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血清尿酸値について。糖質制限食との関連は?
こんにちは。
名古屋hさんから、糖質制限食と尿酸値について、コメント・質問を頂きました。

<糖質制限食と血清尿酸値>
今回の記事は、糖質制限食と血清尿酸値についての考察です。
尿酸値に関しては、糖質制限食実践で、
減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。

もともと尿酸が高値だったのが糖質制限食で基準値になる人がいますが、
これは問題ないですね。
肥満がある人が糖質制限食で減量に成功したら、
尿酸値が基準値になることは考えられます。

もともと尿酸値は正常だったのに、糖質制限食実践後にで高値となる人が時々おられます。
尿酸高値の一番多い原因は、糖質を制限したことではなく、
結果として低カロリー過ぎた場合です。

糖質制限食開始後、急に尿酸値が上昇したときは、栄養指導で確認したところ、
ほとんどの人において、摂取エネルギー不足でした。
通常、糖質制限食開始後に、一旦、尿酸値が上昇した人も、
摂取エネルギー不足を解消すれば
速やかに元の値に戻ることが多いので経過をみて良いと思います。

<体内での尿酸の生成と排泄>

尿酸は尿から排泄されるだけでなく、消化液や汗からも排泄されます。
腎臓からの排泄は約3/4を占め一番多いですが、 消化液や汗からの排泄機能も、
血清尿酸値の個人差にある程度関係しているのでしょう。

体内で尿酸をつくり過ぎるか尿からの排泄が悪いため、
高尿酸血症になると考えられてきましたが、
これらに腸からの排泄障害や皮膚の汗からの排泄障害も加わることとなりました。

あくまでも私見ですが、この腸や皮膚からの尿酸排泄は、
生活習慣やストレスの影響を一番受けやすいような気がします。

<高尿酸血症と服薬基準>

過去痛風発作を起こしたことがない場合は、
尿酸8~9mg/dlとかでも、食事療法と生活習慣の改善で経過をみてよいと思います。
『すでに痛風発作を起こしたことがある場合』、
『尿酸値8.0mg/dl以上ですでに腎障害・結石・高血圧などの合併症のある場合』、
『無症状であっても尿酸値が9.0mg/dl以上の場合』

は、薬物療法の適応になります
高尿酸血症は、
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化の危険因子の一つですので注意が必要です。
男女ともに尿酸値が7.0mg/dLまでは基準値内です。
これを超えると異常で、高尿酸血症と呼ばれます。
(公益財団法人 痛風・尿酸財団)
https://www.tufu.or.jp/gout/gout2/61


<食事療法>
過去尿路結石のあった人や家系的に腎臓結石持の方々は、
尿酸が高値となったときは、梅干しを食べるとか、
わかめ・ほうれん草・大根・キャベツ・茄子・しいたけなど摂取で、
尿をアルカリに保って尿酸が結晶化しにくいようして、
尿酸値が基準値にもどるのを待つのが安全と思います。
尿路結石の予防になります。

ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、
尿酸値が上昇するので注意が必要です。
例えば断食(絶食)をすると、尿酸値は急激に上昇します。
断食前6mg/dlが、断食中は9~10mg/dlに急上昇したりします。


さて糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、
ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、
食事由来のプリン体は総量の約20%に過ぎず、
体内で生合成するプリン体80%に比し、かなり少ないということが判明しました。

例えば、江部康二は、2002年以来18年間、
スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、
かなりの高タンパク食です。
しかしながら、尿酸値は、
一貫して2.4~3.5mg/dl(基準値は3.4~7.0)程度と低い方です。
尿酸は体内の酸化ストレスに対抗する物質という説があります。
私はスーパー糖質制限食で体内の酸化ストレスが少ないので、
尿酸も少なくてすんでいるというポジティブな仮説もありかと考えています。

<納光弘先生の見解>
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、
元鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、
食事よりストレスや肥満の方が、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。

<尿酸を上昇させる要因>
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に

1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ


だそうです。

尿酸値に影響を与える5つの要素について、詳しく見ていきましょう。

1 ストレス
実はストレスが一番尿酸値を上昇させます。
鹿児島大学の納光弘先生もご自身が痛風でして、
徹底的に自分で人体実験をされて、
ビールより何よりストレスが高尿酸血症の原因と断定しておられます。
納先生ご自身は、学会の会頭を引き受けて忙しくてプレッシャーが高かった時期が
最も尿酸値が上昇したそうです。
学会が終了したら、ビールを飲んでも下がったそうです。
これは、もっぱら心理的ストレスですね。
一方、断食は究極の肉体的ストレスという見方もできます。

2 肥満
体重増加も尿酸を増加させる要因なので、糖質制限食で減量すると、
尿酸値も低下すると思います。
肥満が改善すれば、尿酸値も改善する可能性があります。

3 飲酒
アルコールを大量に(日本酒1日3合程度以上)飲めば尿酸値は上昇し、
断酒すれば下降します。
アルコールが尿酸値に影響を与える要因は二つあります。
一つは、アルコールが代謝の途中で乳酸になり、
乳酸が腎臓からの尿酸排泄を抑制すること。
もう一つは、継続的に多量にアルコールを摂取したときに(日本酒1日4合以上を毎日)、
アルコールが尿酸の代謝を促進させて尿酸値が上がることです。

なお、お酒に含まれているプリン体自身の量は、
体内の尿酸プールの量に比べて少ないのでほとんど影響はありません。
例えばビール大瓶633㏄中のプリン体はたったの32.4㎎に過ぎません。
適量のアルコールならストレスが解消され尿酸値を下げます。
適量の目安は、日本酒1.5合、ビール約750㏄、
ワイングラス2杯、焼酎のお湯割りコップ2杯程度です。

4 激しい運動
激しい運動は尿酸を上昇させますが、軽い有酸素運動は大丈夫です。
筋トレなどの無酸素運動も尿酸値を上げます。

5 プリン体の摂りすぎ
プリン体が非常に多い食品はさすがに大量にはとらない方がいいでしょう。
しかし、日常的な食生活の中では、プリン体を気にするほどのことはなさそうです。
何故ならプリン体は約80%が体内で生合成され、
食事由来のプリン体は約20%に過ぎないからです。

☆プリン体の多い食品

(1)きわめて多い(100g中300㎎以上):鶏レバー、白子など

(2)多い(100g中200-300㎎):豚レバー、牛レバー、かつお、
まいわし、大正えびなど


<尿酸の生成と排泄、尿酸プール>

☆尿酸の生成
プリン体の代謝産物として、尿酸が作られます。
一日で産生される尿酸の総量:約700㎎

☆尿酸の排泄
一日で排出される尿酸の量:約700㎎
・ 尿から排泄:約525㎎(3/4)
・ 汗や消化液から排泄:約175㎎(1/4)

☆尿酸の体内プール
・ 健康な人の体内には常に1200㎎程度の尿酸がプールされています。

尿酸は、このように毎日生産と排泄を繰り返しながら一定量を保っています。

しかし、尿酸の排泄がうまくいかなくなったり、尿酸が体内で作られすぎると、尿酸値が上がります。

<痛風発作の誘因>
・アルコールの多飲
・激しい運動
・ストレス
・尿酸値を上げる薬物(利尿剤など)
・早食い・大食い

なお、尿酸は、温度が下がるほど結晶化しやすくなります。
だから、人体で一番温度の低い足指の関節で痛風発作を生じやすいのですね。


*参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)2004年
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著

**プリン体
プリン体は核酸(DNAおよびRNA)の構成要素として体内で遺伝情報を保存しています。
また生物が生命活動を行う際に必要とするエネルギーは、
プリン体の一種であるアデノシン三リン酸(ATP)から供給されます。

***帝人ファーマ株式会社のサイトを参考にさせて頂きました。
ありがとうございます。
https://medical.teijin-pharma.co.jp/materials/iyaku/detail/skhk4v0000000xuk-att/skhk4v0000000xv1.pdf


江部康二

コメント
「座りすぎ」でがんのリスク増加、追跡装置で客観的に調査

https://news.yahoo.co.jp/articles/36e7da07873e738da42891083985e18c472d756f
2020/06/22(Mon) 16:27 | URL | 久堀 | 【編集
糖尿病と痛風の関係!!
都内河北 鈴木です。

「糖尿病と痛風」は、密接な関係にあるんですね!!

事実私も「糖尿病・発症時」に、痛風になり1年程、痛風薬を服用した事を思い出しました!!

現在は、過去を振り返りながら、
『納光弘医師』の「痛風解明事実」を、
江部先生本ブログで知り、痛風認識を新たにしています!!

「糖尿病」だけでなく、「痛風」も、時代進化・解明しているのですね!!

江部先生『糖質制限理論』で、『命救われただけでなく』、
後遺症が更なる改善へ『覚醒、再覚醒、』している事だけでなく、
更なる健康改善への助言を頂けることを、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2020/06/22(Mon) 21:10 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
糖質制限と尿酸値
江部先生

糖質制限と尿酸値に関する詳細な説明ありがとうございました。

説明にある通り、尿酸値が9を超えたのでザイロリックで治療中です。
しかし、生活習慣、食事等再度見直し、ストレスもためないようにして、薬から解放されたいと思っています。
また、良い結果を報告します。

名古屋・h
2020/06/23(Tue) 09:38 | URL | 名古屋・h | 【編集
江部先生
お世話になっております。

血清尿酸値について情報を御まとめいただき有難うございます。

>栄養指導で確認したところ、
>ほとんどの人において、摂取エネルギー不足でした。

以前の記事でもご指摘されている摂取エネルギー不足で
尿酸値が上がる患者さんというのは
基礎代謝を下回るレベルのエネルギーしか摂取できていなかったという認識で宜しいでしょうか?


自分の場合、摂取できているカロリーは、
基礎代謝分(1600kcal)は上回っておりますが、
「推定エネルギー必要量」(約2300kcal)より下回って(-500k程度)しまいます。


どうしても、たんぱく質と脂質で糖質分を補おうとすると、満腹となるためです。

2020/06/26(Fri) 16:55 | URL | 34歳の男 | 【編集
Re: タイトルなし
34歳の男 さん

その個人において、
消費エネルギーを下回る、摂取エネルギーの状態です。
基礎代謝分は超えていても、体重が減るレベルですね。

脂の乗った肉類、魚類をしっかり食べて、
間食に、チーズ、クルミ・アーモンドなどナッツ類、アボカドなどで、摂取エネルギーを増やしましょう。
2020/06/27(Sat) 07:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生
お世話になっております。


ご回答ありがとうございます。
がんばります。
2020/06/27(Sat) 23:35 | URL | 34歳の男 | 【編集
糖質制限5ヶ月目 途中経過報告!
江部先生

お世話になっております。
ダイエット目的での糖質制限
期間3~7月 計5ヶ月間の健診結果を書き残させていただきます。

1ヶ月平均で
摂取カロリー 2000kcal 消費400kcal
たんぱく質 150g台/日(肉4 魚3 豆2  乳1 )
脂質    110g台/日
炭水化物 68g/日(うち食物繊維20g/日)

前者は2019/9月末、後者は2020/7月末のデータになります。

体重 72.3 → 63.8kg ◎
BMI 23.0 → 20.1 ◎
腹囲 88.5 → 80.0cm ◎
中性脂肪(空腹) 206→52 mg/dl ◎
HDLコレ 63→111 mg/dl   ◎
LDLコレ 105→121 mg/dl 
総コレ  206→239 mg/dl H!
空腹時血糖 94→83 mg/dl   ◎
血清尿酸  7.1→8.4 mg/dl H!(6月も8.4)


長年の懸念だった、内臓脂肪は大幅に減らすことができたようです!
メタボ圏外になりました!
ただ、尿酸値の値は現時点で下がっておりません(涙
コレステロールの値を見ると、栄養は十分だとは思うのですが・・・

運動は、有酸素系(スロージョグ)で、酒も6月以降呑んでいません。
痛風発作を起こしたことはありませんが、
少し糖質制限のレベルを緩めようかと考えています。

※参考 
ケトン体上昇による尿酸排泄機能低下
http://www.higasiguti.jp/page/pdf/1702my.pdf
2020/08/14(Fri) 08:55 | URL | 34歳の男 | 【編集
Re: 糖質制限5ヶ月目 途中経過報告!
34歳の男 さん

データは、素晴らしい改善です。

尿酸に関しては、7mg/dl以下を目指します。
おそらく、相対的に摂取エネルギーが少なかったので尿酸値が上昇した可能性が高いです。

体重 72.3 → 63.8kg 
BMI 23.0 → 20.1 


糖質制限食は維持して、摂取エネルギーを200kcalくら増やして2200/日くらいにするのが良いと思います。

2020/08/14(Fri) 09:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限5ヶ月目 途中経過報告!
江部先生
お世話になっております。

お返事を頂きありがとうございます。

自分の過去の健診データを見ると
体重・腹囲・中性脂肪の増加に連動して少しずつ血清尿酸値が上昇しており
内臓脂肪の蓄積(メタボ化)がその一因と判断しておりました。

内臓脂肪の解消とともに、他の値と同様に尿酸も下がると期待を抱いておりました。(泣)

※参考 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0052/G0000210/0014

以前ご助言頂いた魚のタンパク質補給を図りながら、カロリーの上積みを行っていきます。
また何かありましたら、ご報告致します。


猛暑が続いております。お身体ご自愛ください。
2020/08/14(Fri) 13:08 | URL | 34歳の男 | 【編集
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