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糖質制限食実践中のブドウ糖負荷試験。一見耐糖能低下のことあり?
こんにちは。

75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、150g/日以上の糖質摂取が、
日本糖尿病学会の推奨となっています。

これは、糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、
ブドウ糖負荷試験を実施したり、糖質を一人前摂取すると、
耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあるからです。

私見ですが、これは基礎分泌インスリンは普通に出しているけれど、
追加分泌インスリンをあまり出す必要がない糖質制限食を続けていた場合には、
糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。

前もって、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、
β細胞の準備ができているので、
もともと正常型だった人なら耐糖能がデータ的に普通に戻ると考えられます。

スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていて、
なおかつ血糖コントロール良好ですので、
高血糖によりβ細胞が障害されている可能性はありません。
従って、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、
正常に作用すると考えられます。
つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、
一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、
これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、
心配ないということです。
糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、
本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。



「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、
ヒムスワースです。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。
高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、
低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。

Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.

☆☆
ウィルカーソンらは
「糖質制限食を行っても耐糖能は低下しない」という論文を発表しました。
1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、
複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、
糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、
耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという
影響力の大きな医学誌に掲載されました。

Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.

ヒムスワースとウィルカーソンの論文を考慮すれば、
糖質制限食を継続実践中の正常人が、いきなり糖質を摂取した場合
「一見耐糖能が低下したようなデータを呈する」人と、
「耐糖能は正常なデータを示す」人とが
いるということとなります。

結局、個人差があるということでしょうね。


江部康二

コメント
現在糖質制限してますがネットで調べると糖質制限をやめて、カロリー制限と運動で糖尿病克服したというブログが何個か発見しました。糖質制限で糖尿病を克服できるのでしょうか?不安です。

https://profile.ameba.jp/ameba/12508868
2020/02/06(Thu) 06:53 | URL | りく | 【編集
Re: タイトルなし
りく さん

基本的には、糖尿病を発症した時点で、既に膵臓のβ細胞は3割くらいは壊れています。
その意味で、一旦発症した糖尿病は、治らないと言えます。
つまり、カロリー制限食でも糖質制限食でも糖尿病は治りませんので
いかに血糖コントロ-ル良好を長期に継続して保つことができるかが、肝要と言えます。


カロリー制限と運動で、血糖コントロール良好を保つことは可能と思います。
しかし、半年、1年、2年、3年・・・とカロリー制限を継続することは、極めて困難と思います。
まして、糖尿病は一生ものなので、一生カロリー制限を続けることができますか?
という厳しい問題に直面することとなります。


糖質制限食の場合は、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を目標に摂取するので
カロリー制限は必要なく、ひもじさもありません。
従って、満足するまで脂質と蛋白質は食べて、血糖コントロールできるので
一生続けることもつらくありません。
なおかつ、AGEsの蓄積が最小限となるので<糖化⇒老化>が、かなり予防できるというメリットがあります。

①②を比較すれば、
糖質制限食は、とても有用であり、意義は大変大きいと言えます。
2020/02/06(Thu) 07:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
りくさんの疑問へ、横から失礼します!!
都内河北 鈴木です。

タマタマ今、りくさん疑問を読んだのですが、
私は、2012年9月末まで21年間糖尿病重症化していましたが、
2012年10月1日より
タマタマ知った、江部先生「糖質制限理論」を理解把握して実践で、
インスリン3年半余り増量投与者(ヒュ~マリ1日、8・6・6)していましたが、
3か月足らずで「ヘモグロビン正常化!!」して
「生還、」しました!!

薬不用でです!!

以降現在9年目までに、「日本糖尿病学会」信奉・病院、担当医、に、
「右目眼圧破裂失明、緑内障発症、脳梗塞発症、」など起こりましたが、
それらが「覚醒、再覚醒、」の「医療デ~タ所持して発言しています!!」

そして当時の私が「生還、」した事への医療者自身の書いた文書には、
「立場有る医療者が「糖質制限理論」を無知だと書いた文書複数所持しています!!」

私はこれらの所持していた「デ~タ」は全て、
「糖質制限理論」支持者達へは、渡してあります!!

りくさんが悩むのも頷けます!!

ネット活用可能なら、江部先生「糖質制限理論」を検索してみてください!!

私が「生還、」して気付いた
「世界のどこの国が「カロリ~制限理論」を国が指導しているの?」
等を検索すれば、時代進化・解明した「糖質制限理論」の真意が見えてくるかなと考えます!!

私がりくさんに問いたいのは、時代は進化しているのに、
「御飯、根菜類、には、何の栄養素があるのかです??!!」
「何故、食べるのですか??!!」

江部先生により時代進化・解明された
「糖質害毒」は、食べるべきではないと、解明事実を血糖時期測定器で計測すれば、翌日には理解できるのですが!!」

私は21年間、改善しようとしていましたが、
面識皆無、利害関係皆無の江部先生「糖質制限理論」で、
「生還、覚醒、再覚醒、」している9年目現在の
私「都内河北 鈴木」が存在している事を認識しておいてください!!

ネットで検索しても、「とないかわきた」を漢字変換すると、
パソコンが指定する「都内河北 鈴木」!!
「糖質制限理論で、生還、覚醒、再覚醒、しますか?」
等は誰が編集しているのか判りませんが、私は冷静になります!!

江部先生には、「生還、覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具

2020/02/06(Thu) 08:37 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
糖質制限について
いつも楽しく拝読!
あるyoutubeチャンネルで糖質制限実施。
肉と野菜中心の食事の人が中性脂肪増加により、ドクターストップがかかり、糖質制限食断念。超悪玉コレステロール増加を懸念してストップが掛かったのでしょうか?江部先生のご見解を頂けたら幸いです。
2020/02/06(Thu) 09:37 | URL | gintora | 【編集
Re: 糖質制限について
gintora さん

スーパー糖質制限食で、少なくとも朝空腹時の中性脂肪は、正常低値となります。
ちなみに私の中性脂肪値は、40~60mg/dlくらいです。

2020/02/06(Thu) 16:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
回答ありがとうございます。
糖質制限は長く続けるのは難しい食事だと米国糖尿病学会のレポートに書いてありました。
それでもカロリー制限より糖質制限の方が続けやすいのでしょうか?
2020/02/07(Fri) 07:25 | URL | りく | 【編集
糖質制限
超ご多忙にもかかわらず、早速のご回答
ありがとうございました。糖尿病仲間も驚いております。私も少しは鼻を高くしてます。
2020/02/07(Fri) 08:59 | URL | gintora | 【編集
Re: タイトルなし
りく さん

少なくとも日本では、糖質制限食のほうが、カロリー制限食よりは続けやすいです。
日本の食品産業が、積極的に『糖質制限OK食材』を発売し、
レストランなどでもかなり積極的に『糖質制限食』メニューを作っていることも
大きな理由と思います。
スイーツなども日本では、糖質制限な美味しい物が簡単に手に入ります。
糖質ゼロ麺もあります。

米国では、このようなきめ細かい、糖質制限な対応が、ないので、
なかなか、継続が難しい状況なのかもしれません。

ただ、カロリー制限食は、ひもじくて、長期継続は困難ですし、
長期継続できたとしても、今度は骨粗鬆症や筋力低下が懸念されます。

2020/02/07(Fri) 15:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限は肥満の人むけで低カロリーにされてる為糖質制限の方がひもじい思いしませんか?
2020/02/08(Sat) 05:23 | URL | りく | 【編集
Re: タイトルなし
りく さん

糖質制限食はカロリー制限食ではありません。

厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」が摂取カロリーの目安で、カロリー制限はしません。

糖質制限食では、肉や魚や乳製品、卵・・・など満腹度・満足度の高い食品がメインとなります。
従って、お腹いっぱい満足するまで食べても、自然に「推定エネルギー必要量」となります。
これも糖質制限食の大きな利点です。
2020/02/08(Sat) 08:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
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