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無酸素運動と糖質量。普通の運動と最高強度の運動の差は?

【20/02/13 西村 典彦
無酸素運動と糖質量について
いつもお世話になっております。

今回は、無酸素運動と糖質の必要性について考えてみました。

スキー(2月9日~11日)とその前後の日の糖質量と血糖値の変化です。
2月10日(スキー2日目)の夕食前は昼食で高糖質食にしたにもかかわらず、68まで低下しています。
高糖質にも関わらず、ケトン体もそれなりに産生されていることから、摂取した糖では消費エネルギーが賄えず、脂肪エネルギーも利用されているものと思われます。
アルペンスキーは200mをダッシュするのと同程度の無酸素運動だそうですが、データからも糖質が必要と感じますが如何でしょうか。
3日間のスキーでは、毎日、毎食、耐糖能の変化があり、低血糖にも高血糖にもならないように糖質量を調整するの難しいです。

以上、ご参考まで。


     食前→食後ピーク 摂取糖質量

2月 8日(スキー前日)
 (朝食時) 85→118 20g
 (昼食時) 89→137 12g
 (夕食時) 96→119 23g

2月 9日(スキー5時間)
 (朝食時)102→120 11g
 (昼食時) 77→117  4g
 (夕食時) 76→130 29g ケトン体1600μmol/L

2月10日(スキー4時間)
 (朝食時) 79→115 23g
 (昼食時)103→144 87g ケトン体500μmol/L
 (夕食時) 68→112 51g

2月11日(スキー3時間)
 (朝食時) 83→ 93 34g
 (昼食時)116→167 88g
 (夕食時) 98→171 77g

2月12日(スキー翌日)
 (朝食時) 97→111  4g
 (昼食時)115→135 20g
 (夕食時)100→144 37g 】



西村典彦さん

仰る通りと思います。
普通のスポーツやマラソンなどは
有酸素運動が主で、糖質制限食やケトン食が有利です。
一方最高強度の運動では、糖質ありが有利です。

まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、
間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、
糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。

よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。

「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」

という題のポーランドの研究です。(*)

以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。

<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。

ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30


様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。

<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。

*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。

 

自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、
それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。

西村典彦さんのアルペンスキーは、200mダッシュということなので、
最高強度の運動になると思います、
そうすると、この論文によれば、糖質あり食の方が、
仰る通り、優位と思われます。


最高強度以外の、
中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。

このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。

この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。

長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。

100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。


(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3

コメント
スキー前後の体重の変化について
今回は記事にしていただきありがとうございます。

さて、スキーに行く前と帰ってきてからの体重の変化ですが、1.4kgのプラスでした。
ただし、筋肉量は1.6kgのプラスで、当然、体脂肪率は下がっています。あくまでも家庭用の体組織計ですから精度は分かりません。

スキーの3日間の摂取カロリーは普段と同じ1800~2200kcalで、それに加え運動をしているので普通に考えれば体重は減るはずです。
しかも、3日ほどの運動で1.6kgも筋肉が増加するとも思えません。
いつもはスーパー糖質制限なので、スキー中に多量に摂取した糖質によって、枯渇していた筋グリコーゲンが蓄積したとすれば、400gの糖とそれに結合する1200gの水分と考えれば辻褄が合います。
私はこのように考えましたが、いかがでしょうか。

そして、摂取糖質量の割にはケトン体がそれなりに産生されています。おかげで血糖値が68まで下がっても気にすることなくスキーができますし、糖質制限以前に比べて持久力もアップし、糖と脂肪のハイブリッドなエネルギーでスキーを楽しめるようになりました。
来年には還暦ですが、まだまだ続けられそうです。
2020/02/15(Sat) 16:01 | URL | 西村 典彦 | 【編集
アルツハイマー病は根治できないもの
標題は、認知症フォーラムに掲載されています。

https://www.ninchisho-forum.com/knowledge/kurashi/008.html

日本糖尿病学会のHPと同じで、読んでいると違和感だらけです。
夏井先生 の皮膚科標準療法の話にも似たモノを感じます。
2020/02/15(Sat) 16:39 | URL | らこ | 【編集
Re: スキー前後の体重の変化について
西村 典彦 さん

「いつもはスーパー糖質制限なので、スキー中に多量に摂取した糖質によって、枯渇していた筋グリコーゲンが蓄積したとすれば、400gの糖とそれに結合する1200gの水分と考えれば辻褄が合います。
私はこのように考えましたが、いかがでしょうか。」


西村さんの、ご考察に、私も賛成です。

最高強度の運動は「ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム」
それ以外の運動や歩行は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」
で使い分けて、ハイブリッドな人体となっていて、
スタミナ・持久力アップとなっているのだと思います。
2020/02/15(Sat) 18:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: アルツハイマー病は根治できないもの
らこ さん

常識的には、認知症は治りがたい病気と考えられています。
しかし、らこさんの実例をみても、糖質制限食実践で治り得る例があることは、間違いないですね。
2020/02/15(Sat) 18:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
アルツハイマー型認知症は「脳の糖尿病」
スーパー糖質制限食大嫌いなNHKが、標題の番組流したのは確か3年以上前です。

◎アメリカで「鼻からインスリン吸引」で進行が止まる

を「認知症フォーラム」にはどこにも記載が無いのです。挙句の果てに

◎「脳の糖尿病」なのだから、「糖尿病を予防すればアルツハイマー型認知症は予防できる」

高血圧や脂質異常症は無関係です。インスリン投薬で症状良くなるのですから。

https://www.ninchisho-forum.com/knowledge/kurashi/004.html

読むと「勉強しとるんかいな? NHK視聴料も払えない貧乏団体か?」と感じます。
2020/02/16(Sun) 00:13 | URL | らこ | 【編集
筋トレとケトジェニックダイエット
厳しい糖質制限やケトジェニックダイエットをはじめて5年が経ちますが、無酸素運動である筋トレは糖質をとると運動パフォーマンスが圧倒的に上がります。そして筋肉も太く、強くなっていると感じます。なるべくインスリンの悪影響を無くしたいと思い、ケトジェニックに戻すと体重がすとんと落ちて筋肉と筋力がガクっと落ちるのが、これまでの私の身体でわかりました。。
まわりのトレーニングをされている方もみんな同じことを言っていましたので、糖質も一概に悪者ではないのかなと思いました。
2020/02/16(Sun) 17:21 | URL | クッキー | 【編集
Re: 筋トレとケトジェニックダイエット
クッキー さん

筋トレをしていれば、糖質摂取時にインスリン分泌なしで筋肉が血糖を取り込むので、
糖質摂取のインスリンの害は、ないと思いますので、クッキーさんのやり方でもOKと思います。

一方、糖質制限やケトジェニックのままで、筋肉量を増やしている方もおられます。

以前、豆蔵さんからコメント頂きましたボディビルダー・山本義徳氏の名言が以下です。 
    1. ケトーシスは身体に悪い、という医者がいたら、それは無学である。 

2. 脳のエネルギーはブドウ糖だけである、という栄養士がいたら、それは無知である。 
3. ローカーボだと筋肉が落ちやすい、というトレーナーがいたら、それは無能である。 
http://ameblo.jp/doronjo7/entry-11599159896.html2013-08-24  

ボディビルダー・山本義徳氏 、素晴らしいです。
 



駐在君からも、以前、米国の最新情報をコメント頂きました。
駐在君、ご指摘のように「タンパク質摂取による低濃度のインスリンでも筋肉タンパク質合成には十分」  
と考えられているようです。


【19/03/10 駐在君    筋トレと運動 江部先生の下記ブログ   http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4772.html  「糖質制限と運動」でコメントした者です。 筋肉万太郎さんの投稿に関してですが、筋トレ前にだけ炭水化物を取るのもありかと思いますが、 アメリカの最近の研究で筋肥大に炭水化物は必ずしも必要では無いということが解ってきています。 Building Muscle on Keto: An Evidence-Based Guide  https://hvmn.com/blog/keto-diet/building-muscle-on-keto-an-evidence-based-guide  簡単に説明しますと従来の常識では筋トレにおいてタンパク質とともに炭水化物を摂取し インスリンレベルを高めないと十分な筋肉タンパク質合成を促進できないと信じられてきましたが、 最近の研究でその根拠が無いことが解ってきました。 つまりタンパク質摂取による低濃度のインスリンでも筋肉タンパク質合成には十分だということです。 また一般的に筋肉中のグリコーゲンレベルを維持するため筋トレのたびに炭水化物を取れと言いますが、 実は長期に渡って炭水化物を取らず十分にケト適応した人と 高炭水化物食を取っているアスリートとのグリコーゲンレベルは同じであることも解ってきました。 つまり炭水化物を取らないから力が出ないとか瞬発力がないと言うのは ケト適応(Keto Adaptation)が十分で無いから起きるとも考えられます。 自分の場合ですが、3年前から一生のつもりでケトジェニックダイエットを続けており、 筋トレ前でもチーズと温泉卵を食べるくらいですが ベンチプレスMAXは85キロから最近MAX110キロを更新できました。 アメリカでは keto bulk や keto bodybuilder で検索すると、 いわゆるフィットネスの目的の期間限定のカーボディプリートではなく ライフスタイルとしてのケトジェニックダイエットをしながらもマッチョな方をたくさん見れます。】

2020/02/16(Sun) 18:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
さっそくありがとうございました。
ケトジェニックでしっかり筋肉がつくんですね。とても勉強になりました。自分に適した方法で食事とトレーニングに励んでまいります。
ありがとうございました。
2020/02/16(Sun) 19:49 | URL | クッキー | 【編集
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