コメントを頂きました。
CTでたまたま見つかった時は54歳で、正に発症者の多い中年女性、
痩せ型とのことですが、いつ、何故発症したのかはよくわかりませんね。
関節リウマチで免疫を抑える治療をしておられることが、
一応、若干の発症リスクではあったと思われます。
一方、治療薬なしで、5年間、全く進行せずとは素晴らしいです。
肺MAC症も、若い人には少なくて、中年以降の女性に多いということは、
タータルにみると、免疫力低下が関与している可能性が高いです。
やはり、20代に比べれば、40代、50代はどうしても免疫力は落ちています。

<糖質制限食で免疫力向上>
この点、糖質セイゲニストの場合は、
ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用および、
慢性炎症を抑える効果が期待できます。
糖質制限食により身体の様々な慢性炎症が治まれば、当然免疫力は高まります。
また、AGEsの蓄積が少なく<糖化 ⇒ 老化>という流れが最小限なので、
老化に伴う免疫力低下も、最小限ですみます。
葉月さんの免疫力もしっかり維持できているのだと思います。

<非結核性抗酸菌症>
非結核性抗酸菌とは、結核菌とライ菌以外の抗酸菌の総称です。
現在100菌種以上が発見されており、それらによって起こる感染症が、
非結核性抗酸菌症です。
そのうち7〜8割ぐらいは
MAC(Mycobacterium-avium complex)と呼ばれる菌で占められています。
非結核性抗酸菌は自然環境中の土壌や湖沼、河川に生息し、
家畜などの動物の体内、貯水槽などの給水システムに生息しています。
日本ではMACは台所の水道水からは分離されず、浴室内からは分離されます。
循環式浴槽水や銭湯浴槽水から非結核性抗酸菌が分離されやすいです。
24時間風呂などは特に非結核性抗酸菌が生息し易いです。
またシャワーキャップにも生息し易いです。
このようにヒトの生活環境では、特に長時間お湯がある環境が要注意です。
結核菌は人から人へ感染するので、一旦結核病棟への入院が必要となりますが、
MACは他人に感染することはないので、一般病棟あるいは外来にて治療をおこないます。

<感染しやすい人は>
以前は、陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺切除後や
じん肺、間質性肺炎などの既存の肺疾患を有した男性に多くみられました。
しかし最近では、過去に基礎疾患のない中年以降の女性の増加が顕著で、
なぜ女性に多いのかははっきりとはわかっていません。
米国でも中高年女性の肺MAC症が増えています。
すべての人が日常的にMACに暴露されていますが、発症するのはごく一部です。
肺MAC症の発症は環境因子のみではなく、宿主因子も重要と考えられます。
中高年の女性は生活環境中にある感染源に注意したほうが良さそうです。
肺MAC症の罹患率(りかんりつ)は年々増加の傾向にあります。
糖質制限食実践で、免疫力を向上させて、肺MAC症の予防を心がけましょう。

<ワシントン大学の研究報告>

『肺MAC症患者の自宅のシャワーエアロゾルからは、
コントロール集団の自宅よりも非結核性抗酸菌が分離されやすかった。』
Association between Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease and Mycobacteria in Home Water and Soil: A Case-Control Study.
Ann Am Thorac Soc. 2020 Jan;17(1):57-62.


江部康二
コメント
neiriさんの参考になればと思い投稿させて頂きましたが、思いがけず記事にして頂きありがとうございましたm(_ _)m

私は関節リウマチの他、肺MAC症、橋本病(ホルモン正常)、萎縮性胃炎(O-2で一部腸上皮化生の所見があり、いつ胃癌が見つかってもおかしくないとのこと)、またミトコンドリアM2抗体が170(幸いまだPBCは発症していません)と、何だか色々なモノを持ってしまっております(^^;)
自己免疫疾患は併発もありがちかと思いますが、幸い今のところ関節リウマチの治療のみで、他は経過観察で済んでいるので、これも糖質制限のお陰かと思っています。
境界型を含め糖尿病は診断を受けたことはないのですが、姉が糖尿病に罹患したことがきっかけで、江部先生のご著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』に出会うことができました。
肝心な姉は「馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない」状態なのですが(泣)、私は健康の為に糖質制限を続けております。(姉が糖尿病ですから、糖尿病予防のためにも糖質制限は必須ですね)
上記の疾患を悪化させないためにも、また極々初期でしたが子宮頸癌の既往歴もありますので、これからも江部先生のブログや書籍、講演会(またお話を聴きに行けることを楽しみに待っております)などで勉強させて頂きながら、美味しく・楽しく・末長く糖質制限を続けて行きたいと思います。
これからもどうぞ、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。
2020/06/30(Tue) 20:10 | URL | 葉月 | 【編集
TV東京系列 7月1日放送
TV東京系列 7月1日(水)夜6時25分~

◇外出が増える今こそ絶対痩せたい!糖質オフスペシャル

https://www.tv-tokyo.co.jp/sore_dame/index.html

斎藤糧三医師が出演するそうです
2020/06/30(Tue) 22:10 | URL |  | 【編集
日々の食事についてお伺いいたします。
江部先生おはようございます。
私はつい先日、「糖尿病」と診断され、「グラクティブ錠」というお薬を処方されました。食事指導などはこれからなので、どのような指導をされるのか分かりませんが、糖尿病と診断されて数日ですので、今は不安しかありません。
ところで、普段の食事の事でお伺いしたいです。
私の主人は昨年、「脂質異常症」と診断され、油のあるものはほとんど摂取していません。今は、鶏むね肉(皮を取り除いたもの)や、ささみを蒸したものや、油をササミ使わず焼いたものを食べている状態です。ドレッシングなどもノンオイルです。
私は江部先生の書籍を持っているので、糖質制限を実践と思っていますが、糖質制限の食事は油が多いイメージがあります。主人と私で、同じ糖質制限食を食べる事はよくないでしょうか?主人は今まで通りの食事のほうが良いのでしょうか?主人曰く、主治医の先生は詳しい食事指導などをしてくれるわけではなく、「油を控えなさい」としか言ってくれないそうで、何を食べたらいいのか分からないと言っております。出来れば江部先生のレシピで食べたいと申しております。
宜しくお願い致します。
2020/07/01(Wed) 08:33 | URL | いちご | 【編集
ふと見かけたのですが
Twitterにて以下のようなコメントが流れています。

https://twitter.com/sugikota/status/1277947672830160905?s=21

スレッドには江部先生の名前もありました。
脊髄反射的に反応するのも良くないと思い、先ずは情報のみお伝えします。
個人的には糖質制限のおかげで本当に色々な疾患が良くなったので、このインパクト重視にも感じる言い分はどうかと思います。
2020/07/01(Wed) 12:31 | URL | TAK | 【編集
Re: タイトルなし
葉月 さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

関節リウマチの他、肺MAC症、橋本病(ホルモン正常)、萎縮性胃炎(O-2で一部腸上皮化生の所見があり、いつ胃癌が見つかってもおかしくないとのこと)、またミトコンドリアM2抗体が170(幸いまだPBCは発症していません)

なるほど、なかなかの物持ちですね。
仰る通り、糖尿病発症予防には、糖質制限食が必須です。
御姉上も、糖質制限食実践して頂ければいいですね。
2020/07/01(Wed) 14:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: TV東京系列 7月1日放送
情報をありがとうございます。
夜診の最中なので、私は視聴できませんが・・・。
2020/07/01(Wed) 14:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 日々の食事についてお伺いいたします。
いちご さん

ご主人もいちごさんも、糖質制限食でOKです。
糖質制限食で、血糖値は改善します。
糖質制限食で、中性脂肪は下がって、基準値内となり、
HDLコレステロールは上昇します。
そうなると、LDLコレステロールも、ほとんどが善玉となります。
2020/07/01(Wed) 14:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ふと見かけたのですが
TAK さん

この先生の立場は、
「糖尿病には遺伝的要素がかなり関与するので、食事の不摂生で糖尿病になったというのは、当たらない」
ということで、糖尿人を擁護しておられるのだと思います。

私の立場は、
①糖尿人なら、糖質制限食で血糖コントロールは良好となる。
②正常型の人なら、糖質制限食実践で、将来の糖尿病発症を予防できる。
③糖質制限食なら「AGEs」の蓄積が最小限ですむので、「糖化⇒老化」も最小限ですむ。
④穀物なしの食事は、人類700万年間の歴史のほとんどを占める、「人類本来の食事」、「人類の健康食」である。
ということです。
2020/07/01(Wed) 21:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可