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血中1,5-AG値の意義。糖質制限食と血中1,5-AG値。
こんにちは。

血中1,5-AG値と糖質制限食について時々質問があるので、考察してみます。
合わせて血中1,5-AG値の意義についても考察してみました。

1,5-AGは、ブドウ糖についで多い単糖で、広く生物界に存在します。
食物から経口的に摂取され、腎臓でほとんど再吸収され、
ごく一部が尿中に排泄されます。

栄養素としての働きはほとんどないようですが、
ブドウ糖と同じように血液中にいつも一定量存在しています。
また体内の各臓器に広く分布しプールされています。
食事からの供給量に比べて体内蓄積量が大きいので、
通常は食事の前後で血中濃度の差はありません。

血中1,5-AGは、フルクトサミンやグリコアルブミンやHbA1cでは、
チェックできない食後高血糖の状況を知ることができます。
高血糖があり尿中にブドウ糖が排泄されるようになると、
1,5-AGも尿中に排泄されるようになり、結果として血中の1,5-AGが低下します。
これはブドウ糖と1,5-AGとは構造が似ているため、
腎の尿細管での1,5-AG再吸収がブドウ糖により競合阻害されるためです。

従って、基本的には
「尿糖が陽性であるから、血中1,5-AGが低下する」
という公式が成り立ちます。
ほとんどの場合は、食後高血糖のような短時間のスパイク状の変化の影響を鋭敏に反映しています。
しかし、例えば高血糖がなくても尿糖が陽性になる腎性糖尿でも1,5-AGが低下します。

αGI(ベイスン、セイブルなど)は食後血糖上昇を改善し
血中 1,5-AG を増加させる効果があります。
但しαGI のうちアカルボースだけは 1,5-AG 増加が認められないと報告されています。
これはアカルボースの αアミラーゼ抑制作用により
1,5-AG の腸管からの吸収が阻害されることによると考えられています。

また、最近話題のSGLT2阻害薬でも、
一日に100gのブドウ糖が尿中に排泄されるわけですから、
血中1,5-AGは著明に低下すると思われます。
すなわち、SGLT2阻害薬を内服している人は、
血中1,5-AGを調べても意味がないということです。

「尿糖が陽性であるから、血中1,5-AGが低下する」という公式の例外として、
飢餓があります。
高血糖もなく尿糖もなくても食事から摂取される1,5-AGが
飢餓により枯渇したために、血中の1,5-AGが低下することとなります。

なお、血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下します。

また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示します。

1,5-AGはいろんな食材に含まれているそうなのですが、
どのような食材に多く含まれているのか調べてもはっきりわかりませんでした。
しかし、植物体のなかでデンプンから1,5-AGが生合成されるとの文献がありましたので、
どうやらデンプンの多い食材に1,5-AGが多く含まれいるようです。
そうすると 糖質制限食をある程度長期間実践していたら、
1,5-AGを多く含む食材の摂取が減るので、
血中1,5-AGが生理的に低下しても不思議ではありません。
この場合生理的な低下なのでまったく問題はありません。

保険診療では1,5-AGは、HbA1c、グリコアルブミン、フルクトサミンと同じ範疇の扱いを受け、
いずれか1つの項目を月1回に限ってしか認められていません。
高雄病院ではHbA1cを調べていて、血中1,5-AGは調べませんので、
糖尿病患者さんのデータがありません。

糖質制限食と血中1,5-AGに関して興味がありましたので、
私自身で調べてみたところ、
<2008年4月23日の江部康二の血液検査、スーパー糖質制限食6年目>
1,5-AG:5.8μg/ml(基準値は12~43) 
と立派に低値でし
たが、勿論生理的なもので何の問題もありません。

結論です。

1)一般的には、血中1,5-AGは、食後高血糖(尿糖)があると低下するマーカーである。
2)従って、HbA1cが正常でも、血中1,5-AGが低値なら食後高血糖を見逃している可能性がある。
3)SGLT2阻害薬を内服中の糖尿人は低値となるが問題はない。
4)アカルボース(グルコバイ)内服中の糖尿人も低値となるが、問題はない。
5)血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下する。
6)糖質制限食実践中であれば、血中1,5-AGは低値となるが、問題はない。




江部康二
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