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日本の死者はなぜ少ない?  肥満、マスク、遺伝子…新型コロナ諸説を探る
こんばんは。

https://mainichi.jp/articles/20200609/k00/00m/040/201000c

日本の死者はなぜ少ない? 肥満、マスク、遺伝子…新型コロナ諸説を探る


2020年6月10日 毎日新聞朝刊に上記記事が載っていました。


以下の青字は、毎日新聞記事の要約です。
黒字は私の見解です。

新型コロナウイルス感染が世界中に拡大する中で、日本を含むアジア地域で報告されている感染による死者の割合は、今のところ欧米各国に比べて少ない。米紙ワシントン・ポストが「新型コロナのミステリーの一つ」として検証記事を組むなど、世界的に注目を集めているが、差をもたらす背景には何があるのだろうか。【岩崎歩、柳楽未来、小川祐希】

米メディアは「ミステリー」と表現
 新型コロナウイルスの死者数は、地域で大きな違いがある。欧米では、人口100万人あたりの死者数が100人を超える国が少なくない(6日現在)。最も多いのは英国で593.1人。欧州の中では比較的少ないドイツでも103.2人だ。米国では3月以降感染者が爆発的に増え、329.7人に上る。
 一方、アジア各国・地域はこれらの国と比べて2桁も少ない。比較的多い日本でも7.2人。韓国は5.3人、台湾にいたっては0.3人に抑えている。
 中でも、日本で死者数が少ないことは、海外メディアには特に不思議に映るようだ。ワシントン・ポスト(電子版)は5月28日、研究者の注目を集めるこの「ミステリー」を検証する記事を掲載した。
韓国のようにPCR検査を大量には実施していなかった日本で死者数が少ないことについては「多くの科学者が困惑している」と指摘した。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5月29日付の記事で日本のPCR検査数が先進各国より少ないことに言及。「感染の広がりを見えなくし、感染爆発と医療崩壊を招くと専門家は危惧したが、それは起きなかった」と驚きを示した。


確かに、欧米のメディアは、『日本の新型コロナへの対応は、PCR検査が少ないことも含めて、適切ではない。そのうち感染爆発が起こる可能性が高い』と、
こぞって述べていました。
しかし現実に、日本の感染者数、死者数ともに、欧米に比べると圧倒的に少なかったので、
欧米メディアにとって理解しがたいということで『ミステリー』と表現したのでしょう。
日本では欧米のようなロックダウンという厳しい規制はできないので、
外出の自粛と三密を避けるといったマイルドな要望だけで、成功しているので
不思議に思えるのでしょう。
東京の新規感染者にしても夜の街が3~4割を占めていますが、
ここは、三密を避けがたいということで説明できると思います。

肥満率は米71%、英64%に対し、日本は25%
 日本ではなぜ欧米より死者が少ないのか。重症化しやすい肥満の人が欧米より少ないこととの関連に注目する専門家もいる。
 15歳以上の人口に占める過体重・肥満(BMI25以上)の人の割合は米国が71%で、英国(64.3%)も高い。一方、日本は25.9%、韓国も33.7%にとどまる。
国立国際医療研究センターの大杉満・糖尿病情報センター長は「肥満の人は、高血圧や糖尿病などを併発している場合が多い。
肥満率の違いは一つの要因と考えられる」と話す。

 しかし、オーストラリアは過体重・肥満の比率は65.2%と英国並みなのに
2月1日に中国からの入国制限を開始するなどの対策を取り、
100万人当たりの死者はわずか4人。
 文化や生活習慣の違い、地理的な条件、医療水準など、さまざまな要因が複雑に関係していそうだ。
 欧米では予防のためのマスク着用が一般的ではなかったのに対し、日本の場合は無症状の人や軽症者がマスクをつけることで他者にウイルスをうつすことを防いできた可能性がある。


肥満は、明らかに新型コロナの重症化リスクなので、日本が韓国よりも
過体重・肥満が少ないことは、一定関与している可能性があると思います。
しかし、オーストラリアは英国並みの過体重・肥満率なので、100万人あたりの死者は
わずか4人と日本より少ないです。
これは、入国制限が有効であった可能性を示唆します。
ニュージーランドも、
早期からの入国制限で、新型コロナを予防することに成功しています。
その他、『握手やハグをしない』『マスクをする』『もともと手洗いする』『玄関で靴を脱いで履き替える』などの生活習慣もかなり関与していると思われます。

日本人特有の遺伝子? BCGワクチン説も
 新型コロナに感染した日本人に重症者が少ない背景に、日本人特有の遺伝子があるのでは――。そんな仮説を検証する研究が国内で動き始めている。
 慶応大や東京医科歯科大などは5月21日、新型コロナによる重症化と遺伝子の関連を調べる研究チームを発足させたと発表した。分析する対象は、無症状だった人も含め、新型コロナに感染した日本人計500~600人。血液検体を集めてゲノム(全遺伝情報)解析を行う。遺伝子配列と症状を分析し、重症化に関係する遺伝子の特定を目指す。最初の研究成果は、今年9月をめどにまとめる予定だ。
 世界的に話題になったBCGワクチンについては、豪州など海外の複数の研究機関で、感染予防や重症化との関連についての臨床試験が進む。
日本では乳幼児期にワクチンを接種するため、感染者が少ない要因の一つに挙げる意見もあった。
しかしWHOは2020年4月、「根拠はない」と表明した。
 イスラエルの研究チームは5月、大規模に感染者を調査した結果を米国医師会雑誌(JAMA)で発表した。イスラエルでは、すべての新生児を対象にBCGワクチンの接種を行っていたが、1982年からは一部の移民に絞った。
 チームは感染が疑われる症状が出てPCR検査を受けた79~81年生まれの3064人と、83~85年生まれの2869人を比較したところ、陽性率に有意な違いは確認されず、チームは感染予防について「効果があるという考えは支持しない」と結論づけた。一方で対象の感染者に重症例が少なかったため、「重症度との関連は結論を出せなかった」という。


新型コロナによる重症化と遺伝子の関連は興味深い研究であり、
2020年9月の結果発表が楽しみです。
一方、海外でずっと暮らしている在外邦人は、重症化率・致死率は欧米人とあまり変わらないという説もあり、遺伝子とは無関係の可能性もあります。

そしてBCGの有効性です。WHOは「根拠はない」と表明しています。
確かにRCTによるエビデンスはまだないのですが、疫学的研究では、BCG(日本株、ロシア株)を接種している国では、
人口100万人あたりの死亡者数が、BCGを摂取していない国に比べると圧倒的に少ないのです。
2020年5月8日
BCG接種あり
イラク人口:3843万 (2018年)感染者数:2,679人  死亡者数:107人
人口100万人あたりの死亡者数:2.8人

ロシア/人口:1.445億 (2018年)
19.9万感染
回復者:31916人
死亡者:1827人・・・人口100万人あたり、12.6人


BCG接種なし

アメリカ
アメリカ合衆国/人口:3.282億 (2019年)
134万感染
回復者:20.1万
死亡者:79696人・・・人口100万人あたり、242.8人

スペイン人口:4694万 (2019年)
22.4万感染
回復者:13.4万
死亡者:26478人・・・人口100万人あたり、564.1人

ドイツ  人口:8320万人(2019年)感染者数:171,324人死亡者数: 7,549人
人口100万人あたりの死亡者数:90.7人



イスラエルの研究は、BCGには、新型コロナ感染を防ぐ効果はないことを示しています。
一方、重症化・致死率を改善する可能性に関しては、結論はでていません。

「交差免疫」説とは?
 過去に新型コロナと似たウイルスに感染したことで獲得した免疫が、新型コロナにも作用しているとする「交差免疫」説を唱える専門家もいる。
 東京大先端科学技術研究センターの児玉龍彦がん・代謝プロジェクトリーダーのチームが、新型コロナ感染者の血液を調べると、IgGがIgMより先に増えた人がいた。アジアの人の間で新型コロナに似た別のウイルスが以前に流行して免疫が獲得された証左といい、新型コロナに感染した際に交差免疫が働いた可能性があると指摘する。
 米科学誌セルに発表した論文によると、新型コロナが発生する以前の2015~18年に米国で集められた20人分の血液の約半数で、新型コロナに反応する免疫細胞が検出された。
 一方、京都大の上久保靖彦特定教授らのチームは免疫に関係した別の説を提案。日本では入国制限の遅れから病原性の弱いタイプの新型コロナウイルスが広がって免疫が作られ、後に病原性の強いタイプが入ってきても、この免疫が働いたため被害が小さかったと主張。


IgGがIgMより先に増えた人がいたということは、すでに免疫を獲得していた人で交差免疫が働いた可能性が示唆されます。

セルの論文で、
「新型コロナ発生以前の2015~18年に米国で集められた20人分の血液の約半数で、新型コロナに反応する免疫細胞が検出された」ということは、
交差免疫が作動した可能性が高いです。

ソフトバンクグループは、社員や医療関係者らを対象に独自に行った新型コロナウイルスの抗体検査の結果を速報値として公表。4万4000人余りのうち、0.43%に当たる191人が陽性。(2020年5月中旬~6月8日まで)
上久保教授の説のようにすでに病原性の弱いタイプの新型コロナウィルスが前もって広がっていたならば、0.43%という結果は少なすぎます。つまり0.43%という低い数値は、新型コロナウィルスが前もって広がっていなかった証拠と言えます。


江部康二
コメント
江部先生、こんばんは

世界的に観てオックスフォード大学のワクチンが開発としては一番進んでいますね
第3段階の最終段階まで来ましたので。
成功を祈ります

開発中の新型コロナワクチン ブラジルで最終段階の試験で合意

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200609/k10012463571000.html
2020/06/10(Wed) 22:02 | URL | 久堀 | 【編集
「日本医療界」には、不思議・満載です??
都内河北 鈴木です。

江部先生『糖質制限理論』2005年発表で、
私は7年後にタマタマにかけて『理解把握して実践』で、
『生還、覚醒、再覚醒、』してる私は、8年目現在も不思議でならないです!!

何故、「日本医療界」、専門組織「日本糖尿病学会」は、
江部先生『糖質制限理論』を受容しないのか、
不思議でなりません??!!

本日も世界が、新型コロナのこんな社会状況ですが、
私の『生還、覚醒、再覚醒、』状況からでも
明らかな医学の進化・解明した事を、
何故なのか、余りにも馬鹿げた「日本医療界」だなと、考えます!!

私の
『改善・医療デ~タ』!!
『「日本糖尿病学会」信奉の病院、担当医の書付』!!
等から治療指導が改善皆無を認めているが、反省、学習も皆無では、
【今後の日本国民には、「日本医療界」は、
 何の価値も無い事は明白だなと考えます!!】

江部先生『糖質制限理論』を、
現在も余りにも『無知すぎる日本社会』には、
治療に当たる医療者が無知だから、
イラつきが隠せません!!

何故、『糖質の害毒』を解明されのなら、
何故、「日本医療界」は、発表しないのか、
不思議です??!!

私は、江部先生『糖質制限理論』で、『生還、覚醒、再覚醒、』している、
現状の「日本医療界」に21年間かけ殺されかけた患者が、
3か月足らずでインスリン増量3年半余りの患者が、インスリン自主離脱して
『生還、覚醒、再覚醒、』しているのにです!!!

【ただこの事を伝えたく発言しただけですが、
 何しろ「日本医療界」には疑問しか出ません!!】

江部先生には、『生還、覚醒、再覚醒、』でき、
更なる2度の『改善、』している8年目に体調快調に成りながら、
生活できることに、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2020/06/10(Wed) 23:38 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: タイトルなし
久堀 さん

新型コロナのワクチン、成功したらいいですね。
2020/06/11(Thu) 19:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
沖縄のBCG
本土より低い沖縄のBCG接種率
https://hi-hyou.com/archives/9415


沖縄の地域保健医療における 開発経験と途上国への適用
https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/11587102.pdf
P63、65-67 にBCGの記載あり


現代沖縄結核史
https://doi.org/10.24708/seibutsugakushi.93.0_57
2020/06/11(Thu) 21:52 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
抗体の陽性が低いから間違いとのご意見について
江部先生御侍史
 平素はお世話になりまして誠にありがとうございます。抗体検査の結果が低いから間違いとおっしゃっておられます点。それは誤解です。無症候性の多いコロナの場合、抗体キットのカットオフ値を非常に高くセットしていますので、全部陰性に出てしまっているだけです。上久保靖彦拝
2020/06/13(Sat) 15:01 | URL | 上久保靖彦 | 【編集
Re: 抗体の陽性が低いから間違いとのご意見について
上久保靖彦 先生

ご指摘ありがとうございます。
2020/06/13(Sat) 17:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
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